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携帯オサルスのおすすめランチ ランチdeチュその80

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ステーキ丼 1500円

LINTARO 
東京都中央区銀座5-9-15 あづま通り 銀座 清月堂BLDG 地下1-2階
TEL 03-3571-2037
ランチタイム 11:30-16:00

「この作品は左と右で対になるんです。真中に大日如来がいて、左に文殊菩薩、右に普賢菩薩がいるんです。普通文殊は獅子に乗っていて、普賢は象に乗っている。仏画ではこのように大日如来を中心にして対で描いてあるものがあります」

・・・ん〜。獅子と象ですか。では、この作品は描がかれてはいないけれど大日如来をイメージして描いたのですか?
「そういう訳ではありません。唯、対比させるものとして、今、山形の大学で教えているので移動が凄く多いんです。色々な風景を見て・・・」

・・・それで色々な風景を見ていると何故この作品に?
「右が月山で左が妙義山のイメージがあるんです。妙義を見ながら考えたんです」

・・・この裏側の屏風の作品は?以前から龍のような鱗を描いてらっしゃいましたよね。そのイメージはなんでしょう?

「今、埼玉に住んでいるんですが、周りに木が一杯生えている所で描いているから・・・水のイメージがあります」

・・・エスキースがあって描くのですか?

「簡単なメモをして、あとはそのまんま木炭で描きます。別の場所で考えて描ける時もあるんですが大抵は画面を見ないと駄目ですね。結局その場で描き直してしまいます。この作品は学校の廊下で描いてたんですよ。廊下だから色々な人が歩いているから、そこで『ん! こうだ』って思って描こうとすると人が来るから意識が途切れて・・・」

・・・通行止めをしたら。

「そんなに嫌じゃないんですが、待ってくれる人がいると気になって、それに描いている時は怖い顔をしてしまうんで、一生懸命笑顔を作りながら描いてるんです(笑)」

何ですか。このビッシという音は?

「画面が板なのでちょっとした振動で鳴るんです。今、出来たてだから鳴り時なんですよ」

・・・妙義と月山のイメージとこのビッシとした音はあいますね。月山と妙義は信仰の対象だからやはり大日如来や菩薩とつながりますね。

「そういう意味で描いた訳ではないけれど、僕は絵を描く事自体が割とそれに近い所があるような気がするんです」

・・・なるほど・・・大日如来を“宇宙の根源”として存在するものと考えると、岡村さんの作品が朧気ながら見え始めたような気がしました。


前置きが長くなりましたが今日は岡村桂三郎さんとご一緒の『ランチdeチユ』、お薦めは、今、個展開催中のコバヤシ画廊オーナーの小林ひとみさんです。場所は銀座あずま通りにあるレストランLINTARO。建築家の柿沼守利氏の設計の空間は天井がとても高くてゴ〜ジャスの一言。壁の絵はフランチェスかの模写をイタリアから取り寄せたもの・・・椅子一客・・ン十万、カーテンもン百万円するとか。ヒエ〜。

料理も旬の野菜をふんだんに使ってあるらしいので楽しみ楽しみ。
紹介者がいなければ、オサルスは断れてたな〜。きっと・・・。

●突然ですが、何故日本画なんですか?

  「小学生の頃見たんですが、福田平八郎の作品を鮮明に覚えているんです」

・・・その当時は前田青邨、安田靫彦、堅山南風・・・などが活躍していて、大観は亡くなってましたよね。都美館が昔の建物で威厳に充ちていた頃ですね。
「大観は僕が生まれる前に亡くなりました。川端龍子記念館が自分の家の側にあったので中学校の頃に行った思い出があります」

・・・オサルスも当時は子供心に日本画には凄い作家がいるんだなと思いました。・・・。でも、当時も今も同じ画材を使っているのに何故絵が変わってきたんでしょうね。日本画は絵の具の使い方が難しいからなのか?画材に振り回されているような気がしてならないんですが。

「おおきいですね。僕もそうですが・・・日本画家は大抵画材の話で盛り上がりますよね。僕も日本画の材料は凄く好きなので重要だとは思っています。
  日本画の材料は予備校で初めて使ったんですが・・・日本画を描きたいと思った段階で身の回りには日本画の材料は殆どないでしょ。最初に絵具屋に入った時は凄いな〜て、おじいさんが秤で一量目づつ入れてくれて・・・何かいいな〜と思いました」

・・・でも、絵具やさんで絵の具を見ると凄く綺麗だし、昔の作家・・例えば山口蓬春とか鏑木清方なんか凄く綺麗に絵の具を使ってますよね。でもある時期からどうして画面であんなに色が濁る感じになったんでしょう。

「まあ、それがいい悪いではなくて色々な方法があると思います。
僕は女子美の橋本信(雅号 弘安 
http://www.asahi-net.or.jp/~yv9k-hsmt/ )さんに岩絵の具の作り方を教えてもらって自分で作っています。僕は緑青や群青を綺麗に作るのではなく、そこにある天然の石の色を砕いて絵の具を作るんです。
そうすると単純に絵の具やさんに並んでいる名前のある絵の具の概念を超えて・・・というか僕は表現を中心に考えているので・・・素材に対する考え方は単に絵の具としての色ではないし、概念としての色でも無くて・・・そこに落ちていた色を画面につけるというのかな・・・」

 お待たせしました。
ステーキ丼(中さん作の野菜サラダとコーヒーセット 1500円)とドリアです。

ステーキ丼を食べるのなんて何年ぶりかな? 上に乗ったこの赤いのはパプリカですか? 『中さん作』の野菜サラダのネーミングが有機栽培を思わせて体に安心して食べられそう。あ! これ春菊ですよ。生で食べたのは初めて。丼の中にも野菜がたっぷりで、U 美味い。肉と野菜のハーモニーがGOOD、唯、ちょっとタレの味が濃いかも。文句言ってる訳じゃないけど・・・ね。

ドリアはどうですか?

「美味しいです」

・・・済みません。話が途切れてしまって・・・。でも、凄く納得できる気がします。絵の具を自分で作るという発想は考えつかなかったな〜。
  ちょっと話を変えますが、以前の岡村さんの展覧会のタイトル『精霊崇拝』、『純粋と越境』などを見ると、プリミティブなものを形にしているような・・・それが龍であったり・・・。

「アメリカには五島記念文化財団研修員としてニューヨークに行ったんですが、帰ってきてから風土や土地、気候とかが絵を描く上で重要なんだと響いたんですよ」

・・・どうして?

 「その前から所謂(いわゆる)仏教的なテーマがあったり・・・日本画なので元々仏画や何かを身近に沢山見てはいました。僕自身もわりと好きで画面についている絵の具の感じとか絵柄とか、そういうものからヒントを得て制作していていたんです。
でも、アメリカに行って砂漠の地帯をずっと何日も旅をしていると、最初行けども行けども何にも無い砂漠だと思っていたんですが、途中で『ダンス イズ ウルブス』とかの映画の舞台がある場所があって、そこでネイティブアメリカンのインディアンの事を考えた途端に風景がガラっと・・・見え方が全然変わってしまったんです。
それまでは景色を観光客の目で見ていたから・・・一瞬風景の見え方が変わってその場で生きている人間の感覚に変わると、砂漠地帯でもある意味では自然の恵みに溢れていて人はその恵みで生きているんだと。今、最近よく言われているからこの話は言いたくないので、かいつまんで言いますが・・・ずっと何千年も宗教みたいなものがあって、その近い所に美術があったような気がしたんです。
そこから景色の見え方というか、自分の生きている場がとても重要なんだと気づかされて大気の循環を考えはじめました。アメリカから帰って来て、荒川の花火大会の時ボーと木を眺めていると、その木が地面の中から水分と養分を吸収してそれが枝葉に行き渡って空に上昇していく・・・養分や水分を吸った管の蒸発させる場所が樹で、そこから空に龍が出てくるんじゃないかと・・・龍を描いているときは大気が循環している感じを象徴させる意味があってそれで鱗を描いているんです」

小林:三木成夫さんも宇宙の成り立ちとして螺旋の構造を上げてますね。


「三木先生には、多分大学時代に習ってましたから・・・」

・・・地球規模の生命の成り立ちを意識して描いてるんですね。

「しばらくそういったものとして図像化していく感じはありました。そこで植物のフォルムをずっと描いていて・・・」

・・・ちょっと整理をしますと94-95年にアメリカに行かれて、成果発表展として佐賀町エキジビット(1998年 五島記念文化賞・美術新人賞研修帰国記念展) で展覧会をされたんですね。では、その以前はどうだったんですか?

「どちらかと言えばその頃は色と形とか日本画についてどう思うかとかそういう事が中心に凄くあったような気がします」

・・・93年に『日本画を超えて』を都美館で見ましたが、その頃はニューウェイブ的な取り合げ方でしたよね。私の中ではその時点が今までの日本画との分かれ道だったような気はしたんですが、嫌な言い方をするとあの時のあの展覧会ではニューウウェイブとして突き抜けては感じられなかったんです。でも今回の個展ではスケール感があっていいなと初めて納得できたように・・・済みません。

 「アメリカに行って、その後植物や何かの図像化を続けていました。佐賀町エキジビットはその頃の仕事だと思います。
最近僕は都会に出る事が殆ど無くて、田舎にあるアトリエと山形の大学との往復なんです。アトリエも山形も凄い大自然の中にあるので、その中を行き来していると、
『ここでいったい何を足したらいいのだろう』
という気がフッとしてきたんです。
それを図像化する作業以外に
『この中で僕は何を作ればいいのだろう』
と思うようになって、今までは作品に穴を開けて、作品の薄さを強調させたかった部分があるんですが、形態的にも屏風を逆に置くようにしてみたくなっていって・・・。
作品の薄さとかそういう事よりももっと在るというか存在・・物体にしてみたいなって、それで穴をあけるのも止めてテーマも大気の循環とも繋がっているけれども、個としてちゃんとある動物を取り上げてみようと。
今までは癒し系だったのを、アグレッシブなものに変更してみたくなって・・・。最近厭世的になっていて凄く癒し系にはまっている自分が段々嫌になってきたんです。もういつまでも癒し系でやっていてもしょうがないんじゃないかという気がしてきて・・・このままでは駄目だと。
特に今回はそれがあります」

・・・判るような気がします。

小林:「なんかつき破ってますよね。今回は画廊を覆い尽くしてしまうぐらいの感じでお願いしたんです」

・・・月山と妙義ははまりますね。

小林:「月山は女性を妙義山はゴツゴツしていて男性をイメージするでしょ。余計にバランスがいいんじゃないですか」

●変な質問ですが、日本画商さんと現代美術の画商さんとどちらがやり易いですか。

 「日本画の画商さんの時にはこんな絵だから売れないから申し訳ないなという気持ちがあって、申し訳ない事しているなと思いながら描いている部分があります。
小林さんは逆なんです。最初遠慮がちに・・・最初は作品の量を少なくしてスッキと見せればいいかなと思っていた所があったんですが、小林さんは、
『もっとやんなさいよ』
とハッパをかけてくれて、後ろから後押されながら展覧会をやった部分がありますね」

 小林:「私が持っている岡村さんのイメージは何か蠢いているもの・・・。何か異様な生命体が蠢いているそういう印象が凄く強くて・・・惹きつけられました。内の画廊の空間で何か生命の蠢きがあればと・・・岡村さんの作品のスケール感で目一杯やって欲しかったんです。
日本の作家は比較的空間の制約があってスケール感がコジンマリしてしまうケースがおおいでしょ。ヨーロッパのドクメンタに行くとキーファーなんか6m-10mでやっているじゃないですか。
凄いスケールですよ。圧倒されるスケールの中に包み込まれる強さ。もっているフィールドの大きさ・・・岡村さんはそういうスケールですべきだと感じて・・・だから今回の展覧会は壁を出さないでいこうと。
うちの画廊は地下だから閉じられた空間・・・地下の空間は何か潜んでる感じがありますよね。岡村さんの持っている作品のイメージと地下の湿度感がピッタときたと思います。岡村さんは日本画の中だけでは括られない作家だから面白い作家が出てきたなと思っています」

・・・もう日本画を超えてもいい時期ですよね。

「素材は日本画だけれど、描きたいもの・・・表現したいのは自分の世界観だから」

●最後に何故絵を描くんですか?

 「基本的には普通に農家の人が田んぼを耕したり、八百屋さんが野菜を売ったり、家具やさんが家具を作ったりとか・・・その位の感じでものを作りたいなと思っています。営みとしてものを作りたいな〜と。でも絵を描くのはそれだけではないんで、色々考えなければならない事があるし考えるのが仕事だから・・。でも基本的にはもっと自然に絵を描けたらなといつも思っているんです」

・・・息をするみたいにですか?

「そういう風になれたらいいな〜と思いながら今は苦しみながら描いていますけど(笑)」

どうもありがとうございました。

お話をお聞きしているだけで展覧会は大変だなと・・・。
作家も画商も一体になっていいものを作るんだという気迫がないと、やはり出来ないんですよね。
小林さんが以前、
『今はもうこの仕事が自分のライフワークみたいなものだから・・・展覧会は大好きです。』
と、言っていたのを思い出しました。やっぱり元気じゃないと壁は越えられないよね。ホンとにもういいかげん癒し系になるのは止めてガッツだして行っちゃいましょう。と言ってオサルスが後ろを振り返えったら誰もいなかったりして・・・ん〜。世界情勢から言っても、日本もaggressiveにならなきゃ!!

岡村桂三郎展 2003年2月17日〜3月1日
 
  コバヤシ画廊企画室
東京都中央区銀座3-8-12 ヤマトビルB1
03-3561-0515

東北芸術工科大学 芸術学部 美術科
日本画コース 卒業/修了制作 東京展
2003年2月26日(水)〜3月2日(日)

板橋区立成増アートギャラリー
東武東上線成増駅(北口)下車徒歩1分
地下鉄有楽町営団成増駅(5番出口)下車徒歩3分
平日9時〜19時 土・日9時〜17時

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