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オサルスのおすすめランチ ランチdeチュ その130

MOTアニュアル2005 愛と孤独、そして笑い 2005 1/15 - 3/21

東京都現代美術館 東京都江東区三好4-1-1 03-5245-4111 http://www.mot-art-museum.jp

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シーフードスパゲティー 1100円

東京都現代美術館 レストラン・MOT[B2F]
営業時間/11:00AM - 6:00PM(ラストオーダー17:00)
東京都江東区三好4-1-1 03-3630-5828

http://www.mot-art-museum.jp

 

 展覧会の担当学芸員の方にお話をお聞きする第三弾は、
東京都現代美術館 MOTアニュアル2005「愛と孤独、そして笑い」(2005. 1/15 - 3/21)展。

 東京都現代美術館は、国内外の現代美術の状況が体系的にわかる美術館として95年3月江東区の都立木場公園内に開館。
国内最大の広さを誇る展示スペースに、3800点に及ぶ収蔵作品。美術を通して国際的な文化交流の拠点となる幅広い活動を行っている美術館です。

 MOT(モット)の愛称で親しまれている現代美術館なんですが、MOT(モット)というのは、Museum of Contemporary Art, Tokyo の頭文字の略なのかな?。

オサルス的には、
MOT(モット)駅から近い方がありがたい。
MOT(モット)入場料が安い方がたすかる。
MOT(モット)展示会場が見やすい方がうれしい。
MOT(モット)、MOT(モット)と、色々いいたくなる美術館という感じですけどね。

 それはともかく 「MOTアニュアル2005」 をご紹介しましょう。
女性ばかり10人のアーティスト
【イケムラレイコ・出光真子・イチハラヒロコ 卒業生/短大 ビジュアルデザイン専攻科・岡田裕子・オノデラユキ・鴻池朋子・澤田知子・嶋田美子・溝口彰子O.I.C・綿引展子(敬称略)】
による展覧会です。
詳しくはこちら:http://www.mot-art-museum.jp

担当学芸員は笠原美智子さん。

●主な展覧会企画
  「私という未来へ向かってー現代女性セルフポートレイト」展
  「ジェンダーー記憶の淵から」展
  「アルフレッド・スティーグリッツとその仲間たち」展
  「ラブズ・ボディーヌード写真の近現代」展
  「手探りのキッスー日本の現代写真」展
  「風景論ー日本の新進作家」展など

●著書
  「ヌードのポリティクス 女性写真家の仕事」(筑摩書房)
  「写真、時代に抗するもの」(青弓社)など。

・・・笠原さんは、東京都写真美術館に13年、2002年から東京都現代美術館の学芸員になられて、今までは写真の展覧会が主だったんですか。

 そうです。私は写真が専門なので。

・・・以前雑誌か何かで拝見しましたが 「展覧会は現代を批評するひとつの作品」 といわれたのを覚えています。そういう意味で、今回の「愛と孤独、そして笑い」展は、面白いと思いました。アーティストは全員女性、何故女性なんですか?

 自分の問題だからです(笑)。特に今回の展覧会は、避けて通れない自分の問題なので・・・。

・・・今回はアーティストが全員女性という切り口。メディアは写真に平面、インスタレーションにDVDなど、こちらの切り口にはバラエティーがありますね。

 少し整理して話しますと、MOTアニュアルは、1999年から日本の新しい美術の成果を毎年グループ展のかたちで紹介してきました。今年で5回目なんです。
 現代美術の最先端の作品を、ひとつのテーマを掲げながら、それに絞って毎年展覧されています。
 偶々ジェンダーの視点は、今までのMOTアニュアルには出て来なかったので、今回、私が取り上げました。
私は個人的には、フェミニズムやジェンダーをライフワークとして研究対象にしています。91年に 「私という未来へ向かってー現代女性セルフポートレイト」 展、96年に 「ジェンダーー記憶の淵から」 展、98年に 「ラブズ・ボディーヌード写真の近現代」 展を企画しました。
 それぞれ切り口は違いますけれども、女性の意識の変遷と表現という事をテーマにしていたわけです。今回は、個人的には4つ目のジェンダー展という事ですね。
 私は写真が専門なんですが、今の現代美術は写真なくしては語れないというか、写真と現代美術の境界は殆どないようなもので、勿論全ての写真がイコール現代美術ではないので境界はありますが、けれども現代美術が写真なくしては語れるかといえば、全くそういう状況ではないわけです。
 この事に関しては、現代美術の勉強をしなければ、写真が出来ない状態なので、ずっと自然に現代美術も見ているわけですよね。ですから自然と違和感なく作家の選択をしていると思いますね。それに私はアメリカでの修士論文が 「セルフポートレート」 でしたし、このテーマは20年近く考えているんです。

・・・今まで色々な方にインタビューをさせて頂いて、遅まきながら作品は作家それぞれの 「世界の見方」 なんだと気がついたんです。
 一言でいうと漠然としてしまいますが、当たり前だと思っている事を、実は当たり前ではないという風に自分が思った時に、視点が変わって色々見えて来る。
 その時代に沿った教育を受けていたり、その時代の社会制度の中に組み込まれて、それが当然だと思い暮らしているけれど、当たり前だと思い込んでいるだけではないかと、強烈に思い始めたんです。ですから写真と現代美術と、分けるのもおかしな話で、表現にリアリティーが感じられればメディアは何でも構わないように思うんです。

 そうですね。現代美術は今つくっているから現代美術ではないので、それは平面だろうと、彫刻だろうと、インスタレーションであろうと、何を現代美術とするかは、狭い範囲での枠組みがあると思うんです。
私が何を現代美術とするかという枠組みは、一番現代の雰囲気であるとか、現代の空気というものを反映して、尚かつそこに批判、批評なり様々な思いというのが、ちゃんと表現されていて、尚かつ半歩先の未来みたいなものを表現しているのが、私は現代美術だと思っているので、メディアによって分ける必要は全くないと思います。


イケムラレイコ

嶋田美子

澤田知子

・・・少し今回の展示についてお聞きしたいのですが、地下1Fの展示室から拝見すると、澤田知子さんの次がイケムラレイコさん、次に嶋田美子さん・・・という風に順番を組まれていますが、割り振り方はどのようにして決められたんでしょう。

 理想的には、作品がリストーリーに設定展示できればいいんですけど、壁を作るのに何百万円と掛かるわけですし、作品によっては、天井が高い方がいい場合と、低い方がいい場合、色々あるので、そういう物理的な制約と私自身の展覧会の組み方・・・。
つまり展覧会というのはひとつの作品だと思いますから、その作品のストーリーってあるわけですね。それと金銭的な制約と、どれもイコールしないと成り立たないわけなので、ですから全く自由にやっているわけではないですね。

 ・・・確かに空間の制約があるので、場所によっては見づらい作品もありましたよね。ちょうど会場でオノデラユキさんにお会いして、作品が若干壁面の下方に展示されているのが気になったので、お聞きすると、等身大の人の目線に合わせたと話されたんです。展示方法は作家の意向をかなり取り入れられたんでしょうか。

 私も勿論意見をいいますけど、作家と相談しながら展示しましたので、作家の意向に沿った形になったと思います。ただグループ展なので、全て作家の意見を聞けばいいというものではない。
それに展覧会は時間の掛かるもの。一年以上前から出品作家も作品のラインナップも決めて一緒に作っていくんです。


鴻池朋子

岡田裕子

溝口彰子O.I.C

・・・順番に拝見していくと、ユーモラスな作品とこちらに突きつけてくる作品と、グループ展といっても、かなり感情移入出来たというか、起伏に富んだ展覧会だなという印象を持ちました。

 それは嬉しいですね。内見会の反応を見ると、多分見る人の年齢だったり、思想だったり社会的な背景だったり、今の自分の状況によって、どの作家にグッと来るかというのは全然違うと思うんですよ。
私自身は勿論作家の作品のまず完成度、表現の完成度を一番最初に見るわけですけども、その前に前提なのは、先ほどお話した現代美術の在り方みたいなところ。これをちゃんと表現されているかというのが、私にとっては一番大事な事なんです。それが全ての領域に渡っているので、生活する事が広いのと同じように、表現も広く求められる。そこのところはかなり意識的に色々な形の表現を、かなり考慮しながら選択したつもりです。

 お待たせしました。
シーフードスパゲティーからすみバター風味(1100円)です。

「スパゲティーがわりと美味しかったと思うんですけどね」 のお薦めで注文しました。

 イカにあさり。へぇ。結構大きなシーフード。
ムール貝もちょこんと乗って、全体にからすみが振りかけてあるんだけれど・・・からすみは高級食材。
ふだん口にしたことのないオサルスにはコメントできない。残念! でも1100円でリッチな気分を味わえるのは嬉しいなぁ。
スパイシーなパンチがきいた濃厚系で美味しい。もう少しパスタが細いという事なし。

“中庭の水のせせらぎが聞こえてきそうな、閑静で落ち着いた雰囲気のなかでお食事が楽しめます”
とキャッチコピーにあるように、ローケーションはバツグン。

ほら、雨でもいい雰囲気でしょ。

「現代美術館のレストランは、ここ二年で変わりました。以前は評判があまり良くなかったんですが、ここに変わってお洒落で、凄く美味しいといわれています」 と笠原さん。

 作品を見るのにはエネルギーが必要。人の表現を見るのは疲れますからね。
だから美味しいレストランは美術館には必須かも。

 美術館鑑賞後のひとときにぜひお立ち寄りくださいね。

「少し質問してもいいですか」 と笠原さん。「個人でサイトを運営されているんですよね。収益は上がるんですか?」

・・・ビジネスをプライオリティーの一番から外しましたので、今の収入は掛かる経費位ですね。これで生活は出来ません。例えばアーティストがお金が無いので作品を創らないかといえばそうではないのと同じように、私にはこれがライフワークなんですよ。色んな世界の見え方があるのだとすれば、実際実践されている方達に会って刺激を受けたいし、当たり前の事と思い込んで来た事を、違う目線で見ていく生き方も面白いと思っています。社会生活はきちっと稼げるというのが、一人前と認められるのだとは思いますが、まあ、こんなバカな奴がいてもいいんじゃないかなと思います。

・・・ところで話を戻しますが、内見会の評判は如何でしたか?

 普通日本のジャーナリズムとかは、つまらないと無視するというのが作法のようですが、私の企画した展覧会は数は少ないですけど、絶対に反応が出て来るんですよ。まあ、「非情に不愉快だ」 というような。

・・・え! そうなんですか。

 私はそれが嬉しくて、賛否両論が出て当たり前なんです。特に今までの既存の価値観を変えていくようなものというのは、そこにずっと安住している人達にとっては、非情に不愉快なわけですよね。内見会でも、某大先生に 「本当につまらないね」 といわれました。

・・・え〜。

 「これはやったね」 と思いましたよ。これをつまらないと感じる人がいるのは当たり前で、だからこそこんなに堅固な美術のモダニズムは日本で生きているわけですから。

・・・そのお話に若干鳥肌が立ちました。私は凄く面白い展覧会だと思いましたけど。

 それは見る人によって違うので、誰がどういう所で生きているかで違うし、私が企画した展覧会は日本ではまだまだマイナーなので。

・・・マイナーなんですか。

 モダニズムが頑固に生きている世界ですから。ですから無視出来ないほど不愉快なんだろうなと、これは私の勝利かなと思いました(笑)。

・・・なるほど。美術館は普段静かな作品が語りかけてくる場だけれど、今回の展覧会は生き生きしているというか。〈今〉を生きているという実感がありました。
「女たちはますますシビアになっています」 という現在の状況を美術館で考えさせられるとは思っていなかったので、親近感を非常に感じたんです。

 私自身が社会学を専攻していたのと、そしてその後写真を学びましたので、ずっと美術史オンリーでやって来た人達よりは、そういう面では違いがありますね。だからこそマイナーなんです。でもそれで良かったのかなと思いますけどね。
写真というメディアもそうだし、何故写真がこんなに現代美術の中に入って来たのかといえば、写真はフィクションなんですが、現実にひとつ足を入れている部分があるので、そこら辺は他のメディアよりも表出しやすい気がしますね。

・・・社会に繋がっているという事ですね。社会で思い出しましたが、以前ネットで検索していたら、「今、怒りを覚えるんです」 という事を、そして 「怒りのハードルはどんどん低くなっていく。めったなことでは動じなくなった」 とも書かれていた。この記事は二年位前でしたよね。今もやはり怒りを覚えますか?

 やはり同じような事で、悩んだり悲しんだり怒ったりしているんです。でもある程度年をとって来てますから、対処の仕方を覚えますよね。ただ怒っていてもしょうがないし、それをどうやって現実的なパワーに変えるか。それと同時に逆方向の諦念というか諦めを覚えるわけですよ。
30代前半の仕事を始めた頃は、アメリカから帰って来て間もないという事もあったので、全ての事に本当に怒っていたんですけど(笑)、そういう疲れる事はもう身体がもたなくなってきたというか。少し怒り方を覚えて来たのかなと・・・ただ私は本当にものぐさだし、面倒くさがりやなので、プライオリティーが10あったら、10は絶対出来ないわけだから、プライオリティーの三つか四つがちゃんと出来ればいいやと、あとはどうでもいいと、そういう諦めの早いところがあって(笑)、ただプライオリティーが一番高いところだけしっかりやりたいなと思っています。
それに自分の能力をあまり信じていないので、私のまじめの許容量はこんな小さなもので、殆ど仕事に使ってしまっていて、その仕事もプライオリティーの上の部分が出来ればいいやと思っているんですよ。だからこっちの方に関わる怒りは、取り敢えず抜けとこうと・・・。

・・・最後にベネティア・ビエンナーレの事についてお聞きしたいんですが、先日石内さんのアトリエに伺って料理をご馳走になってしまったんです。(詳しくは:http://gaden.jp/info/2004a/041127/1127.htm)とても料理が上手い方なので驚きました。

 アーティストと学芸員は、正反対な生活なんですよ。私達は1分1秒を惜しんでいる組織人でもあるし、個人でもある。アーティストは時間だけはあるのでいいな〜と思います(笑)。

・・・私も時間だけはあります(笑)。石内さんを推薦された理由を聞かせて頂けますか?

 私は保守的な選択をしたと思うんですけれども、まず今の現代美術の中で、もしくは写真の中で、まだ海外に紹介されていない秀逸なアーティストである事ですね。それに今までずっと石内さんの作品を見ていて、非常に共感出来るアーティストだからです。現代日本の女性の意識の変化であったり、言葉には出来ないような内面性を非常に上手く捉えている方です。

・・・私はベネティア・ビエンナーレに行った事がないのでわかりませんが、壁を新たに作るんですか。どういう展示になるのでしょう。

 普通は美術館ならば壁があるわけですが、でも展示室が壁を作らなければ展示出来ない構造になっているんですよ。
多分展覧会としては写真と多少の映像を組み合わせた、非常にシンプルで、保守的といえば保守的な、そんなにアバンギャルドではなく、きっちりとした展示をしたいと思ってます。

・・・楽しみにしています。今日はどうもありがとうございました。

 笠原さんは、1分1秒を惜しんでいる組織人と話されましたが、本当にとてもお忙しい方。この後も予定がびっしりらしいんです。時間だけはしっかりあるオサルスにお付き合い頂いっちゃって申し訳ございません。
しかし、あまり忙し過ぎるのも身体をこわしたら元も子も無い。お身体ご慈愛下さいませ。

 そういえば内見会の時に、作家の皆さん相当お疲れの様子。
展示作品は、皆さんすこぶる元気だったのに、疲れが出たのかな。

しかし本当に生きていくのは疲れますよね。

それでもイチハラヒロコさんの言葉じゃないけど 「いやでも生きる」


イチハラヒロコ

 オサルスもコノヤローという心境で、どうせ人生しばらく続くのならば、当たり前の事を当たり前と思い込まずに、メタ認知しながら生きていくのを心がけます。
金は無いけど、いい人生だったと死ぬ時に思いたいものねぇ。

東京都現代美術館 http://www.mot-art-museum.jp

オノデラユキ図録 出版社:国立国際美術館 出版年:2005

オノデラユキ transvest 出版社:Nazraeli Pr 出版年:2004

オノデラユキ camera chimera 出版社:水声社 出版年:2002

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