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さば文化干し揚げ 900円

Cafe a cote
東京都港区南青山ビル2F TEL03−3406−8072


 青山の骨董通りに面するこちらの Cafe a coteさんは一階がアジアン雑貨、二階がカフェ。ちょっとおしゃれなお店です。
インタビューする人でお店を選んでいる訳ではないけれど、やはり食べてるシーンは想像するかな! このお店の感じは誰にマッチするか? ん〜、やっぱりニューヨークから帰国中の北浦さん (VOCA・アートスカラシップでの受賞) がいいや! 作品のクールさとタイトルのシニカルさは、cafe と 「さば文化干し揚げ」 につながるのでは・・・。え? ちょっと違うって・・。 失礼致しました。

幼少時代から賞には無縁なオサルスが受賞の喜びを聞いちゃいました。

VOCA展・アートスカラシップ受賞おめでとうございます。

 「VOCAは入選でアートスカラシップは優秀賞です」

あ! すみません。その時の気分は?

「ん〜。小学校で絵で賞をとった時のほうが嬉しかったです」

賞には縁がある方ですか。

「そうですね。やっぱり上手かったから、小学校の美術では賞は随分もらいました。そういうツワモノが全国から集まって来てるんじゃないですか美術の世界は・・」

確かにそうだけれど、選ばれて先へ進む人は一握りですよね。

 「何処かで満足しちゃうんじゃないですか。何処まで行っても満足しない人がずっとがんばれるんじゃないですか。そんな気がします」

北浦さんの満足度はどの位 ?

「賞が云々ではないです。自分の作品は趣味でやっている訳ではないので・・・第三者がどう評価するかでしょ。どこまでいっても満足はしないかもしれない。コンクールは年間何十本もやっているから、どれををとったってたいした事ないし毎週誰かが賞を貰っているじゃないですか」

では、今度の賞では感動は無かったのでしょうか。

「ん〜。仲間に入れたかなって気はします」

VOCAは今年で9回目、誰が活躍しているのかパッと思いつきません。その点は?

 「 VOCA は VOCA の傾向があります。あの審査員だもの・・・。現代美術は世界のスタンダードの仕事をしている訳じゃないですか。でもあの審査員の考えるスタンダードとは違いやずれがあると思う。
端的に言えばは賞をとるのは味わい深い、テイスティーな作品が多いじゃないですか。つまり絵画層の深さイコール精神性の深さとだぶらせて、その前提の基に評価基準を作る。でも本当に大事なのは思考の深さ・・・芸術性の深さに共通 するわけだと思います。
リキテンスタインは絵画の層としてはペライ感じがあるんですが、でも思考の深さや芸術性の深さは別 だと思う。でも VOCA の評価基準は絵画空間の深さ・・・絵画層の・・・」

お待たせしました。


・・・・段々白熱してきたのに、ランチ(さば文化干し揚げ 小鉢・味噌汁・香の物・玄米or白米 900円)が来ちゃった・・・。
今日は、又アメリカに戻る北浦さんに和食を食べてもらおうと思って 、先日Kさんにご馳走になって、美味しかったからここに決めました。

どうですか、お味は?

 「最近年をくったせいか魚を好きになって、さばの干物が揚げてあるんだ。美味しいですね」

おいくつなんですか。

「35歳です」

なんだまだ若いじゃん。

ここのお店は流石に青山、さばのお皿にアルファルファがのっている。このアルファルファがなければただの定食。

「普通はこういった取り合わせはないですよね」(北浦さん)

玄米は如何ですか?

「もうちょっと食べずらいかと思いましたが食べやすいです」

小鉢のもやしは洋風で、味噌汁の中にはとろろが・・・。ふ〜む!これは和食をベースにしている無国籍料理、これから先の日本を暗示しているような・・・・。

若い人達は回りを意識しながら時代を感じてるの。

 「皆が意識する共通 の感覚みたいなものはあるんじゃないですか。
例えばリヒターみたいなピンボケのものは一時よかったじゃないですか。それを見た時に歓喜する感情が時代に共通 する意識・・そういうものが凄く多かった。今では白っぽいものとか弱いもの頼りないものが多くなってきている。あまり強いものはないじゃないですか」

流行りはそうかもしれないけれどない事はないような。例えば 横山大観なんて石をガンガン彫って、地球の核まで突き進むぞなんて、評論家から言わせれば新しくも何ともないかもしれないけれどゴジラのようなエネルギーはあると思う。人間としての強さがなければグローバルスタンダードは渡りあえないのでは・・・?

「でも、評価する側はあれが今の日本のスタンダードの標準基準であの感覚が優れたものとしているのが今の時代の感覚であると思います」

それは確かだけれど、もうフィクションはフィクションで終わりにして次に移行して行かなきゃ受け手は満足できないのだけれど・・ね。

「日本は評価軸が少ないと思います。西洋なら色んな評価軸があって、ある種流行はあるんだけれどそれと違う評価軸で見て評価すべきものが一杯あるから、見る人も自分の評価軸にあったギャラリーとか探す事ができる。日本は流行があるけれどそういうものは少ないかもしれないですね」

何故ですかね・・・。

「自分独自の目がないっていうか・・。日本人は隣を見て回りと一緒に動いている農耕民族気質が反映されている。全部とは思わないけれど、回りにあわせる傾向はありますよ。評価軸が少ないし、マーケットが貧弱だったり売れ筋に収斂 していかないと買う人がいなかったり色んな理由があると思います」

では、北浦さんの中での「絵描き像」とは・・・。

 「貧乏しても金持ちになっても絵描きでいつづける絵描き魂はあります。
例えていうなら美術史は積み木を重ねるように、初期から中世、バロック、新古典主義とか時代で変化している。その一番上に何を積めば今の芸術として意味のあるものを積めるかと考えています。それが一番大事、僕のやり方は今はそうです。
よく日記みたいに描いているだけとか、食事をするように自然に描いているだけとか・・。自分の中ではそんな事ではいいものができる自信はないですから。だから社会や時代や美術史を考えて今何をすれば崩れない何かを掴む事ができるのかを考えながら作品をつくるようにしています」

1999年から2000年の間に作品ががらっと変わりましたよね。何か遭ったのですか?

「最初にアメリカに行って帰ってきて・・。改めてアメリカは世界のスタンダードだと、マーケットの中心でもあるし、それを見て日本で自分がやっている事のギャップを凄く感じて・・・。試行錯誤の連続でした。それを踏まえて今の作品になってきたんです」

見ている側は随分思い切ったなって・・・。

「共通しているのはある種シニカルな要素とか、不毛な感覚とかを感じさせるようにする事とか・・・。細部はガラッと変わりましたけど内容的な一部は共通 しています。10あればその内の2くらいはひぱってきているんですが」

作品が変わってから今回の入選や受賞につながった・・・。目の付け所がよかったのですか。

「それはそうでしょう」

それは戦略的にという事ですか。

 「自分の中で悪いものや良くないものを作ろうとは思わないですから。自分の中で意味のあるもの、いいもの・・。
俗っぽい言葉でいうならばかっこいいものを作りたいという気持ちがあったんです。そういう意味ではそれを評価してくれる人がいた事は日本もステタモンジャナイと・・・」

発想の原点を教えて下さい。

「ふっと思いつくんです。一瞬インスピレーションというか着想が湧いて・・・、着想があってドローイングで突き詰めて下図にしてキャンバスに描く。簡単そうに見えて結構大変です」

着想が泉のように湧いてくるのか、ハタマタキャンバスを見ると見えてしまうのか。

「僕はまず着想がある。そういう風にしたらかっこいいものが描けるという。最終的に自分でいいと思い込まねばできないでしょ。でも実感はあります。やりたい事をやっているというか自分が描きたい自分のイメージに近い感じでやっているという・・。
自分の中でやりたい事と発表する作品との誤差が少なくなってきている。でも自分の価値観が変わると思うのでこのまま今の作品でずっと続けますという宣言はしません」

アメリカに半年生活されて、アメリカで勝負する気持ちは・・。

 「それはあります。がんばりたいと思います。向こうは美術マーケットの環境が全然違います。日本の画廊はアメリカの画廊の事務所位 の大きさしかない。
日本は作品を買う人が少ないけれど向こうはギャラリーをバックで支援してくれる会社が一杯あるようです。日本では80%位 の人が現代美術は解らないと言いますが、向こうは自分なり理解して説明を聞くんです。まずその段階で美術との接し方が違う。
例えばある人がビジネスで成功し、お金を凄く儲けたとします。日本の場合は会社のロビーに有名作家の叙情的な癒し系の作品を掛けるかもしれませんが、向こうではあえて難解な作品を掛ける。それは金を儲けるステイタスと知的なステイタスが一緒にあって、そのどちらもないとまともな人間じゃないという意識があるから。
向こうの人は一枚の作品を見て人生の問いかけをしてるんです。その感覚の違いにギャップは感じました」

明日アメリカに帰るというお忙しい時にお付き合い頂き誠にありがとうございました。

北浦さんは自分の道がしっかりと見えている作家だと思います。
いわゆる出来るタイプかな! また写真撮らせて下さいな。
美術史は積み木のように積み重なっていく、一番上に乗せるべき 「積み木」 を。それが見られる日を楽しみに待っています。
昨今 「村上・奈良以降」 と言う言葉をよく耳にしますが、まだ次のメンツが見えてこない。このまま又時が経ってしまうのかどうかは解りませんが、オサルス的には次が出てこなければ面 白くないんです。

北浦信一郎 関連情報 2002.3 2001.4 2000.5

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