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●京橋界隈2005● 2005年 7月4日(月) - 16日 (詳しくはこちらへ)

 7月4日からはじまる京橋界隈も今年で11回目。巷ではいろいろなイベント・フェアーが消えていくなか、未だに続いているのはすごい。11年間続いた秘訣を聞いてみました。

 京橋界隈を代表して椿原さん(ギャラリー椿)、土倉さん(ギャルリー東京ユマニテ)、戸村さん(戸村美術)、夫馬さん(文京アート)、佐々井さん(ギャラリーアートもりもと)の5人の方たちにお聞きしました。

だったん蕎麦

三間堂 銀座店
東京都中央区銀座1-2-4 サクセス銀座ファーストビル10F
TEL.03-5524-1097

http://www.sangendo.jp/tenpo/29.html

 場所は、「京橋の北詰東側親柱」 のすぐ後方に新しく建てられたビルの10階 お店の名前は・・・三十三間堂ではなく、“三間堂” (http://www.sangendo.jp/tenpo/29.html)。こちらでは、地酒と蕎麦、京風おでんが楽しめます。特に “だったん蕎麦” は、名物とか。楽しみだなぁ〜。
おっとその前に座談会のはじまりです。

・・・今年は11回目とお聞きしておりますが、オークションなどのイベントはないんでしょうか。

土倉: 初心に戻ってシンプルな展覧会にしたいと思っています。京橋界隈のスタート時は11画廊だけで開催しましたから、今回はかなりそれに近いと思いますね。ですから全体的なイベントよりも各画廊がそれぞれの展覧会を重視する展示になると思います。

・・京橋界隈展の発端は、暑い夏に10数件の画廊が一斉に展覧会をすることで、いろいろな方たちに来て見てもらおうということではじまったとお聞きましたけれども・・・。11年前と今では大分状況が違うと思いますが?

椿原: 最初は珍しいから人がかなり来てくださいましたね。日曜日がスタートでしたが、ほとんど食事ができないような状況でうれしい悲鳴を上げたものです。でも今は日曜日に開けていても、もう慣れができてしまったのかあまり人が来てくれなくなりました。

戸村: 同じ地区の間で、いろいろな画廊が集まって展覧会を開催したのも、京橋界隈がはじまりでその後岐阜や京都でも開催されましたけれども、日本では初めての試みだったと思っています。

・・・昨今の不況のあおりを受けて、美術の業界もかなり深刻なダメージを受けているように思いますが、11回目を迎えて、集客力が伸びないという悩みを抱えてらっしゃる様に思います。この点はいかがでしょうか。

椿原: 今までワークショップやオークション、インターネットや新聞、一般誌に美術雑誌などに宣伝を打つなど・・・それぞれの画廊が毎月会費を積み立て、1店の画廊ではできないような試みをしてまいりました。その都度話題にはなりましたが、最近は今までにない美術の低迷期なので、思うように集客力を伸ばせなかったのも事実です。ですから今回は初心に戻って、それぞれの画廊がいい企画をすることがいちばんの得策だと考えています。
今回はとても興味深い展覧会がたくさん開催されますよ。僕が思うに、この10年間で“京橋界隈”という言葉が一人歩きをしていて、アートゾーンとしての使命は果たせたと思っているんです。

・・・なるほど。

夏枯れのシーズンに、少しでもお客様を呼ぼうという思から、1軒の画廊だけではなく他の画廊も知ってもらえるという相乗効果を期待していたんです。ただそういうことに興味を持ってきてくれたお客様たちも、今は一段落しています。確かに、外に向けてアピールするという面ではそれほど良い知恵も浮かばないし、手探り状態です。ただアートフェアーというのは継続するということがすごく重要なんですよ。お客様が来る来ないは別にしてここでやめてしまったら、楽しみにしてくださっていたお客様たちにも申し訳がないと思っているんです。アートフェアーは淡々と継続していかなければ駄目なんですよ。それに今回の12画廊が同時開催というのは、とてもまとまりがいい数だと思います。20軒とか30軒になると、考え方が違って、難しいことも多くなるんですよ。

土倉: 先ほど椿原さんがおっしゃったように、京橋界隈は定着し恒例になったし、自然な形になったと思います。ですから僕は原点に戻ってこのまま続けていかれればいいと思っているんです。

・・・ただ以前より画廊の数が減ったというのは・・・。

土倉: 京橋界隈に参加する画廊でやめていかれる方も多いし、案外そういう意味での拘束はない。それぞれの画廊がメリットがないなと思えばやめていく。それでいいんじゃないかと思います。

椿原: たとえば作品がたくさん売れるとか、新しいお客さんが開拓できるとか、あいまいな気持ちで画廊が参加しても、そういう期待感だけでは、現実問題としてはギャップが出てしまう。継続こそ力です。過度の期待を持つことは禁物ですね。それに全体で一つのテーマを持つことよりも、個々の画廊が、それぞれのスタイルを出していくということが重要だと思っています。

戸村: 京橋界隈の字を見てもらえばわかるように、界隈でやるイベントですから、いっしょにこの界隈を盛り上げていこうという試み。お互い同士の信頼関係があって生まれることなんですよ。

・・・近所同士でお互いがどういう作家を扱っていて、どういう形で経営しているのかということを熟知している。あとは個々の画廊が個性を発揮していくだけ。これで売上があればいうことなしですね。でもそれがなかなか難しい。

戸村: やらないよりはやった方がいいです。二八といって夏はお客さんが来ないことがわかっているし、売れないかもしれないということがわかっているから、日常のなかの淡々とした仕事の延長だと思っているので、過剰な期待を持っているわけではないんですよ。過剰な期待を持ってしまうと、違ってくると思いますね。

椿原: たとえば大きなフェアーは相当経費のかかるものです。経費がかかった分だけ売らなければいけないし、入場者数を見込んで、過度の期待を持ってしまう。それとは逆に京橋界隈は費用の面でも、参加画廊があまり負担のかからない金額を積み立ているので、継続することができると思うんですよね

・・・国内でかなりの経費を負担してフェアーに出るよりも、中国や韓国のフェアーの方が魅力的かもしれませんね。

戸村: 中国のフェアーに去年も参加しましたけれど、今年の方がよりバブルですね。中国はどんどんバブルが膨らんでいくみたいです。

・・・戸村さんは作品がかなり売れたんでしょうか。

戸村: 全然売れませんでした。作品は誉めてくれるんですけれども・・・。中国の30〜40代の作家はマネーゲームかのように急騰しています。金額も日本円で高いですよ。

・・・作品が、売れなくても続けていくメリットがあるんですか。

数字以外にも、たとえば北京の画学生が来てくれて、小嶋悠司先生の作品をずっと見てくれたり、カタログを買ってくれたりとても興味を持ってくれるんですよ。僕は作品を売りたいけれども売る以上に、若い人たちが興味を持ってくれるのをとてもうれしく思っているんです。日本のアートフェアーに参加するよりも、経費は安くすみますから、また参加しようという気持ちになりますね。

・・・韓国はいかがだったのでしょうか。

土倉: 去年と今年参加しましたが、ビジネスでいえば、売れてませんね。でも国内のアートフェアーは、金額的な意味で参加しづらい。フェアーの時期に合わせて、いい展覧会をこちらでやっていれば、問題はないと考えています。
韓国のフェアーでは売れなかったけれども、広がりや手ごたえみたいなものは徐々に感じ始めているんです。それにインターネットは、展覧会後のビジネスとしてつながりを持つことができますね。作家の資料をすぐにメールで送ることができる。それは今までになかったことです。実際に売れるかどうかはまだわからないけれど、そこからの手ごたえができはじめているというか。インターネットは、そういう利便性があるのはとても大きいことだと思っています。

椿原: 僕も韓国のフェアーに、テグや何かを含めると5回出展しています。テグでやったときは、日本の画廊は僕だけで、中国も1軒しか出展していなかったんです。それなのでとても心細く感じていたのを覚えています。でもねぇ来られた方が、とても熱心に見てくれるんですよ。
国内のフェアーにも4回ぐらい出展していますが、売れる売れないはさておき、手ごたえが感じられなくて、後につながらない。他の業界の見本市をみてもわかるとおり、その場で宣伝をして後でディーラー同士が商売をしたり、オファーが来るのが本来のものだと思っているんです。それがアートフェアーにあってもいいと思っています。けれど現実には、フェアーが終わった後はそこでぷつと切れてしまう。見に来られた方が、パンフレットを持っていったり、芳名帳に名前を書いてくれるのはいいのですが、その方たちがリピーターとして画廊にほとんど来ない。皆無に近いのが現状です。
でも韓国のフェアーに参加すると、作家の名前を覚えてもらえるし、実際に去年参加した画廊でカタログを買っていかれた方が、今年はお花を持って作品を買いに来てくれたりしたんですよ。やはりつながっていってるんですよね。どこかにつながる期待感があるんですよ。もともと画廊というのは、すぐに答えが得られるような仕事ではない。そんな楽なことはないわけだから、無理をせず、背伸びをせずに、続けていかれることがいちばん重要だと思っています。

・・・続けることに意義があるということですね。

土倉: 商売だけを考えるのであれば、韓国でやる場合は韓国の有名作家を展示すればいいということはありますよね。だけれどもそれでは僕たちの普段やっている活動と違うものなんです。長い目で考えていけば、“つなげていく”そういう関わり合い方がベストじゃないでしょうか。まぁ、正直にいえば、売れなければ経済的にはとても大変ですけどね(笑)。

夫馬: これを扱えば話題になるとか売れるというのはわかっていても、そうじゃないものをやりたい部分があるんでしょう。

椿原: 企画画廊というのは、自分の画廊の扱い作家を出したいんですよ。

・・・韓国や中国の市場は発展する余地があるけれど、逆に日本は冷え込んできているのが現状ではないかと・・・。

夫馬: 日本は成熟しているから・・・。

椿原: 日本はいろんな価値観がありすぎるから、購買層が別れてしまう。また美術を学問的な見地から見てしまうと、堅苦しくなってしまうような気がします。京橋界隈でもアートフェアーでも、お祭りだという意識が必要だと思うんですよ。上ばかり見ないで、もっと目線を同じにすれば楽しめると思う。たとえば美術クラブで行われている正札市には、たくさんのお客様が来てくれるし、外国の方たちも見に来られる。そういう意味で定着している。京橋界隈もそうなるといいんだけれど・・・。

戸村: 美術倶楽部の正札市は掘り出し市のようだから発掘する楽しみがありますからね。

椿原: 一人よりも何人かで選ぶ楽しさもあるんでしょうね。上品に一点一点飾るよりも、
たくさん飾ってあった方が、見る人は裃を着ないで買えるかもしれない。

土倉: ユマニテは京橋界隈の第1回目で、“wall to wall” というタイトルの展覧会を開催しました。壁にいろんな作家の作品をずらっとかけたんですよ。それは商売になりました。でも2回目のときは周りに歩調を合わせて個展になったんです。本当は、いろんな方が来られるんだからそれの方がいいという部分もあるんだけどね。

椿原: 確かに壁にポツンと絵がかかっているだけだと、一般の人はドアを開けて画廊に入る勇気はないかもしれませんね(笑)。

夫馬: 逆に京橋界隈でやるということは、いろいろな方たちが来られるわけだから、作品をじっくり見てもらえる機会なので個展でやることは当然考えられることだし、売るとなれば小さい作品を数多く並べることが必要。どこに重点を置くかでしょうね。

椿原: オークションという形でなくても、たとえば別会場で、小品ばかりを並べて展示するのも1つの案かもしませんね。それはインターネットでもできるわけだし。

佐々井: 続けていることは本当に大変ですよね。

戸村: もう月末かと思うものね(笑)。

佐々井: それは本当に大変(笑)。他の地域の方たちで、こういうフェアーをやっているところは、2-3回でもうやめてしまう。これは参加している方たちが、画廊を経営するだけでも大変なのにもかかわらず、フェアーにも参加するわけだから全体をまとめることだけ考えてみても、大変でしょうがないからやめていくんでしょうね。京橋界隈は、11回続いたというのは奇跡に近いことだと思います。 それはひとえに最初から参加している方たちが、続けてやろうという意欲を持っているからでしょう。毎回毎回は旗を上げるのは大変だし、今回は周りから、何もやらないのかといわれることも多いんですけど・・・これからまだまだ続いていくので、いろんなチャンスが巡ってくると思うから、それに期待していただけたらいいですね。

戸村: かえって自然体の方が京橋界隈には似合っていると思います。

夫馬: 長続きすることが大事ですね。

戸村: 年1回のイベントとして定着しているから、パンフレットを持っていろんな画廊を回るのは、楽しいと思いますよ。

椿原: こちら側も京橋界隈の時期が来たなと、気持ちを引締めますからね。今年の展覧会はみな力が入っていると思いますけどね。

夫馬: 僕は参加してから5回目ですが、以前のパンフレットを見ても、企画展の内容の水準が落ちているとは思えないけど、来てくださる人が減ってしまったということですね。それはどうしてかと疑問に思いますね。目新しさが無くなってきている部分があるかもしれない。

土倉: それは普段の展覧会でも、ここ1、2年で集客力は落ちています。必ずしも京橋界隈に限ったことではなくて、来られる方がたまたま足を運んでくれることが少なくなってきているからなのでは。美術離れというかどうかわからないけれども、心配なところではありますね。

椿原: それをいちばん心配しています。以前は一人の作家をずっと追いかけて、コレクトしてくれる方がいましたけれど・・・もうそれもお腹がいっぱいで買い切れなくなってきている。従来からやっている画廊は、その悩みをどこも抱えています。

佐々井: そういう状況は今までになかったですよね。今までずっと自分の画廊で扱っている作家の方たちの作品が、悪くなったとかいう極論ではなくて、なんとなく買わなくなってしまったという状況というのは、経験したことがない。

戸村: 僕は物故作家も扱っていますが、今まではお客さんから頼まれた作品を交換会に出して、手数料をいただいていましたが、オークションがあるゆえに、そちらに流れていてしまっている。そういう面で苦しい部分がある。商売という点からは厳しい面がありますね。

椿原: そういう新しい商売の形態が出てきたことで、お客さん自身も変わった。それに昔のようなマッドコレクターがいなくなりましたね。生活をほっておいても作品を買ってしまうような・・・。

夫馬: そういえば以前、日曜日にしか来れないから日曜日開けてくれといわれて、必ず買ってくれたお客さんがいましたよ。今はそういう人もいなくなりました。情報が数限りなくあって価値観も多様化してきたからかもしれませんね。

椿原: とにかくいろんな情報がありすぎるからパッと衝動買いができなくなっているんですよ。インターネットの弊害で情報が流れすぎるということもあるじゃないですか。以前は美術雑誌だけだったから、発行部数も限られていた。結局画廊に来て見るその情報の方が勝っていたわけだから。今成功している画廊は、トレンディーな部分でメディアと融合して作家が戦略的に動いているところが強いような気がしますね。だがそれも長続きするかどうかわからないから、やはり難しいですね。

土倉: 結局不景気なんじゃないですか。大企業は優遇されるけれども、末端まではまだまだ恩恵が回ってこない。公共の部分でいえば、美術館も展覧会の予算はないし、購入予算もない。それはみんなが知っている事実でしょう。でもまだ少しずつ買ってくれるけども、まとまっては無理ですね。以前は、そいうことがありましたから、ほっと一息つけましたけれどもね。

・・・だんだんみなさん話が暗くなってきてますね。

戸村: 北京に行くと、明るくなりますよ(笑)。

夫馬: 明るく希望を持ってやるよりしょうがない(笑)。やれるところまでやるしかしょうがないんですよね。

土倉:希望を持つということは、個々の画廊が続けていくしかしょうがないということですよ。京橋界隈も個々の画廊が個性を出し合うことで続けられた。バブルからずっと日本は低迷を続けているし、この10年間で相当な社会的変化があったわけだからね。でもどっこいみんな一生懸命に生き残ってやってきたんですから。

・・・そういえば私はランチのお店をいろいろ紹介していますが、もう3分の1以上が閉店したかもしれませんよ。

夫馬: へぇ。じゃあ画廊は頑張っているんだ。他の業種は見切りが早いね。

佐々井: 踏ん切りが悪いのが画廊じゃないですか(笑)。

夫馬: 画廊は夢を追っているから、いつかは逆転できるかもしれないって・・・今は儲からないけどね(笑)。

椿原: 夢か! いい言葉ですね(笑)。
食べ物屋は毎日仕入れがあるけれど現金商売なのは羨ましいとは思っていたんですよ。

土倉: 画廊はいつお金が入ってくるかわからないからね。

夫馬: 普通の神経じゃやれないよね。

椿原: 入ってきたお金でやりくりするわけだから綱渡りですよ(笑)。それに他所の畑は良く見える。でも自分の畑を耕さなきゃしょうがないですからね。試行錯誤の繰り返しです。

佐々井: でも何でみんなこんなに陽気なんでしょうね。

夫馬: ねじが一本ゆるんでるんじゃないのかな(笑)。

 なるほど。こういうユーモアのセンスが、京橋界隈なんですね。
今日はどうもありがとうございました。

 おっと、まだ “だったん蕎麦” を食べてなかった。
だったん蕎麦は、中国で古くから健康食として食べられ、一般の蕎麦に比べてビタミンB2・Eが豊富、特にルチンは約100倍の量が含まれていて、脳卒中、心筋梗塞、高血圧などに効果があり。しかもその効果は摂取後1時間で現れるという即効性も評
判。

 では、いただきます。まずは本わさびをおろして。


あ! みなさんが一斉にわさびを・・・。
いや〜。さすが京橋界隈、ご覧あれ、このチームワーク。わさびをおろすのも自然体です。

お蕎麦の美味しさを噛みしめながら、夢追い人の姿を見渡すオサルス。
でもこのお蕎麦、美味しい〜。画商さんお薦めのお店をまた1軒見つけてしまいました。
暑い夏ですが、人間味と人情+ユーモアに溢れた界隈に足を運んでみませんか?
京橋界隈2005 7月4日〜16日まで。

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