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オサルスもこの雑誌をまとめて読んだのは今年の10月下旬。 このストーリーは、9月30日の夜からスタートします。 「そこには行った事があります」 意外な返答に、その人の顔を覗き込むと、「写真集が出ているから見て下さい」 といわれた。 実はオサルス、この元遊郭の側で幼少から思春期を過ごしたことは事実なんです。
だからオサルスにとっては、9月30日の石内さんと、それからの石内さんの作品との出会いは衝撃的だったんです。そして資料を集めていくうちに出会ったのが
main という Photo Magazine 。 今日は石内都さんにお話をお聞きしました。 「どうぞ。今日のお薦めはこの二品なの。菊と春菊の和え物に○○の白和え。中身はなんだか当ててみて!」 今まで白和えは食べた事がないので? 「柿なの。秋らしいでしょ。この菊も亡くなった母が丹精込めて育てた庭の花なの」
いや〜。秋らしいもなにも、脱帽です。ここまでお手間をかけさせてしまい恐縮、面目ない。 「はじめて来られた方には、鴨南蛮そばをごちそうするの」 プロ顔負けの美味しさですよ〜(^o^)。 でも手料理では、お薦ランチというわけにはいかないので、う〜ん。困った。 ご心配なく。2005年は石内都 year。
どうですか。お薦めするものが盛り沢山でしょ。 ・・・先日 main をはじめて拝見しました。BOOKを紹介するコーナーや GUEST ROOM でのインタビュー。途中4号でやめられてしまった MY FAVOURITE (笑) のコーナーなど。もう4年前の雑誌だけれど、今拝見しても凄く新鮮で面白い雑誌ですね。刊行当時に拝見できなかったのが残念です。 ・・・何故お二人で作ろうと思われたのですか? 私は写真集は結構いっぱい作っていたんですけど、写真集ではない印刷物にある種の興味があったのと、雑誌形態の軽い感じの印刷物が出来たらいいなと漠然と考えていたので。丁度楢橋さんが、自分の写真は自分の場所でやるという主旨で、自主ギャラリー (03FOTOS) を作ったので、何回か通っている内に、そこをひとつの場として二人でPhoto Magazineを作ってみようという雰囲気になって、じゃあやってみようということになっていったんですよ。 ・・・購読数はどのくらいだったんですか? 500冊しか作らなかったから、定期購読は200人くらいいたのかなぁ。一応定期購読者に向けて作ったから、あまり売っていなかったんですよ。ただし 03FOTOSで 定期的に二人展をやっていたから、その時は結構売れました。 ・・・1996年から 2000年まで4年間で10冊だから、年間3冊ですか。 一応2年間で10冊の予定だったんだけれど、段々延び延びになって4年も掛かってしまったの(笑)、でも取り敢えず10号までと決めたからには、彼女も私もまじめなものですから、10冊作ろうと思ったんです。面白かったのは雑誌というのはup
to dateなわけですよね。偶々その4年間は、彼女も私も色々な事がいっぱいあってね。 ・・・どうしても読みますよね。
・・・main を読んでない方も読めるので楽しみですね。 文章を誉められてもねぇ。写真を誉めてよ(笑)。私は写真があって文章が出てくるのよ。 ・・・勿論写真は別です。でも写真があって文章があると凄く読みやすいですよね。 あれは糸口だから。 ・・・ただ写真の細かなテクスチャーは、実際作品の前に立ってみないとわからないと思うんです。写真集は印刷物だから、写真としての伝わり方がイマイチつかめないような気がするんですが。 私は写真と写真集は別のものとして考えているから、写真はオリジナルプリントを見て欲しいけれども、本は物語ですから、だから同じタイトルでも、各々自立しているものだと思っているんです。 ・・・なるほど。ところで、先日 横浜写真館展
自然に引き込まれて撮っていく中で、振り返って見たらああいう事だったんです。撮っている時はわかりませんよ。初期の三部作はそれなりに完結した意味があって、私の抱えている問題が三つあったという感じなんだけれども、写真というのは写真を撮る以外の何かを感じなければ駄目なものなの。その時にそれまでわだかまっていたものを全部吐きだしてしまったから、写真はもうどうでもいいやという感じがあったの。 そうして40歳を迎えて、さあ、どうしようと思っていたら、手と足に出会った。 ・・・足の指とか裏は自分であまりじっと見ませんものね。 足は眼から一番遠いから見ないでしょ。ましてや人の足はね。 ・・・いや〜。私は暗い性格なので下を向いて歩く癖があるんです。だから夏なんかはかなり人の足を見ます。でも足は不思議ですね。凄く顔がきれいな人でも、汚い指をしていたり、だから自分では絶対サンダルは履かないようにしてるんですよ(笑)。 「1・9・4・7」 が出てから、皆足の手入れをはじめたの(笑)。取り敢えずクリームくらいつけようかと(笑)。 ・・・そういえば今回横浜写真館展に展示された「Bay Side Courts」の壁は皮膚ですよね。
・・・並べて意識したという事ですか? 自然とそうじゃないんだろうかと(笑)。ひとつひとつの答えが見えて来るわけですよ。 ・・・なるほど。 写真に出会ったのは偶然だけど、まあなんか昔織物やデザインをやっていたのが、全て写真にプラスになっているね。デザイン科で嫌々やっていたのが身に付いたという感じかな。 ・・・デザイン科だったんですか。 昔は、織りとか染めはデザイン科から出発して、二年になって細分化するのよ。 ・・・記憶もそうですよね。縦糸と横糸を編んで記憶が作られていく。mainに「消える街」の連載がありましたが、私が子供の頃に住んでいた街を思い出すと、思いこみといわれるかもしれないけれど、あそこには闇みたいなものが覆っていたような気がするんです。今はもう様変わりしていて、あの時の街は消滅してしまっていて、もう私の記憶の中にしかないのはわかっているんです。それも何回も焼き直されて出てくるから最初の原型を留めていないのかもしれない。でもさっきおっしゃった接点の部分が凄く気になるんです。
・・・皆そうかもしれませんね。 物語を作っている感じは当然ありながら、ただし “今” それを思い出したり記憶が蘇るという事は、“今”、私はどうしているのかという事の照り返しだから、記憶というのは、どう考えても“今”の自分なのよ。それがふっと見えた時に、それが写真の意味とか本質とかに近いところがあるかなという気が凄くして。 それに私の場合は、街はマイナスの思い出なの。ネガティヴなマイナスの思い出しか興味がないというか。そうすると何でマイナスなのかという事じゃない。それを考えていくと具体的に写真を撮る行為に繋がっていくんじゃないかと。 ・・・メタ認知という事ですね。 ただ私は、それは撮っている時ではなくて、暗室でプリントしている時なんですよ。 ・・・非日常という言葉を使われてますよね。 だって変じゃない、昼間暗くして(笑)。真っ暗にしなければいけないの。針の穴一本でもいけないわけ。「真っ暗になったかな」とじっとしてしばらく佇むわけですよね。でも昼間に真っ暗闇を作る感覚は中々面白いよ。
そんないろんな生き方は出来ないから、ひとつしか生きられないじゃない。だからとんでもなく外れていないのよ。例えば右と左をどちらか選ばなければいけない時は、無理な方を選んではいない。長く生きているのはそういう事が続いているわけだから、年をとるのは面白いよ。 ・・・では最後に来年のベニスビエンナーレについてお聞きしたいと思います。 あの時はじめてベネティアに行ったの。サンマルコ広場には午前0時に着いたからね。今度のエッセイ集には、その話も入るんじゃないかな。あの文章は結構評判がいいんですよ。 丁度ビエンナーレをやっていたので見て、それがまさかこんな風に繋がっていくとはね。でもね。何となく予感はあったの。あの空間を見た時に。 ・・・展示内容は? メインは “Mother's” です。それと5月に ツァイト・フォト・サロンで “イノセンス” という新作を発表するんですが、それが入るかな。 女性のからだのキズです。女性の抱えているキズは結構重くてね。半端には撮れません。 ・・・変な質問ですが、キズのある方にどうやってお願いするんですか。雰囲気でわかるんですか。 それはわかりませんよ。洋服着ているもの(笑)。はじめはね。キズありますかって聞いてましたよ。でも最近はキズを持っている方から話しかけてくれるんです。先日ある対談の後、5、6人の人から撮って下さいといわれたの。 ・・・ええ! そうなんですか。 少しづつそうなっては来ていたんです。ある情報的に私が、キズを撮っているというのが流れているという事でしょう。国立近代美術館での展示が大きかったんじゃないかな。国立だから信用してくれるんじゃない(笑)。その時も会場にキズを持っている人が見に来てくれて、やはり自分のキズは気になるわけですよ。だから私はキズを持っている人に発見されているんです。 ・・・私は、石内さんは、“街の匂い” や “気” がわかる方だから、キズもその人を見ただけでわかるんじゃないかと思ってました。 それじゃ透視だよ(笑)。それはないですね。 ・・・今回のベニスビエンナーレは1976年の写真家の篠山紀信さんの個展以来、29年ぶりの写真家の個展ですもんね。凄い。 あの時代とは違うけどね。コミッショナーとアーティストが女性というのははじめてです。彼女と私の共同作業という事だから、一対一で何処まで出来るかわからないけれど、オーソドックスでハードな個展を考えています。 がんばって下さい。応援してます。 石内さんは、とても細やかな心使いをされる方。頭が下がります。 「相手は自分の照らし返しだから」 と石内さん。 オサルス感服致しました。 |
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