gaden presents - gallery / artist / dreamer / exhibition / network

『ホンとに本と。』「アートと本」にまつわるお話を、様々な方々に。 内容はオサルス流! そのまんま載せるのが得意だからね。

ホントに本と 斎藤真紀
斎藤真紀さんが柴田悦子画廊での三人展 ー絵と本で遊ぶー で 『 詩画集 “山手” [ドライポイント] 』 を制作。どんな本なのでしょうか。

●本を作るのは初めてなんですか。

 「初めてです。今回は柴田悦子画廊での三人展の為に制作しました」

●装丁からなにからご自分で?

「ええそうです。大変でした。中身は何とかなるだろうと思っていましたが、装丁に関しては中学校の時に授業でやったかなっていう感じだったんです。今まで『もの』とか作ってきましたので離れたものではないだろうと・・・。本を見ながらぶっつけ本番でやりましたが大変でした」

●全部で何部作るんですか?

 「10部です。あと10部(1部に作品は9枚)作らなければいけません。10部売れればという事です」

●金額は?

「5万円です」

●お父様が版画家ですよね。

「ええ 銅版画家の斎藤寿一です」

●平面も立体もオールマイティーに制作しておられますが一番拘っている部分は・・・。

 「一番のこだわりは絵を描く事です。僕の中では最初の立体も球面に絵を描いているものを詰めている形だったので丸々立体を作っていた訳ではないです。自分が絵を描いたものを立体的に見せよう、平面的に見せよう、版画にして見ようとそういう感じですね。自分の手で絵を描く事が基本にあります。この『山手』の版画集も具象ですよね。今まで具象のものは描いた事が無かったのですが楽しんで作りました」

●版画とタブローとは工程が違うから楽しい部分と大変な部分がありますよね。

「そうですね。ドライポイントのテクニックの部分ではありました。感覚的に判るようになるまでに時間が掛かったのと、ドライポイントは版の抵抗をうけますから線を綺麗に引こうと思っても引けなくてガリガリガリという感じの線になりますよね。
逆にそれを無視して綺麗に引こうと思えばできるんですが刷り上ったものがつまらなかったりする。そこの感覚が難しかったですね。平面はある程度線などは思い通りに描こうと思えば描けるじゃないですか、そこの違いが面白かったですね」

●柴田さんの話によるとお父様が版画家で版画を制作するのに躊躇(ちゅうちょ)している部分があると聞きましたが。

 「躊躇(ちゅうちょ)ではなくて、版画で何かをしようとする時に、自分なりの版表現が出来なければいけないなと、それで考えた時に他の人の版画の作品を見て、これ以上日本の版画のシーンでやれる事ってないんじゃないかなと。
例えばステラのように全く工房制作でいわゆるコラボレーションであれだけの事ができれば違うんじゃないかと思いますが、自分で彫って自分で刷ってでは限界があるような気がするし、かと言って工芸的にはなりたくないしという処でずっとやらなかったんです。
去年版画を作ったのが切っ掛けで版画を作っても自分の表現になるだろうと、ある意味自信になって素直に出来たかなと・・・。今、自分がやれば父親と違う味、違う表現が出来るだろうと。躊躇(ちゅうちょ)してた訳ではなく自分が用意できるまで待っていたという感じです」

●『山手』 の作品には詩がついてますが、描きながら詩は浮かぶんですか。

「詩は詩で詩を書こうと時間を作って机にむかって書かなければ出てこないですね」

●え! そうなんですか。描いている時にイメージが広がるのかと思っていました。

「絵を描いている時は絵の思考になっているというか絵と言葉の思考の回路は違うみたいです」

●詩はかなり前から?

 「本格的にきちっとしたものを書こうと思ったのは去年くらいからです。言葉というものにひっかかりがずっとあって、批評の言葉も含めて自分がきちんと言葉をもって話さなければいけない。
自分の作品を含めて自分が何をやりたいのかという事を人に伝わる言葉として論理的に話せなければいけない。 それの為の言葉作りというか言葉で思考してみようと、そういう機会がなければやらないので、詩を作ってみようかなと・・・それで言葉を鍛えてみようかなと・・・」

●詩人は誰がお好きなんですか。

「最近亡くなられた伊藤信吉さん。確か95か6才でお亡くなりになって、古い方で荻原朔太郎に師事していた方です。その方の最後の詩集で『老世紀界隈』という本を読みまして、気持ちよかったですね。自分が話しているような感覚で言葉のリズムを作っているような感じがしたんです」

●詩は型があるんじゃないですか。

 「日本の現代詩にはないかもしれないですよね。若い人だと自分の身の回りの事をあけすけに書いちゃうみたいな・・・。唯、自分に正直に書いてればいいんじゃないかと、テクニック云々よりも自分自身がそのまま表現できるというか、そういう言葉使い、リズム、抑揚が出てくれば詩になるんじゃないかと思うんですよ。文体は絵でも同じでその人の身体的なリズムだと思います」

●ご自身の中のベースとしている部分ははなんですか。

「自分なんだろうと・・・。いわゆる僕の内の生理的なリズムそういう部分なんだろうなと、自分の身体を探っていくとその内にはミクロコスモスという宇宙がある。その内を探っていきたいと思います」

●今はご職業は作家ですよね。作品は売れますか。

 「売れないですね。職業ってなんでしょうね。多分職業ってそれでお金が稼げるからとかじゃなくって自分がそれに一番時間を費やして打ち込める。それで自分の一生をかけてもいいよと思えるような事が多分職業といえるんじゃないかなって。
それでお金を稼げるか稼げないかは二次的な事のような気がします。僕の持っている生きている時間の多くの部分をそこに費やしても 『 いいよ。』 と言えるものなんじゃないかな。ですから作家、絵描きはそういうものだと思っています」

ここまで景気が悪くなってくると逆に作家の真価がより明確にわかる時代になって来た様に思います。
作家は生き方。お金が無くてもキリッとしていたい。唯、オサルスは言っている事がコロコロ変わるのでやはり作家には向かないな。道は険しそう。

斎藤さんは次回は詩集に挑戦。
私は意識して詩(の本)を読んだ事がないけれど楽しみにしています。どうもありがとうございました。

画集のお問い合わせは・・・

柴田悦子画廊 まで
TEL&FAX 03-3563-1660
東京都中央区銀座1-5-1第3太陽ビル2F
http://www.shibataetsuko.com/

「ホンとに本と。」TOPへ/RETURN / オサルスインタビューの一覧はこちら


gaden presents
- g
allery / artist / dreamer / exhibition / network