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携帯オサルスのおすすめランチ ランチdeチュその94

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日替わり定食 1000円

割烹 はや満
東京都中央区銀座二丁目五番一号
TEL03-3563-3638

 先回天野一夫さんのインタビューで、
『それぞれ一つ一つの蛸壺化した中で素材中心の領域性の中だけで論じられる時空はもう崩壊しているような気がするんです。』
の言葉をうけてオサルスも偶には『書を捨てて町に出よう』 という心境に、展覧会ばかりじゃなくて何でも見なければ・・・偶には映画もいいな〜。

そう言えば遥か30年位前に寺山修司の『ローラ』? という実験映画を見に行った事があった。当時は実験映画が多く上映されていてケネス・アンガ−やジュネの映画も見た覚えが、でもそれから何故か全く見なくなってしまって映画とは無縁な生活。
ん〜。 まあ! 今はヴィデオやDVDの時代。でもヴィデオと実験映画はどう違うの?  
おりしも今回ギャラリー池田美術で山田勇男展を開催。 山田さんは、美術家にして映画監督。92年には『アンモナイトのささやきを聞け』でカンヌ映画祭にも行かれた方。ちょうど、つげ義春原作の『蒸発旅日記』を7月12日よりユーロスペースでロードショー。
今回は山田勇男さんにお話をお聞きしました。

・・・誠に申し訳ないんですが、私はまだ山田監督の映画を拝見した事がないので、監督の事をネットで検索させて頂きました。そうしたら凄い量の情報があるのに驚いて、それも映画ファンは見た感想を載せているんですね。美術では展覧会の感想は殆ど見かけないので・・・驚きました。

お待たせしました。日替わり定食でございます。 流石定食は早い。
今日は和風麻腐ナス、串カツ、トロロこぶの味噌汁、香の物、昆布の小鉢にご飯(1000円)でございます。

「ここの日替わりは大きくはローテーションがあるみたいだけれど、毎日殆ど違うものが食べられるんです。台所代わりに使ってます。刺身は新鮮だし、小鉢がいくつも出てきて色々つまめてバランスがいい。」と、池田さん。

『割烹 はや満』さんはギャラリー池田美術の池田さんのお薦め。池田さん本当はこちらを教えたくなかった様子。
やはり行きつけの美味しいお店は知られたくないのが人情というもの。殆どカウンターのみのこぢんまりしたお店だけれど、マスターと妹さんの人柄の良さと、こざっぱりした清潔さが料理にも反映されて常連さんが次から次に・・・。 写真を見れば美味しさが判るでしょ。串カツはサックリと、お刺身の鰹は活きがいい。毎日食べても飽きの来ない美味しさ。デザートに果物か小さな缶ビールが選べますよ。

所で監督は料理はご自身で作られるんですか、ネットのヤマヴィカ☆キラキラ日記(http://www3.diary.ne.jp/user/302536/)のカレーライスにお味噌汁美味しそうだなって・・・。

 『料理は凄く美味いですよ。何年か前に新宿の端っこでお店をしていたんだよね。昔友達の改築記念パーティーでシェフをしってもらった事があるんです』(池田さん)

「そんな大したものではないけれど、料理をしているとふとそこで間があいて考えが切り替えられるからいいんですよ」

・・・なるほど。料理の記述が只者ではない感じがしたんです。

ところで山田監督の画歴を拝見すると寺山修司と宮沢賢治、稲垣タルホの名前がかなり登場?。

「学校の授業で宮沢賢治は読んだ気がするんですが、当時は興味が無かったんです。二十歳ぐらいになって彼の本を読んだ時に、自分の幼年時代に・・・幼年時代は田舎に育ちましたので、彼の言う光だとか風だとかのその情景が感覚としても具体的にも判るんですよ。ですからスッと賢治に入っていかれた。
賢治は元々花巻出身。まあ田舎ものですよね。でも相反してタルホは小学校の転向生が白いワイシャツ姿でクラスにある日ポンとやって来るみたいな・・・それが私にとってはとんでもない者がやって来たような感じで、タルホ的というのか都会的というのか・・・ね。まずそれが次元に合ってしまって、白いワイシャツそれだけで美しいとか。
自分らもワイシャツ着ているけれどチョット違うんだよね。チョットした違いが憧れとしてあったんです・・・タルホには憧れの方が強かったのかもしれない。ん〜。でも大人になってくると憧れだけではなくて、私の中の資質というか、敢えていえば精神の一番揺ぎ無い部分がタルホの方に傾倒してしまっているのかもしれないと・・・」

・・・タルホは読んだ事がないのでこんな事を言うのは変ですが、死のイメージというのはかなり濃厚に感じるんです。唯、私はまだ死んだ事がないのであくまでイメージですが、それも『甘やかなる死』というか『やるかたなき死』というか、監督の映画の題名だけを見ていくとやはり死のイメージが内包されているように感じたんです。

 「それは祖父母に育てられたというか・・・小さい時から仏壇を目の前にして育ったという事で、何か判らないけれど南無阿弥陀仏と唱えればその向こうに何かあるような感じってあるじゃないですか、要するに年をとると死ぬという事を日常会話で話しますよね。
昨日もある人に言われたのだけれど、 『何故子供を描くのかといえば、子供と老人は一番死に近い存在であると。』 なるほどな〜と。近年、自分が年老いてくると、死ぬということは消えちゃうという事だからね」

・・・う〜ん。でも、私は、監督の作品の10歳位の男の子は、死というよりも美を具現化したものだと思ったんです。

「上手い事いうね。ではそう書いておいて下さい」

・・・済みません。穿った見方をしてしまって。

「自分は多分そういう事がよく判らないから書いたり撮ったりしているんです」

・・・なるほどよく判りました。

「今、展覧会をしていますが、加藤清美さんがあの絵を見て、
『普通の人は例えばそこに顔があって顔を描く、でも描くという事は顔の奥にある顔を描こうとしている事だ。でも、中々それは描けない。この絵を見るとそれをまず描いている気がする。表層や現象を剥ぎ取った奥を描いているような気がする』
と言ってくれたんです。私はその時、自分が思ってもいない事を言われて・・・なるほどと。
絵を見て頂ければリアリスティックに描こうとしたのでは無い事はお判り頂けると思いますが、加藤さんにそう言われてとても嬉しかったんです。私は映画を撮っていてもそこに何かあるだろうと・・・何か感じる・・・何か判らないけれど気配としてね。 それは今言ったように一種華美な死のイメージかもしれないし、一種そこに華美なエロスの世界を見ているのかもしれない。
死とエロスは表現においては大きな要素じゃないですか。その部分が多分一番描きたい事。それをもっと抽象的にシンボリックに描きたいというのが私のやりたい事なんです。でもそれは漠然とした事で、技術ではないと思うんです。どうでしょう?」

・・・そう思います。

 「私は、描こうという意識よりも根源的にあるものを表したい。それは自分がとり合えず生まれてしまったという絶対的なものであり。死ぬという絶対的なものである。ボルヘスが言っているように
『果実は成っているものか、落ちて腐っているものか、どっちらかしか人は見ていない』
という事です。
敢えて言えば精神というか魂を探っているというか。ずっとそんな気がしています。私は映画を撮る時に商業的に撮ってないんです。それが大きいように思います。まあ、お金になる時もあれば、ならない時もある。でも売る為に撮ってない事が今日に辿り着いたのかもしれないですね」

・・・なるほど。一つ質問したいのですが、今回の『蒸発旅日記』の中に文字盤の無い時計や数字が反転している時計などが出てきますよね。時間は何処に流れていくのでしょうか。

「あれは妄想です。私は一本の映画は妄想の旅だと思っているんです。でも妄想している人は、それが現実だと思っている。時計は第三者の人に見せる時の一つの記号。時計を逆さにする事で現実では無い世界を暗示している・・・それはあの世かもしれないし、夢の世界かもしれないし、彼の妄想の世界かもしれないという形をとっています。
でも、夢の中にもこれは夢じゃないかと思う事もあれば、現実かもしれないしと思う事もある。今回の『蒸発旅日記』というのは考えようによっては・・・私も札幌からこっちに何だかんだ理由をつけて蒸発したようなものだから。ふとね。自分の町とかね。長い間そこにいたら人間関係が色々あるじゃないですか。何処かにゼロに立ち戻りたい気持ちはあるよね」

・・・まあ、所詮人は旅人で夢を見ているかもしれないですしね。

「そう。そういう感覚です」

・・・ただ、現実には私はこの録音テープを聞いて起こさなければならない訳で・・・やる事が山ほどあるんです。

「でもね。こう言ったニュアンス、この感じをだせれば、それが私の描きたい事なんです」

・・・う〜ん。感じ取ってもらえているかな〜。難しい。あ! 旅人という言葉で思いだした『月日は百代の過客にして、行き交う年もまた旅人』と言った松尾芭蕉を・・・。
唐突ですが、やはり商業映画は駄目ですか。

「売れる、売れないの話になっていくと、売ろうと思って描いているのに中々売れない人が殆どで、何気なくというか・・・無作為に自分が描きたいものを純粋に描いていって売れている人もいる訳です。唯、私のやっている事は商品に成り難いし、成り得ないような作品だと思います。
価値基準を何処にもっていくかといえばそういう事のような気がするんです。私はそれはしょうがないと思っています。売れればいいと思うけれど、売る為に何かコロット変えるような事は、私は器用じゃないから出来ないと思うしやっても失敗すると思うんです。やれる人はトックに一芸に秀でています。私はそうじゃないからしょうがないな〜と」

・・・少し話を戻しますが、以前カンヌ映画祭にも出品されているんですよね。・・・カンヌは如何でしたか?

 「外国というのがいいですね。他に何処かに行った訳ではないけれど・・・まずフランス語が判らない。逆にそれが良かったですね。それに 旅という感じがいいですね。まあ、行事の為に行っていたから通訳の人がついていてくれたので困る事は無かったけれど、偶に一人で八ミリを持って出かけると、そちらの方がワクワクドキドキ感がありました。
ただ、最近は年をとってきたから感動が少なくなったなと・・・先日誰かと話したんだけれど、それは山田さん違うよと、山田さんも年取って色々見てきたじゃない。今までその時々でワッワッて驚いてきているじゃない。それ以上のワッワッが無いからだよと。確かに凄いものを見れば凄いと思うけれど凄いものが少なくなってきているのかもしれない・・・」

・・・そうですね。私も最近感動が無いです。
所で映画は監督に美術監督、俳優さん・・・色々な方達のコラボレーションなのでしょうか。

「コラボレーションという言い方がいいのかな・・・私はその位の気持ちで思っています。
ほんと言うとね、プロの現場はそれぞれパートがあって工場と一緒です。ここはこういう組み立て、ここはねじ巻き、ねじ締め・・・色々なパートを完成させて次へいくみたいなね。割り切ればそういう事なのかもしれないけれど、私はその人達にお任せしますでは無くて、あくまでも、コミニケーションの中でものを作る事を考えています。
聞かれてないのに言うのもなんですが、 ただ、絵画は別です。絵画は自分の世界を表現する事だから・・・少し話はそれるかもしれないけれど、私は個人の作業として、自分を探るというか自分の根源的な感触にいつも触れていたいから八ミリ映画を撮ったりとか、絵を描いたりとかしています。
私は仕事という発想ではなくて。あくまでも自分の世界観や自分の表現とか自分が生きている事を実感したいし、見つめていたいからです。そういう事だけです。多分・・・職業作家には・・・でもそれでお金が入るようになったら職業作家になるんだろうけれど、入らないから違うんだろうな・・・と」

・・・私も趣味で聞いているのではないし、やはり作り手に興味がある。『自分が思う何故』という疑問を解き明かしてくれる糸口を見つけたいのかもしれません。見つけた所でお金になる訳ではないですが。無駄な事をしているとは思っていないんです。
では、最後にもし生まれ変わるとしたら何になっていたと思いますか?

「判らないな〜。全然考えられない。考えられますか?」

・・・考えられないからお聞きしたかったんです。

 「小学校六年生の文集では漫画家になりたいと書いたんです。漫画をはじめて書いたのは、二十歳過ぎの頃『ガロ』に描いて落ちてその後書いてないんです。 まあ、 92年の頃僕が41-2歳になって北冬書房の方に進められて描き始めましたけど・・・。
将来漫画家になりたいというのは最初は食える事を前提にしていたんだけれど・・・、結局食えないんだけどね。 なんかそういう感じかな・・・もし漫画家になっても売れなくても自分の好きな世界を・・・俺、そういう人が好きなの。皆が諸手を上げて認める人には興味がなかった・・・。異端。本でも画家でも異端が好き。
ん。これを言うと判りやすいかな、一番最初に写真を見てこれが写真だと思ったのは森山大道さんの写真だった。粒子が粗れていてピントが甘くって、でもこれだというもの・・・映画ならシュールリアリズム、詩は滝口修造。この全てに共通している事は全てはそのものではないという事です。 さっきの加藤清美さんの話に戻るけれど、言葉は言葉としてあるんだけれど、その言葉の奥・・・意味とか意味ありげのものとか気配をどう嗅ぎ取っていくかが僕等の世界観だという気がするんですよ。あくまでも私はそういう所をいつも見ていたいんです。
音楽もそうです。始めて浅川マキを聞いた時、『何、これ!』と・・・そこに判らなさが潜んでいるもの、しかし『絶対的な凄さとしての判らなさ』、それが私の生を揺るがす原動力になっていると思うね」

ありがとうございました。

やはり何でも実際に足を運んで見る事は大事ですよね。
でもな〜。見ても見ても切りがないというか・・・ドンドン霧の中に入っていくような気がしてきた。あれもやらなきゃ、これもやらなきゃと追われまくっていて気がついたら何も出来ていない夢を最近よく見るんですよね。ストレス溜めるとガンになるからな〜。でも、もう直ぐ夏休み・・・でもネットに夏休みはないのよね・・・トホホホ。

スランプ脱出のいい方法ないかな〜? 映画を見に行くのもいいかも。『蒸発旅日記』行って来ます。

ギャラリー池田美術 http://g-ikeda-bijutsu-std.jp/

『蒸発旅日記』 http://www.mugendo-web.com/jyouhatsu/

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