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オサルスのおすすめランチ ランチdeチュ その139

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焼き鳥丼 1100円

権八(ごんぱち)
東京都中央区銀座1-2-3 G-Zone 銀座
TEL03-5524-3641 ランチメニュー(平日のみ)

 銀座や京橋に画廊は多々あるけれど、どこも展覧会の回数が多いので、画廊に伺って、ある一点の絵を見慣れることってわりとないんですよね。
オサルスがずっと気になっていた作品は、赤いマントを羽織った鳥のような人間が、大気が渦巻く青い空間のなかにすくっと立っている絵。何度も何度も見ているうちに、なぜこの人はこういう作品を描いたのか、なぜこの画廊はこの人をずっと展示しているんだろうか。
それが気になって・・・。
その画廊は文京アート、作家は小山田二郎。折しも7月3日まで東京ステーションギャラリーで「異形の幻視力 小山田二郎展」(http://www.ejrcf.or.jp/gallery/index.asp)が開催中。
今日は、文京アートのオーナーの夫馬さんにお話をお聞きしました。

・・・夫馬さんと、小山田二郎との出会いを教えて下さい?

 僕の兄がコレクターで、当時同世代の作家に薦められてコレクトしはじめていたんです。ちょうどそのころ僕はまだ田舎に暮らしていたんですが、アルバイトの帰りにある古本屋に立ち寄ったら、 小山田二郎の画集を見つけたんですよ。当時親父から、兄貴がこういう絵をコレクトしているということを知っていましたので、手にとって見ると、とてもおもしろい絵だったので驚きました。また作者の顔を見てもっと驚いたんです。

・・・確かご病気でしたよね。

 年とともに病気がだんだん進行していきましたからね。二歳ぐらいで発病しているから、ずっと十字架を背負っていたわけですよ。彼にしてみれば、自分自身の身体に対して恐怖感があったろうし、それを乗り越えるのはとても大変だったと思いますよ。
絶えず誰かの視線を受けなければいけないし、若い頃は辛かったと思いますね。年をとってきてだんだん穏やかにはなってはきたけれども、生涯安らぎはなかったんじゃないですかね。それで絵に全身全霊でぶつかっていったんじゃないですか。ただ僕は晩年になってから会ったので、若い頃の話は聴いて知っているだけなんです。

・・・夫馬さんにとって小山田二郎とは?

 小山田二郎は、かなりいろいろなモチーフを描いていますけれど、今回、東京ステーションギャラリーのポスターになった「ピエタ」や「アダムとイヴ」など、古典的な題材も描いているんです。このような題材を使うと、この方はクリスチャンですかという質問をよく受けるんですけれど、そうではなくて、西洋の宗教的題材を借りて、現代の世の中に対する批判を込めたメッセージなんですよ。また人間の奥深い業を自分の業と重ね合わせて、それを一生追求した作家だと思います。

・・・ステーションギャラリーの展覧会を拝見しましたが、水彩画がすごく良かったです。

 晩年になると若干気の抜けた作品もあるけれども、水彩はこの人の性質に合っていたみたいなんです。油絵だと時間がかかるから、それまで待っていられないような性格だったみたいですね。もちろん水彩画も乾かさなければいけないんだけれども、油絵よりも時間が少なくてすむから、先日うちの画廊にこられた方で、40数年前にアトリエを訪ねた方が、「洗面器で水でざぶざぶ洗っていた」とおっしゃってましたね。

 私がよく手がける水彩画は、オートマチズムといってしまえばそれまでだが、端的にいって内部混沌の煽りを多彩に色どり、手探りの映像を自分の眠っている可能に直結することが念願である。定着の早いこの顔料は、消しては書きするうちに、紙の裸がはがれはじめて思わぬところに奇怪な亀裂や湖のようなしみを現出させるのである・・・(中略)・・・しみや線は形らしきものに変わり、スペースの限定は逆に個々の形の支配を始めだすときである。惨めな悔恨が敗北感を伴って私を沈黙させるのである。ここで私は筆をおくのである。
小山田二郎の言葉より
異形の幻視力 小山田二郎展 東京ステーションギャラリー http://www.ejrcf.or.jp/
・・・今回の小山田二郎の回顧展は、油彩画が38点、水彩画が77点の展覧ですが、水彩画をこれだけ多く拝見したのは初めてなんです。色がとてもきれいで驚きました。
 もう50年もう経っているとは思えませんよね。1994年に栃木県立美術館と小田急美術館で、回顧展が開催されてるんですよ。そのときは油絵がパーフェクトに出展されましたけれど、水彩画も資料的に出展されていました。そのときに色がとってもきれいで・・・。小山田二郎は、よごれた色と美しい色との比較がすごいと思います。他の方がきれいな色だけ使って描いても、こんなにきれいには見えないでしょう。たとえば泥水のなかのハスの花をより美しく感じるようなものだと・・・そのギャップを彼は、わかってたんでしょうね。ですのでいつか水彩画の展覧会をしたいと思っていたんです。今回は特に50年代60年代を中心として、いい時代の水彩画にスポットを当て企画いたしました。
(東京ステーションギャラリー 主任学芸員 成川さん

・・・夫馬さんは、かなり資料を研究されているんですか。

 研究しているというよりは、僕は画商だから、作品点数を数多く見て売買をしていますからね。その分実践的だと思います。作品を大まかに把握していなければいけないし、最低限調査がすんでいない作品は、整理していかなければいけないですから。
資料はだいぶそろってきてはいますけれども、制作年代の違いや題名の違いなど、まだまだ整理し直さなければいけないんですよ。時間が経てば経つほど関係者が少なくなってきていますからね。

・・・今回の展覧会をご覧なった方は、やはり年輩の方が多いんですか。

 昨日美術館に見に行きましたが、かなりの入場者がいましたよ。特に若い方が熱心に時間をかけて見ていましたね。うちの画廊にも30代くらいの方だと思いますけれど、3日間ずっと通って来られた方がいました。夕方の6時に来て、画廊が閉まるまで絵の前にじーと立ち尽くしているんです。以前から、この作家の展覧会では、よく見られる光景なんですよ。何か感じるものがあるんだと思いますね。

 お待たせしました。
焼き鳥丼 鶏スープ付き+B Set(サラダ、デザート、ドリンク 1100円)でございます。

 こちらの権八は、小泉首相とブッシュ大統領がお食事をしたお店(西麻布店だけどね)。
クエンティン・タランティーノ監督が “キル・ビル” を撮影したときのセットとしても有名です。
銀座店は、文京アートの入っているビルの斜め前にあるんですよ。

 鬱蒼とした森のなかに黒い格子の粋な作りのお店が出現。
この写真だけ見ると銀座とは思えませんよね。
店内は若干照明が落とされ明治時代にタイムスリップしたよう・・・あ! 天井にザ・ブライドがぁ〜。うそだよ。
お客さんも女性ばかり。

 う〜ん。いい匂い。つくね、鳥葱、鳥シシトウ。三本とも美味しそう。
焼き鳥にたれが微妙に絡まって、炭火の炎の痕が香ばしさを演出しています。ご飯も炊きたてで美味しいのに・・・でも量が少ない。

「そんなに量を食べない若い女性にはお薦めなんですよね」 と夫馬さん。

 もう若くないオサルスとはいえ、もっと量が食べたいよう。これでご飯がもうちょっとあればいうことなし。でもデザートの “くず餅、きなこアイスクリーム” は絶品です。あぁ、ご飯をもっと・・・。

・・・小山田二郎は何年に亡くなっているんですか。

 亡くなったのは91年です。15年位前ですね。晩年の顔写真が残っているんですよ。何もかも悟ったような柔らかい表情をしていますよ。
それまでが厳しかったからねぇ。これは86年に撮影された写真だけど・・・口びるが化膿したからとっちゃったんですよね。だからそう見えるのかもしれないね。満身創痍だったのかもしれないなぁ。

・・・作品に古さを全然感じませんね。

 時代を超えたところで評価して欲しい作家です。57歳で失踪しているんですよ。57歳じゃくたびれるじゃないですか。ここでもう1回やりなおそうと思ったら、めんどくさいでしょ。今の自分の年とほとんど変わらないから、すごいと思うな・・・。

・・・描き手が亡くなってしまえば、作品だけが変遷していくわけですよね。

 作品は残るけれど、その残り方がどういうものなのか。その違いはあると思います。
人に感銘を与える作品であれば、誰かが評価する。そういう意味でアーティストというのは、幸せですよね。虎は死んで皮を残すというか。でも画商は何も残さないですものね。伝説として語られている画商は、何人もいませんよ。

・・・でも昔の画商さんたちは、性格的に破たんしているような作家でも、一生懸命付き合って入れ込んだわけだから、そうじゃなければ作品が残らなかったんじゃないでしょうか。

 まあ毎年、展覧会をしていくうちに作家の人気が出て、画廊の名前が覚えてもらえるというのはあるけれどね。ただ最近のコレクターは一人の作家を買い続けるということもなくなっているからね。僕がこの業界に入ったときは毎年買ってくれるお客さんは多かったしそういう時代でもあったんだろうね。
ただ、今は色んな情報が入ってくるし、世の中のテンポが速くなっているから、じっくり絵を楽しんで、次にお金ができたときにまた買おうという人は少なくなっているかもしれませんね。でも僕はずっとそれを引きずってきたから、これまでやりつづけてきたんだからやらなければいけないと思ってるんですよ。それに繰り返し展覧会をするには、ある程度自分の資金力で買える作家でなければ続かないんですよ。1回だけで終わってしまうのであればテーマも持てないでしょ。

・・・そうかもしれませんね。

 以前、ある方にもっと流通している作家の展覧会をした方がいいと薦められることもあるんですけれど、それは僕の仕事ではない。
それをやってみたいと思うけれどそれは商売の方が優先した話だからね。確かに流通している作家の方が展覧会をすればそこそこ売れるかもしれない。でも、自分が気に入った、いい作家がいて3点持っていても2点売れればまた買うことができる。その微妙なバランスを今までずっととっているんですよ。でもバブルが崩壊して、ここ15年かなりきつくなってきてますよ。

・・・小山田二郎はこれから値段が上がるんでしょうか。

 希望していますがそれは何ともいえませんね(笑)。それは世の中が決めていくことだから、今は美術の業界はかなり冷え込んでいますから、この作家に限らず金額が上がるのは難しいと思いますね。
最近口癖になっていますが、「いい絵と高い絵は別です」 と、そういうよりしょうがない(笑)。そのギャップを埋めるために僕がやっているわけだから、使命に燃えているんです(笑)。でも 「それは単なる金もうけで、お前は売りたいだけだろう」 と、いう人もいるかもしれない。でも僕は値段というものがものにはあると思うんです。商行為としては絶対値段がつくわけだから、そこでいいものは高いのがあたりまえでしょ。
外国のオークションなんて極端じゃないですか。たとえばジャスパー・ジョーンズの初期のドローイングがものすごい値段がついたりするわけです。外国では初期のものは評価が高いし、制作年代や出来不出来によって値段が違う。だから一人の作家の作品でも10万のものもあれば、一方で200万円以上のものもある。それはあたりまえのことです。
そういう意味でその作品に見合った価格が生まれるように努力していかなければいけないと思いますね。展覧会をやりながら、それを広めていけば少しずつ評価してもらえると思っているんです。
一足飛びにはいきません。小山田二郎はこれまで以上に、これからどう評価されるかわからないけれども、逆にいえばまだまだ評価される余地があるからやりがいがあるんですよ。もう引くに引けないしね。心中する気でやりますよ(笑)。

ありがとうございました。


小山田二郎 展 漂泊:46年ぶりの再会 2005. 5/24 - 6/11
文京アート
 http://bunkyoart.jp/
●小山田二郎は、かなりいろいろなモチーフを描いていますけれど、今回、東京ステーションギャラリーのポスターになった「ピエタ」や「アダムとイヴ」など、古典的な題材も描いているんです。このような題材を使うと、この方はクリスチャンですかという質問をよく受けるんですけれど > > >続き

文京アート http://bunkyoart.jp/

東京ステーションギャラリー http://www.ejrcf.or.jp/gallery/index.asp

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