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 今年の秋の東京芸大の学園祭で馬渡吟治郎さんの作品を写真に撮らせてもらったのですが、本人の許可が必要でしたので網点をかけて掲載して・・・探し続けてやっと『ギャラリー環』でお会いする事が出来ました。
でも失礼ですが名前の『吟治郎』不思議な名前ですね! 大学院生だからまだそんな年輩ではないだろうし・・・。会う前からイメージが広がって特に環さんのイメージと暗い画面の作品がダブってしまって・・・済みません。凄く暗い方かと思っていましたら・・・明るい方で良かった〜。思い込みはいけませんね。では、お話を。

●作品のイメージはいつ浮かびますか?

 「寝しなに・・・半分夢をみているような時に出てくる事はあります」

●素材は粘土ですね。

「僕は削るのが駄目で・・・子供の頃図工が好きで手で作るのが好きだったんです」

●やはり芸大生(大学院の二年生)だから子供の時から絵が上手かったんですか。

 「僕は高校3年まで芸大を知らなかったんですよ。高校はずっと剣道一筋でした。でも図工が好きだったから大学は美術大学に進みたいと高3で決めたんです」

え〜。

「先生に美術大学を聞いたら東京芸大が日本で一番いいといわれて・・そこにしようと。パンフレットを取り寄せるのに東京学芸大のパンフを取り寄せてしまった位何も判りませんでした。結局三浪しましたが・・・」

●何故油絵科を?

「高校の時美術の授業で油絵を二枚描いて。油絵セットを持っていたので道具があるから油絵科でいいやと」

●凄い動機ですね。ではあの作品を作る動機はなんでしょう? あのミラーの眼が虚無を見つめているように思うのですが?

 「少年犯罪からです。少年は何故人を殺すのかに疑問をもちました。僕が子供の頃はザリガニを食べたり虫を殺したり・・・皆そういう事をしながら実体験としてリアルに生命を感じて成長していたと思うのです。
でも少年犯罪に走る子供達は周りの出来事を情報としてインプットしているだけではないかと・・・生きる事のリアリティーを実体験していないから思春期になって無理が出てきてしまう。リアリティーが欠けているから簡単に人を殺すのではないかと・・・眼を鏡にしたのは、鏡は回りを克明に写しても結局は虚像なんだと・・・そういう眼をもった少年として提示できたらと思いました」

●そうですか。かなり社会的な事を意識されてるんですね。私はもっと自分に投影されたものとして見ていました。

「僕は絵を描き始めて・・・浪人生活から数えて今年で十周年なんです。まだよく判らない部分もありますが、結局僕は人間を作っているんです。
僕は『業』を・・・『業』は仏教用語(梵語)ですが、『業』を辞書で引くと『人がこの先いい事や悪い事があっても、その人の人生に何らかの動きを与える因。』と書いてあります。僕はそこに着目してそれを形にしてみようと思っています」

●業を背負うというのは作家の宿命的なものではありますよね。古いかな〜。所で作品は立体と平面を制作されてますが。変な言い方ですが立体の方がストレートに入ってくるんです。平面はイマイチ判らない。

 「平面を描き始めたのは今年からなんです。僕は油絵科ですが平面は二次元の世界で話が展開する訳ですから言葉は悪いですが『嘘』だと。立体の三次元は目の前にものがある訳だから人によく伝わりますよね。
以前は現実感が欲しくて立体を制作しましたけれど。でも最近は絶対的な三次元の世界よりも自分の中のイリュージョンを自由に描き出せる空間や雰囲気を出してみたい気持ちが出てきました。これからは立体のリアリティーと平面だから出せるリアリティーの両方で展開してみたいと思っています」

●この針の赤ん坊からクライム・パーカーの『ヘル・レイザー』の針千本の男を思い出してしまいましたが、何か本から触発された事はありますか?


「この赤ん坊は針が刺さっているのではなく。自分を守る為に内部から針が生えているんです」

あ! 済みません。

「最近全然読んでませんが、昔は宮沢賢治をよく読みました。宮沢賢治は童話なんだけれど変なリアリティーを感じるんです。意識した事はあまりないですが・・・」

●最後にこれから大学院を出て作家として生きていかれるんですね。

 「僕はまだ28才です。やっと最近少し見えてきたかなと・・・そう思い始めています」

どうもありがとうございました。

ギャラリー環の川妻さんより、馬渡吟治郎さんは難病なのよ。と聞かされていたので余計に暗い定めを背負って生きている方だと思い込んでいました。済みません。

「病気は今年なったんです。前からこういう作品を作ってましたから病気とは関係ないですよ。それに発見が早かったから大丈夫です」

と言われてしまって・・・いや〜思い込みはいけないな。反省します。
実際は大変なのかもしれないけれど頑強そうな線が太い方でした。まだ28才これからですもんね。がんばって! 因みに『吟治郎』はペンネーム。昔飼っていた犬の名前なんですって・・・。

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