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オサルスのおすすめランチ ランチdeチュ その138

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タコス
(タコスは夜のメニュー、ランチではありません)

ゼストキャンティーナ G-Zone銀座
東京都中央区銀座1-2-3 TEL 03-5524-3621
年中無休

 絵の前で乱舞するbeautiful ladys.
先日、肋骨を骨折したオサルスには考えられない動き。

 これは岩熊力也さんのオープニングの光景。
何でも彼女達とは花見で知り合って・・・実は未だに名前も知らない間柄とか。
アンビリバボー、彼はよっぽど pheromone ありなのかな?

 そこで岩熊力也さんの魅力をコバヤシ画廊の小林さんに聞いてみました。

 「彼の作品は、パッと目を惹きますね。一見すると儚いんだけれど強さがある。感性がいいんですね」

 岩熊力也さんは、平成16年ポーラ財団の在外研修生としてメキシコに7ケ月滞在、でもベリーダンスとメキシコと作品がどうやって結びつくのかなぁ。

 聞いてみましょう。

・・・定番の質問ですが、絵を描きはじめるきっかけを教えて下さい。

 大学で映画の勉強をしていたんです。2年で中退したんですが、映画を撮りながら絵を描いていました。当時は絵描きになろうなどとは思っていなくて、なんとなく描いていただけなんですけどね。でも映画には向いていないことに気がついて、一人でやれるものがいいと思って・・・。

・・・作品にラテックスを使っていると聞きましたが、ラテックスって絵の具なんですか?

 ラテックスは液体状のゴムで、乾くとゴムになるんですけど・・・仮にくっついて、あとから剥がすと上に塗った絵の具が弾かれるというか・・。

・・・弾かれた部分をみると、古い建物の塗装が剥がれ落ちた感じみたいな・・・。それは人の皮膚が時間を追うごとに朽ちていくさまにも似ている。はじめからこういう描き方をされていたんでしょうか。

 最初の個展はキャンバスに油絵の具で描いていたんですが、そのときからもう表面を剥がしてるんです。描くというよりも、傷つける作業がはじめからありました。

・・・画面をキャンバスではなく、ポリエステルを使うのは何故?

 壊していく上で・・・なぜ壊したいのかというと、キャンバスを自己表現の器だと思うと、どんどん増えていくばかりなのでそういうものにしたくはなかった。むしろ減らしていきたいというか・・・だからだんだん薄くなっていったというか・・・。

・・・今回の展覧会には「辻斬り」のシリーズと、「藪」のシリーズが展示されていますが、タイトルが面白いですね。

 「藪」 のシリーズから 「辻斬り」 のシリーズへ移行していったんです。藪というのはブッシュなんです。ちょうどイラク戦争のころに描いていて、僕のアトリエの周りも、藪で覆われていました。 「藪」 のシリーズはその “やぶ” が前面に出ていたんです。でも描いているうちに、何にか違うなと思って 「辻斬り」 のシリーズを描きはじめました。だから 「辻斬り」 のシリーズは藪を切る。藪を剥がす作業からはじまっています。

・・・剥がす作業が儚さを生むのかな・・・。ポリエステルを使われているから、光が透過するので、フワーとして見える。でも油絵的な発想では、キャンバスに絵の具を塗り重ねて、マチエールを作ることで物質として表現するじゃないですか・・・岩熊さんの作品を拝見していると、今までの絵画と対峙している姿を感じたというか。

 ポリエステルを使ったのは、映画を作っていた影響があると思う。スクリーンというか・・・物質というよりも光を通すものだから。
それに・・・ 「存在してます」 というのが苦手なんです。存在していない存在感が好きというか・・・そっちの方がむしろ存在感を感じる。たとえば“いない人”みたいな・・・別の存在の仕方を絵画は、扱えるんじゃないかと思っています。

・・・この世界に確固たる存在はないんだという姿勢・・・実は私もそう思っているタイプなんです。人は必ず死ぬし、置かれている環境や状況でも激変してしまうじゃないですか。それに皆この時空に、自分が何故存在しているのかもわからないわけだから。

 メキシコが面白いのは、みんなが嘘をつくんです。たとえば道を尋ねても嘘をつく・・・知らないと言えないというか。さも知っているかのように皆親切に教えてくれるんですよ。でも全部嘘。全員が嘘をつくから・・・そういえば本当のことなんてないよなぁって(笑い)、変に納得してしまう場所なんです。

・・・本当なのか嘘なのかということは、突き詰めてもわからない。分かっているふりをしているだけで・・・要するに何もわからないで生きている。そうするとメキシコを選ばれた理由は皆が嘘をつくからですか(笑)。

 メキシコを知って行ったというよりも、知らないで行ったというか(笑)。でも地方の原住民の人達がいる地域は面白かったです。カトリックの教会に入ると、中には全く違うものが並んでいたり、彼等は動物を信仰していて、一応キリストの像が十字架にかけられているんだけれど、周りは動物の神様がいっぱいいたりして・・・。

・・・「辻斬り」 のシリーズは、メキシコの影響があるように感じましたが、岩熊さんのイメージをたとえば言葉に置き換えるならば・・・。

 描く前の心持ちというのは、失われたものとか絶滅した動物とかをテーマみたいにしていますが、その具体的な姿を描きたいのではなく。そういうものがないと向かえないというか・・・動機として・・・。

・・・なるほど。ところで絵の具の剥がれはこれ以上酷くならないんですか。

 定着している部分は普通に定着してます。浮いている部分は剥がれるかもしれない・・・。

・・・私はそこに岩熊さんの死生観が見えたように・・・「藪」 のシリーズを拝見していると、かなり日本の古画を勉強されているように思いますけど・・・。

 高校生の頃、仏教絵画にはまって京都に通ったことがあります。

・・・I see.

 お待たせしました。タコスでございます。

 岩熊さんに似合うのはやはりメキシコ料理しかないということで、銀座に一軒しかないメキシコ料理のお店を、小林さんが探して下さいました。メキシコ料理がはじめてのオサルスはexsiting。でもタコスは夜のメニューなので今回はランチメニューではありません。あしからず。

 まずタコスの具(具は一種類からOK)を選んでと、三人分なので、ビーフ、チョリソ・ソーセージ、シュリンプの三種類をチョイス。それをトルティーヤに挟んで食べるんです。ただメキシコ料理というとすぐタコスを思い浮かべるけれど、実際はトルティーヤに、何かを巻いてサルサをかけて食べる物を、タコスというそうなんです。

 トルティーヤは、BC.5000年頃からずーとメキシコ人が食べている主食。
トウモロコシのトルティーヤの他に、小麦粉のトルティーヤがあるんだけれど、こちらのお店はトウモロコシをひいたもの。注文すると焼きたてを持って来てくれるんですよ。

 熱々のトルティーヤにサルサソース(青トウガラシ、タマネギ、トマト、パクチーで作る辛いソース)やアボガドティップ、クリームチーズなど4種類のソースをトッピング・・・いただきます。

 おっと、まずはミッチェラーザ、(メキシカンビールをライムジュースで割ったもの)でチース!

 オサルスのメキシコのイメージは、ドンタコスとミル・マスカラス、それにあのつばの広い帽子くらいしか思い浮かばないんですけど・・・。

 「今はもう、あの帽子を被っているのはミュージシャンだけですよ」 と岩熊さん。

 う〜ん。余りにもイメージが貧困だった。
でもこのタコスは美味しい。チョリソ・ソーセージの辛さとサルサソースのパルペーニャ(青唐辛子)が辛くて、辛くて、辛くて・・・口のなかで火を噴きつつ食べるタコスは絶品です。

 「メキシコの市場に行くと、皆、唐辛子を試食していて、辛くないからと薦められて食べてみたら、この世にありえない辛さだった。でも皆ぼりぼり食べているんですよ」

・・・凄い。

 あ! そうか噛んでいて今わかった。
トルティーヤのトウモロコシの粉の素朴な味わいとモダンな具との相性が口のなかで異次元空間を生むんだけれど、ずっと噛んでいると辛さとトウモロコシの粉のざらつきしか残らない。これがメキシコの強みかもしれませんね。近代と土着が辛みあてもずっと土着の血が残るような・・・それがこれからもずっと続いていくんだろうなぁ。

 「メキシコの人達は、侵略されたから混血という劣等感はありますが、僕と同じ年の作家をみても、それをバネにして、むしろそれを強みにしてやってます」

・・・なるほど。では、最後の締めで小林さんに岩熊さんとの出会いと魅力をお願いします。

 セゾン・プログラム 「アートイング東京2000:16×16」 のときに、16人の作家と16カ所の銀座の画廊が選ばれまして、岩熊さんの作品をうちの画廊で展示したんです。その後のグループ展でも、パッと目を惹きましたね。彼の作品は、構造が透過して見えるポリエステルの素材、その儚さの中に暴力的な激しさが含まれているように思います。進化論的に淘汰される動物達がテーマになっているから、彼なりのメッセージとして、存在することの死生観みたいなものを感じるんです。
 最近の 『辻斬り』 のシリーズは、剥がしていく暴力的な行為に弾ける絵の具、そこに彼なりの絵画の滅んでいく姿が垣間見れる。母体としての骨のように支えている支持体が見えるというのは、日本でいう障子紙文化を連想しますね。そこには光が透けて見える美しさがあるじゃないですか。
 描かれているような描かれいないような・・・でも確固として存在している。それをかなり極力的なところで抑えている気がするんですよね。確か小説で 『存在の耐えられない軽さ』 ってありましたでしょ。
それをどこまで表現として深められるのか。作品はまだまだ未知数だし、どこまでやれるかわからないけれど・・・これからも期待しています。

・・・今日はどうもありがとうございました。

 岩熊さんの辻斬りのシリーズには、わりと具体的な形が描かれてますね。と質問しましたら、
「画面上に出てきたものは、何でも切ろうと思ったから」  という答え。
これからもバッタバッタと切って下さい。
 多分切り口には、こちらにグサグサ刺さる暴力ではなく。大音響でパンクを聞いたときに、音が体をパーンと突き抜けていく圧倒的な気持ちよさが見えるんじゃないかと・・・オサルスは思うんです。
これがpheromoneの正体ではないかと・・・。


岩熊力也 展 2005. 5/9 - 14
コバヤシ画廊企画室 東京都中央区銀座3-8-12 ヤマトビルB1F 03-3561-0515

Kaleidscopic Gallery Sceneの岩熊さんインタビューはこちら
http://www.kgs-tokyo.jp/interview/2005/050512/0512.htm

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