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オサルスのおすすめランチ ランチdeチュ その112

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ランチ にぎり寿司 880円

錦寿司
横浜市中区野毛町1-13 TEL045-231-6726

http://www.noge-sushi.com

 あれ! あの作家の値段はこんなに安くなったの。ある画廊でオークションのカタログを見ながらの感想。
現存の作家は作家によりきりらしいけど、バブル時の10分の1、20分の1以下だとか。でもこのカタログの作品点数の多さにビックリ、その上すべてエスティメイトの金額が表示してある。
仕事でこの金額を覚えるだけでも、よほど頭がよくないと無理だよね。オサルスは数字を見るだけで頭が痛くなっちゃうので美術雑誌のオークション情報はほとんど読んだ事が無い。か、読んでも解らないから読まなかったんです。ただ客観的な評価を数字にすると納得出来るのも確か。ビジネスには変なセンチメンタリズムはいらない。生きて行くには食わなきゃならぬ、

 今日は日夜この数字に取り組んでいる美術記者の清水秀作さんにお話をお聞きしました。
清水さんは美術記者歴25年のベテラン。

ベテランといえば・・・。ハイ、お待たせしました。
こちらの錦寿司さんは、 横浜で気軽に楽しめる寿司屋をめざして50年の大ベテラン。前回お寿司の取材で味をしめて、今回もとネットで検索して見つけちゃいました。代表の恩田けさ子さんは、六十の手習いで始めたパソコンで、ホームページを作っているそうです。(インターネット特典日替わり小鉢をサービスあり)
見て下さい。ランチ時間は店内はいっぱい。

 写真は板さん。
にぎりは結構しっかり握っているので、密度が凄い。ネタはさすが新鮮です。わざわざ長野から食べに来る人もいるのだとか。
回転寿司とは、ひと味もふた味も違う。こちらは庶民的な本格派のお寿司。ランチのにぎり寿司は880円、食べ応えありです。

・・・何故、美術記者になられたんですか?

「若気のいたりで20代で勤めた会社を上司との意見が合わず退社して、新美術新聞の編集員募集広告をみてこの世界に入りました。そこに12年いて、今はフリーでやっています。僕はオークション情報の記事を主に書いているけど、それ以外の美術に関しての記事の方が多いんですよ」

・・・済みません。どうも月刊美術や日経アートのオークション記事の印象が強くて・・・。

 「月刊美術の仕事でもオークションの記事は僕の仕事の半分ぐらいです。月刊美術にはオークションを専門に追っかける人がいないんですよ。それと月刊美術の考え方からすればオークションは大体土日に行われるので、美術出版社も不景気で残業代も出ませんから外のフリーの編集員を使わざるをえないんです。
  月刊美術では毎回10ページほどオークション記事を書いてますからオークション専門の記者のように思われますが、実際に書いているのはもっと幅広いし画集の編集や取材など全部やっています。
ただ僕自身もオークションの専門記者に見られるのはしょうがないなと思っているんです、その為の努力はしています。 カタログのエスティメイトを取材の前に全部計算して、今回はエスティメイトの下値はこの位になる。その内で何百万以上のものが何点あるとか。前回や去年の統計とか全部書き出して手元に用意して取材に行きます。それじゃなきゃ記者会見で質問できません」

・・・記者会見があるんですか、全然知らないものですから、済みません。

「大きな所はありますよ。無い所は向こうの担当者に下見会の時から聞いて、後でまた聞くとか。それに色々なオークション会社の発表した報告をそのまま入れても記事にならないんです。今、有力なオークション会社は9社あるんですが、それぞれ廻って比較出来る視点を持たないと報道にはならないわけですよ」

・・・なるほど。

「オークションは基本的には再販市場です。美術品市場のすべてを包括しているわけではない。高い値段で落札されると、オークションをすべての美術品市場のように週刊誌が飛びつきますが、そこは間違いやすいんです。ちょっと違うんですよね。
一般的には新しく作った作品を対面販売で売り、そこで価格が形成されるのが市場。再販市場はもう一回戻ってきたものに値段をつけるんです。ですから原則的に値段が一定しないわけです。
ビッターといって落札する人とアンダービッターといってその次の価格をつける人と競り合えば値段が競り上がりますが、一人しか欲しくなければそのまま落札出来るし、もちろん出品した方がこの値段で売りたくない場合は不落札になる。
最低限の価格は作れるけれども価格が上がった場合、次にその値段でまた売れるかという保証が全然無いのが再販市場です。新作の市場は基本的に殆ど同じ値段 (号いくら) が維持できる。実際は図柄で変わる場合もあるけどもそういう仕組みです」

・・・日本の現代美術にはマーケットが無いとよく聞くんですが・・・。

「海外の方は新しいものを積極的に自分で求めてその作家を応援しようとか、それがどのジャンルにも多分あるんだと思います。日本の場合は現代美術に関してそういうジャンルの形成が出来ていないから、はっきりいえばコレクター層の広がりが日本ではまだ根付いていないんです」

・・・お客さんが作品を買って、新しい作品が欲しくなったからそれを売って、また他の作品を買う・・・それがマーケットですね。

「そうですね。画商さんは手数料収入ですから、『お楽しみになったんだから、7掛けで引き取りましょう。少しお手持ちの資金を足して頂いて、こういう作家もありますよ』 と勧めて、興味の無い場合は買い取りましょうという事なんです」

・・・現代美術ではその循環が上手くいっていないという事ですか。

 「それはよく解らないけれど、現代美術はコレクター層が限られているのと、日本に於いては現代美術は個人よりもパブリックな公的機関に入れてますよね。公的機関は評価の基準が公的機関のものの見方よりも識者というか、アドバイスをしてくれる方のものの見方をイコールに考えてますから、評価の高い方を評価の値段のまま納めてしまう。
それがバブル以降のやりかたです。もう一つは公的機関の空間は既存の日本画や洋画のスケールでは合わない、一時期日本の美術界は、価格よりもその空間に合う合わないという判断をしていた。そうすると彫刻的なものとか立体的なもの方が空間が引き締まるわけです。
作家も作品を大きくする事や、まあ、大きいモノも売れた事もありますが、それに価値を見いださざるを得ない時期があった。ただ美術品というのは大きくても小さくても密度が保っていれば個人コレクターに入るわけです。
僕は現代美術は見てはいますけれど門外漢ですからわかりませんが、大きい作品と小さい作品との密度が違いすぎた部分があるのではないかなという気がします」

・・・でもシンワアートオークションのように画商が開いているオークションのイメージというか、画商は作家に画料を払って作品を売買しているわけですから、何か自分で自身の首を絞めているような気がするんですが、再販市場で価格を操作するような事はないんですか。

「新作市場でも交換会や何かでも価格は操作されていますよ。根本的な問題はバブルの時に美術品を大量に売っていた、やがてバブルが弾けて、その作品が市場に一遍に出てきた時にどうなるかという前提があった事です。
値段は下落します。画商さんはそれを支え切れません。受け皿が必要になる。明確に再販市場を作らないと、つまり新作の方にも影響を受ける。そういう考えがシンワを作った方々にもありました。なるべく分離したいという気持ちから始まっているのは事実ですが、だからといって両方をやるのはおかしいんじゃないかというのは・・・確かにおかしい部分もある。
でも需要と供給の関係だから、一遍に市場に出たら成り立たないですよね。そういう意味では再販市場を明確に表に出すというのは一つの流れですね。それは効果がありました。今までは交換会の市場で闇で取引されてましたが、ある程度クリアーにしなければならない。その狙い目がある程度成功したと思います」

・・・クリアーになって再販市場が活気づいた部分があると思うのですが、今の現状はどう思われますか。

「オークション会社と普通の画商は共存できるはずなんです。日本の場合は特殊なのかもしれませんが、オークションで高額なものを買われる方は画商さんと相談して買われるわけです。
先日の梅原龍三郎と安井曽太郎の億単位のものが出た時に、有名なコレクターの方がもっと札を上げようと思った時、隣についてる画商さんが 『ここまでですよ』 と、抑えるとかそういう事があるわけです。確かにオークションは新作市場の価格に影響しますよね。 再販だったら号10万円見当なのに、何で新作なら100万円になるのかと、だけど画商さんは画商さんなりにそれを説得してもいいんじゃないかという気はあります。
つまり私の目を通してこの人を保証するんだから、私の価値をプラスするんだから新作市場と再版市場の当然値段は違うんだと、そこのところが実際売れないから自信をなくされる事も当然あるでしょう。むしろ今、オークションは、例えば中小の美術商さんには、オークション会社で仕入れて地方で売り抜けるというご商売になる場合もある。交換会に入れない画商さんも一杯いらっしゃいますから、だから仕入れ場にもなるし、仕入れ場と一般のコレクターが激突する場にもなっている。
色々なケースがあるから一概にいうのは難しいですが、ただいえることは、現存の作家に触りすぎているんじゃないかと思いますね。昔は物故作家とか一定の年齢以上の方を対象にしていたんですよ。それは再販市場を作る時に有効性があったわけです。それに現存作家や特に若い作家に関しては、画商さんがしっかりフォロー出来る体勢があればオークションには出て来ないわけですよね」

・・・今でも買い取るんですか?

「買い取る所もあると思いますよ。実態は見えないし追求はしません。あくまでも報道の範囲です。取材してても突っ込みすぎるとわけの解らなくなる世界ですよね」

・・・そうなんですか。

 「確かにあのオークション会社は買い取ってやっているとか色々聞こえてきます。それも一つのやり方は事実です。それからオークションで銀行で塩漬けになっているものなんかを処分したい場合は、数字が表に出る事によって証明出来る。
欠損金が900万円出てもこういう所で売ってこうなりましたといえる。いま法律が変わって資産の方も曖昧な状態に出来なくて、いくらの資産があるかというのを計算して時価で収支を出さなくてはならなくなった。そういう点ではオークションも一つの方法だと思います。でも市場は色々な点から見ていかないと、オークションだけを見ていると間違えます」

・・・オークションと交換会の違いはどうでしょうか。

 「日本の今までの美術商のやり方はフォローがあるから決して悪いモノではない。買い手も飽きるという事を見込んだ上での価格を設定をしている。その仲間内のシステムが交換会です。交換会が優れているのは、会主がお金をすべて立て替えるわけです。
会主は高い見識や差配が出来ないと人もモノも集まって来ない。あの会に行けばいいモノが出るんだという事になれば、変なオークションよりもよほど大きな売り上げが出来るわけです。それにそれぞれの画商がお金が無くても取引が出来るのですから相互扶助の部分もあります。ただ一般的には、それは仕入れ値ですし、一般のコレクターの立場を無視する事になりますので、当然クローズマーケットになります。
だからオークションは仕入れ値も表に出るところが目の敵にされるんでしょうね。あくまでも再販市場なんです。最初の美術品市場と再販市場の違いを理解した上で議論をしないから見間違えるんですよ」

・・・別物なんですね。

「そうです。別物です。そうじゃないと週刊誌みたいに何億で売れたと、日本は景気がいいという事になる」

・・・景気はいいんですか? まったく感じないんですけど。

「僕もあまり感じませんけどね。でもいつの時代にもお金持ちはいますから、ただその人達が美術品に興味を無くしたのは事実でしょうね。色々な不祥事があって美術品以外のものに興味を持つようになってしまった。
それはやはり美術界に責任があります。昔だったら売りたいといえば、買われた画廊で引き取るというシステムがありましたが、今は引き取りませんから、だからオークションに出してしまえと」

・・・そういえば以前聞いたのですが、コレクターが老舗の有名画廊で 『作品を処分したいならオークションにお持ちなさい』 と勧められたという話です。

「有名画廊の札がついているものがオークションにでますよ。オークション会社は何々画廊が売ったものだとハッキリ明記するんです。僕らはもうあの画廊は引き取らないんだなと思いますが、オークション会社は 『何々画廊が売ったものだから、まともなモノですよと、今は評価はこれだけ違いますが、当時新作ではこのくらいに評価されたものですよ』 とそういう見せ方をするんです」

・・・へぇ〜。知りませんでした。ただ、以前凄い売れっ子の画家さんでも、時代が経つとまったく売れなくなってしまうのを見ると、ふっと諸行無常を感じるというか。

 「結局収入が安定していないから、必死になって描きますよね。そうすると同じような作品を何点も描いてしまう、それが回り回って値段が下がるとか、ドラマとはいえないけれど、作家も苦労してますよ。だから欧米流のコントラで一人の画商としかつきあわないケースが増えていますね。
現代美術系は多いんじゃないですか。一定の画廊としかつきあわないし、そこが海外に持っていくとか全部面倒を見てくれるんです。海外の場合はそういう画商を通して買っていくから、作家直で売り買いするのは手間暇が掛かって大変な事ですよ。だから画料があってそういうシステムがあるわけです。日本の美術品の売り方はででたらめなシステムでは無いですよ」

・・・経済の得意な方にお話をお聞きしたかったので、よく解りました。

「それほど経済は強くないです。」

・・・ひとつ素朴な質問をしてもいいでしょうか。よく美術雑誌の広告を見るとその時代の美術の状況が解るといわれていますが、今オークション関連の広告は凄く多いですね。広告と記事の関連を教えて頂けますか。

「月刊美術でも各々のオークション会社ごとに営業担当が違うんです。自分の広告主だからオークションにも行きますが、彼らは取材記事は書きません」

・・・広告を出しているわけですからいい事しか書かないですよね。

「営業担当から随分文句をいわれました。『そんな厳しい事いわないでもっとがんばったと書いてよ』 と、それは当然あります。その為に外の人間がいいんです。
『清水はもう10年以上オークション記事を書いているから、彼の判断だから僕らはいえないと』 そういうガードも張れますし、そういう事が必要なんです。全部編集部内でやるのはまずい部分があるんです。ただ今は広告が入らないと厳しいですからね」

・・・でもヨイショばかりしていたら飽きちゃいますよね。

「月刊美術はまともにやっているように思いますが、それでもそう見られますからね。広告と記事が同じ図版で掲載されるのは最低限避けなくてはならないですよ。
例えば下に広告が入って上に記事が入る場合がある。最初からタイアップとして、『ここは売り込む為の場所ですよ。その為にお互い協力しましょう』 と、そういうページですよとうたっているなら問題はないんだけれど、報道記事とそこら辺ゴチャゴチャになってしまう。
僕のはあくまでも報道ですから。報道だから図版引用も許されるわけだし、今は著作権の問題も厳しいですからとらなければいけないけれども、どこまでも報道として解釈してもらっています。

 ただオークションが目立つんですよね。世の中景気が悪くなると数字が・・・あそこだけ動いているわけだから。
 実際に今年はオークション9社で総計が140億くらいになると思うんですが、去年は105億くらいですか総計が、その総計だって出しているのは僕だけですから、毎月20数冊オークションのカタログが送られてきて全部チェックするわけですからね」

・・・たいへんですよね。オークションの数字を見るだけで疲れるのに。

 「取材を終わったらすぐ忘れるようにしています。ただ原稿は基本的な点や重要な点はメモしますけどね」

・・・そうすると普通の展覧会を見て歩いて取材するのと同じ事なんですね。

「そうです。それと個人的には喜びはありますよ。値段とは関係なしに、この人がこんな作品を描いていたんだと、素晴らしい作品との出会いがあるんです。取材記者は最初の鑑賞者ですから楽しまなければ損じゃないですか」

・・・なるほど。そういう見方も面白いですね。納得できました。

「そうじゃなければ数字だけ追っかけても続かないですよ。ですからオークションでの出会いとか、自分で気になった作品を少し語ってみようとコラムを入れてます」

・・・以前下見会に行った事があるんですが、私はどうしても値段とかキャプションとかばかり見てるから疲れちゃって。絵をモノとして見てしまうような気がして絵と対話出来なかったんです。

「僕はカタログを見る時はモノとして、仕事として見るけども、絵を見る時は仕事というよりも、いいもの、気になるものを見ようと心がけます。だから自分なりに分けますね。そうじゃないと続かないですよ。それにオークションは雑誌に出てくるのは数字ですが、その裏には人間的駆け引きがありますからね。今はそこまで紙面を作れない状況がありますよね」

・・・なるほどね〜。ところで変な質問ですが、フリーの美術記者の収入はいいんですか?

「食べられません。本当に食べられません。ですからある意味何でもやります。何でもやるといっても限界があるけど・・・名刺も取材編集と美術記者の二つありますよ」

・・・後悔はありませんか?

「好きな事をやっているから後悔はないです。でも食べられないから家族には申し訳ないと思っています。ですから家事は手伝いますよ」

え! 凄いですね。 どうもありがとうございました。

洋画、日本画、現代美術・・・人それぞれ見方が違う。百人に聞けば百通りの答えがあるから難しい。

「芸術の分野は皆そうです。専門バカになってはいけないと思います。僕自身の肩書きは美術記者とつけています。似たような事はしていますが、ジャーナリストとはつけません。僕自身が新美術新聞出身なので、理論よりも足で叩いて現場を歩いて来たという感覚が強いんです。一つひとつ追っかけていけば色々な情報が入って来ますね。それの積み重ねです」 と、清水さん。

積み重ねれば見えてくるものがあるのかぁ。オサルスには、まだまだ色々見えてくるには道のりが遠そうです。

「昔解らなかった事が何十年も経てば解る事ってあるじゃないですか。昔書いたモノを見ると、俺も青かったなって、あんな事を聞いていたんだなと思いますよ」

本当にそうですね。オサルスも振り返って見ると、恥ずかしながらという感じです。
でも今までたくさん積み重ねては来たものを、無駄にしないようにガンバルっきゃないよなぁ〜。

 

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