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新企画 『ホンとに本と。』
「アートと本」にまつわるお話を、様々な方々に。 内容はオサルス流! そのまんま載せるのが得意だからね。

6月の29日に渋谷のGALERIE ANDOで個展が終わったばかりの篠原猛史さんにお話をお聞きしました。

●今回の展覧会のメインタイトルは『濾過等価原理』ちょっと難しそうなので・・。
少し説明して頂けますか。

 「濾過されたものも濾過したものも全て同じであって、本質的に大事なこととかは本当は変わらないんだと、作品を通じて表現していきたいと思っています」

●篠原さんの作品は、悠久の時が感じられるような不思議な音が聞こえてきますね。

「一番最初は植物の種子から実を、ペインティングの中に直接塗りこめた作品を作っていました。ある時作品を眺めていると、とても静かな夜でしたが、描いてた種がコロコロと転がって落ちて・・・凛とした空間の中に、普段ならば聞き落とすような小さな種の音がもの凄く響いたのが切っ掛けです。27年位前から作り続けています」

●今回の作品は本の形をとられてますが。何か理由があるのでしょうか。

 「元々ベルギーやヨーロッパとか、自分が動いている時に一番身近にあるものが本なので、何処に行っても本は鞄の中に入っていて愛着があって・・・」

●どこに愛着を感じられますか。

「読みたい時に読めるというか邪魔にならない、常に何度も繰り返して読みたいものが側にあると凄くいいなと・・・」

●例えば何方の作品ですか。

 「一番好きなのはロートレアモンの『マルドロールの詩』です。自分の美術を志した切っ掛けになりました」

●え! それは・・・。

「自分自身の既成概念を打ち破って、新しいものを素直に受け入れるという気持ちが沸き起こってきたので・・・」

●原文で読まれるのと訳したものとは感じが違いますか。

「そうですね。僕自身もそんなに堪能ではないので厳密には解りませんが、原文だと、ある程度自分自身のイメージを付け加える事が出来るというか、読むたびに少しづつ違うんです」

●話を少し変えますが、作家を志そうと思われたのは・・・。

 「年齢的に解りませんが、幼稚園にいく前に耳を悪くしまして一年間きこえなかった時期がありまして・・・。ある日突然聞こえるようになってとても感動しました。凄く嬉しかったんです。
子供ながらに、
『これは何なのか』
とずっと考えていたんです。まあそういう事があって、ある日自分が祖父と祖母の家に預けられて、もう早く帰りたくなって泣いていると、居間に印象派の雪の絵が飾ってあり、見ていると段々悲しさが無くなって穏やかな気持ちになりました。
凄く不思議で・・一枚の絵から悲しみが救われるのは凄いなと・・・。大きくなったら自分が絵を描く事によって人を救えないかと・・幼稚園にいく前に画家になろうと思いました。
この両方の体験から視覚と音を通じて、人に作品を通して豊かな気持ちになってもらいたい。という気持ちになっていったんです」

●そうですか。変な質問ですが、美術家とは自分が認めるものなのか、世間が認めるものなのか。どちらだと思われますか。

「それは解らないですが、多分生まれた時からのもので、自分がこうして作り上げていこうと思うものでもなく、生まれた時からそういうものだと思います」

●作品の本のタイトルの『終わりよければすべてよし』とは・・。生き方の何かが?

 「小さい時から失敗が多かったり、すんなりいかない事がかなりありまして、大体自分の親の教育は『始めよければすべてよし』という考え方で、初めが肝心というか・・そうなると自分なんか最初から間違っていたり、道から外れていたりしだして僕の人生駄目なんだなと・・・」

- - - いや〜そんな・・それは私ですよ。

「それでずっとそういう生き方をしていた時に、学校の先生が『終わりよければすべてよし』という事を教えてくれまして、今まで紆余曲折しながら、かなりずれた所とか失敗もありましたが、自分自身が死ぬ間際ににこれでよかったんだと、ある程度納得がいくいき方をすればすべてよい・・。
そう言う事で、まあ少々の失敗はあっても最後死ぬ間際でなんとかすればいいし、できるだけ自分の思うように生きていかなければいけない。と思いました。そういう意味を込めて『終わりよければすべてよし』というタイトルをつけたんです」

●最後に一貫したテーマを教えて下さい。

 「自然との共存とか、循環するエネルギーをメインテーマに作品を作っています。一例をあげると、海岸で磁石を使って蹉跌を引き出して、引き出した蹉跌でドローイングして、ドローイングが終わった蹉跌を、今度はシルクスクリーンのインクの替わりに使って、雨の重力を利用して雨が版画を作ってくれる。
最近は酸性雨が多いので、酸性雨の為に茶色く変貌していくんです。その錆びた鉄の作品にアルミ粉を自分の手ですることによってアルミと鉄が合わさる訳です。
そこに火をつけるとパチパチとアルミ粉が燃えて燃え尽きると元の純度の高い鉄に還っていく。一番最初に拾った鉄に還す事が出来るんです。そういう事で自然の循環を表現しながら一つ一つ作品として見せていくんです」

●時間が掛かるお仕事でたいへんですね。

「好きだから仕方がないですね」

ありがとうございました。

今回ご紹介した作品の『終わりよければすべてよし』は残念ながら売れてしまいましたが、20年位の仕事を一冊にまとめた画集が出ています。


「消えた森 −Deforestation−」 定価5000円
お問い合わせは・・・
GALERE ANDO 東京都渋谷区松涛1-26-23
TEL03-5454-2015 Fax03-5454-2016

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