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オサルスのおすすめランチ ランチdeチュ その122

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ランチコース 2,100円

ISHIDA
東京都中央区銀座1-6-6
TEL03-3538-3303 ランチタイム11:30-14:30
http://www.r-ishida.com/index.html

 朝テレビをつけると、嫌なニュースばかり。色々な場で家族が崩壊していくやりきれなさ。これは今始まった事ではなくて、2500年前のギリシャ悲劇の時代から人間の原型は全然変わってないんだと思わされるような事かもしれない。
 ギリシャ悲劇といえば“オイディプス王”はギリシャ悲劇中の珠玉だけど。実際オサルスは読んだ事がない。ピエル・パオロ・パゾリーニの “アポロンの地獄” の方が馴染深いかな。パゾリーニといえば、中学二年生のオサルスが見た“テオレマ”も家族が崩壊していく話。今でも所々の映像が思い浮かぶという事は、当時は結構ショックを受けたような気がする。
特に最後の父が駅の構内で全裸となり荒野で絶叫するシーン。一人で見たかったのに、父親が心配してついてきてしまって恥ずかしかったのを思い出すなぁ。
若い時は家族が疎ましいもの。でも、いま中学生の娘がいたら、きっと保護者同伴じゃなきゃ駄目といいそうだ。

今日ご紹介する越前谷嘉高さんの個展
(2004/9/20ー10/2 コバヤシ画廊企画室 東京都中央区銀座3-8-12 ヤマトビルB1F 03-3561-0515)
も家族がテーマとお聞きしました。聞いてみましょう。

・・・今回のテーマは家族とお聞きしましたが。

「家族問題について取り上げています」

・・・家族問題というとご自分の家族の問題ですか。それとも一般的な家族像ですか?

「両方ありますね。以前描いていたスタイルでは、特にテーマというものがなく、自分のイメージで描いていましたから、今回は意識的に具体的なテーマを作りました。前の作品には桃源郷的な現実離れしてしまうような部分もありましたので、逆に現実的なリアルなテーマにしようと思ったんです。
普通に生活して生きて、ある程度の年になってくると、若い頃とは違って、家族の問題とかは、重要になってきたんです。ですから今回はそれで統一してみようと思いました」

・・・題名はオイディプスとかアジャセ・・・。すみません。説明を御願い出来ますでしょうか?

「向かって左がオイディプス。右がアジャセです。白い地を赤と黒で囲っている所がありますよね。それは基本的に全部人間なんです。おっぱいのついているのがお母さん。黒ぶちの丸に赤い点が入っているのはお父さんの印。赤の点に黒が入っているのはお母さんの印なんです。お母さんがいてお父さんがいて子供がいるような構成になっています」

・・・オイディプスとかアジャセというと家族が崩壊していく物語ですね。

「心理学者の小此木啓吾さんが、西洋人はエディプスコンプレックス、日本人はアジャセコンプレックスだといっているんです。それは母親と子供のあり方なんです」

・・・オイディプスとアジャセの違いは何ですか?

「罪の意識の違いでしょうかね。西洋は父権社会、悪い事をしたら罰せられる。罰っせられた方も当然だと思う。日本人は罰っせられるという罪の意識もあるけれど、許される事によって罪の意識を認識する。それがアジャセのテーマでもあります」

・・・そうするとこの線が家族の関係性を表しているんですね。

「ええ、絵の構成としては、意味があって関係づけがありますから。この金属板はオイディプスならオイディプスの考えている事だとか、置かれている状況であるとかが描かれているんです」

・・・この扇面は何でしょう。

「この上の右側の黒いのはスフィンクスで、顔と前足の部分です。なぞなぞを出しているんですよ。“朝が四本足、昼が二本足、夜が三本足これな〜んだ”」

・・・人間でしたっけ(笑)。その右にある“画家の像”というのは?

「自画像です」

・・・あ、本当だ。金属板の中にパレットが描いてある。そうすると越前谷さんと繋がっているのは何ですか?

「妻と子供、自分の家庭に繋がっているんです。この右上のが北海道の室蘭なんです。私は室蘭の出身なので」

・・・色々な意味が隠れていてお聞きしていると面白いですね。星を見ながら星座という形を繋いでいくような感じですね。ただ、星だけを眺めるのと、星座を神話の物語として読み解くのとでは、見る側は、そのコードをつかみきれないんじゃないかと思うんですが。

「意味は別に関係ないです。ルネッサンスでもバロックの絵でも神話が描いてありますよね。神話の物語がわかるのと絵の良さがわかるのとでは別なんです。
例えば これは何で、これは何と説明するのと、造形的作品として理解するのとは、別の問題ですから、見た人が意味がわからなくても、造形的な作品として面白いと思ってもらえればそれで充分です。
ただ物語性だとかは、近代的な絵画の考え方からすれば、絵画の価値とは関係ないもののようにいわれてますけど、ひとつの絵画の要素になっていいものだと思います。
昔から絵画というのは何かを描いてあるものだし、それを理解するという事は、作品を成り立たせている要因でもあるわけです。だから造形的なものとは無関係に、絵画の要素として考えてもいいと思いますけどね 」

・・・絵を見ながら物語を聞くというのは子供でも大人でも楽しいし、楽しいだけじゃなくて、色々な感覚をつぐむ事が出来るような気がします。昔、日本には絵巻物があったから、絵を見ながら物語や時間を追っていけたのに、近代的な絵画というのは時間をぶつっと切っているかもしれないですね。物語は時間が絡んでくるわけだから。

「人間のものを見て認識する作用としては、物語性があるものとないものでは、認識の仕方が全然違ってきますから、子供じゃなくても大人でもそうだし、美術の事を知らない人でも、専門家であっても、そこで作品の認識の仕方が変わるわけですから、だから作品を成り立たせる要素としては決して無視出来ないものではあります。
まあ、意味がわからなくても造形的なひとつの作品として見てもらえれば構わないと思うのですが、でも私は、一応取っかかりというか、逆にいうとひとつの規制というか、そういう意味で描くべき要素を決めておいて、造形的に考えていくんです」

・・・全体の作品を通して画面にあるピンクっぽい色は何かを象徴しているんでしょうか?

「特に意味はないんですが、不愉快といえば不愉快なんです。見方によっては内蔵みたいな感じにも見えるし、だからといってピンクというのは、柔らかい暖かい平和な感じにも見える。かなり両極端なものが一緒にあるような感じの色じゃないかと思うんです。だからその分、ひとつのイメージやひとつの意味だけじゃなくて、複雑な豊かなものを表現出来るような気がしたんですよ」

・・・確かに、家族というのは心地良い要素と不愉快で不安な要素はありますよね。家族によって差はあるけれど、多かれ少なかれ問題は抱えているし、永遠のテーマでもありますね。

お待たせしました。タスマニア産サーモンのマリネでございます。
わ〜ォ! 今日はとっても豪華。ランチなのにコース料理ですよ!。コース料理!。
(ランチは、1000円代から5000円代と4種類から選べます)。

その中から2,100円のコース(オードブル・スープ・魚料理又は肉料理・デザート盛り合わせ・コーヒー又は紅茶)をコバヤシ画廊の小林さんがチョイス。

今日は、小林さんのお薦めランチなんです。小林さんといえば、岡村桂三郎さんのランチでもお世話になったんですよね。その節はありがとうございました。
(忘れた方はこちらを見てね。http://gaden.jp/info/2003a/030221/0221.htm

さあまずは、オードブルのタスマニア産サーモンマリネからいただきます。
スープは、冷製南瓜のポタージュ。メインに鴨腿肉のコンフィを注文。
鴨は普通、上品にスライスしたものと思っていましたが、何と鴨の足が塊で!。鴨が鳥だったのを改めて実感しました。
サーモンの薄いピンクに南瓜のイエロウ、メインの鴨には水菜のグリーンとにんじんのレッド、デザートはホワイト系で統一されて、きれいですねぇ。目も口も楽しませてくれますよ。、鴨腿肉のコンフィはサッパリしているけれど、ボリュームがあって大満足(*^_^*)。

こちらのオーナーシェフの石田淳一さんは、ロイヤルパークホテル “パラッツォ” ではスーシェフ、東京・広尾の “プライベートテーブル” (アプローズスクエア内) では総料理長を務め、2002年1月に“レストランISHIDA”を開店されました。
お店の方は皆親切で感じがいい方ばかり、おすすめです。

・・・定番の質問ですが、何故作家になろうと思われたのですか?

「絵を描くのが好きだからです。小学校の卒業文集で画家になりたいとか書いてました」

・・・多摩美術大学を選ばれたのは何故ですか?

「現代美術系の先生がいたからですね。当時は他の学校は、現代美術系の先生が少なかったんですよ」

 小林:私が画廊を始めた頃は、多摩美とBゼミが全盛でしたよ。

・・・そうなんですか。

小林:芸大の榎倉ゼミで、川俣さんとか保科さんが大学院生で、発表が始まった頃だから。越前谷さんは現役で入ったの? 高校の頃から現代美術を志していたの?

「そうなっちゃったんです。予備校にも行ってないから木炭デッサンが全然出来なかったんですよ。
当時は多摩美は鉛筆デッサンでしたから、試験の前にBゼミの面接に行って、これから多摩美のデッサンの試験を受けに行きますといいましたら、“鉛筆デッサンは黒く濃く描くんだよ” とアドバイスをしてくれたんです(笑)。それで黒く濃く描いたんですよ。それが良かったのかもしれない(笑)」

・・・私が越前谷さんの作品を拝見したのは6、7年前だったような・・・。

小林:うちでは87年から発表してます。

・・・初めて拝見した時に老荘思想的なものを感じたんです。老荘思想は宗教ではないから哲学だと思いますが、そういう思想的なものは意識されていたんでしょうか。

「作る時に東洋の美術、特に中国の絵画に影響を受けたんですけど、そこに思想的なものを含めてという事はないです。中国の絵画の場合だと、山水画の伝統で岩とか木とかを要素にして、それを積み上げていって全体の絵を作るようなやり方で、それが世界観そのものなんでしょうね。漢字もそうじゃないですか。
いくつか単純な要素があってそれを組み合わせていって複雑な漢字が出来る。それをそのまま積み上げていって、ひとつの単語になる。それをつなげて文章になる。要素を積み重ねていって、全体を作るような感じですよね。私の場合前のスタイルのものは、それに似たような感じなんです。全部構図が繰り返しているんです。
ひとつひとつのものを要素として捉えて、イメージを繰り返して使ったり、全体的に空間が繰り返しているようなやり方なんです。一種の無限性を表現しようとしたんです。絵画の作り方として中国の絵画からヒントを得た事はありますね」

・・・繰り返しというのは時間が絡んできますね。音楽は時間の流れを感じる事が出来るけれど、絵画は、一瞬か永遠。繰り返して続いていくというのは、独特の捉え方ではないですか。

「そのまま何度も繰り返す事で、永遠なんです」

小林:風景は繰り返しているけれど、人物は動いているんですよ。何故人物は同じ位置にいないのかと聞きましたら、“人物は時空の中で移動してしまう”というんです。そういう考え方が面白いと思いますね。越前谷さんの前のスタイルの作品は、全部自画像だと思っていました。他者を入れないで、自分一人で遊んでいる世界というか。

「最初から自画像というつもりはないです。でも恐らくそうかもしれませんね」

・・・遊びの要素は感じますね。

小林:宇宙的に考えても、留まるものと留まらないものがあって面白いと思いますね。

・・・万物は流転するから繰り返すんですよね。人類はずっと動いてきたから、止まる時は人類滅亡だったりして(笑)。

「止まっているのもありますけどね。岩の上で昼寝しているんですよ(笑)」

小林:越前谷さんの願望だったりして(笑)。

・・・先ほど、桃源郷とおっしゃっていましたが、イメージはそこから。

「わざとそうしているわけではないんです。自分が永遠性を感じるような内面的なイメージなんです。私にとっては、一番それがリアルなんですよ。自分の内面的イメージは、目の前にあるものより、リアルなところがあるんです。それをちょっと間違えると桃源郷みたいな・・・否定的な意味で桃源郷といっています。
現実離れした空想を描きたいわけではないんです。だからむしろ、私にとっては本当に現実以上にリアルなものを描きたいんです。けれどうっかりして、心地よさの方に流れていってしまったりすると、現実離れした空想になりやすいので、それはやりたくないんです」

小林:越前谷さんの作品は、一見現実離れしているけれど、原風景として何処かで見た事があるような風景ですね。

「一種の既視感というか。そういうのと永遠性は、感覚的に結びつくようなところがあるんですよね」

・・・リアリティーが感じられなければ描けないですものね。それがその人の世界観なわけだから。

「それから離れようとすればいくらでも離れられるし、空想的な絵画にしようと思えばいくらでも出来るだろうけれど、それでは描いていて、自分が描いているリアリティーが、全然感じられないんですよね。自分の内面的イメージですから何とでもやれば出来るんですけど、そういう意味でひとつ自分の中で規制があるんですよ。自分がリアリティーのある永遠性のあるものでなければ描かない。それが規制なんです」

・・・絵は何を描いても構わない部分があるから。

 「そうです。だから方向性を自分でつけないと全然つかないですよね。描いている人なら、方向性があるのは当たり前ですから、漠然とした方向性もあるしだろうし、造形性に於いてハッキリ方向性を示す人もいるだろうし・・・」

・・・ただ漠然とした方向性だと、描くものがわからなくなって、続かないで止めてしまう若い人も多いですね。

「結局は止めてしまうでしょうね」

小林:何十年もこだわりを維持していくのは、凄いエネルギーがいるからすぐ止めちゃうんですよね。

・・・信念がなければ出来ないという事ですね。ありがとうございました。

信念と簡単にいっても、やり続ける事はたいへんです。
「産みの苦しみじゃないけど、苦しいばかりじゃ続かないですよ。」と、小林さん。
そういえば以前、描く事でドーパミンがでるから続けられるといっていた作家を思い出しました。苦しい事ばかりじゃね。オサルスも、たまにこういう豪華なランチが食べれるから続けられるんですもんねぇ。

今日はオマケに小林さんの健康法を聞いちゃいました。 このレストランISHIDAの隣は、遠藤青汁健康スタンド(http://www.enjoy.ne.jp/~greenlife/ginza.htm)、青汁飲んでいかないと誘われて、ぐびっと一杯。いや〜まずい。キャベツと大根の葉の搾ったような味がするんですよ。でも結構癖になる味かもしれない。ぜひ!

越前谷嘉高 展
2004/9/20ー10/2
[Press Release PDF]

コバヤシ画廊企画室
東京都中央区銀座3-8-12 ヤマトビルB1F
Phone 03-3561-0515
11:30-19:00 日曜休
kbsyg@gf6.so-net.ne.jp

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