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オサルスのおすすめランチ ランチdeチュ その116

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カニクリームコロッケ
(スープ・パンorライス・コーヒー付き 950円)

グリル シャトー
東京都中央区八重洲1-6-14 TEL03-3271-7665
ランチタイムAM11:30-15:00

「編集部にオサルスのグルメ情報記事の反響が結構届いてますよ。なかなか好評ですぞ」と、嬉しいメールを送ってくれたのは月刊美術の下川さん。月刊美術7月号に『ランチdeチュ出張版』を掲載してくれたんです。記事は原稿用紙で八枚分くらいなんだけど、普段原稿用紙に書くことなんてないから四苦八苦。
でも、まあ、好評といわれると嬉しい限りです。こういう少しでもお金になる仕事が入ると生活も楽になるんだろうけど。世の中にはプロのライターの方がごまんといるわけだから、オサルスくらいじゃお呼びじゃないよね。
「だってオサルスは、そのまんま全部書くだけじゃない」と、下川さん。ん〜確かに。こりゃまた失礼しました。

今日は月刊美術の編集員の下川拓郎さんにお話をお聞きしました。月刊美術を退社した方には何度かお話をお聞きした事があるんですが(お忘れの方はこちらをご覧下さい。http://gaden.jp/info/2003a/030723/0723.htm http://gaden.jp/info/2003a/030411/0411.htm )現役の方は初めて。でも月刊美術は割と年配の方の読む雑誌だから、下川アスリートと雰囲気が違うように感じるんだけどね。
下川さんは何故月刊美術に入社したのかなあ、聞いてみましょう。

 「大学を卒業して、大学院を受けようと思っていたら、当日に39度の熱が出てあえなく撃沈してしまって。雑誌関係の仕事を探していたら、父がグラフィックデザイナーで、月刊美術の仕事をしていた関係から、取り敢えず受けてみたらと勧められて採用に」

・・・何年目ですか。

「丸六年目です」

・・・でも下川さんは月刊美術の編集者っぽくないよね。

「その今のせりふはどういう風に聞けばいいの」

・・・私は美術雑誌は値段が高くて買えないから殆ど読まないの。今回久しぶりに読んで、昔、10年前くらいに読んでいた頃と全然変わってないから驚いたんですよ。広告も富士山やら花の絵やら変わらないよね。

「スポンサーさまさまですよ。それに以前と大きく変えないようにしているんです。それは一つの安心感だから」

・・・あ! そうなんだ。予定調和という事ね。そういえば作品を○○詩情性とか○○叙情性、○○気韻とか○○音色やらという言葉の切り口に当てはめていく、落としどころがきちっとあるものね。でも三十代前半で予定調和のなかにいるのは窮屈ではないですか?

「例えば若い年代は若い年代なりの予定調和が無いという事を含めて予定調和的だったりするわけですよ。逆に上の世代の予定調和的なものとか、ある程度色々な事をやってきたんだけど、こういう王道がやはりいいかなと思えるような事とか、そういうのが逆に新鮮なんです。それに一概に否定出来ないじゃない。」

・・・否定なんてしてないよ。

「若い人達から見れば、上の世代の団体展の降着状況とか、いつまでも自家発電的にやっている姿はつまらないとは思うのですけど、そのなかでも色々面白い部分とか立ち上げ当時から、それこそ変わらないコンセプトがあったら、それは知っておいた方がいいし、知らないで、これはつまらないから駄目だという先入観でものを見るのはもっと不味い事だろうというのを、ある時から思って今まで来てますけどね。それに美術でなくても、今、飛び出して何かやっていくのは、勢いがつかないから、それなら吸収出来るものは吸収した方がいいだろうという気持ちはありますよ」

・・・凄い堅実ですね。

「年寄りくさいといえば、年寄りくさいかな(笑)」

お待たせしました。カニクリームコロッケ(スープ・パンorライス・コーヒー付き 950円)とシャトー風スパゲッティー(スープ・サラダ・コーヒー付き 1100円)です。

下川さんのお薦めランチは“グリルシャトーのカニクリームコロッケ”、一日限定15食だけという逸品です。

こちらのシャトーさんは、東京駅の八重洲口から歩いて2ー3分ほどなんだけど、場所を説明するのが難しい。丸善に向かって、本間ゴルフの手前を右に・・・細い路地の奥。
こんな所にお店があるの? と半信半疑で右を見ると緑に囲まれた入り口が、フランス風というよりはスペイン風の佇まいかな。ここにこういうお店が1961年から営業していたとは知らなかったなぁ。なかに入るとかなり暗い。
ね! 下川さんの顔も暗いでしょ。この照明の暗さじゃランチを食べたあとでお昼寝も出来そう。調度品はパリのノミの市で調達してきたものだそうで、何とも落ち着ける雰囲気を醸し出しています。

さて、カニクリームコロッケは如何でしょうか。
たっぷりのタルタルソースをつけてと。さっくりしたころもの中はジューシーなカニクリームソース。美味しい。付け合わせの貝のマカロニも美味だし、どちらかというと昔ながらの洋食屋さんの味ですね。家庭的な感じがして毎日食べても飽きがこないんじゃないでしょうか。かなり穴場ですよ。
下川さんのシャトー風スパゲッティーはどうですか?

「チーズがこってり入っているから濃厚です。元気な時に食べるといいですよ。凹んでる時はつらいかも」

・・・ところで実質購買数はどのくらいですか。

「あんまりいいたくないんだよね」

・・・でも、月刊美術は地方に強いと画商さんから聞いたけれど。定期購読してくれるお客さんは多いんでしょ。

「地方の年配の方が趣味で定期購読してくれてます。そういう変わりがたい部分はあるわけで、そういう部分を相手にしている雑誌でもあるし」

・・・今、平均寿命がまた延びてしまったから、年配者向けの雑誌はいいかもね。

「出版社も最近定期購読の雑誌形態じゃないですか。その方が部数を逆算して作れるから無駄が無くていいんですよね。ラインをコントロールして、何部刷るには、材料費はこのくらい必要で、編集費はこのくらいとした方が効率はいいですよね。定期購読をはじめると大体途中でやめないから、だからうちも定期購読を増やすようにしています」

・・・昔は、美術雑誌はタダで送ってくれたけど。最近はどこも厳しいのかまったく送ってくれないんだよね。

「うちは本の制作は『実業の日本社』におっているから、編集部で材料費のコントロールまで考えなくていいけど。逆に安定しているから部数を伸ばせない問題や拡販作戦をなかなかとれないとか、いろいろありますよ」

・・・月刊美術は創業何年なんですか。

 「30年くらいですか」

・・・ああ、じゃ私は最初から読んでいたんですね。でも美術界は今厳しいですね。思い起こせば昔は美術もお金が動いていたように思うんだけど。それは日本画の画商さんが強かったからなのかなぁ。今は皆渋いよね。現代美術はボランティア的な活動じゃなきゃ駄目みたいな感じがあるし。まあ、私もボランティアでやっているんでしょ。と必ず言われるから、最近は開き直って、一生ボランティアだと思ってますけどね・・・。

「そうですか。確かに渋いですよ。僕は元々現代美術が好きで、今でも好きですけれど、現代美術につきまとうあのロジックが鬱陶しかったりとかして、最近は興味ないんですけどね。例えば日本画商であれば、古典的なお付き合いの社会の部分があったりするからやりやすいわけですよ。
単純にお金の力は大きいし、お金の廻る所には儲かろうが儲かるまいが、色々ありますから遊びに行きますよ。でも現代美術の所は、金銭面を含めた発展的な事がまず出来ないだろうと思ってしまうと、僕たちも時間が限られているからどうしても足が遠のいちゃうんです。しかも銀座にないしね」

・・・なるほどね。

「ただ、金銭的なお付き合いが出来る出来ないは置いといて、例えば今回のバーゼルのアートフェアーをひとつとっても、日本から正式に参加しているのは現代美術の数件の画廊だけなんです。一応というか、美術というのは世界的なマーケットで動いているわけだから、そこの部分はケアーしなきゃいけないだろうと、ここのところそうしようと思ってますけど」

・・・世界的に最新なものを追っかけていっても何があるのかなと思うんですけどね。

「それはそうですが、僕たちは仕事だから」

・・・私が趣味でやっていると思って(笑)。

「リヒターとか若い頃衝撃を受けたし、凄いなとは思うけど。別に最新の美術だからといって、それが必ずしも我々にとって面白いとは限らない。考えている事は違うし、向こうは向こうの流儀で動いているし、向こうは向こうの金の流れで動いている。ヨーロッパ社会からすれば日本は最果ての地なんですよ」

・・・でも逆もいえるじゃない。日本を始点にすれば向こうが最果てかもしれない。

「そんな事いえないでしょ」

・・・私はいいたいけど。

「日本は日本の狭いなかで、ある程度隔離した状況のなかでやっていくのがお似合いだと思いますよ」

・・・本当に壁だらけなんですよね。でも、最近は自分が会える人間は限られているから、壁を乗り越えて会わなきゃいけない部分もあるだろうけど、乗り越えなくてもいい部分もあるような気がする。出会いは一期一会だもの。だからかもしれないけれど。有名な人に話を聞こうとは思わないんだよね。ドンドンマイナーな方向にいっているような気がするというか。多分もっとそうなるかもしれないなぁ。あ! 別に今日がって事じゃないですよ。

 「いや〜。私はマイナーなんだ(笑)」

・・・いやいや、墓穴を掘ってしまいましたね。

「まあ、今、乗り越えなくてもいい部分が月刊美術に出来つつあるので(笑)。それは置いておいても、月刊美術も三十代の人間が何人もいますからやりようによっては変わると思いますよ。別にむりやり繋げるわけではないですけど。
僕は自転車が好きなんですが、美術が好きな部分と結構関わっているのかなと思うんです。特に今みたいな分野にいる美術が好きなのは、自転車と同じで自分の目の前にあって手の届く物だからなんです。
勿論自動車も持ってますよ。よく色々な自動車にも乗せてもらいます。
その上で、最近の自動車はいろいろな技術が投入されていて便利だけど、ダイレクト感がないというか、肌でじかに感じにくいものになってしまっているな、と感じています。ちなみに自分の車はボロなので、かなりダイレクトなんですけどね(笑)。
すべてを自分のなかでわかりえないというもどかしさみたいなものを感じつつ暮らすよりは、自分が実感出来る範囲のなかでやれる事の方が喜びとか幸せとか、或いはつらい事があればダイレクトにくるわけですけど。そういうものと一緒にいられる事の方が好きなのではないかと思っているんですよ」

・・・それは解ります。目に見えないものはリアリティーがもてないものね。

「自転車はいいですよ。壁がないから。ヨーロッパのレースとか見てても沿道で応援してくれるし、山とかだとスピードが落ちるからみんなでガンバレ、ガンバレといってくれる。F1なんてそんな事にはならないからね。自転車レースのスポンサーとかも、国営の銀行とか農協の信用金庫とか個人商店とか、そういう地元密着が多いんですよ。」

・・・納得。最後に秋以降の美術館展で面白いものがあったら教えて下さい。

「大阪市立美術館で8月10日(火)から9月20日(月・祝)まで、『紀伊山地の霊場と参詣道(さんけいみち)』世界遺産登録へ、特別展『祈りの道〜吉野・熊野・高野の名宝〜』を公開します。それと9月17日(金)〜12月12日(日)まで金刀比羅宮で『平成の大遷座祭斎行記念 金刀比羅宮のすべて―奥書院特別公開―』もありますよ。秋以降抹香臭いので面白いのがあるし、マチスやピカソの大きい展覧会もありますよ。」

・・・実は私は、現代美術を見るよりも仏像とか見るのが好きで、場所が遠くなければ見に行きたいな。でも先立つものが無いから、残念。

 「歴史を受け止めてきたぶん、仏像や仏画は、それをどういう見方をしようが許してくれる寛容さがあるよね(笑)」

・・・それはあるね。

「大概ボロボロになっているし、真っ新な感じがしないから気楽だよね」

・・・運慶の作品なんて凄いよね。あれだけのもの今は作れないんだもの。

「昔はそれこそ人間の手で出来る以上の事は無かったから、あれがひとつのその時その気の極限なんだよね。でも今は人間が作れるもの以上の物を、色々な工作機械で出来るじゃないですか。だからちょろっとしたものを作っても、何かつまらないものに見えちゃうんですよ。それが美術がイマイチ面白く見えない原因かもしれない。美術は基本的に一人のものじゃないですか。例えばマスで動いているものは、凄い人間の欲望や思惑が絡まって動いているから、勢いが違うもの。美術はこんなコンセプトがあって素晴らしいといってもフンだものね。致し方ないですよ」

・・・そう。ネットのサイトでも芸能関係は一日100万くらいあるから、うちでは3週間くらい掛かるんだよね。

「結局皆、井の中の蛙っぽくならざるをえないけれど。そのなかで古くさくっても全人的に、その人の全部の人格を含めて生き方が凄いという。そういう風な人が現れれば、今の時代と逆こうする感じで人気がでる。そういっちゃ変だけど。そうほうがいいのかなと。そういう意味で綺麗にまとめちゃうのは嫌ですけど。月刊美術みたいなところでやっているのは意味があると思うんです」

・・・うふふふ。まとまりましたか。

「なんて言ってみたりして。でも人に近いものである事は大事なんです」

・・・それは大事ですね。

「人に近いという事は、人の欲望に近い事とは別ですから、今の世の中にあるのは、人の欲望には近いけど、人に近いとは限らないから」

・・・現代人の一番嫌なところはそれを端折っている所だからね。“人に近いもの”か、素晴らしい名言ですね。最後の締めがまとまりました。流石編集者。でもそれって地味だよね。やはりドンドンマイナーになっていきそうだ。

 「見ている人は見ているし、解っている人は解ってくれる。そういう揺れ戻しがきますから。マガジンハウスから『ku:nel 』という雑誌が出ているんですが人気があるみたい。スローライフというと向こうで出来た言葉だし、押しつけがましいじゃない。日本で生きている庶民レベルの“ゆっくりした本当の暮らし”をしてみたいみたいな、雑誌が売れているわけだから、そういう暮らしを潜在的に望んでいる人はいるわけでしょ。みんながみんなとんがった上を歩きたくないわけだもの」

・・・なるほど。ありがとうございました。

“ku:nel ”という雑誌は、まだ読んだ事がありませんが、食うと寝る 事は人間の基本ですものね。これにほんの少し足りるだけのお金があれば文句がないオサルスです。でもな〜。今年の夏は猛暑にも拘わらずエアコンが壊れてしまったし、やっと直ったと思えば今度はパソコンが使えない。あ〜最悪だ。更新ができないよ〜。こんなことしていて将来食う寝るにも事欠くようになったらどうしよう。不安だ! 誰か仕事くださ〜い。

月刊美術 http://www.gekkanbijutsu.co.jp/

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