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ホントに本と。 楢橋朝子 NARAHASHI Asako

楢橋朝子写真展 「アフタ・フニフニ」 2006. 3/2-30
ギャラリー冬青 東京都中野区中央5-18-20 TEL 03-3380-7123
11:00-19:00 月曜日・祭日 休館 http://www.tosei-sha.jp/
【コメント】
アフタ・フニフニ slice of time, slice of sight
 歩いているとふいに風が吹いてきて目の中に細かな異物が飛び込んできてゴロゴロしだして立ち往生することがある。その時は痛くて目をつぶってしまうのだけど、じきに治って(忘れて)しまうようなもの。それはものであったり人であったり光であったり、ひとつであったり複数であったり組み合わせだったりさまざまだ。異物はそのまま脳に入り込みとりあえず命じる。「シャッターを切れ」 と。シャッターを押した時に意識していないこともある。なぜだか気になって焼いてみて初めて見えてくるものもある。異物が大きすぎて目に入らないこともある。
 2冊目の写真集 『フニクリフニクラ』 を上梓して2年以上の月日が過ぎた。あいかわらず 「どこ」 でもいいし 「なに」 でもよかった。特殊である必要はもはやなくなり情愛さえもどうでもよかった。振り返ることもなく、通り過ぎたネガだけが痕跡として積み残っていく。できるだけまっさらで、眺める、通過する。

・・・今回の展覧会は 「フニクリフニクラ」 の続編ということですか。

 そうですね。今回の “アフタ・フニフニ” は “フニクリフニクラ” の最後の方の写真と、つながっていると思います。そこからもう一つまた違うものが、見たくなってきているような気がしますね。それが自分でも少し楽しみなんですよ。ただ、まだ写真集にするほどの枚数が集まっていないんです。粗焼したのが 200~300枚、今回は確かに、以前のどぎつさは減りましたね。その中から21枚を選びました。ちょっと焼いてみたいなというのを選びましたので、コマ数はもっとあります。

・・・特定した地域や地名、日付は関係なく、いわゆる風景を撮られていると思うのですが、以前の作品よりもかなり開放感を感じますね。

 風景と言ってもひとつのものを見ているわけではないのです。関連性や組み合わせを見ていますから、視野が広いかもしれません。例えば “NU・E” であればクローズアップして見ている部分があり、“half awake and half asleep in the warter” のシリーズであれば半分水没して見ている部分もある。そういう意味で、以前の作品よりはむしろ解放感はあるかもしれませんね。

・・・以前のインタビュー(詳しくはhttp://www.gaden.jp/info/2005a/050425/0425.htm)で、水場を求めて移動すると話されていましたけれど・・・。

 今回は水場に行く途中の風景というか、必然的にそういう風景が多くなってしまうのです。やはり日本は水が多いですよ。

・・・「場」 の風景から、例えば何かを感じてシャッターを押されるのですか。

 作品によっては 「竹が大きく伸びていたから写したとか」 というわかりやすいものも、ありますけれど、ぱっと目に入ってきた時の目障りといいますか。「何だろう」 と思って撮っているんです。それをあとで見ると 「何故、家と大根が写っているんだろう」 と思いますけれど、実際にその時は、それを意識して写しているわけではありません。あとで見えてくるというか。

・・・「目障り」 ですか。言い得て妙ですね。一般的に目障りというのは、「見て不愉快に感ずること」 「ものを見るのに邪魔になること」 を指す言葉ですけど、「メザワリ」 と音読みにすると、ザワザワとした 「ザワツキ」 の質感が立ち上がってくる感じがします。

肌触りとか耳ざわりとか、見た目であれば目障りですね。「ザワツキ」 という言葉で言えなくもないけれども、もっと割り切れない感じが、モチベーションにはあります。

・・・そのモチベーションは “NU・E” の時も、“フニクリフニクラ” の時も、かなりあったのではないですか。

撮り方や手法は変わっていますけれども、そういう体質的なものは変わらないものがあると思います。

・・・ただそのザワツキは、今回の作品よりも “NU・E” の時の方が見やすかったように思うのです。むしろ今回の作品の方が、ある意味「角が取れた」という風にも思えます。

 そうかもしれませんね。“フニクリフニクラ” の最初の方の作品は、いじわるな目で世の中を見ているところがあって、日本のネガティブな感じを見つけて撮っているようなところが、あったんですけれど、編集の段階でその時の自分の気持ちとはそぐわなくて、落ちていったんです。今回はそういうネガティブな部分とは発想が違い、もっと影のないところに向かっているように思うのです。
簡単なネガティブさというのは否定したい気持ちになっていて、自分の中ではまだ解決できていない不思議さとか、もっと自分が見て惹かれるものを多く撮っているように思います。
よく “NU・E” 、 “フニクリフニクラ” 、“half awake and half asleep in the warter” と、「3作別々の人が撮っているように見える」 と言われるんですが、それを否定するつもりはないのです。初期の作品でなければ、もうあぁいう目線で見ることはないかもしれないだろうし、年代を重ねていくと、自然と折り合いがついてきてそのうち融合すると思います。自分でも楽しみです。
“アフタ・フニフニ”はまだ完結する前の過度期ですから、あと1,2回発表をすると、もっと見えてくると思いますね。これから違うこともやってみたいですしね。

・・・期待しています。

取材3月11日。展覧会は3月30日(木)まで。


楢橋朝子写真展 「アフタ・フニフニ」 2006. 3/2-30 ギャラリー冬青 http://www.tosei-sha.jp/

楢橋朝子 関連情報 2005.4 2005.4_b HP : http://www.03fotos.com/

・楢橋朝子 フニクリ・フリクラ 3800円(税込) 発行:蒼穹舎
・楢橋朝子  NU・E 4400円(税込) 発行:蒼穹舎

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