|
「個人美術館へようこそ!」 石川さんは、1959年山口市生まれ。東京芸術大学卒業後共同通信社を経て毎日新聞社に入社。現在東京本社学芸部で美術を担当されています。 ・・・「個人美術館へようこそ!」 を拝読して、石川さんは美術館を紹介されているけれど、「人」 に出会いに行かれたように感じました。この本は、毎日新聞の日曜版に掲載されたものをまとめられた。ということでよろしいでしょうか。 そうですね。基本的には、全国にある個人美術館を訪ねて、毎日新聞日曜版に1年間にわたって連載された 「個人美術へようこそ!」 を加筆・訂正したものです。 ・・・全国に個人美術館はたくさんあると思うのですが、今回選ばれた美術館には、何か基準があるのでしょうか。 基本は、現在きちっと活動をしている美術館。余り小さい所は外して、著名な作家の美術館。それらを候補に挙げまして、大体100館を超える中から、著名度や人気度、そして私自身の個人的な趣味を入れながら、最終的に52館に絞り込みました。 ・・・日本画、洋画、彫刻、写真など、いろいろなジャンルに分かれていますね。 ひとつのジャンルにこだわらないで作品を選びました。個人美術館という括り方ですので、もちろん主役は作家なんですけれども、それ以上に個人美術館の活動に主眼を置いた形です。 ・・・個人美術館の活動に主眼を置くといっても、個人の美術館は、公立の美術館と違って、常に予算が組まれているわけではありませんし、もっと言えば、作家の御家族が運営されている所もある。ある意味、個人美術館の定義は難しいような気がしますが・・・。 基本的に個人の作家の名前を掲げて、個人の作家を中心に検証し、広く世の中に紹介することを一番の目標にしている美術館を、僕は個人美術館として定義しています。 ・・・ 小野忠重版画館は、ご夫婦で運営されていて、お茶まで出してくれたと書いてありましたね。 そうでしたね。僕はいろいろな個人美術館を学生の頃からずっと回っていますが、「どうしてこんな所に美術館があるのか」 と驚くこともあるし、同時に、小さくて細々と自前でやっている美術館を見ますと、いったいどういう人が、やっているんだろう 「生活はたいへんなんだろうなとか、運営費はどうしてるんだろう」 とか興味はつきないのです。そういう小さな所も、せっかくいい活動をしてるのであれば、紹介したいなと思うんですよ。 ・・・小さくてもがんばっている所はありますものね。 まさにそうです。今回、紹介した中では、原爆の図丸木美術館の活動は、すごくたいへんなんですが、それを紹介できたのは、とてもよかったと思っています。冒頭で
「人に会いに行っている」 と、言われましたが、その言葉を、僕はすごくうれしく思います。 ・・・なるほど。孤高の画家という言葉があるぐらい、作家は個人主義ですし、浮き世とかけ離れた高い境地にいませんと、絵は描けないものだと思うんですけれども、個人美術館は、回りとのかかわりあいや、つながりのある部分が大切になる。そういう関係性で成り立っているわけですよね。 そういうことがありますので、連載を始めたんですけれども、これからなくなっていく美術館も少なからずあると思うんですよ。それこそ今熱心に活動している家族の方が、いずれは亡くなったり、活動ができなくなったりしてしまうかもしれない。それを記憶に残したかった。 ・・・最近、私にとって美術館は、余り身近には感じられない存在になりつつあるように思うのです。すごく距離を感じるというか。それがこの本を読みますと、人との出会いがあり、それをオーバーに書きたてるのではなく。淡々と石川さんの目線で語っておられる。エピソードもとても楽しいですしね。 まさに距離を短くするというのが、一つの大きなねらいなんです。まず読んでそこだけで完結して欲しくない。それは僕の中では、新聞記事を含めて、美術の記事を書く時には常にあるんですよ。それを見て行ってみたいという誘い水になるような、文章というか記事を書きたい。そういう意味で身近に感じてくれたらうれしいですね。 ・・・自分の意見や感想だけ言ってそれで終わってしまいますと、わかりづらいですよね。現代美術はわりとそういう突き放した部分を感じるから・・・。 美術のすごく好きな人や、プロパーの人は、作品だけ論じていれば楽しいんですよ。ただ一般の人にはね。家を出て美術館に行くまでのあれこれとか、美術館周辺の環境や景色、中での出来事とか、どんな人だったとか、展示会場を出てから、帰る時のお土産やグッズ選び、そこでお茶を飲んだりとかね。そういう全体験が人生を豊かにする美術体験に、つながるんじゃないかなと思います。そういう視点で書いたつもりです。 ・・・そういえば、中村研一記念美術館の章には、「絵に生かされる」 と書いてありましたよね。抹香臭い言い方に聞こえるかもしれませんけれども、見ることで、元気をもらうと言いますか。その体験が今はとても少なくなっている。それをこの本は思い出させてくれた。別にヨイショしているつもりはないですよ(笑)。もう本は何冊か書かれているのですか。 共著はあるんですが、単独で出したのは初めてなんです。 ・・・でもなぜアートヴィレッジの発行で、毎日新聞社発行ではないんでしょうか。 なぜでしょうね。簡単に言うと売れないからでしょう(笑)。 ・・・世の中は、経済優先にならざるを得ないのかもしれませんね。美術に関わることで、生活はたいへんになるかもしれないけれど、心は錦(笑)。 今日はどうもありがとうございました。 「個人美術館へようこそ!」 石川健次著 定価:1238円+税 発行:アートヴィレッジ 関連情報 2001.10 毎日新聞社 http://www.mainichi.co.jp/ てんぴょう(展評) http://www33.ocn.ne.jp/~artv_tenpyo/tenpyo.html アートヴィレッジ本の紹介 http://www33.ocn.ne.jp/~artv_tenpyo/book.html |
gaden
presents - gallery / artist / dreamer / exhibition / network