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RICA BANDOのニューヨークリポート (Vol.42)

NEW YORK report from RICA BANDO - - - - - Sun, 30 Jan 2005

 1月の金曜の夜、旦那はイタリアヘ行ってしまったし、娘は、マリオットホテルに泊まってプールで遊ぶという、ゴージャスなバースディパーティへいそいそと出掛けてしまったので、一人で過ごす夜。友人に連絡したらすげなく断られました。
まあ、仕方ない一人で行くかと、案内を貰ってから行きたいと思っていた、ISE CULTURAL FOUNDATION でのイベントへ行って来ました。>http://www.isefoundation.org/

Alex Katz, Artist's Talk Moderated by David Cohen

毎年1月にこのようなアーティストを呼んでのイベントをしているとのことです。


MOMAにて Yard party 1969 (というタイトルであったと記憶しますが、間違っているかもしれません)

 今回、完全写真撮影禁止でしたので、MOMAでの作品画像以外は、全てISE CULTURAL FOUNDATION からの提供です。
カメラ撮影の良い物が無かったとの事で、ビデオクリップからとのこと。
画像の質が悪いですが、お許し下さい。


Alex Katz
[ Courtesy of Ise Cultural Foundation ]

David Cohen - Gallery Director, New York Studio School
Art Critic; New York Sun
Editor and Publisher;
> http://www.artcritical.com/
[ Courtesy of Ise Cultural Foundation ]

 Alex Katz氏、ミッドタウンギャラリーで切り抜きされたペインティング等を観て、アメリカンポップアーティストという認識がありましたが、ニューヨーク郊外のNeuberger Museum of Art > http://www.neuberger.org/volunteer.html で横長の大作、(大きな空間の中にポートレイトが少し左寄りに描かれてる作品)
作品から爽やかな風が吹いて来るのを感じて、その前から動けなくなりました。

ああ、このアーティストは、Melton Avery と同じ感性、才能の持ち主で、ある意味でクラシックなペインティング作家と言えるのではないか。と思い、気になるアーティストになりました。

Chuck Close 氏の Reduction Block Print ポートレイト作品、Alex で容姿は有名ですが、もちろん、直にお会いするのは初めて。

この Artist's Talk は、美術批評家の David Cohen 氏が案内役です。

最初に作品のスライドレクチャーは彼がして、あら、これはいったいどうなることやら。。。と心配になりましたが、レクチャー後は二人の問答形式で、アーティストが話すというかたちでした。

 大抵の場合、美術批評家の話し方、書き方はこの地でコンセプトアート教育を受けていない私にとって難解ではありますが、彼の話は修辞が多すぎるというのか、なんというのか。。。
言葉が頭の上を通り過ぎて行くような感じで、心に響かない。
私の英語がネイティブでは無いということをひいき目にしても、ちょっと? という感じ。育ちの良いアメリカ人だったら決してしない、相手に言葉を重ねる事までして、かなり印象の悪い人となりました。

ここに彼の Carson Collins氏 との議論のページを紹介しておきますので、英語に自信のある方は読んでみて下さい。
Discussion with Carson Collins > http://homepage.tinet.ie/~mikeloyer/ArtComment7.htm

 スライドレクチャーで終始沈黙を守っていましたが、Cohen 氏が言いよどんだ作品のサイズを明確に答える Alex 氏、記憶はかなり鋭く、観客から感心のため息が漏れました。1927年、ブルックリン生まれのクイーンズ育ち。アートスクールはクーパーユニオン。

 印象に残った話題をかいつまんで幾つか。
学生時代、アートスクール仲間が話す事と言えば、コミュニストやら政治的な事ばかり、自分は政治には全く興味がなくて、そんな事を議論するよりダンスをしている方がよっぽど良かった。
50年代は自分の作品は、途中で終わった作品、完成していない作品と言われたりして、孤立していた。最初に認められた展覧会は1959年の展覧会。
尊敬しているのはマチス。ピカソも素晴らしいアーティストではあるけれど、大きな作品を制作する上ではマチスの方がずっと優れていると思う。
強く影響された作家は、意外にも Jackson Pollock なのだそう。作品の大きさと個人としての表現の仕方に影響を受けた。
私もポートレイトの大きな作品を最初に制作する時はとても恐かった。(当時、誰もしていなかった事だから、という意味なのだろうと思います。高さ2メーター以上の作品です。)
その他、ファッションという言葉を使っていましたが、時代に沿うスタイルという意味で使っているのだと想像しました。

 現代の美術大学で受けるコンセプトアート教育を受けた年代ではないので、言葉はとてもシンプル、明快。明快ではあるけれど、言葉自体が共通の苦しみや喜びを乗り越えて来たアーティストにしか解らないような抽象になってしまうのはしかたないかもしれません。
表現する為の言葉を探すより描く事を選んで人生を歩んで来たのがアーティストなのですから。
しかし、純粋、誠実という言葉が彼自身を表現する為に浮かんできました。非常にすっきりと気持ちが良く、心が暖まるのです。

 もう、誰も自分のようにブラシを持って絵を描くアーティストが居なくなってしまった、と半分自傷、半分不満そうに言うのです。
今現在のニューヨークアートシーンは、コンピューター制作、映像アートが主流。
時代の流れの中で、過去のアートになりつつある自分のスタイル、そういう時代の流れに抵抗する姿を垣間見せてもくれました。何が良い、何が悪いとも言えないのが現在進行形のファッション。

 そう言いながらも、強い一徹を噛ますのがほほ笑ましい。
皆、ニューヨークにアートを勉強しに集まってくるけれど、ニューヨークはアートを勉強するのにはもうダメな所だ、コンセプトばかりの教育で、何も産まれてこない。イギリスやドイツの方がアート教育は充実しているのではないかと思う。
それはなぜそう思うのですか? の質問に、それは現在良いアーティストがイギリスとドイツから出て来ているからだよ、とのこと。


Alex's smile
[ Courtesy of Ise Cultural Foundation ]

Alex with audience
[ Courtesy of Ise Cultural Foundation ]

 最後に、アートは良い展覧会であれば、映画より観客を動員する事が出来ると思う。
毎年何万と言う人間がアートの学位を取って大学を卒業している、かれらが展覧会を観に行く事を考えればそれが可能だ、と言っていました。
最近、私は一番自分の考えている事を伝えるには、映画というアートが一番観客を動員できて、多くの人々に伝える事が出来るのではないか? と考え始めていたので、それを覆す意見でした。
アートがマイナーな世界から抜け出して、着実に広がりつつあるという事は言えると思います。

さて、彼の作品をウェッブで調べていたら、秀作と思える作品はすべて Pace Wildenstein ギャラリー所蔵でした。
> http://www.pacewildenstein.com/jsp/artists/AlexKatz.jsp

 スライドレクチャーでそのうちの一点があり、コミッションワークと言っていましたので、サイズ指定、ポートレイトとの指定があったのではないかと思います。これらの作品は今年9月にチェルシーで展覧会が予定されています。

 誘いを断った友人が連絡をして来て、素晴らしくよかったよ〜、と悔しがらせようと思ったら、同年代の彫刻家のボーイフレンドがいる友人は、この年代のアーティストは本当に純粋なんだよ、とサラッと言ってのけました。
まあ、厳寒の中でも出掛けて良かったと心から思える夜でした。

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(c) Photo - Report. RICA BANDO , gaden

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RICA BANDO
1984年よりニューヨーク在住。その間、ニューヨークでのグループ展など多岐に渡る活躍。
作品はハンタードン美術館をはじめ多数コレクションされている。
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