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携帯オサルスのおすすめランチ ランチdeチュその46

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なめこそば 1200円

鴨南蛮のせいろ 1400円

明月庵 ぎんざ田中屋(石臼挽・手打ちそば) 
東京都中央区銀座6-6-19 TEL03-3571-8228
営業時間平日 11:30−20:50  日曜・祝日11:30−20:00
http://www.soba-tanakaya.com

 蕎麦のウンチクには取り立てて興味はないのですが、なぜ手で打った蕎麦は値段が高くて量 が少ないのか・・・? 美味しい蕎麦が安く気軽に沢山食べられたら良いのですが、こりもせず、あえて銀座のお蕎麦やさんに行って参りました。

こちらのお蕎麦屋さんは、電通の方や画廊の方がよく通 うという場所。詩人の松尾さんもお薦めです。


醤油、ダシにはじまり、素材にこだわった味は天下一品です。(店長の柳澤さん)

今日は、美術ジャーナリストの名古屋覚さんにご一緒して頂きました。名古屋さんは、先日までジャパンタイムズにお勤め、今はフリーで活躍されています。

ジャパンタイムズには何年位 ・・。

 「11年いました。学芸部にいたのは3年位 、その前は報道で都庁担当、当時は鈴木都知事でした。あまり面白くなかったです」

美術に興味をもたれた切っ掛けは・・・。

 「93年のベネチアビエンナーレが切っ掛けで、同じ年にシドニービエンナーレも見て、話題の多いビエンナーレでしたので、日本に帰ってからまめに日本のアートシーンを見るようになりました。94年の10月にサンパウロビエンナーレを見て、年末にサンケイ新聞に日本語で記事を書いて、それが、フリーランスの美術ジャーナリストとしての初めです」

子供の頃から絵が好きだったのですか。

「子供の頃は、まったく好きではなかったんです」

- - - - - え?ある日突然ですか?

「どうしてでしょうね。自分でもよくわかりません。子供の頃、親に美術館に連れていってもらった記憶もないですし、最近の若い親が子供を美術館へ連れて行って、教育する・・・そんなばかな事は止めさい。私だって行った事がなくても毎日画廊めぐりをしているのだから、結局大人にならないとわからないものだと思いますね」

ジャーナリストの方にあえてお聞きしたいのは、現代美術は作り手も、見る側も始めに言葉ありきではないですか・・・。

 「基本的に私の立場は、作家の説明も聞かないし、解説があっても読まないし、美術は目で見る事と思ってますから、その基準で批評も書きます。説明が無ければわからないものは始めから無視しますね」

- - - - - う〜ん。実際に何故作ったのか聞かないとわからない事はないですか・・・。

「アーチストは、作品を作った段階で死んでいると思っています。勿論、現代の美術は現代の瞬間に作られていますから作家が生きていて当然ですが、美術が芸術である以上はアーチストが死んでも作品が残らなければ・・・。
作家が、今、作品を作って50年後100年後の見方まで視野に入れて批評をしなければいけないんです。今、同時代にいてこれが現代美術だからと言って、作家に頼ってもたれて、説明を聞いてもわからないと言う事は、50年後100年後には残らないですよ」

- - - - - 目がすべてという事ですか。

「目がすべてでもあるし、言葉を超えたものが造形芸術の基本であると・・・。言葉に頼るのであれば文学に関心を持ちます」

文学で関心をもたれた作家は・・・。

「中学の頃、カミユの異邦人に感銘を受け、世界各地の名作やヘッセやゲーテも読みました」

- - - - - ほうほう・・・。

ここでお蕎麦が登場しました。お蕎麦をのばす訳にいかないので、お食事タイム。名古屋さんが鴨南蛮のせいろ(1400円)オサルスがなめこそば(1200円)を。

 何故か、このお蕎麦屋さんバックミュージックはコルトレーンのレフト・アローン・・??。ストイックでニヒルなイメージの名古屋さんに似合います。そんな名古屋さんがワサビをすっている姿・・・初公開。

どうですか。ここの蕎麦は・・・。

「鴨の味がしますね。蕎麦のウンチクはよくわかりませんが、汁にもどっぷりつけてしまうし、全部使いきった方が無駄 がなくていいんじゃないかと思います。私は洗練された蕎麦より腹一杯になるほうがいい。ちょっとここは量 が少ないですね」

食べ物には、あまりこだわりがないのですか。

 「そうですね。何でも食べます」

では、こだわりがあるとしたら何ですか。

「女性の顔と絵画のマチエールですね。絵肌の貧弱な絵画はそれ以上見ませんから。10秒でわかります。画廊に入って画面 を見て10秒か20秒で、それ以上留まるべきかどうかわかります」

- - - - - 厳しいですね。

「絵画本位ではなく。彫刻でも写真でもインスタレーションでもビデオでも見るに値するものならいいのですが。絵画から遠ざかる事につれて、皮肉にも長い時間かけて見る価値があるとは思えないので・・・。ビデオでもビル・ビオラは非常に見ごたえがありますね。でも、ああいう作品は美術よりも映画にジャンル分けしたほうがいいのでは」

映画とビデオアートの違いは何でしょう。

 「うんと短い映画と言えば・・。ビデオアートも美術の一部ではなくて映画の中に入れてしまったらあんなつまらないもの見る人いませんから。現代美術のジャンルにくくられているから、我慢して立ったままで見ているのでしょうが、これがエンターテイメントの映画ならば金を払って見る人はいません。
いかに現代美術が傲慢でスノッブなシステムに守られているかがわかるでしょう。特殊な守られた世界です。日本では果 たして、現代美術の概念が成立するのか考えて見れば疑問に思うかもしれないけれど、現代美術は現代に制作されている美術としてごく普通 にとらえればいい。逆に日本画や洋画の世界を必要以上に軽蔑する風潮はよくわからないですね」

- - - - - 何故、そういう意識が生まれるのでしょう。

「現代美術はラディカルで前衛的と言いますか進歩的で・・・、技法的にも内容的にもね。そういうものだけが現代美術とみるむきがあります。
例えば海外のビエンナーレなどでは、必ずクラシカルで古典的な作品が出品されます。歴史の上に現代がある。歴史や伝統を引きずっている。そういうパースペクティブが展示の方針にあるんです。
突然現代美術だと言ってビデオやインスタレーションだけでは訳はわからない。何故ビデオが出てきたのか背景がわからないと教育的啓蒙的な展覧会とはいえません。ちゃんと歴史的な視点は押さえるべきです」

話は変わりますが、画廊はどこら辺を回られますか?

「いける所は何処へでも」

貸画廊と企画画廊の区別 は・・・。

「区別しません。今でこそ企画画廊でやっていても昔は貸画廊でやっていた訳だし。最近の傾向を言えば企画よりも貸画廊が新鮮なものに会える可能性があります。企画画廊は流行に敏感で・・・」

若い画廊はどうですか。

 「新鮮な海外の作家を紹介してくれるというよりは、海外の最新のトレンドを勉強させてもらっているという印象が強いですね。それは社会的な面 があって、社会の雰囲気を反映している。
今、東京都現代美術館でFiction展を開催中ですが、ちょっと異常、病的で自閉症的というか・・・。これまで4回位 あの傾向の展覧会をやっていますが、どれを見てもあまり元気になるような展覧会ではないですね」

- - - - - 日本人は内に内に向かう内向的な傾向がありますよね。もっと外に向かないと・・・。

「気持ちが暗くなります。内向的と言えば内向的かもしれないけれど、それを凝縮する国民性がある訳で、強度をともなった凝縮でないと。雰囲気的なものではなく、物質的に強度を伴ったものでないとまず残こらないし、見る側にインパクトは与えられないと思います。以前「ひそやかなラディカリズム」という展覧会がありましたが、ひそやかな芸術はありえないと思います。
今日のお蕎麦と関係していまして・・・」

- - - - - ??

「非常に美味しいのだけれど僕から言わせれば量が少ない。こういうケースが多いんです」

- - - - - すみません。今度はもっと量の多いお店にします。

「私だったら多少味が落ちても量が多い方がいい。絵画でもマチエールが完璧で存在感あればそれにこした事はないですが、いくらマチエールが完璧でも物理的に弱すぎたら工芸・手芸になってしまう」

- - - - - う〜ん。そうなるとFictionの隣は森万里子で、もっとそういう批評があっていいように思うのですが。

「Fictionを細い蕎麦とすれば、森万里子は大きな綿菓子。見た目には華やかだし、食べたら甘い。でも後には何も残らない砂糖ですから。どちらにしても不満は残ります」

- - - - - でも、日本ではこんなのつまんないとは言えないですよね。そうでもないですか。

「居酒屋では言ってます」

- - - - - 居酒屋で言っても外には聞こえませんね。

「残念です」

- - - - - 評論家も訳のわからない事を言っているし・・・。

「それは美術界最大のミステリーです。新聞の記事はわかりやすく書いてあります。わかりにくいのはカタログの文章です。これは論文ですから多少わかりにくくてもいいのです。新聞の文章はわかりやすい代わりに、ものを考えさせる切っ掛けにならない」

又、突然話は変わりますが、作家になっていたらどの画廊で展覧会をしたいですか?

「ギャラリーQです。知り合いだから多分料金をまけてくれるから・・」

ところで、今は、フリーランサー ?

「ジャパンタイムズにいた頃からフリーランサーで書いています」

それで食べていかれるのですか。

 「食べていけません。でも、暫くはこのままで・・・。そのうち別 の収入源を探さなければ・・・。ただ、美術の世界に就職するつもりはあまりありません」

- - - - - 何故ですか?

「自由に書けなくなりますから」

- - - - - そうですね。お金を得た時点で、自由ではなくなりますよね。

「あえて仕事を探すなら、美術館の床掃除とか・・・」

- - - - - う〜ん。なるほど・・。でも本当ですか?

「必要ならば」

最後に好きな作家を聞かせて下さい。

 「キーファーです。93年のセゾン美術館で見てから・・ですね。キーファーの作品は考えさせるんです。考えなくてはわからないのではなくて考えさせる。それは180度違います。
考えなくてはわからない作品と見て考えさせてくれる作品とは両極にあります。これを間違えてはいけません。キーファーの作品は見て考えさせてくれるのだけれど、見て何も考えなくてもいい。それが一番好きなところです」

- - - - - 93年の頃は鉛の作品が多く運送費は大変ですよね。

「あれだけの巨大な作品を運んでくる移動エネルギー 、そのエネルギーも作品のパワーと繋がっているような気がします」

どうもありがとうございました。

いやあ、私が言うのも変ですが、お蕎麦の量が少なくてすみません。でも蕎麦とアートを結びつけた眼力には感服致しました。
酒は水代わり、と、酒豪でいらっしゃる。よく食べ、よく呑むのがパワーの源なのでしょうか。やっぱり話は豪快にいきたいですよね。

オサルスの決定的ウィークポイントは、ピントがずれているから恐いものナシ?かな。
洗練されたお蕎麦もっとおなか一杯食べてみた〜い。

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