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VOCA展2005 2005. 3/15 - 30

上野の森美術館 http://www.ueno-mori.org
東京都台東区上野公園1-2 Phon 03-3833-4191


主  催 「VOCA展」実行委員会、財団法人日本美術協会・上野の森美術館
協  賛 第一生命保険相互会社
会  場 上野の森美術館
会  期 2005年3月15日(火)〜3月30日(水)〔16日間/会期中無休〕
開館時間 10:00〜17:00(入場は16:30まで)
入場料 一般・大学生:¥500、高校生以下:無料

選考委員
酒井 忠康  (選考委員長/世田谷美術館館長)
本江 邦夫  (多摩美術大学教授・府中市美術館館長)
天野 一夫  (京都造形芸術大学教授)
塩田 純一  (東京都庭園美術館学芸担当課長)
松井 みどり (美術評論家)

[ VOCA(ヴォーカ) 展は、全国の美術館学芸員、ジャーナリスト、研究者などから推薦された40歳以下の作家に対して平面作品の出品を依頼するという独自の方式で行われています。今年は、VOCA賞1名。VOCA奨励賞2名。佳作賞 2名。大原美術館賞1名。府中市美術館賞 1名 が選出されました]

1994年に始まった「VOCA(ヴォーカ)」展も、今回で12回目。
作家37名の出品です。

VOCA賞 日野之彦さんの 〈あおむけ〉〈口に両手〉
「ブリーフ一枚の男性を描いていますが、今は女性も描いています」
関連情報 2001.4
奨励賞 居城純子 〈N34.21.29 E135.52.13〉
「主に風景をモチーフにしてマスキングという方法を使って絵を描いています。それと平行して絵を燃やすインスタレーションをしています。今後はこの二つをさらに深めていきたいと思います」
奨励賞 中川トラオ 〈風が吹いて そして すべて終わりさ〉
「風景の断片を塗り重ねて最終的に出来上がった像を見せる為に作っています。今後、自分でもどうなるかわかりませんが、制作を楽しんでいるので、もしよかったら見てください」
佳作賞 羽毛田優子 〈滲〉
「滲みをテーマに作品を作っています。ずっと染色を学び染色で表現してきました。」
佳作賞 手塚愛子 〈織られたものーもろさとともに〉〈織り直し〉
「織物の解体やそれをまた織り直すといった作品を出品しました。すでに織られてしまったものや出来上がってしまったものから、それが織られるまでの時間とか、或いは素材といったけっして外部に現れてこない何かを、具体的に取り出せないかということを作品で出来ないだろうかと制作しています。私にとってこれから既製品の織物を使って、どのように展開していくのかということが、今の自分の制作においての問題だと思っています」
大原美術館賞 鯉江真紀子 〈Untitled(P-37)〉
「作品のことを言葉で説明するというのは、あまり出来ないんです。ただひとついえるのは、私は平面作品を制作していますが、何処までも多次元の世界へ入っていける作品をずっと作り続けていきたいと思っていることです。手法は今は写真を使っていますが、それにもこだわらずに作っていきたいと思っております」
関連情報 2003.5 2003.5_2
府中美術館賞 田中みぎわ 〈風のきよら〉
「大学で日本画を専攻して学びました。元々モチーフが空とか海とか水とか自然物が大好きなこともあって、大学を終了してから石垣島に渡って一年半そこで制作をしながら過ごしました。今は縁があって熊本県にアトリエを移しまして、豊かな自然に囲まれて制作しています。日本画だったんですが、墨で表現をするようになったのは、石垣島に移ってからです。今は湿度のある風景のなかに暮らして、制作できるのがとても幸せだと思っております」
関連情報 2001.2
受賞おめでとうございます。

 今年VOCA賞を受賞された日野さんには、2000年4月 (詳しくは:http://gaden.jp/info/2001/010411/0411.htm) と2004年8月 (http://www.gaden.jp/ex_but/2004/ozaurus2004.html) お話をお聞きしています。
当時ご自身の作品に対して
「 不安定な事を表しています。現代社会に対して自分の感じる雰囲気です」
と話されたのが印象に残っています。

 この言葉は、絵画の条件は時代と結びついて、その歴史に規定されると、シンポジュームで高階先生もおっしゃっていましたが、 『若い作家たちが現代の人間や社会の姿をどのようにとらえ表現しているか』 という 「VOCA(ヴォーカ) 」 展 の条件にマッチしてますよね。

 ただ 『絵画、あるいは平面という条件とどのように向き合い、新しい可能性を探ろうとしているのか』 という項目には、どうなのかなぁ。
一見すると油彩の写実的な作品にしか見えないんだけれど・・・。

・・・シンポジウムの最後にこんな質問がされました。

「今回、VOCA展の歴史上初めて団体の現役の出品者が受賞したことになりましたが、先端的なVOCA展に対し斜陽的な団体展が・・・乱暴な言い方をすれば、絵画は死んだといわれていますが、それを否定して立ち向かっているVOCA展と、なすすべもなく御臨終を迎えている団体展とが、ここでリンクしたことについてご意見を伺いたいと思います」

・・・選考委員の方々の答弁は・・・。

「インパクトのある具象的な作品で可能性を開いたと思うが・・・そこにリアリティーがあるかといえば疑問である」 : 塩田純一選考委員

「その質問には驚きました。そんな風に見た事がなかったので、そうやって制度的に見てしまうのは危ないと思いますね。僕は最近公募展は見てませんが、公募展に出しているから悪いとは思わないしね。
それだけで人間も絵も差別化しているんじゃないですか。この方が二紀会に出しているとは知らなかったし、審査の段階では関係ないです。因みに僕は大賞作品には票を投じてません」
:天野一夫選考委員。

「私も、公募展に出したかVOCA展に出したかは一切関係ないと思います。絵画を見て対峙して選ぶわけですから、どういう経歴の方かというのは知りませんし、そういう考え方は間違っていると思います。審査の時に酒井先生が、日野さんの作品を強く推しておられたんですが、その時の理由が納得の出来るものだったんです」 :松井みどり選考委員。

・・・では、納得の出来る理由はなんでしょうか?

 「人間の履歴をはぎ取ったといいましょうか。不思議な印象を持つ作品だと思います。選考会は色んな過程を経てからどなたかを選ぶものです。その過程についてお話をするのは差し控えたいと思いますが、難儀な議論を続けまして、最終的にこの作品を選んだのです。
現在の絵画が直面している様々な問題意識があって、今までの絵画表現に何か新しい時代の時代性といいますか、それを嗅ぎ取るというか見つけるというか、そこにはいろいろの視点や考え方もあると思います。私が感じとったのは、一種“身体性”です。人間の生きることの根本を、むしろ率直に、改めてもう一度絵画の上で考え直してみるのも一つのいいきっかけではないかと、それが論理を尽くした審査結果の中にあったように思います。
このVOCA展が今回だけはなく、日本の若い作家の想像力を刺激して、世界的に飛躍するひとつの場として育ってくださればうれしいと思います。」
:酒井忠康選考委員長。

 「審査は前回から実行委員以外の3人の選考委員の方にお願いしていました。
この方法は今まで10回くらい同じ審査委員+1名で、同じような審査をしてきましたから、それではマンネリズムがあるかもしれないし、我々は意識していませんが、何処かで不公平があるかもしれないということで、前回から実行委員の宮崎さんの提案を採用して、二人実行委員が入り、外部から三名の方に審査をお願いしています。
今年はその二回目になりますが、システムとしては良く機能したと思います。

 私は今回のVOCA賞に対して、大体酒井先生と同じ考え方です。つまり今日の絵画がたいへん拡散していて、重心とか中心がないままに非常に拡散していく、あまりにも拡散してしまったが為に結局確かなものは何なのかと考え出した時に、やはり私たちが私たち自身であるところの私たちの身体しかないんじゃないかなと、その身体からもう一度人間的なものを出発しなければいけないのかなと、日野さんの作品が私たちに最終的に訴えたんではないかと思います。
しかしこの40点弱の作品を一郡として見回した時に、圧倒的にこの日野さんの作品が優れているというわけではないんですね。しかし色々な方が議論を尽くして、このVOCA展というのは、一番最後の段階でプライオリティーをつけて点数をいれていくんです。そこで若干差が付くんですが、点数通りに日野さんが一番トップだったということです。
だから他の審査と比べますと、私はこのVOCA展は非常に綿密だと思います。しかし綿密である為に自分達の首をしめている。そういうこともないわけではないかと思いますね。
 あと余計なことかもしれませんが、やはり状況的なものの中にこのVOCA展もあると思います。つまり先ほど拡散しているとか中心がないとかいいましたが、日本の今の国家としての状況がやはり中心がないわけですね。例えばもし自衛隊がむこうで全滅になったとしたら、今の日本の政治はどうなってしまうんだろうか。
 実際にはそうなっていないけれども、そうなるかもしれないという一抹の不安というか・・・漠然とした不安の元に、我々は無意識のうちに暮らしていると思うんです。無意識のうちに暮らしていてどうも足下が安定していないなという感じがVOCA展全体の雰囲気のなかにも現れていると思います。だから絵画というのはある意味では状況を映し出す鏡なんだなぁと今回しみじみと感じました」
 :本江邦夫選考委員

・・・なるほど。不確定性の時代に暮らして、生きることの根本を見つめ直すということですね。でもこういう意見もありますよ。

 「凄く保守化してますね。多分5年後くらいには、非常にプロパガンダ的なテーマ絵画が出てきますよ。どう考えたって存在感がないでしょ。ボーとしてるし、身体性なんていっても戦後から坂口安吾とかがいってるでしょ。身体というのは古い価値観なんだもの。でも身体のない表現もなければ、内容のない表現もない。当たり前のことを組み替えていっているだけ。
つまり色彩とか形のない絵画がないかわりに、テーマ性のない絵画もないんです。それを考えると今何を描きたいのかなという一番まともな根本的なことが、スコーンと抜けている。でも世の中はそう変わるもんじゃないんですよ。ヒューマニズムは超えられない、これからはヒューマニティーな作品が出てくるかもしれませんよ。
今の世の中は堤義明をあれだけ叩くんだから、10年前までは経営の神様だといっていたんだからね。そう思いませんか。これなら “上野の森美術館大賞展” の方が幅の広さがありますよ。テイストが違うだけですよ。今回は二紀会に出してる人が大賞をとったんだからね(笑)。
今の社会は保守化している。現代美術は徹底した権威の上に乗っているから、もの凄い保守化傾向には敏感に反応していくと思いますよ。これからパキーンとした花鳥画なんかを描く人が出てきて、臆面もなく大賞をとるかもしれないし、そうしたら現代美術も少しは意地をみせろといいたいね」
 :あるジャーナリスト(匿名)

 そういえば30年前、オサルスが学生だった頃は、団体展が盛況で、絵描きになるにはまず団体展に入る事が必要条件だったものなぁ。私の同級生でそれで道を踏み外して・・・当時は団体展というのは権力の牙城でもあり、官僚的で右向け右だったから、結局自分の絵が描けなくなっていった人もいたんですよね。
 まあ、今は、保守化というよりは、フジ対ライブドアの図式のように新旧の戦いがクローズアップされている時代だから・・・新しい時代に突入しそうな予感はあるような、ないような混沌の時代。
 歴史を振り返ってみても足下が安定している時代はほんの短い期間だもの。ホリエモンのような作家の到来を待ち望んでいるような感じもするねぇ。
おっと、上野の森美術館はフジサンケイグループだった。

VOCA展 関連情報 2004.3 2003.3 2001.2

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