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今回から始まる新企画 『ホンとに本と。』
「アートと本」にまつわるお話を、様々な方々に。 内容はオサルス流! そのまんま載せるのが得意だからね。

第1弾は版画家・栗田政裕さん。

●もう何冊くらい作られましたか。

 「厳密にどう計算していいか解りませんが、一応版画集として作ったのはもう30冊位です。本というものをどういう風にとらえるかによっても計算の仕方が変わってきますし、この版画集『沈黙の世界』の場合はとじてない訳です」

●とじてないと本ではないのですか。

 「そんな事はないと思います。この『沈黙の世界』(ed50 9点セット、7万円消費税別)は木口木版を始めて、初めて作った版画集なんです。もう27〜8年前に卒業制作で作りました。展示場所は洋画商ホールだったんですが、ある画商さんが10部買ってくれて作家への道の切っ掛けになりました」

●この『沈黙の世界』は、当時引越しを繰り返す内に版木が無くなったとお聞きしましたが・・・。

「そうです。一つ無くなってしまって偶然2年くらい前に出てきました。それで27〜8年ぶりに装丁を全部作り直して・・・」

●では、当時のものは全然残ってないのですか。

 「いや〜。持っている人が何人かいて、昔の方が素朴でよかったねなんて話になって、作った本人から言わせれば野暮ったかったなと思うのですが・・・。でも思い出に残る作品です」

●これは本というよりもポートフォリオという形で呼んだほうが宜しいのでしょうか。

「一応、本のばらした感じで二つ折りになっていて とじてあるか、あるいは文字がはいっているものが本ではないかと、これは版画集でもあるし今作っているものとは正確な気持ちとしては少し違うかなと」

●本(版画集)を作った動機はなんでしょう。

 「木口木版は版種の性格上歴史的に出版と密接な関係があります。木口木版は写真製版が出来る前に本のカットやイラストとか活版印刷に組み込んで図柄も一緒に印刷できる割合合理的な手法だったんです。書物との関係が密接にあるので同じ木口の先輩達も詩画集や画文集の仕事をしている人が一杯いらしたので自分もそれに習ったというか・・。やっている内に元々本を読むのが好きですから一点物として作る仕事も楽しいですし本は手にとって見るものですからね。
  ポリシーというのは大げさな言い方かもしれませんが、僕が一番いいたい事は、全部自分でやる事なんです。できる事はすべて自分でやってみようと思っています。この『大地と風のバラード』の文字はワープロを使って亜鉛凸版で刷っています。自分で原稿を書いて、版画は雁皮刷りで、カバーはイタリア製のラップ用紙から・・全部自分の家で出来るんです」

●これは何部ですか。一編に作られるのですか?

「99部です。値段は46,000円(消費税別)私は版画の値段を基準に値段を算出しています。一編には刷りません。外注は費用が掛かりすぎるし材料と版さえあれば受注生産で注文があってから作ります」

●木口木版を志した切っ掛けは・・。

 「それはね。僕は元々版画をやろうと思った時に銅版画とか板目木版の仕事をしよううと思っていたんです。でも何となくしっくりいかないなという思いがありまして・・。大学を卒業してから創形美術学校の版画研究科で木口に出会い柄澤さんに指導して頂ました。柄澤さんは私の先生なんです」

●一言で木口木版の魅力はなんでしょう。

 「まず版木の木目の美しさ、肌触りがいいし綺麗だし・・。材料の表面の美しさに惹かれて・・どうやって彫るかというとまず墨汁を黒く塗るんです。そうすると黒い宇宙ができる。 それまでは木口は他のキャンバスとかに比べて凄く小さく狭い世界に感じていました。でも版木をずっと見ているうちに奥行きを感じ始めたんです。奥深い世界が見えたんですよ。
黒く塗った版木をビュランで彫ると闇の中から光が浮き上がってくるというか絵なんか何も描いてないのに一本の線から光を感じたんです。ただ、線を引いただけなのにそれが快感というか。当時は版画をやりたくても将来の事を考えると不安の塊でした。その時木口で彫った一本の線が気障な言い方だけれど快感と希望の光に見えました。その時直感でこれは続けられると思ったんです。作っているものがいいとか悪いとか人の評価の問題ではなくてこの技法ならば自分も楽しんで一生続けられると・・衝撃的な出会いでした。
その後に柄澤さんや日和崎さんと『鑿の会』を作りましてその時の事は自分の中で本の魅力と手法の勉強になりました。
作り始めた頃は自分の本棚に自作の本を並べたいと思って・・・」

●並ぶといいものですか。

 「コレクション癖というか収集癖というか・・・ははは」

どうもありがとうございました。

お話をお聞きしていると、かなり本に拘ってらっしゃるのが解ります。あなも手にとってみたくなりました?・・・。


最新作『カナルの風に吹かれて」ed50 6点セット 80,000円 
2002年制作 26.6x21.2cm
詳しいお問い合わせ先は、シロタ画廊に。http://www.gaden.jp/shirota.html

栗田政裕 関連情報 2002.6

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