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オサルスのおすすめランチ ランチdeチュ その114

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フィッシュ&チップス 630円

ITALYAN CAFFE CORSO PANTHEON 101
東京都多摩市落合1-44丘の上プラザ  TEL042-338-2277

 多摩は新撰組の近藤勇や土方歳三の故郷だとか。今までオサルスのなかでは新撰組のイメージはあまりよくなかったけれど、三谷幸喜マジックなのか、凄いパワフルな集団に変身? 今年のNHK大河ドラマは期待できそう。

まあ! そのドラマを見るまでもなく、多摩の人はパワーがありそうだというのを実感したのは・・・。
アイ・シー・アーツ・ドット・コム・メール・ニュース(http://www.i-c-arts.com/)を送って頂いてから。
今日ご紹介するアーティストの大谷有花さんは、たまたまの多摩っ子ではなくて生粋の多摩の生まれ多摩育ち、大学はもちろん多摩美術大学大学院を卒業という方。

 I.C.Artsというのは、Directorの太田さんが運営されている全部丸ごと大谷有花さんのウェッブサイト。
作品の管理や展覧会のインフォメーションなどがきちっとしていて、大谷さんの事が丸ごとわかってしまうサイトです。
だからほとんど質問する事がなくなってしまったんですよ。それに先日 『四批評の交差-いま、現代美術を問う』 展 のトークショーまで見てしまったからなぁ〜。今日はこのパルテノン大通りの左側、イトーヨーカ堂の一階にある ITALYAN CAFFE CORSO PANTHEON 101 で大谷さんと待ち合わせしたのに、困ったなぁ。

 でも若い作家に Director がついてマネージメントするというのは、外国では多いと思うけれど、日本ではあまり聞いた事が無い。何故マネージメントを必要とするのか大谷さんに伺うと・・・。

 「環境を整えていかないと作品にそれが出てきてしまうからです。これから色々な難題にぶつかるかもしれないから環境は整えたいですし、それにプロ根性がまだまだですから、あまり自由が効きすぎないようにお尻を叩いてもらって(笑)。
自由が効き過ぎちゃうと凄く作品の点数が減ってきちゃうというのがまだあるんですよ。Director の太田さんはプロ根性のあるメジャーな作家ばかりを見てきているからシビアなんです。

 それに今までのように海外からの逆輸入的なものに頼るのではなく、これから日本で作家を発掘していくような場合は、やり方を変えなくては伸びないのではないか・・・きちっとマネージメントする事によって海外流出やセカンダリーで売れる事も防げるのではないかという意見もあります。だから作家の作品を社会に対してきちっと保存していく為にもアートマネージメントは絶対必要だと思うんです」

 ・・・以前ある作家のマネージメントをしている人にあった事があるけれど、マネージメントをしている人が、アートプロデューサーという肩書きで本を出していたりご自分で色々活動をしている方だったから、作家に対してどうなのかなと思った事はあったんですけどね。

「確かに成り立つようにしていくのは難しいと思うんです。画廊も作家も両方潤うようにしていく労力は凄くかかると思います。それに自分にも責任が掛かってきますから、でも副職をもつよりはいいと思うんですよ」

・・・ん〜。なるほど。確かに作家も雑事や事務に追われれば作品にも影響するだろうし、描いていくためにはお金が必要になるだろうし、作品管理の面でもきちっとしなきゃいけないし・・・アートマネージメントかぁ、詳しくは Director の太田さんに次回お聞きするとしましょう。

・・・さて、ここで (http://www.i-c-arts.com/) を見ていない方の為に少し作品の説明を補足しながらお話を聞かせて下さい。
トークショーで 『記憶』 という題名のインスタレーション、小さな扉の箱を多摩美術大学の廊下の非常口の大きな扉の前に設置し、大きい扉は未来の予感のするようなもの、小さい扉は自分の過去を表していると話されていましたが。
あの小さな扉から聞こえてくる 『昭和何年何月何日にアレグロを弾きます』 という可愛い声がとても印象的でした。まあ、それよりもちゃんとピアノの練習曲が弾けているのに驚かされたというか。

「ピアノを習ったのは三歳くらいからなんです。機械が面白くて自分の歌った歌やピアノの練習曲を自分で録音したんですよ。ピアノの他にクラシックバレーも習っていました」

・・・へぇ。でもピアノにクラシックバレーならば、音楽大学に行っても良かったんじゃないですか。 何故美術大学を選ばれたのでしょう?

 「美術を選んだ理由は一番好きだったから、好きなものは習わなくてもいいじゃないですか。だからお絵かき教室には行ってないんです。小さい時はテレビや本を見たりして、ほとんど家で工作してました。ピアノやクラシックバレーにしても基本的にはかたちが決まったものという気がしてたんです。
それに教えてもらっていたから自由が無い気がして。ピアノはコンクールで鍵盤を一つ間違えただけで駄目なんです。昨日まではちゃんと弾けていたのに、ちょこっとミスをしただけでもう駄目なんだと幼心に思ったというか」

 ・・・なるほど。少し話を戻しますが、多摩美術大学のあの場所を使った理由は、直接的に思いこみのあるものを使う事で大切に思えた気持ちが蘇ってきたからと話されましたよね。そこが現在と過去が繋がった場という事なのかな。
結局あの小さい扉から大きい扉に向かうパースがその後の 『キミドリの部屋 』 を描く切っ掛けになった。 キミドリは子供の頃のユートピア的な色としてご自身の部屋のジュータンの色から自分の過去の時間の思い出を作ろうという事で使った色。この頃がインスタレーションから平面への移行期で、絵画を移動できる空間とみていて、それで絵画の良さに気がついたという事ですが・・・。『キミドリの部屋』 の奥の空間もやはり未来なんでしょうか?

「未来だと思います。でももしかするとそうじゃないかもという気持ちもあるし、基本的には人の前で話す時は、ある程度きちんとわかりやすく話した方がいいという事で、自分に折り合いをつけて話している部分もあるから、本当はどうかなと思ったり変わったりする時もあるんですよ。本当はこうじゃなかったんだみたいな・・・」

・・・先日のトークショーでは凄く図式的に話しておられたから、きちっとした図が頭のなかにハッキリあるのかと結構驚いたんです。

「あまり図式化しない自分だから、そういうのが得意じゃないから、そこを欠かさないようにしています。解りやすい図式を求めるのはそれがないとあまりにも自由すぎて、自分に規制している部分もあるんですよ」

・・・自由といえばトークショーで、大谷さんのドローイングは、自分に入ってくる色々なイメージの情報を削ぎ落とすように描いて描いて・・・その中から出てきたシンプルなものを油絵にするという事でしたが、ドローイングから油絵にする段階でプツと切れてしまっているような感じを受けたので、その移行の仕方がよくわからなかったんですが。

「ドローイングはこれからの絵のヒントなんです。今描いているドローイングは未来の為、現在描いている油絵は過去のドローイングから出来ているんです」

・・・。今までお話していて、大谷さんの作品のなかには過去・現在が混在としていて流れが行きつ戻りつしながら形成されている。その関係性を自分で把握して作品を制作している。その前向きさが凄いですね。

 「常に頭のなかにその事ばかりありますね。あれとあれが繋がっているのかとか、これとこれはこうだったんだとか。何かを作っていてその時はそれが重要だと思っているんです。
それは意識している自分、でも無意識の部分でそうじゃないものを要求しているんです。その無意識の部分の意識化というか、意識していない部分をドンドン解明していくのが楽しいんですよ」

・・・それは解るような気がする。

「だから前向きとかいうのではなくて一番作り手が楽しんでいるんです。特にドローイングの場合は全然わからないものを自由に一杯描いている。それがある時点で 『そうかとこういう事だ』 とわかるんです。そのわかった時にキャンバスに描くというか」

・・・発掘作業なんですね。

「そうです。発掘作業がドローイングで、段々導き出してくるというか。何気なくドローイングを見ているうちにこの形がよく出てくるなとか気がつくんです」

・・・それは意識の部分と無意識の部分が対話しているという事なのかな。

「現実とイマジネーションの世界が両方あるからパワーが出るという解釈なんです」

お待たせしました。
おまかせソーセージ(735円)とフィッシュ&チップス(630円)とランチのチーズとトマトのスパゲティー(945円)です。

「ここは 『四批評の交差-いま、現代美術を問う』 展 (多摩美術大学美術館) の時に、何回か打ち合わせに来て美味しかったのでお薦めです。おまかせソーセージは手作りでボリュームがあるし、フィッシュ&チップスは高校生の時ニュージーランドにホームステイをしていたんですが、とても食べやすくて美味しかった思い出があるんです」

 こちらは、まだ開店一年目の若いお店。CORSO の由来は並木道という意味、パルテノン多摩への並木道といった意味だそうです。ドイツ仕込みの腸詰めはピリとしていて美味しい。イギリス生まれのフィッシュ&チップスはカリカリしてフィッシュに骨がないから食べやすい。もう一品生ハムなど注文してアイルランドのギネスビールを飲みながら話が聞ければ最高だったでしょうが残念でした。

 店長の青木さんにこだわりをお聞きすると
『コーヒーとソーセージにこだわっています。コーヒーはシチリアの焙煎家から送られてくるもので、ネルドリップ方式です。エスプレッソマシーンも、シチリアの小さな町工場でつくられたものです。世界各地の本物の味を紹介することを通じて、地域の食文化に貢献したいという気持ちでやっているので』
というメッセージを頂きました。

・・・ここでちょっと現実の話に移行しようと思いますが、作品はかなり売れているとお聞きしました。売れるという事を意識した時に迷いは生じませんか?

「基本的には、こういうのがいいなとかああいうのがいいなと、自分のなかから本当に出てきたものは誰かわかる人が出てくると思うんですよ。根底の部分ではみんなが共通する部分があるという気持ちが私のなかにあって、だから好き嫌いではなく何かいいよねとか、何か引っ掛かるよねというのが、ずっと突き詰めていけば意外と共通項があって、それがみんなに受け入れられるという事があると思うんです。
それがもしかして購入欲につながるのかとは思うけれど、表面的な部分で売れる絵とか売れない絵とかになると、意識というよりは・・・だって 『キミドリの部屋』 は売れるなんて思って描いていないですから、最近大きい作品を購入してくれる方もいるんですよね。でも、『え! 買う人がいるんだ』 とこっちが驚くんです」

・・・私も共通項がないものは長くは続かないと思うんです。特殊なモノはもて囃されるけれど長くは続かない。本江さんが 『キミドリの部屋は、一見モダニズム絵画の究極』 だと話されていましたが、大谷さんの作品にはその共通項があると思うんです。それにたまたま描いた作品が売れてしまったというのもわかる。でも売れなければ生活出来ないわけだし・・・それを積み重ねていくとプレッシャーにならないかなと?

 「今まさにそのさだなかというか。生活する上での仕事として大切なのはわかっているから、売れていくのは必要だと思うのだけれど。それとは別の次元というか・・・それをポジティブに、どうやって感性の力にしていくかをこれから考えていこうと思っています。

 変な話だけれど、みんな死ぬじゃないですか。小さい頃からそうなんですが、死ぬという事を意識すると安心するんです。安心というと誤解があるけれど、死ぬ事を考えれば周りで起こっている嫌な事や何かでも大した事では無いという話になるじゃないですか。
有名になった人も無名な人も、苦労した人もがんばった人も、いつかは居なくなってしまうんだと。そういう風に考えると色々な事が “大した事ではないや” と思えて、だからあまりにも嫌な方に意識が傾いてしまいそうな時は、それが自分のパワーになっていくような安定感の取り方をします。
例えば今回作品が売れた事で、表現は変わっていくかもしれないけれど、ある程度意識に余裕があればいいんです。でも意識するものが執着になると駄目なんですよ。それが執着に変わると危険なので戻すようにしています」

・・・すごくバランスの取り方が上手い方なのがよくわかりました。ただ先日の六本木の個展を拝見していてプレッシャーがあるんじゃないかなとふっと思ったものですから。

「六本木の個展で、はじめて外部を意識したんじゃないかなと思うんです。今まで美術館で発表してきて、さあ個展だとなった時に、今度はギャラリーだから目的として売るという事がひとつあるじゃないですか。だから美術館とは別に考えたいという気持ちがあったんです。
美術館というのが私の制作の実験の場であるならば、ギャラリーはもう一歩おいてお客さんを意識したうえで・・・何処まで結果がでるか試してみたいと、一回一回の展覧会で何か新しい試みを決めるんです。今回は売れるか売れないかという事を自分のなかのターゲットにしました。ここで結果を出せたならば次のものが見えてくるし。
ちょっと区切って考えているところがあります。それに今回の六本木の展覧会は美術館で私の作品を見た方から作品を購入したいと作家冥利につきる言葉を頂きました。それで一度空間構成に拘らずに、そこでのお客さんとの対話とか買うという事に対しての接点を持った時、自分がどう思うかを検証したい気持ちがあったんです。購入して下さった方が多かったので凄く驚いたし嬉しかったです。

 次の文化村のグループショーは、美術館と画廊の中間のような位置感が私のなかにはあるから、そこでもっと新しいものが出せたらいいなと考えています。それには苦しまなければいけないと思っているんです」

・・・絵を描くのは苦しいですか?

「すごくいいと思うときと逃げ出したいときと、私の作品で 『想ねずみ』 とか 『突進ねずみと逃亡ねずみ』 とかあるじゃないですか。やたらリラックスしていてよさそうな感じの時とそうじゃない時とあるんだけれど、絵を描いている時はそんな浮き沈みが激しい感じです」

・・・最後にこれからはどうでしょうか?

 「当面の目標としてはアトリエを確保したいんです。絵を続けていく為にも環境を整えて寝泊まり出来るアトリエが欲しいんですよ。プロだという自覚をもってやっていきたいですから」

ありがとうございました。

 いま大谷有花さんは27歳なんですって、とても前向きなしっかりした女性です。オサルスが同じ年の頃は、しっかりどころじゃ無くて 『うっかり』 していたから今は 『がっくり』 しているんですよ。
大谷さんが20年後にどうなっているのかこれから楽しみですね。20年たったらもう一度インタビューさせて下さいね。それまでお互い歯をしっかり磨いて丈夫にしておきましょう。いざという時に奥歯を噛みしめて踏ん張らなきゃいけないものね。

大谷有花 展 2004. 5/8-29  GALLERY MoMo 東京都港区六本木6-2-6 サンビル第3・2階

アイ・シー・アーツ・ドット・コム http://www.i-c-arts.com/

『四批評の交差-いま、現代美術を問う』 展 http://www.gaden.jp/info/2004/040418/0418.htm

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