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オサルスのおすすめランチ ランチdeチュ その119

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山猿うどん 700円

おかた茶屋
群馬県甘楽郡下仁田町大字東野牧2641-1
TEL 0274−84−2646
http://www.okata.jp/

何か最近太ったような・・・。身体が重いんだよね。
健康診断に行ってみると『総コレステロールが多いですね。気をつけて下さい』と、いわれてしまったのです。まずい! 痩せなきゃ!
原因はランチの食べ過ぎ? 職業病になってしまったのかなぁ。でもランチを食べなきゃインタビューできないし・・・そうだ。コンニャク。コンニャクだったら太らない。
さすがオサルス発想が単純でいいでしょ。
コンニャクを食べに群馬県の下仁田まで Let's go。
何で下仁田かって? 下仁田町はコンニャクの生産高日本一を誇る町。そして彫刻家の上原三千代さんの故郷でもある。
ちょうど一年前の個展(詳しくはhttp://gaden.jp/arts/UEmi.html)のおり、“下仁田−おじい、下仁田−おばあ、の肖像彫刻はカッコつけ屋の自分に少なからず楔を打つ気持ちで作った作品です。”という言葉が気になって、楔を打つというからには決意が必要ですよね。
今日は、彫刻家の上原三千代さんにお話をお聞きしました。

・・・何故彫刻家になろうと?

 「私中学校の時に山岸涼子さんの『日出処の天使』【厩戸王子(後の聖徳太子)と蘇我馬子の長男・蘇我毛人のお話】を読んで・・・知ってますか?」

・・・ええ。

「 大好きだったんです。まあ、それ以前から仏像オタクだったんですが・・・」

・・・山岸涼子の『日出処の天使』と仏像ですか。

「色々な人からインタビューで、この話をするんですけど誰も載せてくれないんですよ。子供の頃は小中校を含めて美術は好きでした。始めは建築家を目指していたんですが、高校の時美術部でデッサンを勉強したら面白くなってしまって、勉強は奈落の底でしたから、段々実技に比重を置くようになって美大に行きたくなったんです。仏像好きだし、それなら彫刻科だろうって・・・」

・・・その後東京芸術大学大学院の保存修復技術専攻科へ行かれたんですね。

「なんせ仏像'sオタクですから。大学生の時から皆が夏休みや冬休みにヨーロッパに行っている時に、お金を貯めて一人で趣味の古寺巡礼。京都・奈良に仏像を見に行ってました。ただ自分が外国に行った時に思うんですが、やはり日本人の欧米信仰へのトラウマはあるなと・・・今もちょっと思うんですが、美術関係の人や学芸員の人達と話したりすると、これは私のある意味偏見かもしれませんが、皆さん外国の事は詳しいけれど意外と日本の事は知らないんですよ」

・・・自分が今いる場所だから知らないとね。といっても私は仏像の印をふむという事がよくわからないんですが?

「私は仏像を見るのが趣味。だから教科書的な見方はしてないので知らないんですよ」

・・・東大寺の仏像を彫る時はどうだったんですか。

「だから大変だったんです。ゼロだから(笑)。勉強しなきゃいけなかったから(笑)」

・・・でも大平武男さんが撮影された東大寺の俊乗堂で重源像を模刻する上原さんの姿を拝見して感動しました。因みにあれは一心不乱に勉強されている姿だったんですねぇ(笑)。

ハイ! お待たせしました。山猿うどん(700円)です。

こちらの『おかた茶屋』は、上原さんのお姉さんのお店。
高崎から上信電鉄(ワンマン電車)で57分。軽井沢方面に向かって、左はかぶら川。右に国道254号線。物語山をのぞむ通称蒟蒻街道沿いのドライブインです。
かぶら川では、6月下旬より鮎釣りも楽しめるとか。ホントに空気が美味しいなぁ〜思わずパクリ!
下仁田といえばコンニャク。オサルスはコンニャク畑を始めて見たけど。コンニャク(Amorphophalus konjac KKoch)は東南アジア、インドシナ半島原産のサトイモ科に属する多年草で、地下にコンニャク芋、コンニャク玉と称する扁球形の球茎なんだそうです。
料理方法もみそ田楽、ちぎりコンニャクの煮物、コンニャクの刺身・・・etc、色々楽しめますよ。こちらのコンニャクは自家製でお味がとにかくVery good.
昔からコンニャクは“砂払い”といわれ、体内の砂を取るといわれているし、不消化食品のため腸内容物の下降を促し便秘も予防。また、低カロリー食品で繊維質を多く含むため、ダイエット効果も期待できる。う〜ん、いいことずくめ。総コレステロールの高に人には嬉しい〜。 “誰でも出来る田舎暮らしのすすめ”のキャッチコピーのある町だから、ここに移住して来ようかと思うほどです。

・・・上原さん。いいですね。毎日こんなにシコシコした美味しいコンニャクが食べられて?

「え、そうですか。慣れるとそうでもないですけど」

・・・それは贅沢というものですよ。

さてお薦めの山猿うどんは、山菜、しいたけ。小松菜・きんぴらがたっぷり。豚肉のスライスもはいって、とにかくボリュームが凄い。おつゆの色が濃そうだから一見辛そうに見えるけど。中々いい塩梅で美味しかった。ごちそうさま。
もつ鍋定食(1000円)も美味しそうだけどいっぺんに食べると太っちゃうので次回に期待。
こちらのドライブインで、おみやげに下仁田こんにゃく(自家製)・下仁田ねぎ、自家製の手づくり味噌も買えますよ。そうそう、今度ホームページでコンニャクを販売するそうなので要チェックです。

・・・ところで今までずっと個展を拝見してきて、最初の頃の作品と随分変わってきましたよね。去年の個展の作品は、下仁田で生まれて、ずっと暮らして、コンニャクじゃないけど、そこに根ざして養分を得ながら、生活に密着した作品を作っているんだなという感想をもちました。

 「数年前まで、何処かでかっこつけたい自分があったんです。例えば青山とか銀座とか吉祥寺じゃないけど、ああいう目線というか・・“皆西洋を向いてないで日本を見ようよ”と自分でいっているのに、かっこいい方向が好きな自分がいる。ですから彫刻を作りながらも、おしゃれでかっこよく、美しくという気持ちが何処かにあったと思います。
でも東京都現代美術館のMOTアニュアル2003の展示で、おしゃれでかっこいい仕事は他の人に渡して、そうじゃなくて皆が蓋をしたい、押し入れに隠したい臭い部分を、引っ張り出すのが私の仕事じゃないかなと、ハッと気がついたんです。それまで言葉とは裏腹な自分がいたのを凄く思うから、それを一致させる仕事をしたい。それをしていく為には、家でステテコ姿でウロウロしているうちのじーさんとか、そういう人を肖像で作って、下仁田そのものを引っ張り出す土着性の仕事をしなければ駄目だと。それが前回の個展の仕事だったんです。
他の方がどう思うかわかりませんが、あの展覧会では自分のなかでちょっと答えを見つけられたかなと思います。その延長でやっていきたいのが、今100歳になるご夫婦の肖像彫刻を頼まれているんですが、“そこで現代の高齢化社会を込みで、老人の生きる力、表に出ていない封印されている所”。
何ていったらいいのかな・・・単語しかうかばないので申し訳ないんですが、きれいで美しいものじゃ無くて、臭くてかっこ悪いところ、その皆の目線がずれるところを引っ張っていこうと、それを是非やりたいなって思っています。それは下仁田の土着の仕事から繋がっていて、それが私の生活らしいし、そういうところを見落としちゃいけないと、そこで何か見つけられるんではないかという気がするんです」

・・・なるほど。人が生まれてそこで生きていくのは、決してかっこいいものではないし、泥臭くしか生きられない。確かに人の本質は泥臭さかもしれないですね。

「今まで自分の作っているものは嘘を塗り重ねているだけではないかと思っていたんです。美術を作っている自分と生活をしている自分とズレがあったんです。そのズレを少しでもいいから縮めたかったんですよ。
例えば表でモデルをしていても、家では沢庵を切っている人は同一人物じゃないですか。その沢庵を切っている部分を引っ張りだしたかったんです。下仁田という場所で制作している現実を踏まえて正直に仕事をするにはどうしたらいいか。かといって自然を褒め称えるとか自然は美しいとか、褒め称える作品には興味がないんです」

・・・me,tooです。あれ嫌い(笑)。

「田舎の人は、人がよく見られますが、逆ですからね。その見たくないせこさを引っ張りだしてみたい(笑)。人が拍手をする部分では無くて、隠している部分、お互い内緒にしている部分を引っ張ってみたいというか。それを見据える事で、制作と生活のギャップがもう少し縮まるんじゃないかと。
今までの自分の仕事は見たくない物がいっぱいあるんですよ。ただ実際今作っている人間のタイプは、廻りで喜ばない人が多いんですけどね(笑)」

・・・廻りはおしゃれで洗練された物の方が喜びますよね。作品と向かい合う事によって暗部を見せつけられるのは嫌だものね。先日岡本太郎美術館の方とお話したんですが、岡本太郎は、“芸術はいやったらしくなければならない。きれいであってはならない・・・”といっています。ただ心地よくなければ売るという事は難しくなるかもしれませんね。

 「癒しになりませんからね。東大寺の仕事を含めてその前後の仕事は、何処かで権威主義的な、言葉には出したくないけど、名誉欲みたいなものがあったと思うんです。それは否定出来ないんです。そうするとそういうタイプの人達が自分の廻りに群がって来たりしたんですが、その時にこの世界は私のいる世界では無い。嘘だと。そこには何も無いと思ったんです。
扉を叩いてみたら中はからっぽだった。これを積み重ねても私は虚しくなるだけだなと、その階段を上る方法は見当がついたんですが、例えお金が入って褒め称えられても私の幸せは無いなと思ったので、自分のポジションを探そうと思って階段を下りたくなってしまったんですよ」

・・・ある意味重い荷物を背負うわけだから、これからは時間が凄く掛かるかもしれませんね。自分の作品が時代に合うまで待たねばならないわけだから。

「それをやりながら結構動物の作品の展覧会をしようかなと密かに思っているんですよ(笑)。精神のバランスなんです。もの凄い重い仕事をすると逆に軽い仕事をしたくなったり、多分両足を踏みながら制作していくと思うんですけど、本質としては先ほどお話ししたような仕事をしていきたいと思います。ただ自分が辛くなるから、四六時中それを見ていられないんですよ」

・・・皆、四六時中存在とはなんだとは考えてられないですよね。でもね。最近安部公房の『砂の女』を読みまして人生ってこうだよね。と、しみじみ思いました(-_-)。ちょっと暗かった(笑)。話を少し変えますが、“場”の問題はどのように考えていますか。空間は立体にはとても重要ですよね。場を占有するものを作れば場が生きる。場については如何でしょう。

「難しいですね。立体の展覧会は場所ありきなんです。私は画廊での発表からスタートしましたから、辛い話ですが画廊の展覧会は画廊の搬入口から計算して、搬入コースを考えるから寸法が限定されてしまうんです。これは辛いです。大きい場合は組み立てまで全部考えるんですよ。たまにはバーンと大きな作品でやってみたいですよ。でも不可能です。
作って大空間でやる場合はスポンサーとか色々な問題が絡んできますから、言い訳かもしれませんが正直辛いですよ。それに私の場合は置き方を間違うと、ただの近代彫刻に見えてしまいますから(笑)。その辺の詰めの甘さを感じるんです。空間もそうだけど、作品だけじゃない知的な積み上げの弱さを自分で感じてますね」

・・・そうですか。ただ白いスクウェアーな空間があって、作品を置くだけでは場が成立しないという事ですね。立体の場合はこの問題は深刻ですよね。でも上原さんが現代美術の空間に拘る理由は何故でしょう。

「拘る理由は、単純に今の時代のなかで作品を作っていきたいんですよ。ただそれだけです。でも今のような現代美術をしようとは思わないんですよ」

・・・わかります。ただ、現代美術は閉鎖的な側面をもっているから、もっと開かれた場所、何かが生成するような場所がいいですね。現代の美術を見せる“場”は、あるようでいて少ないような気がするから。

 「発表の仕方は難しいですね。でも私は一生を通じて人間を見つめていくだろうと。本質的には人間だけにしようと思っているんです。だからもっとまっさらな空間でやってみたいですね」

・・・人といえば、“下仁田ーおじい”の作品は肩の傾き加減がすごくリアルで、その方の人となりが表現されていましたね。変ないい方だけど背中がある彫刻は人が出るような気がする。私も鎌倉時代の彫刻が好きだから、やはり前があって後ろもなくちゃ嫌なんです。

「背中はものを語るから凄く好きです」

・・・色々な作家を見ていて思うけれど彫刻は緊張を持続するのが大変じゃないですか。

「具象をやっている人は、1回手が楽をしちゃうともう元には戻せないから、手が楽をしちゃうと緊張感を戻すのは大変です」

・・・でも食べていかなきゃならないから数も作らなきゃならないし、緊張感を持続しながら数を作っていく難しさはありますね。

「私は彫刻だけで食べて生きたいから、結論としてはいいものを作れば売れるという発想は永遠にあります。それにゆっくり攻める方がいいです。リンクするのが早いとつらいです」

・・・そうかもしれない。最後に去年お子さんが生まれて、子供を持った感想を一言。

 「変わった事はいっぱいありますね。自分の生んだ子供は、こんなに愛しい物だとは思いませんでした。今母乳で育てているんですが、カロリーの高いものや甘い嗜好品、脂っこいものを食べるといっぺんに影響がでちゃいますから食生活は随分勉強しているんですよ」

あ! そうなんですか。そりゃまた大変だ。次回の作品期待しています。
どうもありがとうございました。

上原さんと話をしていたら、何故か土門拳を思い出してしまいました。私は土門拳の『風貌』という写真集を持っているんです。因みに仏像を撮った作品は好きじゃないんですよ。
何故風貌が好きかといえば、土門拳は人を撮っているから、『僕の場合はその人なんだ。』という言葉。表層では無く本質を・・・写真集のページをめくりながら納得です。写真と彫刻、表現は違っても通底するものが同じならばいつか必ず!。

上原三千代 関連情報 2003.9 2000.12 2000.6 作家紹介 http://gaden.jp/arts/UEmi.html

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