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携帯オサルスのおすすめランチ ランチdeチュその55

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シーフードカレー
(サラダ・コーヒー付き税込み1000円)

Hand-made Confectionery EGG FARM'S
東京都品川区平塚2−4−4ポナール戸越119 TEL 03-3788-8878

 戸越銀座から五反田方向に歩いて5〜6分。閑静といえば閑静な場所かな。
公園の前のマンションの1階にあるこのお店は、二筋向こうには第二京浜が走っているとは思えない静けさの中のコジャレタケーキ屋さん。
お店の前で待つこと5分、今日のゲストは某大手広告会社にお勤めの吉田正人さんです。吉田さんはチョット前まで銀座にお勤め、1993年から銀座の画廊を歩き始め、旅行は盆と正月のみ、海外出張も多いけど成田に着くと直行で銀座の画廊へ足を向け・・昼休みはひたすら画廊を散策(?)してこられた方です。

●吉田さんはコレクター兼表現者とご紹介すればいいのですか?

「いや〜。タダのヒトです」

ん〜。そう言われても困るな・・・。オサルスも唯の人なので・・・。
では、今日はタダのヒトどうしの『ランチdeチュ』をどうぞ。

吉田さんのお薦めのお店は『EGG FARM'S』。EGGと書いてあったのでオサルスは、卵料理のお店かと例のごとく勘違いして伺いました。

 こちらのお店! 外見は普通の感じなのに・・・。中に入ると庭があるんですよ。しかも噴水付き。今日は運良く梅雨晴れのとても気持ちがいい日! 涼しげな噴水の音を聞きながら食べるランチはシーフードカレー(サラダ・コーヒー付き税込み1000円)・・。
シーフードの海老や貝の具が大きくて辛さも上品 pretty good!! 料理は趣味という吉田さんがこのお店を推薦した理由は、絵を買った時と同じでこんな居心地のいい場所ない・・と、確かにそうですね。

緑が多く気持ちが安らぎます。某コラム二ストのNさんもご常連、マスターも一家言お持ちの方とお見受けしました。
ここが銀座にあれば常連になるんだけれど・・・な。

さて、そろそろお話を・・。

●吉田さん10年間銀座を歩いて画廊の移り変わりはどうでした。

 「 やはり衰えがあるね。数が減ったしアーティストも小綺麗にまとまっている。10年前のバブルの悪あがきパワーはもう感じられないよ。この10年に限らないだろうけれど個展をする人が減っている。継続して続けて欲しい人が何人かいて楽しみにしてるんですが・・・。ちょっと残念」

●絵も描いていらっしゃるんですよね。

「絵じゃないんだけどね。表現をしてるんです」

●表現をはじめた切っ掛けは・・。

 「丁度10年前に東京都で今も継続していますが、カルチャースクールみたいな・・主に都立大の先生を呼んで市民に向けたリカレント(生涯)学習をテーマにした都民カレッジを開講して、その中にコンテンポラリーアート入門があったんです。
それを座ってやる学問だと思って行ったら、二回目から作品をもってこいという話になって最初60人位いたのが次の回で20人に減ってしまって・・・。時々酔っ払って似顔絵を描くくらいの事はしていたんですが・・、課題を出されてそこで作品を作る意識が芽生えたのかな。丁度その頃コンテンポラリー系の画廊を廻るようになって・・。ハマッタと言えばハマッタ!」

●先生は何方だったんですか。

 「笠樹絵津子さん。当時ニューヨーク市立大学のアートスクールの留学から帰ってきたばかりで、今はフリーですね。そこで課題を出されてもびびらなかった20人で、3ヶ月の講義が終わったあとも笠樹組として行動を共にしてたんですが、3−4年経った頃笠樹さんが抜けて、私の前の名前の並河逸他(なみかわそれなり)の並河座として活動を続けてきました。
6月18日−23日まで目黒区美術館区民ギャラリーで並河座展5として展覧会をしています。今の名前は河谷落柿(かわやのらくがき)と言っていますけど・・・」

●え! なんですか。

「江戸時代の戯作(げさく)から。
あれってお侍や大家の旦那が洒落でやってるんだけど、本名ではなく戯作名でヤドヤノメシモリとかアケラカンコウとかね。そう言う名前をつけていて、それでこちらも本名でやるもんじゃないだろうと・・・。洒落で映画専門並河座と映画館のような名前をつけました」

●どんな展覧会を・・・?

「月1回集まってコラボレーションをコラボはジャンルの違う人が二人位でやるもんですが、うちはノールール、金網デスマッチみたいな感じで何の段取りも決めないで全紙の四方から一気にいく事も。書・インスタ・タブロー何でもありです」

●サラリーマンをやってらして表現をする事で何か変わりましたか。

 「楽しく表現するのに10年掛かりました。最初は課題を出されて苦痛でしたね。作る意欲がそのまま快楽に結びつかないっていうか・・・。やらなくてはいけないものみたいなね。
でもここ2年位生活と創作活動が一致したというか。会社辞めて生活できるならやりたい事は一杯あるから早く定年にならないかなと思っていますよ。制作するにも1時間位しかないと、思うようにいかなくて情けなくて泣けてきちゃう事もあります。それで考えついたのがこれ!」

●この赤い色は・・。

 「そうワインです。毎日ワインを飲みながら一日に20〜30枚描く事も。最初は指につけたり刷毛で描いたりしてましたが、技法を研究し今はスポイトを使っています。まあ! 遊びながら描いてますね。しかも副産物があって飲みながら描く訳だから、描いてと言われて飲み屋でワインがタダになったり。これは温泉いって歌を詠んでタダで泊まれて酒飲んでいた若山牧水の世界ですよ。これで老後の道が開けたなと・・・」

●でも、それって胡散臭くみられませんか。

「若山牧水も与謝野鉄幹も当時は胡散臭かったでしょうよ」

●色は変わりますか?

 「ものによります。1年で色の消えちゃうものもあるし・・。タンニンの強さでくるから。グレーや紫もでます。これは割と皆やってそうなんだけど、やっている人はいなくて、具象で描いている人が一人カリフォルニアにいるらしいけどね。
ワインの蔵元に行くと喜ばれるし、必ずワンスモアがでる。普通のお客に出さない、いいワインを『どう飲むか』と言って出してくれるし。この描いてある裏側には日付と種類が書いてあって味も思い出せるし旅先からの手紙にももってこいですよ。ワインを造っている人達もこんな色が出るとは思ってないから見せると凄くウケるし、コミニケーションツールとしては凄くいいよ」

●話は変わりますが、展覧会で作品を買おうと思われたのは何故ですか。

「 欲しかったからですね」

●それは作家で選ばれるのですか。

 「作家はいなくてもいいです。ある画廊の方から、『絵を買う場合は絵のバックグランドやエピソードなどの付加価値を買う人が多いのだけれど、吉田さんのように作家にもバックグランドにもタイトルにも興味がない、作品だけしか見ない人は珍しい。』と言われましたね。見たものだけで完結しないのはいやだし、説明しなきゃ解らないものは出さないで欲しいし、アンタイトルなんてつける奴ははっきり言って馬鹿だね。無題で勝負するなら説明はするなと・・・」

●一番最初に買った作品はなんですか。どういうコレクションなんですか。

「コレクションじゃないんです。コレクションはある程度体系化して集めるものでしょ。私は欲しいものを買った結果が山積みになっているだけで、大体買ったものは箱に入れて置かないで全部飾るんです。そう一番最初ね。変なものを買っていますね。今はもう買わなくなってしまった。版画や陶芸など・・・」

●版画を買わないのは何故ですか。

「エディションがあるものはあまり買いません。オンリーワンが欲しい」

●作家によっては同じような絵を何枚も描いている人もいますよ。

 「そんな奴は後ろから叩きに行くから大丈夫です。基本的に初個展か、美術年鑑に名前が載っていない人を対象に買っています。評価されてないものを買う。自分で全リスクを背負う。例えば流行っている人を買うと流行っているから買ったんだと言われるのがイヤなんです。自分で買った中では八木美穂子さんの『痕跡』という絵はいい買い物でした。
値段的には考える値段だったので・・これを買った時に絵は値段ではないと思い。欲しければ言い値で買う。買えなければ値切るかローンを組む。これですよ」

●最初に画廊は敷居が高かったですか。

「殆どの人はそうでしょう。画廊がある事は知っていても入る場所じゃないと思っているんじゃないかな。ハッキリ言って入った途端に帰ろうと思う事もあります。でも礼儀の問題があって作家が在廊だと1分では帰れないし、おまけに感想など聞いてきてね。困るんだよね・・・。本当に思っている事を言っていいのかと・・・」

●オサルスは言いますけどね。では自分の琴線に触れるものは? 見た時に何かを感じるから買うんでしょ。

 「なんでしょうね。どうなのかな。強いていえば類例がない絵。誰にも似ていないもの。誰かに似ているのじゃいやなんだ。八木さんの作品には心が洗われますけどね。
このごろはもう壁が無くなってきたので、ついに発注をはじめました。作家にカーテンを頼んだり、今はお風呂の壁に描いてもらおうと、ある画廊に人選をしてもらっています。本格的なフレスコを狙おうかと・・。ルソーのジャングルのような感じにしたいね。
家自体も5年程前に中古のマンション買って建築家の橋本夕紀夫さんに内装を御願いしました。その時出した条件は東洋かぶれの外国人が住むような家にして欲しい。壁を広くとって絵を掛ける部分を多くとってくれと頼みました。
この橋本さんは松尾さんの友達で売れっ子で週刊現代にも取り上げられている店舗設計家で流行の店などを数多く手がけている方。そのお蔭で『家庭画報』が“ご取材”ですよ。これはステータスですよ! ハハハハ・・。まあ、マンションリフォームの話ですけどね」

●最後に吉田さんの生き方のモットーは・・・。

 「絵を描いてると『この作品について説明して下さいと』聞かれる事があるんです。 いつも答えるのは『高校生のセックス。出来ちゃったものはしょうがないでしょ。』と、結末考えてモノ作ってないし、表現だけじゃなくて、皆もっと日々の生活を好き勝手に生きればいいのにと・・。前の会社でもネクタイが嫌いだから殆どしないんです。あまりうるさくいうんで蝶ネクタイをしてました。人からああだこうだ言われるのは嫌だ!」

- - - - でも、吉田さん恵まれてますよ。

「恵まれてませんよ。世間からは変わり者だと言われるし、こんなにマットウなのに・・・」

- - - - 人の事はあまりいえませんけど、ん〜。こちらもマットウではないので・・。

「人生の目的と手段を取り違えてはいけない。ラテンのように人生の目的は楽しく生きる事。豊かな人生を全うする事が目的であって、いつか来る天国の為に難行苦行する場所ではない。早く定年が来ないかな。定年になったら若山牧水のあとを継いで、そこら中で無銭飲食の旅をしてやろうと思っています」

どうもありがとうございました。楽しく生きたいのは山々なれど、こちらは異常が付くほどの心配性、日々を無事に過す事を心がけています。
 ところでこちらのお店はケーキ屋さん。シフォンケーキに生クリームと果物(480円)の取り合わせ、ケーキは見た目よりも軽くふわっとした味わい。美味しい! 夏はアイスクリームを添えてもらうと嬉しいかも・・・。
暑い夏の午後アンニュイな気分で過すのも一考。ちょっと画廊街からは遠いけど・・・ね。
目黒区美術館区民ギャラリーの「並河座展5」見ましたよ

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