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オサルスのおすすめランチ ランチdeチュ その113

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アドリア海風ボンゴレパスタ(サラダ・ドリンク付き) 850円

TAIAN
横浜市磯子区東町18-10 NICハイム101 TEL045-758-2313
ランチ11:30〜13:30(日曜・祝日は休み)

 JR根岸駅から歩いて3分のイタリアンレストラン TAIAN は、大安吉日の大安なのかと・・・オメデタイオサルスは思いこんでいたのです。ところがネットで検索してみると千利休の茶室『待庵』から取った名前とか。
『一期一会の心を大切にしているお店です』
と紹介されているではありませんか。オマケに【一期一会】(イチゴイチエ 一生に一度会うこと。また、一生に一度かぎりであること)の意味まで書いてある。アチャー!

折角、上野の森美術館の学芸員の坂元さんに、お薦めのランチのお店を紹介して頂きながら、お店の名前の由来を聞いてこないオサルスに 『この迂闊者め 』 とお叱りの声が聞こえてきそう。

 まあ! 由来は聞き損ねたけれど、こだわりはゲット
『素材にはこだわっています。調味料に固形コンソメとか市販のブイヨンは使わずに、スローフード(安全な食材を丁寧に調理しゆっくり味わうという)を大事にしようと、だから添加物が一切入ってない手作りのブイヨンを使っているんです。お店に来てもらった時くらいはちゃんとしたものを食べてもらいたいですね。』
と Chief FUKUNAGA さん。

 スローフードという言葉は最近よく耳にするけれど、要するに 地域で取れた旬の美味しいものを食べ、気持ちのよい環境で暮らす事じゃないかと、当たり前の事が当たり前に出来ない事が不思議。不思議といえば美術館も自己評価をしなければいけない時代に突入、いかに観客を動員し、いかに楽しませるかが評価の基準になってきたらしい。文化に対する誇りや豊かさがそれで育つのかな〜?
ただ美術館と一口にいっても運営方法で個性も様々、これから少しづつ現場の学芸員の方にお話をお聞きできればいいな〜と思っています。

今日は上野の森美術館の学芸員の坂元さんにお話をお聞きしました。

・・・定番の質問ですが、何故美術を選ばれたのでしょうか?

 「美術は子供の頃から好きでした。大学ではピエロ・デラ・フランチェスカを専攻してたんです。将来は学芸員になれたらいいなとは思っていましたが、卒業時は採用がなかったので別の会社に就職しました。でも仕事が合わなくて転職しようと思っていましたら、たまたま箱根の彫刻の森美術館で求人を募集していて、もう勤めて15年強です」

 ・・・上野の森美術館は財団法人日本美術協会ですよね。箱根・彫刻の森美術館とどういう関係があるんですか。

 「上野の森美術館は、財団法人日本美術協会美術展示館の設備を一新して昭和47年4月に開館したんです。財団法人 日本美術協会は明治12年日本で最初に設立された美術団体ですが、いまは箱根・彫刻の森美術館や美ヶ原高原美術館と同じで母体はフジサンケイグループなんです」

・・・私は平成5年の「ニューヨーク近代美術館展」を拝見したのが初めてなんですよ。今まで上野の森美術館の印象は薄かったというと申し訳ないんですが・・・特徴を一言でいうとどういう。

「改修工事の前は、大きな美術品を置けるような空間ではなかったですし、主に書道展や日本画の展示をしていました。1993年に今の建物になったんですが、特徴ですかそれは難しいですね。
年間の半分は貸し会場をしてまして、もう半分がフジサンケイグループと組んだ自主企画展や上野の森美術館大賞展、日本の自然を描く展、VOCA展などです。それに年に1回フジサンケイグループと組んだ国際展の企画が入っています。ですから一本筋が通っているかというと疑問に思われて印象が薄いのかもしれませんね」

お待たせしました。今日のランチは三種類、そのなかから・・・。
平目のポアレ・自家製コンソメ仕立て(パンorライス ドリンク付き 850円)
アドリア海風ボンゴレパスタ(サラダ・ドリンク付き 850円)

こちらのお店は、以前坂元さんが根岸に住んでいらした頃からの馴染みのお店。今年の7月で8年目。
Chief FUKUNAGA さんに根岸を選んだ理由をお聞きすると
『家賃が安かったから、自分で出来る範囲でやりたいと思って』
と、無理をしない生き方、スローフードですね。

坂元さんが平目のポアレをオサルスがパスタを注文。

平目のポアレは平目をフライパンで焼き、その上にお薦めの自家製コンソメをかけたもの。
お味は如何ですか。

「さっぱりして美味しい。こちらは何でも美味しいですよ」

パスタは生のトマトを使っているからサッパリ感とパンチの効いた香辛料が食欲をそそります。この量でこの値段は嬉しい。ずっと美味しいパスタが食べたかったので満足です。

・・・レストランは美味しくなければお客さんは来ないけれど、美術館は美味しそうなものばかりをやって行くわけにはいかないというか・・・集客力を追えば解りやすいものの方がいいでしょうし、今の美術館のあり方は難しいというか。

「展覧会は人に来てもらわなければ成立しない世界ですから、来てもらわなければどうしようもないんです。でも集客力のあるものとラディカルなものとを組み合わせられるのが理想的ですね。
人が見に来てくれて経済的にも余裕が生まれて、そのお金で集客力を気にしないで新しいものを提示できれば、それを組み合わせられるのが理想ですが、なかなか到達するのは難しい」

・・・上野の森美術館というとVOCA展のイメージが強いんですが、上野の森美術館大賞展とVOCA展とどちらが入館者数が多いのですか?

「VOCA展の方がちょっと多いですね」

・・・そうなんですか。逆かと思っていました。上野の森美術館大賞展は今年で22回目、22年前は公募展の勢いが強かったから入館者数も多かったのではないですか。VOCA展は今年で11回目、この二つを比べても美術の動向は随分変わってきたように感じますが。

 「上野の森美術館大賞展は公募展系の作家が審査をしていますから、以前はそれなりの影響力があったのだと思います。ひとくくりに現代美術といっても違うんです。作家達がどのくらい意識しているか解りませんが、捉え方の問題はありますね。
実際上野の森美術館とVOCA展の両方に出品していて発表できる機会があれば両方出したいという人もいるし、自分のポリシーで公募展に出すのが自分の生き方に合わないと思っている人もいます。今は公募展に共感しづらくなってきているのは確かもしれません」

 ・・・私は学生時代に思っていた絵画と今の絵画があまりに違うから未だに面食らっているんですが、でも90年代後半になってそういう分け方では無くて、あれもありでこれもあり不確かなものを手探りで見ていく。そうか美術は生き方なんだとちょっと悟ったというか。だから多様性があるのはもっともで、そのプロセスというか痕跡を見ていかなきゃと思うようになりました。

「いわゆる現代美術を選ぶ事になったら、何を描くかはもちろん重要だけれど、その人の姿勢が重要だと思うんです。生活して収入を得る行為を含めてその人がそういう生き方を選んだ時が現代美術だという感じはしています」

・・・なるほど。ところで上野の森美術館大賞展には常陸宮親王殿下がいらしてましたよね。何故VOCA展にはいらっしゃらないのですか。

「呼んだ方がいいですか。」

・・・いえいえ冗談です(笑)。来られたら面白いと思うんですけどね。上野の森美術館大賞展は絵画だから平面ですよね。VOCA展も『現代美術の展望―新しい平面の作家たち』と平面を強調してますよね。平面という言葉だけ取り出してみても従来の平面のあり方と今現在の平面の捉え方が随分違うように思うんです。

「VOCA展は94年に始まったのですが、それ以前の80年代には絵画よりも立体とかインスタレーションとかが盛んで、当時は絵画を見直そうという機運がありました。
捉え方としては一つには純粋な平面上での絵画。またもう一方で平面といっても絵画だけではなくて立体に近いものもあるし、インスタレーションに近いものもある。ですからもっと実験的な面白いものが出来るんじゃないかという期待があったのではないかとも思うんです。その二つの期待があるものですから実行委員のなかでも意見が分かれていまして、ハッキリしたコンセンサスがとれていないんです」

・・・シンポジュームを聞いていても難しいと思いました。推薦委員の方は36人いるんですか。

「限定されているわけではないですが30数名が丁度いい人数なんです。館に規定最大の大きさのものが置かれるとしたら30数点が限度なんです」

・・・委員長と実行委員はあまり替わらないけれど、推薦委員は大幅に替わるんですか。

「実行委員は替わっていませんが、去年から賞を選考する選考委員をかなり替える事にしたんです。実行委員のうちの二人が選考委員になって、それ以外の三人は実行委員以外から選んでいます。それで多少選ぶ側も若返って違う意見も入れるようにしているんです」

・・・推薦委員は地方の方が配分されているのに、選ばれた方は東京で活動している作家が多いような気がするんですが。地方は地方で選ばないんですか。

 「東京で見ている作家が多いかもしれませんね。推薦委員は北海道から沖縄までお願いしているんですが、そうはいっても東京周辺に固まってしまう傾向はありますね。ジャーナリズムも東京に集中してしまうし、でも地方の推薦委員は、なるべく地元の作家を推薦しているんですよ」

・・・坂元さんも推薦委員をされていますが、情報はどのように、ご自分のなかで選ぶ基準はなんでしょう。

 「情報誌やDMで見に行く事は多いですね。基準は言葉にするのは難しいです。好みもありますし」

・・・去年の坂元さんが選ばれた秋山さやかさんの『あるく』という作品は面白いと思ったのですが。

「先ほどVOCA展の捉え方にも二種類あるとお話しましたが、一つには純粋に絵画として捉えようとしている人達。もう一つは平面の中でもコンセプチュアルな部分で新しい試みを展開していこうとしている人達。私はどちらかというと後者に惹かれます。
秋山さんを選んだ理由は、絵画をどうこうというよりも、彼女が地図を使って実際行動した軌跡をステッチで辿っていく行為、はじめは一見コンセプチュアルな動機から出発しているのに、オリジナリティーのある作品として成立している点なんです。それが面白いと思いました。
ですからどういう風に作品を捉えているか、どういう風に作っていくか、どういう風に社会に向き合っているかとか、根源的な所からはじめている作品に惹かれますね。選ぶ基準はそういう事かもしれません」

・・・なるほど。今までのお話をお聞きしていますと、上野の森美術館というのは、変ないい方かもしれませんが、場を作る部分が大きいような印象を受けました。

「上野の森美術館は場所がいいので、ポテンシャルはあると思うんですよ。それを上手くいかせていないのが残念というかもったいないというか・・・もっと色々出来たらいいなと思っています」

・・・そういえば坂元さんは 「アートリンク上野-谷中」 にも関係しているんですよね。今年は行きたいと思っているんですが、地図を頼りに歩くのが億劫で。

「上野から谷中までは歩くと近いですよ」

・・・「アートリンク上野-谷中」 は、町おこしか何か切っ掛けがあってはじめられたんですか。

「町おこしというより美術館おこしですね。97年に以前の同僚が始めた企画ですが、元々色々あったんです。美術館にいながらそんなに自分がやりたい企画が出来るわけではないので、それに上野には現代美術をやっている美術館があまりなくて、自分たちがこの場所で何が出来るかと考えた時に、谷中にも現代美術のギャラリーがあるのでそれを結んでいけば何か新しい事が出来るんではないかと思い始めました。
一番最初に赤瀬川さんと中村政人さんの展覧会をしまして、話題にもなりましたし、一つの活路として開けたんです。今年で八回目になります。谷中の方でもギャラリーだけではなくて個人で参加して来てくれる人も増えてきましたので、毎回メンバーが少しづつ入れ替わって続いているんです」

・・・それは美術館に制約を感じていらっしゃるという事でしょうか。

 「制約というのは何処にでもあるものだと思います。むしろ制約だらけです。うちの美術館の場合は採算があうのが前提にありますし、なかなか自主的な新しい企画は難しいんです。ですから出来るだけいい展覧会を選ぶという事と 「アートリンク上野-谷中」 のように美術館の外を使ってがんばるという事でしょうか」

どうもありがとうございました。

TAIANのシェフが話しておられたスローフードの由来は、1986年、イタリア北部で『ゴーラ』という食文化雑誌の編集者が、イタリア余暇文化協会(ARCI=アルチ)という団体の中に、『アルチ・ゴーラ』 という美食の会を作ったのがきっかけだとか。
ローマにマクドナルドのイタリア第1号店が開店したのが話題となり、メンバーの一人がファストフードから発想して 『スローフード』 とつぶやいた事からこの言葉は生まれたのだそうです。
  確かに今の時代はスピードに束縛され、花屋さんで見る花でさえも季節が先取りされて、年々早く咲かそう早く咲かそうとしているよう。美術も流行を追えば、切っ掛けは早くつかめるでしょうが、持続していくのがたいへん。何事もゆっくりじっくり考えていくのがいいのかもしれないな〜。何ていいつつ更新に追いまくられる毎日なんだよねぇ。

上野の森美術館 http://www.ueno-mori.org/

アートリンク上野-谷中 http://artlink.jp.org/

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