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マコト・フジムラ パフォーマンス・アート 2005. 12/7
  ベルエポック美容専門学校第二校舎・ホール 開演19:00 会場19:30
マコト・フジムラ展 Works From 2002-2005 12/3 - 25
  潺画廊 東京都世田谷区深沢6-4-12  TEL 03-3703-625511時〜18時 土・日のみ開催
       
http://sengarou.co.jp

「和解」 をテーマにしたマコト・フジムラ氏の公開制作を中心に女優、和泉ちぬさんの朗読、サウンド・アーティストmamoru氏の演奏など3名のアーティストが繰り広げる即興芸術表現。

パフォーマンス・アートを直前に控えたマコト・フジムラ氏にお話を聞きました。

・・・オープニングアクトは、かりんさんのお琴、そして4枚の紙が運び込まれ、和泉ちぬさんの朗読、同時にmamoru氏の演奏がはじまり、フジムラさんの制作が開始されるそうですね。テーマは 「和解」 ですか。

 今とても興味のあるテーマなんです。今回は私を含む。3名のコラボレーションになるのですが、コラボレーションは一人ではできない世界を追及していく形ですよね。
私は20世紀のアメリカの芸術で代表的なものはジャズだと思っています。ジャズは、最高のコラボレーションアートであり。相対観を持ちながらある方向性を持ち、カオスがそのなかで生成をされるけれども、最後には解決に向う。シンガーのひとりひとりが尊重され、個人の違いも全体のなかで響きあうものだと思っています。

・・・確か今年の春にニューヨークでコラボレーションをされたとお聞きしましたが。

 5月にニューヨークの The Kitchen で 「シャングル・ラ」 というモダーンオペラのコラボレーションをしました。視覚芸術においては刺激が必要だと思いますし、そこから生まれてくる新しい可能性をすごく大切に思ってるんです。

・・・コラボレーションという言葉をお聞きして、仏教の 「縁」 というか 「依他起性」 という言葉を思い出しました。難しいことはわかりませんが 「依他起性」 とは、私という存在も、そこに展開する認識も、多くの条件の出会いによって関係している。その関係性のなかから自分を認識していくし、それは人と人の関係だけでなく、植物や動物、大気や地殻など自然と人との関係性にも繋がっていく。今回のテーマである 「和解」 も、ある意味関係性の崩壊を修復することが念頭にあるような気がしたんです。

 人間のあり方をクリエーティブに創造するということは、汚染にも繋がれば改善にも繋がるわけですよね。そこにはすごく大きなテーマがあってイマジネーションという力がある。でも、例えばアメリカであれば、和解というものから離れてどんどん成長している。僕にとって日本の文化は、そのなかに自然に和解というものがあるような気がしてならないんです。
日本画を考えてみれば、これはコラボレーションアートなんですよ。紙を作っている人や金を叩いている人、絵具を砕いて作っている人。そういう職人さんたちがいなければ、日本画は描けない。
千年以上の歴史があって、自然というひとつの宝物と共存しながら作品を描いていく、それはコラボレーションだと思う。なぜ今それが必要なのかといえば、人間性を失っている社会のなかで、先ほど話された縁やリレーションシップ、人間関係やコミュニティーを新しく創造することを、芸術家として考えなければいけないのではないかと思っているからです。
私自身が、芸術をやっているアートをやっているのは、人間だからやっているんですよ。生きることと結びついているんです。自分自身に 「なぜ生きるのか」 という問いかけをしていることなんです。

・・・フジムラさんは日本画を描かれているけれど、日本画というのは、水と膠と絵具を使って描くもの。技法は、洗練されれば使いこなせていくかもしれないけれども、それには長い時間をかけた経験値が必要になってくるだろうし、たとえ経験値を積んだとしても、水と膠、絵具を含めて自然が相手だから、予定調和は難しい。
結論的にいえば、すべてが自分の意識で制御することはできないものだと思うんです。自然にゆだねることによって、形が表出してくるわけですから。
ある意味自然と、和解するというか。受け入れざるを得ない部分があるように思うんです。

 受け入れる。それがひとつの和解へと繋がっている部分でしょうね。

・・・そして身体感を伴った画面との関わり方においても、水のように曇りがなく澄んでいる状態で、画面に向っていかないと描けないのではないかと思うんです。

 そうだと思います。そこのプロセスのなかで描いていると、不思議な何か・・・歴史の流れや自然と人間との関係というものを感じますよね。つい最近エッセイに書いたんですけど、アートというのは農業でもあり、都市でもある。両方なんです。
そのなかである意味で和解しないと生まれて来ない。どういう芸術であってもそうだ。そう考えると今、僕はNYに暮らしているんですが、自然と町が戦っている状態なんですよね。そこにも芸術家として和解という発信源があると思うんです。芸術というのは人間表現ですから、幅広ければ広いほどいいと思うんですけど、このような話ができるというのもひとつの新しい現象だと思うんです。
20年前はできなかったし、それだけある意味では人間が飢えている。これだけ科学が発展して、テクノロジーが発展して、しかし魂が飢えている。何が必要とされているか。今回朗読してくださるちぬさんと話したときも、難しくとても重い課題なんだけれども、自分たちが求めているものを皆が何かの形で参加しながら、失敗しながらも作っていければいいかなと、そういう思いではじめたんです。パフォーマンスですから、何が起こるかわからないけれどね(笑)。

・・・コラボレーションがパフォーマンスという場を生むのか。場がパフォーマンスを生むのか。とても関連性があるのだと思うのですが、人生も一回性のものだから、二度と繰り返せない。それを考えれば、人生もパフォーマンスみたいなものですよね(笑)。

 そう思います。パフォーマンスといいますと、表面的に聞こえる言葉なんですけど。そういう本質をつかむ。いい役者というのはそれを理解しているんです。創る世界だから、偽りではなくて、本当の姿を現すんだと。それが劇というひとつのアートの素晴らしいところなんです。二度とできないことでしょ。

・・・でも緊張されるんじゃないですか。

 僕は面白いことにアトリエのなかで描いているのと、こういう場で描いているのと、あまり違わないんですよ。それを発見したのもこういうコラボレーションの実験を海外で何回かやったからだと思います。
サウンド・アーティストのmamoru君とよくやるんですが、mamoru君とはじめにやったときは、彼がそれまで1年半位ピアノが弾けなかった時期があって、復活のコンサートだったんです。
そのときに感じたことは、お互いに何が起こるかわからないんだけれども、そこにいるだけである意味勝利だって・・・。今日も何ができるかわからないし満足するか満足しないかということもわからないけれど、いろいろな心配する要因が沢山あるなかに、開き直ってみれば自由があるんですよ。アートを自由に解放させる。堅苦しく、いつも目先だけのことに追われている私たちですけど、そうじゃなくて、もっと受け身になる。言うのではなくて聞くこと≠ナすね。

・・・なるほど。

 描くという行為は僕にとって、アトリエにいてももちろん戦いはあるわけで、例えば、他の人の目を気にしたり 「誰かがこう言ったからこうやってる」 というようなそういう戦いなんです。かえって開き直って、もちろん人が見ているわけですけど、しれはコントロールできないですからね。あまり心理的には違わないんですよ。
描いているときは、ある意味緊張していますから、それは同じなんです。僕は役者じゃないので体験できないですけど、シアターというのは、体験できない面が体験できる。チームでお互いにある意味エゴを捨てる。ある意味では磨く。
そういうなかであるとき一瞬皆がひとつの方向に向っていく。その体験というのは、すごく幸いに思える。いつも一人で描いてるから(笑)。それに今回は脚本を選んでくれた人たちが6ヶ月もかけて準備してくれています。僕はただ今日来て描くだけ。彼等はテーマ、私の芸術、mamoru君の音楽、そしてこの場。それを全部考慮にいれて考えてくれたんですよ。脚本を読んで僕が思ったのは、本当にこういう体験というのは自分自身が必要であるということと、それ以上に生きている会話、そこに新しいストーリー性を感じるんです。

・・・音楽は耳元を流れ。絵画は永遠か一瞬を瞼に焼き付け、それに人の口から発する朗読という言葉。音楽も絵画も言葉も、すべてが多義的で原初の部分ではまったく同じものではないかと思います。
その人の選び方でそれぞれの表現が違うだけで、その原初の部分を耳をすまして聞いてみると、いま地球に住んでいる人たちが、もう少しリラックスして生きられるのではないかと思うんです。

 ひとつ感じたことは 「和解」 というものは時間の問題なんです。この時代というのは時間をできるだけ短くしようとしている。最近は芸術もできるだけ早く20秒でわかるようにしたり、マスコミもそうでしょ。でもこの 「和解」 の作業というのは時間を延ばす作業なんです。時間を引っ張って伸ばしていく。そうすると何かこうスローダウンする。そのなかに永遠性があってそれを僕たちは必要としている。それが自分なりに感じたことなんですよ。

・・・開演前のお忙しいなかありがとうございました。

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