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オサルスのおすすめランチ ランチdeチュ その146

村田朋泰展 −俺の路・東京モンタージュ 2006年2月11日-3月31日

  目黒区美術館 東京都目黒区目黒2-4-36 TEL 03-3714-1201 10:00-18:00 http://www.mmat.jp

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前菜、パスタ、デザートcaffeつき 1500円

OSTERIA La Luna Rossa
東京都目黒区中目黒2-5-23 TEL 03-3793-4310

 


村田朋泰展 −俺の路・東京モンタージュ 2006年2月11日-3月31日 目黒区美術館 http://www.mmat.jp

 展覧会の担当学芸員の方にお話をお聞きする第4弾は 『村田朋泰展−俺の路・東京モンタージュ』
担当学芸員は家村珠代さんです。
家村さんは、目黒区美術館の学芸員さん。ここ数年、同時代作家の作品を紹介するお仕事をされていて2000年には 『青木野枝展- 軽やかな、鉄の森』 を企画。ただ途中、産休で他の学芸員の方に担当をバトンタッチはされたとお聞きしましたけれど。2004年には 『小林孝亘展- 終わらない夏』 を企画担当された実績の持ち主。
2006年 『村田朋泰展- 俺の路・東京モンタージュ』 は、これらに次ぐ企画第3弾です。

 今回展覧されている村田朋泰さんは、パペットアニメーションを制作されている方。
詳しくはこちらを(http://www.mmat.jp/)ご覧頂くとして、まずはお話をお聞きしましょう。

・・・こちらに展示されているパペット(人形)は、そのまま映像に使われたものですか。

そうです。素材は石粉粘土で作っているんですよ。今回上映している 「藍の路」 に、影だけ動く部分があるんですが、ほんの2,3秒なんですけれど、1コマ1コマ表情を変えて撮影しているので、動かすだけで1時間位かかっているんです。

・・・重労働ですね。今回 「朱の路」、「白の路」、「藍の路」 を拝見しましたが、3作ともそれぞれイメージが違うような気がしました。

 「白の路」 はミスターチルドレンのプロモーションビデオ用に制作したものなんです。
「朱の路」 の温かな素朴さよりも、洗練した方向に行きすぎてしまって、それからしばらく彼は、制作できなくなってしまったんです。「この延長線上には、俺がつくるものは無いな」 と。それでパペットから離れて、軌道を変えるために手描きのアニメーションを制作し、内容もできるだけばかばかしい、お笑いの方向へともっていきました。「藍の路」 はそういう経緯を踏んで出来上がった作品です。

・・・それは知りませんでした。「朱の路」 を拝見していて、人形のシーンの合間合間に空の映像が出てきますよね。
「このシチュエーションと同じように空を見上げたことがあるな」 と、私自身の記憶とダブって、かなり心の中にジーンと染みてきました。映像自体に言葉がついていないので、ピアノの音だけが響く。このシーンを見て音楽は心のよりどころになるんだと思いました。美術ではこうはいかないような気がします(笑)。
村田さんはアニメーション作家というよりも、映像作家ということでよろしいのですか。ただ映像というのはストーリーがあるから、立ち止まって見ているととても疲れるんですよね。むしろ椅子に座ってじっくりみたいなと思うのですが、その時間が作れない。

 今回アニメーション映像をどうやって見せるかというのはかなり苦心しました。何度も話し合いを重ね構成していったのです。展示もただアニメーションで使用したセットをそのまま見せるのではなくて、「新世界 デロデロ横丁」 と名前をつけて、それだけでも世界観が見れるように構成し直し、映像と展示空間が入子になるような空間を作り上げたんです。

・・・今回の展覧会の構想の発端はいつ頃からなんでしょうか。

 2002年に村田さんに出会ったときから、展覧会をしたいという気持ちがありました。
でも決定したのは2004年なので2年くらいかかりましたね。準備期間が長かったので、映像部屋に使用したこのドアも、急きょ壊すことが決まった公団アパートのドアをもらって来たものなんです。そういう時間的な余裕はありました。

・・・本物のアパートのドアだったんですか。驚きました。
同時代の作家を紹介する企画展は今回で3回目ということですが、1回目が青木野枝さん、2回目が小林孝亘さん。3回目が村田さんなんですね。かなりジャンルが違うように思いますが、3人の共通項を上げるとすれば・・・。

 モノを真摯に作る姿勢は3人共に通じるものがあると思います。「ものを作ってなければ生きていけない。表現することができなくなったら、死んでしまうのではないか」 と思う人たちなんですよ。
「作ることと生きること」 がすごく繋がっていて、特に村田さんは、アニメーション作家ということで、見る人に媚びているように、誤解されやすいんですけれど、1日2日作品が作れなくなると 「存在する意味があるんだろうか」 と落ち込んでしまう。
つくることで精神状態を保っているのです。
最近美術館は集客力が難しいから、「アニメーションをするんでしょ」 とよく言われるんですけど、私にとって村田さんはアニメーションの作家というよりは、美術の土俵の上に立つことで、評価されても良い作家だと思っているんです。ですから彼を選びました。彼はそれにとても応えてくれて、展示に力が込められていると思います。
以前富岡市の美術館で展示されたんですが、資料を展示して映像を見せる形式だったんです。でも今回の展示は「全体を自分の作品として展覧できるようにして欲しい。美術館全体を村田朋泰の世界にして欲しい」と要望を出したんです。

・・・展覧会タイトルに 「俺の路・東京モンタージュ」 とついていますが、「路」 と言うのは 「朱の路」、「白の路」、「藍の路」 。この他に 「東京モンタージュ」 という映像も見えるのでしょうか?

 ええ。彼は今まではモニターの中の世界を作っていたんですが、今回はこの美術館の空間を使って映像を制作しました。
「東京モンタージュ」 はおよそ300uある当館で一番大きな展示室でみることができるのですが、はじめは街の路地をつくって映像を配置しようかとか、参加型にしようかとか、村田さんから案がでてきました。
でも、しっくりきませんでした。その後、プロジェクターを使って大きな映像にしてみようということになり、実際に展示室で実験をしてみることになりました。映像をどこに映写しようかとプロジェクターを振り回しているうちに、1面よりも2面の方が効果的かも、2面よりも4面の方がもっと良いかもと、どんどんエスカレートしていきました。

・・・映像の真ん中に家のような形がありましたよね。

 彼は今まで自分の家族とか家とかをテーマにしてきましたから、この家の形がみえたときに、これが核になると思いました。しかも実像ではなくて虚像。それを核に映像を作り込み始めたんです。
天井の部分が段々になっているので、どういう大きさで、どういう速さで、どんな映像がいいのか、展示替えの時間を借りて毎回シミュレーションを重ね、練りに練って生まれた映像です。あの映像によって、かなり空間という概念が彼の体の中に芽生えてきたように思います。

・・・先ほど小学生の集団の方達が来ていましたが、もちろん大人もですが、子供が見るのにはとてもいい展覧会だと思いますね。村田さんの映像は「心」を教えてくれるような気がします。最近の子供達に一番伝えなければならないのは、その部分ではないかと思うんですよ。

 「 ガチャガチャ」 があることもあるんですけど、学校が終わってから小学生が友達と見に来てくれたりしますね。映像に言葉がないから自分で考えなければいけないでしょ。子供には、難しいかなと思いましたが、そんなことは無いですね。自分なりにストーリーをくみたてています。「間」もちゃんとあるし、急かさずに語りかけてくれるからかもしれませんね。

・・・そんなに急かさなくても、もっとゆっくりでもいいですよね。何かがわかることはすごく時間がかかることだから、じっくり染みてこないと駄目なような気がします。私は昭和30年代生まれなので、村田さんのつくる世界は 「見たことがある風景」 なんです。ただ懐かしいという感じよりも 「現在もあるであろう」 そんなリアリティーを感じます。

 懐かしいというものではないですね。ノスタルジックじゃないからですよ。多分ノスタルジックという言葉で表されるようなものは、いつでもできるだろうし、今レトロが流行しているから振り返えるような時代であるけれども、それとも違っていて、現に自分が今生きて動いているその現実の時間というのが彼の映像にはある。彼は下町の生まれで周りにこういう情景が残っている。彼はその中で育っているから、そこから上野とか銀座に出ると都会の生活がある。「東京モンタージュ」 にもそういうリアリティーが、感じられると思います。

・・・ところで村田さんとの出会いはどちらで?

 銀座の松屋の裏にある画廊です。ピアを見て見に行きました。そのときは村田さんのことは全然知らなくて、映像の場合は時間がかかるからあまり見ないんですよね。でもその会場は、4人ぐらいの人が掘りごたつ状態で見ていたんです(笑)。結局1時間以上かかって、最後まで見てしまいました。

・・・掘りごたつとはすごいですね。

 そのとき見たのは、「朱の路」、「睡蓮」 など学生時代の映像でした。とにかくその掘りごたつにぴったりの映像だったんです。それで作家に逢ってみたいなと思い逢いに行きました。そうしたら思っていたのと全然印象が違って、見た目は軟派でした。
でも話してみると浪花節の世界で(笑)。すごくギャップがあったのですが、話してみるとそのギャップが面白く感じられて、展覧会をしたいなという気持ちになったんです。でも今まで映像やアニメーションの展覧会をしたことがなかったので、まず美術講座という形で映像上映とトークをしてもらい、それが今回の展覧会の始まりです。

 今回ご紹介して頂くレストランはよく使われるのですか。

 「お友達とよく食べに来ます。とてもゆっくりできるんですよ。目黒川の川沿いにあるので、桜のシーズンは全然予約が取れないんですよ」

 ほぅ。桜を見ながらイタリアンですか。

 ランチは1000円〜3400円まで幅があります。
因みに今日はBランチ(ABCそれぞれ3種類のメニューあり)前菜、パスタ、デザートcaffeつき1500円を注文。
前菜は人参のサラダ、パスタは舌を噛みそうな 「ホタルイカとアサリ、ルーコラセルヴァティカのフェデリーニ」 とデザートの 「ティラミス アッラ ルーナ ロッサ」 です。
しかしここのギャルソンはすごい。舌を噛まずに一気にメニューの名前を言いました。お見事! でも、フェデリーニって何ですか?

 「細身のパスタですよ」 と家村さん。

流石に博学です。

 こちらの人参は富士山の裾の産。モツェレラ系チーズに生ハムがのってます。盛りつけも素敵ですが、人参とクリーミーなチーズと、生ハムの相性がバッチリ!

 「センスがいいし、ちょっとした工夫がしてあって美味しんですよ」

 普通人参は人参特有の青臭い味がするけれど、その味を無理に消さずに活かしている。食感もいいですね。

 「一つ一つがとても丁寧ですよね。丁寧に仕事をしているのを見ると刺激されます。それは美術館の展示にも、言えることだと思うし、『それが美術の仕事だな』 と思う。
このお店に来るとそれを思い出させてくれるんです。けして気取ってないし、値段も高くないですよね」

 

 ホタルイカは今が旬。ニンニクの香が食欲を誘う。

 「パスタに、春であれば菜の花とかホタルイカとか、季節のものを取り入れてくれるから、すごく季節感を感じるんです」

 味はさっぱりした塩味系。パスタは細いけれどコシがある。とても丁寧な仕事に感服致しました。

 「柔らかいものと、歯触りがしっかりしたものと、苦みみたいなものが、いつもセットで味わえるんです。イタリア料理もフランス料理も、ソースに凝ったりすることが多いけれど、このお店はそうではなくて、とてもシンプル。だけど美味しい。それは美術にも通じると思います」

 本当に美味しいパスタです。桜の季節も新緑の季節も行きたいお店。超おすすめです。

・・・もう何年ぐらい美術館の仕事されているんですか。

 14年です。ちょうど大学院のときに美術館がオープンだったので、大学の先生の紹介でアルバイトをしたんです。それがきっかけですね。私は東京芸術大学芸術学科の美術教育が専攻だったので、教育普及を勉強していたんですが、この美術館に専任して 「戦後文化の軌跡展」 という展覧会の担当になってからは、戦後の美術を面白く感じて、「1953年ライトアップ」 展をはじめ、戦後から現代の美術までを企画をするようになりました。

・・・美術館の展示の醍醐味というのは、どういうことだと思われますか。

 展覧会を丁寧に作ると言うのが学芸員として必要なことだと思っています。今回の映像の場合でいえば、前に立つ時間をどれだけかけてもらえるかということですよね。
そこに惹きつけられるかどうかということなんです。村田さんの作品は時間をかけて作り込んでいます。その 「作り込む時間と作家の思い」 一つ一つにそれが感じられれば、人に伝わるものだと思いますね。
「作らないといられない」 そこに動かされるし 「本当に作り込んだ良さ」 は、その場でなければ伝えられない。それが美術展の良さだと思います。

・・・村田さんはインタビュービデオでの中で 「制作するのは面倒くさいことだ。でも面倒くさいことをやらないと、自分が成長しないんだよ」 と言っておられましたが、丁寧に作ると言うのはとても時間がかかるから、面倒くさいものだけれど。それを通過しないと見えて来ないものがありますね。

 面倒くさいけれど彼はやる。そこから逃げてはいけない。「逃げていていけない」 と思い込んでやっていると、次の瞬間そこにはまり込んでいるんです。あのインタビュー映像 「生は荒川、名は村田朋泰」 は彼のスタッフが作ってるんですが、とても彼の人となりを表していると思います。

・・・「路とは何ですか」 の問いに、1コマ1コマの 「間」 なんだという言葉がありましたね。その言葉に私はけっこうはまりました。記憶がスナップショットであるならば、「今ここ」 もスナップショットの一コマ。多分誰の人生に於いても 「今ここ」 と 「今ここ」 の間に路はあるような気がします。

 村田さんが言われたんですが、今まで制作した作品を今回、客観的に振り返ってみたら
「僕には、パペットアニメーションがとても合っていた。絶対にこの空気は自分でしか作れない。だから僕はやめない。僕がパペットアニメーションでつくりだす空気は他の人には絶対真似できないことがすごくわかった」
と言っていました。「空気」 なんですよ。小林孝亘さんも、青木野枝さんもその作品の中にいると、空気が伝わってくる感じがすごくある。場の空間を占める空気観が強くあって、小林さんも青木さんも村田さんも、かなりジャンルが違うから、なぜ自分で選んだんだろうと思うときもあるんですけど、「空気を作る」 ということが共通しているのではないかと思います。「作り込むことによって空気を作る。何もない空間に空気を作る」 ということに、私は惹かれるんです。それを皆さんに見てもらいたい。

・・・「空気を作る」 ですか。ビデオインタビュー映像で 「風とかっていいきっかけだよな」 と村田さんがつぶやいた言葉がありましたよね。たとえば 「1コマ1コマの間に路がある」 としたら、そこに風が吹くんだと思うんです。路シリーズもそうだけれども、「東京モンタージュ」 でも風が吹いていた。パペットアニメーションから、「東京モンタージュ」 への移行でも、そこに風が吹いているような気がします。

 映像の中でもそうだし展示の中でも、それをうまく組み合わすことができたのではないかと、思いますね。村田さんのパペットの表情を見ると 「常に何かを失ったまま、何かが止まって唖然としている」 私は、主人公の唖然とした顔が印象に残っています。唖然としたまま世の中は動いていく。瞼を閉じて瞼を開けると、何かが変わっていて次の展開が生まれる。
人間はすごく苦しいときでも、周りの人は全然関係なく動いていて、ふっと顔をあげて回りを見回したときに、「自分はここにいるんだ」 と実感して、そうやって生きているじゃないですか。そういう感じがすごく映像の中の瞼を閉じるシーンに感じます。それが説明ではなくて、淡々と動いていく。自分の気持ちとは違ったところで世の中は動いていて、淡々と続いていく。自分の日常の生活もそうだし、苦しいときは特にそう思います。

・・・私もそう思います。でもあれだけの映像が600円で見えるのは安いですよね。

 出血大サービスです(笑)。
同時代の作家ですから、展覧会場に来てくだされば、作家とのコミュニケーションもとれたり、作家自身の経験値を聞くこともできる。
美術を志す若い人たちにとって、これからの指針を含めて参考になると思いますね。本展のカタログ 「村田朋泰全絵コンテ集」 も、彼が芸大時代にだされた課題をどのように消化し、映像作品にしていったかからはじまるテキストのようなもので、これからアニメーションをつくろうと思っているひとたちの役にたてばと思ってつくったものです。
今回で3回目の企画ですが、このシリーズのファンもでき、入場者数もかなり見込めるようになって来ました。とても嬉しいことです。
それと子供達が作家に逢うと、とても喜びますからね。今度関連催事として、目黒区の小学校で、パラパラ漫画を描き、それをアニメーション映像にするという出張授業を村田さんがしてくれることになっています。そういう出会いは大切だし、自分で作ってみるという体験から何かが生まれるのではないでしょうか。現存作家だからできる展覧会だと思っています。

 お待たせしました。
こちらがデザートの 「ティラミス アッラ ルーナ ロッサ」 になります。

一番下のクッキー地にエスプレッソが染み込ませてあり、マスカルポーネのムースの上に、カカオの豆を砕いて散らし、薄いクッキーが1枚ちょんとのっています。
エスプレッソの苦みが効いて、大人の味のデザートです。
ほんのりした苦みに、生きていることを実感。春の風がもうそこまで近づいて・・・。

今日はどうもありがとうございました。

村田朋泰展 −俺の路・東京モンタージュ 2006年2月11日-3月31日 目黒区美術館 http://www.mmat.jp

関連情報

青木野枝 2005.2, 4 2005.5 2004.5 2003.4 2003.4 2000.12 1999.12

小林孝亘 2004.4 2000.11

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