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オサルスのおすすめランチ ランチdeチュ その137

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地鶏串焼き定食 820円

土風炉 夢町小路
東京都中央区銀座1-10-6
銀座ファーストビルB2F TEL 03-3563-3033

http://www.tofuro.jp/  (ランチ)月〜金11:30〜13:30

 “フィンランド リポート” を送って下さっている石山さんが、中部フィンランド地区の作家を日本(会場は愛知万博)で紹介するために久しぶりに里帰り。

石山さんとはどんな人なのか?今日は丸ごと石山直司さんをご紹介いたしましょう。
 Who is Naoji Ishiyama? 石山直司って誰? (http://www2.odn.ne.jp/%7Eceq83450/index.htm

・・・石山さんは、なぜフィンランドに行かれたんですか。

 説明が難しいですねぇ。最初は文化庁の在外研修で行く事になって、どこに行こうかと結構悩んだんです。フィンランドに行こうと考え始めたきっかけは、知り合いがイタリアでやっていたフィンランドのアーティストの展覧会のパンフレットを、見せてくれたことからなんです。
20人ぐらいの版画作家の作品が紹介されていて、こんなにたくさんの版画家がいることに驚きました。そこには一点一点がものすごくすばらしいというアーティストはいなかったけれども、全体に共通するイメージみたいなものが僕にはとても新鮮だったんです。

・・・どんなイメージなんでしょう。

 説明しづらいけれど・・・当時僕は、自分の作品に強さを求めていた。でも僕の求めていた強さとは違った別の種類の強さを、とても感じたんです。それをもっと見たくてフィンランドに行ったんですよ。

・・・文化庁の在外研修は1年間じゃないですか。その後は?

 行く前から、3年から5年は居たいという話を家族でしていて。文化庁の滞在許可は、1年間じゃないですか。だからその後どうやったら居続けられるか色々と情報を集めました。でも研修中も終わってからも、順風満帆だったかといえば、結構抱えている問題は多かったんですよ。
たとえばフィンランドは、EUに含まれていて、EUからの外国人は受け入れられやすいけれども、日本からだと滞在許可を取るのに、正式な理由を提示しなければいけなかったり、生活の裏付けになるようなものを証明しなくてはいけなかったりとか、そういうことがいろいろあって・・・行く前には行かれるかどうか不安な時期もありましたし、僕はストレスで胃が痛くなるなんてことは殆どないけれども、当時はかなりプレッシャーを感じてましたね(笑)。

・・・それは大変でしたね。

 大変といえば、着いてから、アパートを借りたんですけど、家具は前の人が置いていったテーブルのみで、椅子もない。電球もついていない。だから最初の日は新聞紙を床に敷いて、食事をしました。それから布団を買いに行ったんです(笑)。携帯電話を持つのも、外国人だから保証金がすごくかかる。はじめはかなり切り詰めて生活しました。フィンランドは結構物価が高いんですよね。

・・・そうすると今は、作品を制作して生活されているんでしょうか。

 もちろん作家ですから作品も売りますけど・・・学校の講師をしたり・・・今まででずっと職探しの連続でした。でも幸いに僕が版画を制作している工房と、技術員として契約ができました。最近ようやくメドがついてきたみたいなんです。結局やっていることは日本にいたときと同じなんですけどね。

・・・“フィンランド リポート”を拝見していて、フィンランド人の気質っていいなあと思いますね。

 生活にゆとりがあるわけではないんです。日本でフィンランドの生活を紹介する時に、スローライフとかが取り上げられていますが、フィンランド人は全然スローライフを送ってはいない、普通に忙しくしてますよ(笑)。

・・・北欧は福祉が充実しているから、年をとったら、日本よりもずっと暮らしやすいように感じますけどね。

 経済的に豊かではないけれど、普通の生活はできるぐらいの状況はありますね。周りのフィンランド人を見ていても、生活が豊かなわけでもないし。お金に困るときもあるんだけれども、たとえばこれだけのものがあったとしたら、出来る範囲でやればいい。それでいいじゃないかというんですよ(笑)。

・・・無理しないのはいいじゃないですか。日本では皆がギスギスしていて、ちょっとした事でもすぐ殺されてしまう。だから石山さんのレポートを拝見していると、私も行ってみたいなと思います。

 そう。住んだ感じはとても楽です。

・・・外国人だからという偏見はないですか。

 全然ないですね。法律上とかでは、外国人として難しいことありますけど、自分がつき合ってるフィンランド人はすごく親切にしてくれます。僕は最初から、フィンランドが良くて行きたいと、決めてましたが、家族が一緒にいくことだから・・・でもすごく気に入ってくれて、そういう意味でも暮らしやすいと思います。

・・・食べ物はどんなものを食べるんですか。

 行った当初はスーパーに入って、パックを手に取って見ても、全然文字が読めないから、どんな食べ物なのかさっぱりわからなくて・・・。
英語表記はほとんどないんです。フィンランド語と、スウェーデン語と、ノルウェー語と、あとはロシア語。だから見当もつかなくて(笑)。
最初は困りましたよ。
でも北極に近いから寒いので基本的に保存食なんですよね。収穫したものをマリネにして地下に保管しておいて少しずつ食べてますね。

・・・味つけはすっぱいものが多いんですか。気に入った食べ物はありますか?

 全体的に少しすっぱいかもしれません。マッカラはご存知ですか。マッカラは日本の1番安いフランクフルトみたいな感じかな。これが僕の今1番の大好物です。何故それにハマっているのかわからないんですけどね(笑)。

 向こうでは、冬は湖で穴釣りをするときに、火を起こしてマッカラを焼いて食べたり、夏は湖で、皆でバーベキューをして食べるんです。でも肉を焼くんじゃなくて、マッカラだけ。バーベキューといえば、マッカラを食べることなんですよ。日本では肉やジャガイモやコーンを焼くんだけれど、向こうでは、いつまでたっても肉は出てこない(笑)。

・・・じゃあ、パンにマッカラ。

 主食はジャガイモだけど、僕らは主食にはしないですよ。最初はフィンランドの食生活に合わせようとして、パンを主食にしていたんですが、結局口に合わなくて、米は寿司用のがあるんだけどものすごく高い。
これは知っている人は少ないかもしれないけれど、フィンランドの人は、お粥をよく食べるんです。そのお米が安くて日本の米に似ているんです。だから食生活では困らないです。

お待たせしました。

石山さんは、天せいろ(大盛り 1180円)の本蕎麦を注文。本蕎麦とは蕎麦の実全部を使用し、臼で丁寧に挽きあげた本格派のそば。

・・・美味そうですね。天ぷらが丁寧に揚げてある。

「僕は結構蕎麦が好きで、愛知にいた頃もよく食べに行きました。しかしこのお店は面白いですね。江戸の街並みを再現してある」

・・・本当にびっくりしますね。銀座の地下にこんなお店があるなんて、朱塗りの橋に、滝まである。

オサルスは地鶏串焼き定食(820円)を注文。
や! これは美味しそうだ。
とろろを麦飯にかけて、ずずず・・・美味い。

お店はアミューズメントパークみたいだけど、味は本格派、やきとりが香ばしくて美味しい。特に“つくね”は最高。かなりおいしいオススメの店。異次元空間も楽しめるおまけつき。

・・・食べ物の話ばかりしてるのも何ですから(笑)、今回の里帰りの主旨をお話しください。

 誤解を受けそうだけど、愛知万博でフィンランドの作家の作品を展示するんではないんです。コンタクトをとってくれた方と、話をする場を設けにきただけなんです。フィンランドのアーティストは、日本で発表することにものすごく興味を持っていて、ただ言葉の問題があるので、それをどうやったらいいのかわからないので、僕が派遣されて来ました。
今回は画廊とコンタクトをとりたいんです。今までにも美術館で、紹介されることはかなりありましたけど、単発ではなくて、もっと長くコンタクトを持ち続けたい。彼等は自分の個展を定期的にやっていきたいという気持ちがあるみたいです。
今回はそれのきっかけ作りみたいなものなんですよ。だからといってこれでいきなり日本の画廊と、フィンランドのアーティストの契約ができるということは考えてはいません。今回、愛知万博でご紹介するのも、そういうアクションを興したということが、大切なことだと思っているからなんです。

 ただこのお話をいただいた時に、はじめは断ろうと思っていました。他の作家のために働きたくはなかったので。でもこれにかかわることで、僕がフィンランドに惹かれる理由を、もう一度整理してお話しできるのではないかと・・・フィンランドには興味のある作家がたくさんいて、フィンランドの作家の良い部分に、僕はすごく共感を覚えるし、それを自分で吸収したいし、「そこで何かを作ろうと今思っているんだ」 という自分の作家としての立場みたいなものを、はっきりできるのではないかと、それだけでも、自分にはプラスに働くのではないかという気持ちで思い直したんです。

・・・フィンランドのアーティストの考え方は、どういうものなんですか。

 フィンランド人のアーティストのベースにあるのは、「これでいいじゃん」 という考え方。それでいいと思ったらそれ以上何をする必要があるのとか思うみたいです。日本であれば、いいと思ったらそれ以上の努力をしようとするじゃないですか。
僕も昔はそうだったから・・・でもそれで何か見失ってしまう。 「これでいい」 という考え方は、素朴なんだけれど根本的な強さみたいなものがありますね。フィンランドの作家の作品は、装飾が足りない部分があるんだけれども、シンプルで 「魚は刺身でいいだろう。みたいな」 (笑)。そんな感じを僕はとてもおもしろく思っています。

・・・そういうシンプルな考え方は私も好きです。

 フィンランド人と日本人には共通点があると思うんですよ。フィンランド人は西洋人だから、西洋的なものの考え方もするんだけれど、そんなにきつくはないんです。それよりは日本の“侘び、寂”といういい方は変かもしれないけれど、気持ちの移りかわりとか、もっと根っこにある理屈じゃないような部分を、お互い理解ができるところがあって、それはすごく気持ちがいいし、大事なことだと思うんです。
僕の関わっている作家たちと話をしていると、勿論コンセプチュアルな仕事してる作家たちもたくさんいるんですよ。でもコンセプトはそれとして、肝心な本来のものがあるはずだからという気持ちで作品を制作している。
これは僕個人の考え方ですが、コンセプトというのは作家自身が必要としているだけで別に表に出す必要はない。自分の気持ちみたいなものがあって、それを形にするときにコンセプトが必要になるだけ・・・どんな立派なコンセプトを持っていてもそれは関係ないんです。むしろ道具みたいなものだから・・・。
 だからといって作品から出てくる何かがないと、向こうの人は価値を認めません。コンセプトがはっきりしていて、説明できたとしても、最終的に表現されたものが何もなければ、フィンランドの人は価値を認めないんです。技法についてもそうなんですよ。僕の作品は、向こうでは、すごく細かく描くと言われます。
でもそのことに、向こうの人は価値を置かない。どういう描き方でもいい。表現次第なんです。ものすごくシンプルな見方をするんですが、いきなり核心をついてくる。それは作家だけではなくて、フィンランド人全員がそういう目を持っている。すべてをそういうふうにとらえるから、それ以上のことは必要ないという姿勢が出てくるんでしょうね。“そこだけ押さえておけば、あとは別にどうでもいい”という考え方は、すごい楽なんだけれど、逆に怖い部分もあるんですよ。

・・・なるほど。石山さんの作品をネットで拝見しましたが、フィンランドに行く前の作品とはかなり変わってきているように感じました。

 憑きものが落ちたのかも・・・。そんな感じがします。日本にいた頃は多分きつかったんだと思う。「結構限界だったんだなぁ」 って、フィンランドに行ったときに気がつきました。昔自分の作品について、頼まれて原稿を書いたことがあるんですが・・文明がどうの、人間の営みがどうのとか、そういう事ばかり書いてある・・・当時は説明としてわかりやすいから、つじつま合わせのために書いた感じもありますね。
1990年代初めに描いた遺跡の作品などは、ローマ遺跡の絵はがきを買うみたいなもので、自分で見てみたいなと思ったことを自分で作っただけなんですけどね。

・・・そういえば90年代後半から2000年にかけての作品は、スケール感があってダイナミックなんだけれども、息が詰まるような感じを覚えたこともあります。

 「見ると辛くなってくる」 とよくいわれることがありました。昔から僕には作品のテーマとかがないですよ。何かを追及しているとか、こういうものを表現しているとか、そういうことがない。これはポーズではなくて、そういうことにはあまり興味がないんです。

・・・え?

 たぶん作品が具象的で、あぁいうイメージで作っているから、誤解されることも多いんだけれど、もともと僕の中にはそういう欲求はないんです。僕がいちばん興味があることは、自分の興味。自分はどういうものに対して興味を感じるのか、それだけです。ですから、昔の辛いような作品から、今の作品に移った流れは、僕の興味が移り変わったことが表れているだけなんです。自分ではコントロールできない・・・作ろうという意図があって作っているわけではないから。
その時その時で、自分があぁいうイメージを一番見たいなということに興味を持っていて、それがそのまま形になっただけなんです。自分が興味のあることを、自分で作って見ることができればそれでいい。先ほど話した遺跡の作品は、たとえばはグランドキャニオンの絵はがきを見れば、自分の目でそれを見てみたいという気持ちになるじゃないですか、僕はそういう欲求がすごく強いんです。

・・・なるほど。

 というか、自分の目で見るよりも、実際自分の作品としてイメージにして見てしまう。それは写真を見るのとは、また違うじゃないですか、イメージとして自分でそれを作ってしまうと、それは見ることと同じことだと思うんです。だからあれは全部僕が見たい景色。人物を使ってイメージを作るときも、スケッチというかエスキースを100枚ぐらい描くんです。なぐり描きのように描いたものを並べて、自分がどこに興味があるのかを考えて、それを突き詰めていく。

・・・自分の見たい物を描くというのは、頭の中にはそのイメージが出来上がっているんでしょ。

 それはないです。これは僕の持論なんですが、人間の頭の中で新しいイメージは作れない。
よく創造するとか、クリエートするとかいいますが、あぁいった能力は人間にはないと思っています。よくいうじゃないですか。自分が見たり経験したことのないものは夢で見ないと。だから頭の中で、いきなり新しいものを作ることは不可能だと思います。
簡単にいうとこういうことなので実演しましょう。新しいものを頭の中で作れはしないと、僕は思っているけれども、新しいものを発見する力が人間にはあると思うんです。でも発見するためには、そこに何かないと発見できないじゃないですか。
たとえばハートをこんな感じで可能な限り描いて、その中から自分の気に入ったのをひとつ選ぶ。ただそれだけでは作品にはならないので、縦に長くしてみたり横に伸ばしてみたり、いろいろ描きながら他のと比べてみて、そちらの方がよければ、一歩進んだと判断するんです。それは僕自身が選んでいるわけで、頭の中で作っているのではない。でも目の前に選ぶ選択肢がないと選びようがないから・・どんな作品でも最初はこのようにスケッチをしているんです。

・・・なるほど。

 僕のスケッチは何も考えずに、手が自然に動くままに描いていくんですよ。
それはスーパーでジャガイモを買うときに、どちらにしようかなと迷う気持ちと似ていますね。それは別に自分の中で、理由を意識する必要がないでしょ。
だけど理論的ではない理由を、一番大事にしたいと思っているんです。
段々先生のような話口調になってきてますね(笑)。

 フィンランドでワークショップをしたときに話した事ですが、例えばある女性を好きになって、その好きな理由を言葉で全部説明できたとしたら、もうその女性を愛してはいない。顔の造作がいいとか、背が高くて素敵だとかいう理由を言葉で上げれば上げるだけ愛せなくなる。だけど、どんなに顔が不細工でも、色んな問題があっても、好きでしょうがない部分があったら、それが一番大事。理由で説明できる価値観はもう消化済みだから、どうでもいいことだと思うんですよ・・・それは自分の中にあることだから。
だから僕は理由はわからないけれど、なぜか気になってしょうがないという事をいつも探したいと思っています。そういうもの見つけることができると、凄く興奮するし、それが自分にとってのエネルギーの源になる。作品は、自分のために作ってますから。見る方が辛くなったら 「ごめんなさい」 という感じです(笑)。

・・・自分の為に作っている。それは修行と同じですね。自分がやる事に意義があるわけだから。

 そうそう今回ご紹介する。11人のアーティストの中に、ウッラ・ヴィルタUlla Virta (1946年生まれ) という女性がいるんですが、彼女と以前 「もう生活が大変だから絵を描くのをやめて、他の仕事をする方が楽かもしれないね」 というようなことを話したことがあったんです、 「でも、それはむりだわ。絵を描かない生活は私の人生じゃないから」 と、ヴィルタがサラッといった。それはすごい言葉だなって・・・僕は学生の頃に、卒業生やOBが集まる飲み会で 「絵を描かなければ生きていけない」 と若気の至りみたいな発言をしたことがあって、みんなに笑われてすごい悔しい思いをしたことがあるんです(笑)。その時に 「それは自分の人生じゃないから」 と言えば良かったんだなって・・・ただ今この言葉を使うと恥ずかしいですけどね(笑)。
絵を描き続けていくのは辛いこともあるかもしれないけれども、それが自分の人生だと思えるのであれば、ほかに選びようがないですからね。

・・・今日はどうもありがとうございました。

フィンランドは直行便で9時間余り、 北極を越える便だと、日本からいちばん近いヨーロッパになるそうです。
行ってみたいと思いませんか?
でも貧乏なオサルスはとても無理なので、これからもフィンランドリポート楽しみにお待ちしています。石山さんどうぞ宜しくお願いします。

フィンランドリポート
http://www.gaden.jp/info/fin.htm

フィンランドの美術関連のウェブサイトを紹介するリンクページ
TAITEEN PORTTI http://www2.odn.ne.jp/~ceq83450/taiteenportti/index.html

石山直司 関連情報 2005.3 2003.7 2001.10
作家HP http://www2.odn.ne.jp/~ceq83450/index.htm
gaden 作家紹介 http://www.gaden.jp/arts/ishiyama.html

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