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携帯オサルスのおすすめランチ ランチdeチュその79

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 2002年10月7日に山本麻友香さんの個展を見た時の第一印象は作品が変わったな・・・。でした。何がと問われれば存在感かな。今までの版画の作品が希薄と言う訳ではなく。何ていえばいいのか・・・視線がより深い深淵を見定めているような気がしたんです。

2000年の個展の折りインタビューで
『油絵は好きなんだけど、初めて車を運転したみたいにふらふらしてオットトて感じなんです』
と言っていた山本さん。お子さんが生まれた事が契機になったのかな。
兎に角お会いして話を聞いて見たくて・・・。唯、彼女は北関東に住んでいるので殆ど東京には来ないらしく・・・丁度ご主人の個展があるのでそこでキャッチ。お子さん連れなのでランチをゆっくり食べている時間はないので今日はアイスクリームを食べながらお話をお聞きしました。

 場所は銀座の某所、お店に断っていないので名前は伏せます。でも童話に出てくるお菓子の家のように可愛いでしょ。

●前回の個展は以前と違うイメージを受けましたが心境の変化でも?
「子供が生まれてホルモンのバランスの関係かどうか判りませんが、子供の事しか考えられなくなって、今から思うと不思議なんだけれど・・・普通の哺乳類が子供を産んでする行動と同じような事をしていたんです。後から考えると巣づくり行動とかしてるんですよ。凄く大きいお腹をしているのに大掃除を始めたり・・・」

ご主人・・・家を破壊したもんな〜。

「家を破棄する位の掃除の仕方で・・・(笑)」

・・・え! 何で?

「生まれる一ヶ月前位から巣づくり行動が始まって、そういうものに支配されているのが判って・・・じたばたしてもしょうがないって・・・諦めではないけれど・・・それで作品を作らなきゃならないから・・・今までは自分に正直にやろうと思ってたのですが、結局自分がはっきりしなくなっちゃったんです」

・・・曖昧になった。

 「曖昧では無くて開き直って、その時に出来る作品、自分が興味があって面白いと思うもので作品を作っていけばいいやと・・・。前の作品の流れとか繋がりではなくて・・・でも多分私が死ぬ時に振り返って見れば繋がってたりするんだろうけど・・・その時に面白い事をやっていこうと心を決めて作った作品なんです」

・・・でも、何故画面が暗くなったの?

「あまりはっきり自覚している訳ではないけれど、子供が出来てから子供の事を考えるというよりは自分の幼年期・・・私と母との関係とかがクローズアップされてきたのもあるし、傷があるようなちょっと暗い感じの作品になったので・・・別に虐待とかを受けている幼年期ではなかったんですが・・・」

・・・ん〜。虐待とかは感じないけど、人の持っている原初的な怖さは感じたかな。上手く言葉に出来ないや。

「私はこんな明るい所では言い難いけれど・・・性的な要素が多く占めているんだと思います。エロチシズムと言っていいのかな・・・それがかなり重要なウェイトを占めています」

・・・意識して作ったんですか。

「はっきりと言葉にして作ろうと思って作った訳ではなく、作りながら、又は作った後に・・・私はこういう事を作りたかったんだな・・・と、いう感じかな」

・・・そうですか。タブローは以前から描いていたんですか。

「大学の時は油絵科だったんですが、油絵と言う素材が手足のように動く訳ではなかったので扱い辛かったんです。自分にはあわないと大学の四年間で結論づけてしまって」

お待ちどうさまでした。

こちらは一階でジェラートを選んで二階で食べる事ができるんです。今日は子供づれなので親切にお店の方が運んでくれて・・・。

ブラウニーパフェ(450円)・・・『ブラウニーと濃厚なチョコのジェラートがたまらない味』と書いてあったので注文。チョコのジェラートは美味しいんだけれどブラウニーがパサパサしていて飲み物がないと少し辛いかも。

山本さんのご主人はチョコ好きだとか・・・。

如何ですか?・・・

『唾液が出ずらいです。』

・・・アイスは美味しいのにね。

・・・でも。前回の個展の作品凄くよかったと思いますよ。

「私もそう思います。でも結構悪評でしたね。暗い時代だから暗い絵を描いているけど、子供の明るい将来を考えて明るい絵を描いてもらいたいものだという批評をもらって悲しかったですね」

ご主人・・・逆に深読みされてしまうと困るなというのがありました。虐待とか社会問題と直接に関わって描いてる訳ではないので・・・。

 「丁度虐待がニュースで取り上げられたりして、勘違いされたらどうしようと不安でした。それに自動車から目にテープされて放り出された事件があったじゃないですか。個展する直前にその事件があって・・・しまったなと思いました。こういう時代だから関連づけして見る人がいるに違いないと・・・まあ、しょうがないけどね」

・・・オサルスは社会をそういう感じで意識して制作するのは好きじゃないから・・・絵を見た時にそういう風には思いませんでした。逆にこれからの展開が楽しみなような・・・。子供を描くと可愛らしくとか明るいとか未来をとかいう言葉がどうもね・・・子供は人の原存在みたいなものでしょ。柔らかいとか暖かいとかいう母性ではなくすべてを包括した母性がないと描けないように思うけどね。

「でも、母性本能があってそれを表にだそうとは思ってないんです。ハッキリこれこれこうだからこういう作品を提示したというものはないんです。モヤモヤした判らないものをそのまんま出しているだけです。唯、人は明るい絵を求めるのかもしれないですね」

・・・良くは言われなかったのね。

「それは判ってたんですが、確かに暗い絵は買いたくないかもしれませんね。でも最後にアメリカのコレクターが大きい作品を買ってくれてホッとしました」

・・・個展は何回ですか。各時代でステップアップしてきましたか?

「7回です。ステップアップしたというよりその時代その時代で・・・ん〜。何ていうのかな・・ギューとジュースを絞っていって段々自分が絞り粕になっていく・・・点々・・とジュースが絞られていくように・・・70歳位になって自分の粕だけになるそんな未来になったらいいなと・・・」

・・・古いけど『明日のジョー』のように真っ白な灰になるんだみたいな・・・。

「ハハハハ・・・。自分と言うより残ったものがあれば・・・」

・・・自分の名前よりも作品が光を放てばいいという事でしょうね。

●ちょっと遅ればせながら絵を描きはじめる切っ掛けはなんですか。

 「父親が出版社をやっていて普通の家より家の中に本が溢れ返っていたんです。画集も百科事典も少年少女が読む偉人伝も数多くあってその中にレオナルド・ダ・ビンチとかゴッホの一生とかもありました。
私が好きだったのは『ゴッホの一生』黄色いカバーのこの位の大きさで・・・。子供だから判らないんですが絵が好きというよりも、その時にゴッホの一生に魅入られてしまったんです。
耳を切って、その耳がミイラのように発する匂いに・・・丁度その頃エジプトのミイラみたいなものが好きで、子供なのに懐かしさを覚えるものがあって・・・それと多分共通する匂いがあったんですよ。
ゴッホの耳の匂いが好き(笑)・・・。
ハッキリとしないから多分ですよ。私もゴッホのようになって精神病院に行って37歳で自殺するようなかっこいい人生に憧れるとか思ってしまって・・・。それからゴッホみたいな絵を真似して描いたんです。
ゴッホの絵が好きではなくて本の内容に魅入られてしまって、それで変わった絵を描くから先生に誉められて・・・『私って凄いんじゃな〜い』とか思って・・・そのまんまイッチャッタんです」

●では何故絵を描くんですか?
「多分いい作品が出来た時にドーパミンが出ると思うですよね。快感じゃないですか。描かないと出ないんです。もう一回 いい気持ちに成りたいからだから描くんです」

・・・それは判るかもしれない。これはいい作品だと思った時は見る側も出るんじゃないかな。お互いが出た時にいい接点があるのかもしれない。

「薬中に似てるのかなと冗談じゃなく思います」

どうもありがとうございました。

最後にこれからの作品はと聞くと・・・

 「冗談のふりかけを掛けるような作品を作れたらと思っています。ふりかけを掛けるというと最後になっちゃいますか?」

そんな事ないんじゃないふりかけは何度かけても美味しいよ。

「私はもっと喜劇的な要素が含まれているのが理想なんです」

でもオサルスはもっとカタストロフに挑戦してもらいたいような・・・だって喜劇と悲劇は裏表じゃない。両方あった展開を期待したいような気分があるけれど・・・な。

山本麻友香 関連情報
2003.1 2002.10  2000.7 2000.7_b 1998.3

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