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携帯オサルスのおすすめランチ ランチdeチュその87

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担々湯麺 1400円

銀座 太湖飯店 
東京都中央区銀座8-3-11
TEL 03-3571-2108  定休日 日曜・祭日

・・・なぜ今回、SHISEIDO GALLERY キューレイター 樋口昌樹さんにランチを御付きあい頂いたかというと、去年の life/art 02 (今村源、金沢健一、中村政人、須田悦弘、田中信行の5人展 資生堂ギャラリー)を拝見して、展示自体はよく判らなかったのだけれど、樋口さんが書かれた
「理念と現実―家をめぐる対話」(注:中村の「家」をめぐる作家同士の攻防戦?)
を読んで凄く面白かったからなんです。見る側の興味は理念よりも現実の方だなという気がして・・・。私は勉強不足で判らないのですが、今までもああいう形で展覧会を紹介されているんでしょうか?

 「今までグループショーと個展を手がけていますが、グループショーの場合は複数の作家がいると当然作家の数だけそれぞれの考え方があってキュレーターとしてそれをまとめていかなければいけないという作業があるじゃないですか。
特に内のスペースの場合はギャラリーですから大きさに限りがありますので、そこでグループショーをやるという事は、当然同じスペースに複数の作家の作品を併置する訳ですよね。美術館でやる場合は個展の積み重ね形式・・・例えば五人の作家の展覧会の場合は五つのブースを作って個展が五個あるような形ですよ。
それを批判する積りは無いですが、内の場合は同じ空間をシェア−しなければいけないのでそういう形はスペース的に不可能なんです。だから それぞれの作家の考え方をすり合わせていかないと展覧会としてはバラバラになってしまう。
一人の作家だけを優遇するのも可笑しいし、五人がイコールでなければいけないし、だから話し合いは何度もやります。その課程で全員が納得するものを作っていくと・・・」

・・・逆に美術館の個々のブースと違ってお互いが凄く戦ってますよね。

「ありますね。あの展覧会は中村政人の家がドカント出てきて、他の作家はそれに対して当然距離がありますよね。それをどう皆で取り組めるものにしていくかという中で何度も話し合いを重ねてますし、作品のプランを変更してもらったりもしてます・・・それはグループショーの醍醐味でもあるけれど、その中から何かが見えてくればいいなというのはあるんですよね」

・・・前回が二回目ですか。

「そうです。来年早々に三回目をやります。基本は五回のシリーズと考えてます」

お待たせしました。

おっと! 今日のランチの紹介を忘れてました。
『銀座 太湖飯店』 こちらは 1957年創業で、本格的な広東料理の店。

 『新橋に近いせいか昔は夕方になると芸者さんも通りを行き来していたんですよ』 と、マネージャーの千葉さん。

ランチの値段は普通1400円から、でも週代わりで1000円で食べれる特点あり。実はここもギャラリー廣田美術の廣田登支彦さんのお薦め。
特に担々湯麺 1400円(ランチタイム:小饅頭またはゼリー付)がGOODらしい。 ネットで調べたら星4つ。
確かに美味しいです。挽肉、刻みネギ、チンゲンサイが入り、スープの色をみると唐辛子がベースのオレンジ色、ごま油の匂いが仄かにして一見辛そうだけれど酷があって美味。味も上品。

しかしインターネットって凄いね。坦々湯麺で検索すると世の中には坦々湯麺を調べ尽くしている人がいるんだもんね。いや〜マイッタ。

・・・所で83年に入社されて92年に企業文化部に配属されて・・・。

「会社に入った時は一般職で化粧品の営業もやりましたし、人事異動で今のポストに来ました。大学でも美術を専攻していた訳ではないですし・・・何でご存知だか判りませんが?」

・・・いや〜。ネットで調べました。済みません。人事異動でこのポストに来られたという事は、ある日突然美術に触れられたんでしょうか。

 「元々興味はありましたけど、専門に勉強した訳ではないし最初は訳判らなかったんですよ。一般的に現代美術は判らないと言われますけど、まさにその通りで自分の中でこれは何なんだと、こういうのが美術と呼ばれていいのかという所から出発してますから。
そういう意味では学芸員の人達・・・大学で美術を専攻してずっと学んでいる人達とは歩んでる道は違います。だから常にいい意味で自分の中でそういう素人臭さみたいなものを失わずにいたいなと思うんです」

・・・私も現代美術には戸惑いがあるんですが、どうやって眼を鍛えたんですか?

「最初は見る事、画廊や美術館の展覧会や近・現代美術史などの本を読んだり・・・兎に角現代美術と言われるものを出来るだけ見て、その中で自分に引っ掛かってくるものをピックアップしてきました。ん〜。実物を見てきて二三年経ったくらいですかね。判るかなって気になったのは・・・」

・・・自分に引っ掛かってくるものとは具体的な言葉にするとどういう。

「まだ自分としては的確な言葉では表現できませんが、仕事で作家と直接話す機会がありますから、作家が何をしたいのかという事が少しずつ見えてきたという事と。それとよく言われている事ですけども、まあ、現代の美術は前衛的なものですよね。
時代は後から追いついて来る訳じゃないですか。美術の歴史がすべて実証している訳で、印象派だって当時は徹底的に貶された訳ですよね。それが何十年か経つ間に時代の潮流を形ずくっていった。結局理解できるのは後世の問題だと思ってるんです。
現代美術を本当に同時代の人間が100%理解するなんてありえないし・・・ あったらチョット不気味だと思うんですよ。だから僕らは時代の反芻者としてそれが少しでも伝わっていくような仕組み作り・・・それは展覧会の形であってもいいし評論とかのテキストの形でもいい。
最近の流行で言えばワークショップでもいいと思うんです。だから理解できないものがあるという事をまず認めるというか理解するというか」

・・・なるほど。

 「それで理解できないという事とは何かを自分なりに考えたんですよ。よく言われる事ですが、『具象は判るけれど抽象は判らないよ。』と、いう人がいますが、それは実は具象も判ってないんです。
本当に判っていれば具象も抽象も関係ないんですよね。美術という形式の中の表現が判ってくればね。パット具象は判るんだけど、抽象は判らない。
コンセプチュアルなものは判らないというのは結局はどっちも判ってない。美術というのはそういうものじゃないというのが、見初めて二三年経った頃に気がついたんです」

・・・美術とは感じるものですもんね。唯、感じ方が人によってそれぞれだから手探りで探っていく部分はあると思うんです。少し話を変えますが、以前大巻伸嗣さんのカタログを拝見したんですが、ADSPで資生堂に作ってもらったと聞いたんですが?
注: 「ADSP」(Art Documents Support Program by Shiseido) は、今後さらなる飛躍が期待される作家の支援を目的として、国内で開催される展覧会の中から毎年2回優れたものを選び、カタログを制作するプログラムです。

「もう三年位になります。僕が会社に提案して企画として動き出してやっているんですが、毎回70-80件応募がきますけど、知らない作家が一杯いる訳ですよ。なかには結構これ面白いなと思うようなものもあるんです。
年二回で10件ですから倍率としては15-6倍になります。かなりの難関ですよ。でもたとえADSPでサポートできなかったものでも結構気に掛かっているものは時間があれば出来るだけ見るようにはしています。
ADSPを始めた切っ掛けは、残すべきものは拾っていきたいというのがあって・・・中々記録として残らないじゃないですか」

・・・gaden.comも最初は展覧会の記録をネットに残そうと思って始めたんです。私はインターネットは基本的には無料で人の役に立つものとして考えてます。自己満足かもしれませんが・・・。
所で持ち込みも多いと思いますが、もし、オサルスが写真展をしたいと、これはあくまでも仮定ですが、資料は何を揃えれば・・・まずコンセプトがいりますよね。

「企画意図が判るものと、作家と作品の資料があれば・・・」

・・・選考はしてもらえるんでしょうか。ご希望にそえない場合の方が・・・。

「自薦他薦の持込が多いので・・・まあ! ご希望にそえない場合は圧倒的に多いですね。企画は年6回なので、ある程度そこで水準が決められてしまうので・・・」

・・・そりゃそうでしょうね。
ところで資生堂ではwebアート CyGnet(シグネット)というアートスペース http://www.shiseido.co.jp/s9808cyg/html/..
を98年からを開設されてもう五年経ちますが如何ですか?

「あれは難しいですね。まずフラッシュがないと見れないし、今ADSLが普及したので大分環境は良くなっていますが、もうダイアルアップじゃ、もの凄く重いので見えないでしょうね。
僕は正直ネットは情報ツールであって作品のメディアというかメディウムになるのはまだまだ難しいと思っています」

・・・ネットはデータ−ベースに尽きますよね。見る側が見ようとしないでしょう。で、今までずっと資生堂にお勤めの樋口さんとしてお話をお聞きしてきましたが、個人としてご自身の生き方のベースになっている考え方とはどういうものですか?

 「 僕は今まで細々ですが、バンドをやってきて・・・」

・・・え! ボーカルですか?

「そうです。職業を全く抜きにすればバンドをやっているのが一番楽しいですね」

・・・ジャンルは?

「ロックです」

・・・どういうバンドが好きなんですか?

「ローリングストーンズとかリズム&ブルース系ですかね」

・・・コンサートもなさるんですか?

「今の連中と途中ボコボコブランクがありますが、もう15年位やってます。コンサートは何年かにいっぺん位ですがやりますよ」

・・・音楽は心を揺さぶられる部分がありますよね。

 「LIVEの力だと思うんです。僕はインスタレーションという表現は美術のLIVE化だと思ってるんですよ。バンドの面白さはコラボレーションなんですよね。
絵を描くのは一から十まで自分で、出来上がった作品は自分を離れて客観視されたものになっているじゃないですか、音楽は演奏している時イコール本番な訳だし、何人かのメンバーがそれぞれの考え方が微妙に違いますし、その中でこう一つのものを作り上げていく面白さがあるんですよ」

・・・作詞と作曲もされるんですか。

「します。楽しいですよ。逆に言うと僕は美術の仕事をしていて、自分で作品を制作する訳ではないですので細かい技法の話は判らないんです。実際にやってないから知識で知っているだけでやはり判らない。それは音楽も同じでやって無い人とは決定的な違いがあると思うんです」

・・・うん。うん。

「 僕自身は美術は仕事として距離感としてはいいなと思っています。音楽で自分が演奏して食っていく事ができればベストですが、それはね〜。まず不可能だし、かといってプロデュ−サーとかプロモーターとかを飯の種にしていこうとは思わない。
何故かというと音楽は自分がやるものだから。僕は音楽により密接すぎて人の世話をする気なんかなれないし、多分世話をすれば嫉妬しちゃいますよ。だから美術は距離感としてはいいんです。唯、やっているものは違ったとしても、作り手の表現欲求は判るし、根底に流れている表現は同じようなものがあるじゃないですか。そんな感じがしてますね」

・・・最後によく作家の方にもし作家に無らなかったらという質問をするんですが、同じ質問をしてもいいでしょうか。

「僕の場合は難しい所があって、これを職業にしたいと思って成った訳じゃなく、ある日突然命じられて訳 が判らないままやって、やっている内に面白くなってきて今はずっとこの職業をし続けたいと思っていますが、成ってなかったらという仮定は想像しがたいですね」

・・・企業文化部ではなく他の部署に行かれても音楽は続けてかれますよね。では美術はどうですか。

 「今のこのポストに来る前にザ・ギンザのブティックでバイヤーをしていたんです。当時はバイヤーを一生の仕事にしていこうと思っていたので、この仕事に変わる時は結構ショックで色々な人に相談したりして悩んだんですよ。
未だに職業を割り切って考えるならばバイヤーの方が多分仕事としては面白いですね。結果が明らかだし、よく営業をやっている人は数字が大変だという言い方をしますよね。実際売上を作るのは大変だしね。
だから今のポストに移った時に社内の人から『おまえなんか、数字も無くて気楽そうでいいな。』と、言われましたが・・・確かに数字が無いという事は評価する明確な機軸がない訳です。
展覧会をしてある人はいいと言っても又逆の意見もある。常にそれが在り続ける訳です。そういう意味では数字というのは極めてクリアーな世界です。バイヤーも営業とは違うけれどやはり数字は必ずある訳ですし付きまといます。 だから職業としてある程度割り切れればバイヤーの方が面白い仕事だと今でも思うんですよ。
だけどアートは職業化しにくいというか。一定の軸がないですから職業としては難しい。唯、職業的な事じゃ無く、個人としての面白みとして言えばこれほど面白い事はないです。
アーティストという人達は・・・皆色々な問題意識を抱えていてやっている訳です。彼らと共に日々過ごして展覧会という形でサポートとしていき一緒に作りあげていく・・・これは一生続けたいと思っています」

どうもありがとうございました。

何か・・・様々しつっこく聞いてしまいました。今回は仮定の話が多すぎましたね。
オサルスが展覧会をやりたいなんて事は本気にしないでね。唯、世の中は経済中心に回っている訳だから価値基準はやはり数字でしょうね。
数字が読めないオサルスは美術の世界じゃなきゃ生きられそうもないな〜。

SHISEIDO GALLERY(資生堂ギャラリー) http://www.shiseido.co.jp/gallery/html/

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