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携帯オサルスのおすすめランチ ランチdeチュその90

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シェ・イノの豪華なランチ

Chez Inno 
東京都中央区京橋3-2-11第百生命ビル1F
TEL03-3274-2020
Lunch 11:30-14:00

 3月に行なわれたVOCA展のレセプションで何人かの方に感想をお聞きしたのですが、自分でも2001年のNICAFのようにはできなかった・・・と、反省しきり。後日、月刊美術の記者さんから
『あんまり聞いてないよね。もっと審査員とかに聞けばいいのに。ちょっと中途半端じゃない』
の言葉に、グサッ! グサッ! グサッ!。
ウ〜。そんな事いったって肩書きも何も皆無のオサルスが 『突然ですが・・・』 と、声を掛けるのって大変なんですよ。まあ! それは意気地がないから、再度反省。こんどは勇気を振り絞ってNICAF2003でバッタリお遇いした VOCA展選考委員のお一人でもある本江さんにランチのお誘いをしようか、どうしようか迷っていたら、そこにちょうど杉田さん。

『本江さんならよく知っているから紹介してあげるわよ』
のひとこと。あっというまに京橋は Chez Inno でのランチが決まって。でも Chez Inno は高級フレンチのお店でしょ。某ギャラリーのオーナーもあそこは高いからね。と即座に答えたレストランなんですよね。
オサルスの不安顔をのぞき見る杉田さん。

 『大丈夫! 任せなさい。Chez Inno のオーナーとは懇意だから』

・・・それではお任せいたします。どうぞヨロシュウ。

というわけで今日は府中市美術館 館長 (http://www.art.city.fuchu.tokyo.jp/) と多摩美術大学教授のお仕事を兼務され日々超人的スケジュールをこなされている本江邦夫さんとご一緒の 『ランチdeチユ』 。

まず最初はやはりVOCA展の感想をお聞きしましょう。おっとその前にMenuをば・・・。

今日はホワイトアスパラガス手長海老添え・ヴィシィソワ−ズ・鯛のポワレ シェ・イノ風or仔羊のシチュー・デザート・コーヒーの超豪華なランチ。ランチの値段は3500-8000円 (サービス+消費税別) まで幅がある。
とにかく今までで一番たかあああああ〜いランチです。こちらのオーナーシェフの井上旭さんはフランス料理研究会全国連絡協議会の会員(詳しくはhttp: //www.elle.co.jp/atable/chef/02/)日夜フランス料理の普及と技術の向上に励んでおられる方。
ただな〜オサルスは本場のフレンチコースなど食べた事がないから、お味はと聞かれても実は 『?』 それと今日はかなり緊張しているので味どころではない・・といいつつ完食。美味しかった〜。

・・・本江さんお味は如何でしょう。

 「割り勘だから言うけど、凡庸だね。以前のディナーは美味しかったけど」

・・・率直なお言葉ありがとうございました。

・・・ではまず今年のVOCA展の感想をお聞かせ下さい。
(注: VOCA展は、平面美術の領域で、国際的にも通用するような将来性のある若い作家の支援を目的に1994年より毎年開催している美術展で、10年目の今回で合計329点の作品出展を数えました。
日頃から親身で公平な立場から作家たちと接触している全国の美術館学芸員、研究者、ジャーナリストなどから推薦委員を選出し、それぞれ40歳以下の若い作家1名を推薦していただき、推薦された作家全員に展覧会への出品を依頼しています。
こうしたシステムのため、東京だけでなく全国で活躍する作家たちにスポットがあたることが同美術展の特徴の1つです)

「可もなく不可もなく。最近は色々な傾向のものが入ってきているけれど、日本におけるここ10年の絵画の大体の見取り図みたいなものが何処かにありますね。それはハッキリいえると思います。
三十人前後の推薦者を選ぶのは実行委員会ですが、VOCA展の最大の持ち味は推薦者が推薦したものは文句無く入選する事ですから、一応日本の絵画の状況を公平に見ていると思います」

・・・今年でVOCA展は10周年、その内6回のVOCA賞は女性が受賞してますよね。30歳前後の女性の活躍が目立ちますね。

「女流作家は優秀ですよ。最終的にこういう風な結果になったわけですから、日本における絵画に限った時に、女性の目覚しい活躍は当然の事ですね」

・・・男性が力不足というわけではないと思いますが、彼女達の作品は、けっこう目に焼きついています。

「まず彼女達の方が男性よりも真剣だからですよ。生きる事に真剣だし描く事に真剣です。昔の女流画家はどこかで精神的に男性を頼みにしていたし、また有力な男性のアーティストに、ある意味目を掛けてもらうような感じの事が随分あったと思います。
でも今は実力勝負です。男性中心の社会でいかに女性として生き延びていくか、なおかつ絵をえがこうと真剣に考えているわけですから、まっとうな女性は男性が見ているよりもはるかに多くのものを見ているんです。
確かに男性に媚て、いい思いをすればいいんだという女性はいるかもしれませんが、そういう人はアーティストにはまずならないでしょう」

・・・そりゃそうでしょうね。

 「20代後半で絵を描いていきたいと思う女性は、そこまできちっとした姿勢が出来上がっていると僕は思うんです。だから自ずからいい絵を描くんです。
でも20代後半の男性はそこまで頭の中が全然出来てない。男性中心社会だということが男は本能的に判っているから甘えがあるんです。なんのかんのいっても自分は男だとか、あるいは我が家の長男だからとか、どこかでそういう甘えがある。何も無い所に放り出されている女性とは違うんです。
だから何気なく見えているようなものでも目に入り方が違う。僕は今の日本における女性の絵画の・・・世界的にみても稀にみる水準の高さの本当の理由がそこにあるんだと思っているんです」

・・・なるほど。でも男性、女性、関係なく作家は継続していかなければなりませんよね。でも今、作家として羽ばたく部分が尻すぼみになってきているように思うし、そういう意味でも現代美術の世界は危機的状況にあるように感じるんです。

「現代美術の世界は常にそうですよ。それに日本の現代美術が危機的だというのは今に始まった事ではないし、1970年代の事を思い返してみると、その頃の公立美術館は今のように数が多くはなかったし、コンテンポラリーのものを美術館が買うなんてことは絶対なかったんです。今は美術館は買いますよ。それだけでも大変な進歩ですよね」

・・・なるほど。でも美術館の購入予算が年々減って画商さんが困るという話はよく聞きます。それに日本ではアーティストに対して誉めはしてもあまり厳しい批評がないように思うんですが?

「少なくとも僕自身は人を貶すような下品な批評をしたくないしね。自分がいいと思うものについて書きたいし、ボードレールでも皆そうですよ。こんなアーティストはとんでもないとか、こんなアーティストを生かしといちゃまずいなんていう評論は誰も書いてないです」

・・・アメリカはけっこう叩くんじゃないですか。

「国の事情の違いはあると思います。アメリカだって貶してる訳ではないし。ただ向こうは自分の意見をハッキリいう文化ですよね。
あまりに一般的過ぎて何とも言いようがないんですが、まず “美術館が買わなくなったから困る” という事は美術館の購入を当てにしている事自体が変だと思いますね。美術館に買ってもらうために皆さん画商さんになったわけではないでしょう。
だいたい美術館が買うものは本当にいいものしか買いません。その人のベストワークとかが最終的に然るべき美術館に入っていくのが美術館の本来の役割です。だから70年代の頃はおっかなビックリになっていて中々買えなかったんです。でも80年代90年代は、段々日本の美術館も自信がついてきてようやく買うようになりました。
そこにバブルの崩壊があって購入費がいきなり削られた。それは悪い時代かもしれませんが、もともと日本の美術館はそんなものだったんだから、もう一回原点にかえっただけです。そこから再出発をすればいいのです。

  だいたいね。これは私たちの国民性だと思うのですが、皆自分のせいだとは思わないで人のせいだと思うんです。
この間、某美術館の収集委員会があって、その美術館も今はまったく購入費がないから、実際収集委員会といっても寄贈作品の審査です。美術館としてそれを受け入れるのがいいかどうかという専門的判断で、我々収集委員が呼ばれてそこでコメントするわけです。その時のコメントのついでに、殆ど皆がこの美術館に収集費がゼロなのはおかしい、おかしいという風な話をするわけです。
文化的なものを蔑視をしているとかそういう話をする。それが残念だという話をするんです。それ自体は間違ってはいませんよ。
でも、アメリカ人だったら、じゃあ自分が金を出そうといいますよ。自分が金を出そうという人が、そういう収集委員会のメンバーなんです。日本だけです、自分が一肌脱いで何かやってやろうとかを思わないのは。僕はその席で大昔に買ったあるアーティスト、そのアーティストの経歴の中では重要な作品があるので寄贈してもいいと言ったんです。
そういう風に考えて、自分たちで維持する。自分たちで何かをするんだと考えない限りこの国は変わらないんです。

お上が何かをやってくれる。やらないお上が悪い。それだけしか皆言わない。国が悪い。だれそれが悪い、なぜ自分が悪いと思わないのか。日本の現代美術が貧しい、危機的な状況だからと、なぜあなた自身が一万でも二万でもいいから、お金を出して銀座のギャラリーでだれかのアーティストの作品を買ってサポートしようとしないのか? 誰も殆どしないですよ」

・・・私はインターネットでサポートしているつもりです。

「まあ、そうだからここで話をしているんです。普段はしません」

・・・ありがとうございます。 ところでネットで検索しましたら98年Bゼミ展レクチャー が出てきたんですが、あのような質問をされると腹が立ちませんか?

「もう5年も前の話ですね。あの時は何事も一流だと思ってやらなければいけないという話をしたんです。
絵もそうだし彫刻もそうだし全部そう。自分達が二流だと思ってやっていたのでは一流にはなれないよと。
アメリカのアーティストでもヨーロッパのアーティストでも、どこが日本のアーティストと決定的に違うかといったら、僕等が見てこんな酷いものを作っていると思ってるようなアーティストでも、本人は自分が一流だと思っているんですよ。自分は一流だと。自分はAクラスのアーティストだと。彼等はそこから出発するんです。前提がそこなんです。日本の島国のアーティストだからどうかわからないなんて彼等は考えないです。
最初から第一線級のスタートラインに銘々皆が立っているような気分なんです。そこからヨーイ・ドンで走った時はビリになるかもしれない。でも最初はいっせいに走り出す。
日本ではもっと後ろから出発するんです。その辺から出発するのがいい事だと思っている。そこから出発したのではいつまで経っても追いつくはずがない。無理してでも第一線に一緒に並ばなければいけないんです。
そう考えていれば外国から入ってくる情報も一流、二流、三流様々あるし、向こうから入ってくるアーティストも様々あるけれど、自ずから自分の目で選別ができるようになる。ところが外国から来たものはすべていいという考え方でやっているから一般的には向上しないです」

・・・自分がやらなければ駄目だという意識がなければ駄目ですね。どうしても隣を見ちゃうような・・・。

 「それは一般的な傾向としてはあっても・・・一般的なものがあるから例外があるので、アーティストは例外的な人間なんです。横一線で皆平等だ皆同じ所に並んでいるんだと我々もそう思っていなければいけないんです。
例えば銀座のギャラリーの全く無名なアーティストだからといって、無名なアーティストに対する対応をしてはいけないんですよ。
だから僕は近代美術館時代にアーティストが美術館に遊びに来ると、例えばこういうランチの時は自分として常に最高のランチをもてなししていました。

全く無名の訳の判らないアーティストだから、その辺のビジネスマンが行くような安いランチの店でいいなんて事はないですよ。アーティストはそれなりの具しかたをしなければならない。無名だろうが有名だろうが今作っている作品がどうしようもないようなものであろうが、アーティストはその時点で尊敬をしなければいけないんです。
美術界に携わっていく人間はそれが一番重要なことです。そうしない限りアーティストも出て来ないし、あるいは出て来たアーティストに対して自分の影響力を行使する事もできない。影響力を行使すると言っても、これは殆ど無意識の内に行なわれるので、このアーティストについて、自分がああしろこうしろと言って何かするわけではないんです。
でもアーティストにすればこういう風に話をしているだけで、何かの影響というものを受け取るかもしれないですよ。

僕の考えでは、美術界というものはそれくらい神聖な場所なんです。そこに入って来た人は皆平等です。評論家だって美術館員だって学校を出たばかりのアーティストでも皆平等。そこではアーティストとしての平等性がまずあるんですよ。
その平等性がまずあって、個々の場合でのグループショーのアーティストのピックアップとかそういうものがある。だから最初に平等性がちゃんとあれば選ばれたとか選ばれなかった事でクドクド言わないですよ。それはケースバイケースですからねと説明できる」

・・・頭が下がります。今日は割り勘ですみません(汗)。でもそこまで思っている方は少ないような気がするんですが。

「一貫して少ないでしょうね。アメリカだって何処だって少ないと思います。まともな人は極少数しかいないんです。アメリカとかフランスに行っても皆がまともな訳じゃない。そんな事は知性がある日本人だったら判る事です。なのになんで中国は素晴らしい。韓国は素晴らしい。アメリカは素晴らしい。全部が素晴らしいみたいないい方になってしまうでしょ。大間違いですね。ちゃんと見分けないと」

・・・少し話を変えますが、アメリカの大学、例えばマサチユ−セッツ工科大学でも美術館を持っていると聞いた事があります。まあ海外の全ての大学が美術館を持っているとは思いませんが、向こうは少なくとも日本よりは文化を育成する場は持っているように思うのですが?

「今僕は大学で美術概論を教えているんですよ。概論は洞窟絵画から始まってギリシャ・ローマを経て中世美術を勉強しますよね。ちょうどその時代に日本で何をやっていたのかと考えれば、この国は全然負けてないですよ。それにアメリカなんかと比べてもはるかに美的な伝統を持っているし、ヨーロッパにも日本に互するだけの美的な伝統を持っている国はそんなにないですよ。イタリア位かな。
フランスだって元々ド田舎ですからね。それでもあげればフランス、イタリア、イギリスくらいのものですよ。そういう美的な伝統というか、美意識のDNAといってもいいですよ。美意識のDNAというものでこの民族は出来上がっているのです。それはちょっとその辺に本物がありますからどうのこうのという話ではないですね。

  私からいわせてもらいますと、そのくらい日本人が持っている審美眼というのは世界で最高級のものです。こういう料理とかファッションだとかご覧になるとわかると思いますが、日本人が好んで外国から輸入してくるようなものは世界最高水準のものです。そこまで全ての分野に渡って最高水準を追求出来るこの民族が美術に限って例外というわけはないんです。
建築をご覧なさい。ファッションをご覧なさい。全て一級です。音楽をご覧なさい。美術だけが何故そうなるかというと美術はオリジナルなものにこだわるから。一点の制作にこだわるからどうしても遅れるんです。でも潜在能力からすれば今美術が一番高いでしょう。これからまだまだ可能性を持っている。そういう意味で日本の国力、経済力、軍事力すべてが絡んでくる話ですよ。

 欧米では文学でも科学でも何でもなく美術が社交界の最高の話題なんです。例えば一センチ平方メートル四方のもので一番高いのは何かといえば美術ですよね。オークションでゴッホが百五十億円、二百億円で落ちる。それを一平方センチメートルに換算すれば幾らの金額になるかと考えた場合それで一目瞭然です。オークションで何億何十億の値段がいまだにつくのは美術だけです。
ハッキリ言えば美術を押さえるという事は世界を押さえるという事なんです。アメリカの戦後の抽象表現主義が世界に冠たるアートになったのは、アメリカの軍事力、国力、経済力のお陰ですよ。ヨーロッパの連中にしてみれば当時見た事もないようなものが出て来た。でもアメリカはあれだけの凄い国なのだからきっと美術もいいに違いないというのが無意識のうちの何処かにあった。

 1980 年代に僕は美術館に勤めていましたが、バブルに入り始めていた丁度その頃に、海外の画商がドンドン日本にやって来た。何故来たかというと日本は凄い経済力のある国だから美術も色々あるに違いないと、その予感というか一種の偏見のもとにやった来たんですね。やって来て結構がっかりして帰っていったんだけれど。それが向こうの考え方ですよ。
経済力、軍事力、国力がちゃんとある所はそれが何に一番出るかというと・・・美術にでる。だから落ち目になった国は美術にこだわる。かつてのイギリス、フランスがそう。ドイツもそう。美術だけは国を挙げて支援しなければいけないという感じになっていますね。でもイタリアみたいに何千年の伝統があって余裕がある国はそんな事やらないんです。それを考えると日本はイタリアに非常によく似ています。

 この国は文化に国家が介入していないんですよ。お大尽みたいな人がこの国の文化というものを育成して来たわけだから。それをいきなり国家中心に文化政策を考えるのはまだ無理があるんです。
例えば今はカナダ、オーストラリアなど文化的にがんばりたいという事でアーティストの支援をする国が増えてきました。でもカナダのアーティストの一般的傾向として妙に衛生的で清潔なアートが多いんです。苦労してないわけだから。すぐに補助金がでるとかそういう事でとても純粋なんだけど野蛮さがない。
オーストラリアも近い感じがありますね。非常にお上品で優等生的なアートが多い。それに比べれば日本のアーティストの方がはるかに苦労していて色々な事で考えざるをえない事が一杯あるから、同じレベルのアーティストと比べれば問題にならないですよ」

・・・なるほど。ところで杉田さんと本江さんはどういうお知りあいなんですか?

「知り合ったのはちょうど10年前位ですね。今は写真も撮っていますが、この人はコレクターとして凄い人だと思いますよ。現代美術のコレクターで、自分の目でしっかりとそれなりの意欲と方針でちゃんとコレクションしている。とても珍しい新しいタイプのコレクターですね」

・・・ほう。全然知りませんでした。オープニングの写真をとっているアーティストだとばかり思っていました。

 「それは事情に通じていませんね」

・・・すみません。私は日本画をやって来ましたんで、実は現代美術を見始めてからそんなにたってないんですよ。

「日本画風だよね。いわれて納得しました。感覚的に日本画の人だ」

・・・え! そうですか。そうかな〜。日本画は好きなんですが、ドンドン日本画の嫌な事ばかり目について、日本画が凄く詰まらなくなってきたんです。

「段々日本画というジャンルは無くなるでしょうね。日本画はマーケットがしっかりしているし販売システムがきちっと出来ていて、日本画に関わる事によって関係者が皆それなりに潤うようになっている。そういう日本的な伝統のもとに、がっちりしたシステムを既に構築しているんですよ」

・・・私は1980年代から90年代の日本画の世界を見てきましたので、現代美術の世界を始めて見た時に驚きました。何故かというと以前の日本画は作品は全部買取で、画商と作家の立場がきちっとしていたように思うからです。
逆に言えばそのヒエラルキーに反発も感じていたんですが、でも現代美術の世界は金銭的にも凄く渋いし、凄く閉塞的なものを感じるんです。感じませんか?

「今ひとつその閉塞的というのはよくわからないけれど、専門的な分野ではありますよね。ジャルゴンと言って知的な隠語が流通するし、それを聞いても一般の人達は何の意味かもわからないかもしれないけれど、なおかつコレクターの絶対数が少ないから作品が何処かに買われていって、何処かのお宅の壁に掛かって、少し話題を呼ぶとかそういう事が今の日本には殆ど無いし、企業もそういう事をやるだけの体力も無い。
僕は前からいっているんだけれど、日本の現代美術は同人誌的だと。同人誌的というのはそこでの価値基準とか、いいとか悪いとかが、あくまでも同人誌の中での世界で、外の枠組みに持っていったらハッキリした事はいいにくいという事です。だから美術手帳というものがある程度影響力をもつ事もあるけれど、単なる張子の虎でしかないんですよ。
BTに載っている。じゃあ、あの作家を自分が買ってみようなんて思うコレクターはまだいない。もしそういうコレクターがいるようになればBTもあんな馬鹿みたな事やってないと思う。今のBTの特集の組み方は、全く趣味的で編集者のお友達関係でやっているようなもんです。それを平気でやっているのは社会的な影響がまったく無いからです。悪影響もないし、いい影響もないから、まさに同人誌的に自分達がやっているんだから何文句をいうんだという事です」

・・・なるほど。私の中には美術作品は売り買いされるものだと思っているんです。売り買いされる事で価値が出てくるじゃないですか。杉田さんは別にして何故現代美術の世界では流通が難しいのかが凄く不思議です。作品を売らなくても生活が成り立つのか? よくわかりません。まあ、そんな事いった所でどうなるものでもないかもしれませんが。

「それは重要な事だと思います。私もポケットマネーで作品をちょくちょく買うわけだし、だから美術界に関わる人はそういう気持ちを持つ事がとりあえず重要でしょうね。自分達が関わっている世界なんだから、関係者ずらして展覧会にフリーパスで入るとか、何でもフリーパスで入るのはいいのだけれども、関係者である事の義務というものは当然あるんですね。
やはり維持するという事ですよ。何らかの意味でサポートしなければいけない。だからカンパみたいなものが必要であれば皆でやらなければいけないし、この間もある所でチラッといったのだけれど、東京都現代美術館が全く購入費がないのであれば有志を募って・・・例えば100人の有志が一人1万円出したってそれで100万円でしょ。
100万円あればコンテンポラリーの作品を買えない事はないんですよ。それを買って東京都現代美術館に寄贈するとかね。そういう事があってもいいと思うし、そういう風に考えていかなきゃいけない時代だと思いますよ」

・・・本当にそうかもしれませんね。では最後になりますが、もし今のお仕事についておられなかったら何になっていたと思いますか?

 「数学者か物理学者になっていたらよかったなと思いますね。小さい頃からずっと好きだったから」

どうもありがとうございました。

 いや〜。今日は多分今までで一番長いインタビューだったと思いますね。講演(有料)を聞きに行ったみたいに様々お話がお聞き出来てとてもよかった。 オサルスはすっかり本江さんファンに!。
目から鱗というか。杉田さんの事もそうだけどやはり話を聞かなければわからない事は多いな〜。それに本江さんから自分の発言は常に公を意識しているという言葉を聞いて嬉しくなっちゃいました。
今まで 『ランチdeチユ』 にご一緒いただいた方々はとても心優しい方達(ん?)でしたが・・・今後もお願いだから誘われても逃げないでね。これからもドンドン聞きまくりますので宜しくお願いします。ランチもあと10件で100店を迎えます。がんばろ〜〜〜っと。

府中市美術館 http://www.art.city.fuchu.tokyo.jp/

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