gaden presents - gallery / artist / dreamer / exhibition / network

オサルスのおすすめランチ ランチdeチュ 番外編

バックナンバー(お店リスト)はこちら オサルスインタビューの一覧はこちら

貴婦人晩餐会コース (全6品) 3500円

VAMPIRE CAFE
東京都中央区銀座6-7-6 La Paix BUILDING 7F
TEL 03-3289-5360
月〜木 17:00-01:00 金・土・祝前 -05:00 日・祝-23:00

http://www.diamond-dining.com/vampire/top_flash.html

 

 「地下鉄銀座駅B5番出口を出てディオールを右に2分なんですよ。もう何回か来ているんですが、来る度に迷っちゃって・・・確か7階だったんですけど・・」
と、アーティストの前本さん。銀座のビルを見上げながらウロウロと歩き周ること、15分。やっと赤と黒の 「VAMPIRE CAFE」 の看板を発見。

 エレベーターが開くとそこは真っ赤な空間。「正直、なんじゃこりゃ」 と思っていると、マネージャーの百合さん(本名なのかなぁ???)がお部屋へと案内してくれました。

 血の結晶をイメージした赤い廊下を歩き、ドラキュラ伯爵が眠る棺を通って、犠牲者の部屋へ。カップル席だから、かなり狭いけれど、妙に落ち着く空間です。
こちらの「VAMPIRE CAFE」は、「21世紀に甦ったドラキュラ城」 がコンセプト。非日常的な空間が楽しめます。

 「VAMPIRE CAFEは、DARK SEED (ダーク・シード)
http://kgs-tokyo.jp/interview/2006/060807b/index.html のミーティングをするので、ゴシックロリータ系をキーワードにネットで探しました。このお店からインスピレーションを得たといいますか、ちょうどあの展覧会を考え始めた頃から、DARK SEED という同名の小説を書き始めたんです。VAMPIRE CAFE ではなくカフェラバンパイアというお店で話をするシーンを入れてるんですよ」

・・・推理小説なんですか?

 ミステリーラブロマンスなんです。

・・・それは楽しみですね。暗闇の空間から愛が芽生えるんですか。ロマンですね。

 人は闇から逃れたい部分もあるけれども、闇の方が安住できる人もいるじゃないですか。
闇というのは、その人の魅力を作ってる部分でもある気がするので、闇の気配が感じられない人というのは、今一つ信じられないような気がして。作家は闇の部分をのぞき込んでしまう人種みたいな、そんな感じがありますね。

・・・そうすると前本さんの原風景というのは、やはり 「闇」 ですか。

 むしろ意外と自然派思考な感じかもしれない。昔、金沢の内灘海岸の近くに住んでいまして、とても幸せな浪人時代を過ごした思い出があります。夕暮まじかになるとデッサンをやめてしまって、自転車で海に行くんです。そこでずっと夕日の沈むのを眺めていて、原風景という言葉を聞くとそれを思い出しますね。
それが元でどうしたという話ではないんですけれど、海が自分に与える影響は大きかったです。特に波打ち際で土左衛門のように波に揺られて(笑)、打ち上げられているの大好きでした。よく一人で海へ行ったんですけど、冬になって、砂の上に寝転がっていると、風が強い日は砂に埋もれてしまうじゃないですか。
海に対しては、波に溶けてしまいたいとか、砂に埋もれてしまいたいとか、そういう「おかあさ〜ん」と叫ぶような感覚があるんです。山の中に紛れてしまいたいとは絶対思わないですけどね。

・・・「母なる海」 といわれるように、海は自分の中の生命記憶みたいなものを呼び覚ましてくれますよね。

 リセットする場所みたいな感じはありますね。

・・・それをお聞きして思うのですが、前本さんの作品には、「母なる海」 のイメージといいますか。包み込まれるようなやさしさを感じます。初めてお話を聞きしたとき(http://www.kgs-tokyo.jp/interview/2005/050718a/050718a.htm)、確か 「身代わりマリー」 というマリアさまを描いておられましたね。

 傷ついて生きていくのをそこで終わらせたくなくて、受難の聖母マリアじゃないんだけれど、(受難はキリストが十字架にかけられたことをいうそうです) マリアも充分苦難や災難を受けていると思うんですよ。
マリアさまというのは、受難をすることで皆に聖なる人として愛されているわけなので、そこら辺の高みまで作品を持って行きたいというのがありますね。そこには、例えば苦しんでいる人たちに対する指針というか、励ましみたいなものがあるのかもしれません。

・・・マリアさまという存在は、「ゆるされる存在」 としてとても必要な気がします。

 海みたいなものですよね。例えば私の作品を傷ついている人たちが見て、「いいんだ。傷ついて」 と自分を肯定できるような気持ちになってもらえると嬉しいし、私もそう思いたい。かといって今私が傷ついているかといえば、あまりそんなことないんですよ(笑)。本当に傷ついていた頃というのは、攻撃的な絵を描いてましたから、デビューしたての頃なんですが、攻撃的なモチーフというよりも、色とか形とかが、こちらに襲いかかってくるみたいな感じの作品でした。
最近は 「作品に沈み込んでおいで」 みたいになっていて(笑)。反対側に向ける反動ではないけれども、今回の DARKSEED は、外側 (攻撃的) から内側(こちらにおいで)へと斜め横にスライドしたみたいな・・・「気持ち悪いけれど、こっちに来る?」 そういうのもあるかもしれません。

・・・ここに座ってじっと蝋燭を眺めていると、黒と赤の揺らぎからカラバッジョの絵を思い出しました。バロックですよね。人間の心もゆがんだ真珠みたいなものかもしれませんね。
ただ単に綺麗な真珠に矯正するのではなく、「ゆがんだままで光り輝いてもいいんだよ」 って言われるとホっとする。オサルスが高校生のときに聞いた、デビット・ボウイの give me your hand (Rock'n Roll Suicide の中の歌詞ですが、当時のオサルスはこの一言で救われた気がした)と 「こっちにおいで」 という言葉がダブって聞こえて来ました。

 知り合いにドラキュラ研究者がいて聞いた話ですが、ドラキュラだって元を辿ると地母神なんですって、土着信仰で、その地に根付いた母親的存在だったみたいですよ。

・・・そうなんですか。

お待たせいたしました。貴婦人晩餐会コースでございます。

 ドラキュラがモチーフだから流石にランチは無し、今回はディナーなので、ちょっと奮発して、貴婦人晩餐会コース (全6品 3500円) を注文。クーポンを使うと2500円になりますよ。とにかくメニューのネーミングがすごい。“生け贄の祭壇、黒き深淵、鮮血の肉欲など”。笑っちゃいますよね。
フレンチイタリアンをベースにした。トランシルバニア系の料理らしいんですけど、ニンニク風味でメキシカンぽい。スパイシーですごく美味しいけれど、これじゃ。吸血鬼はのたうち回るんじゃないかな(笑)

 「暗闇で食べるのって、不安じゃないですか。でも食べ物はきちんと美味しいですよね。それにこちらの料理は野菜が沢山入っているから、ヘルシーでお薦めです」

【8/1〜9/30:ヴァンパイア封印祭】
【前菜】 生け贄の祭壇 
スパイシータコスディップ サワークリームを添えて
【サラダ】 深紅の宝石
フルーツトマトとコーンのシーザーサラダ  パリパリポテトをのせて
【フリット】 悪魔の金貨 
ホタテのフリットカレー風味 アイオリソース
【パスタ】 黒き深淵
茄子とベーコンのオニオン風味スピラーレ
【メイン】 鮮血の肉欲
那須鶏のグリル VAMPIRE特製 デミグラスソース ジンジャー風味
【デザート】 最後の秘宝
トロピカルフルーツのムースタルト シトラスジュレと共に

 6品もあるので、お腹がいっぱいになりました。皆美味しいけれど、いちばん美味しかったのは、VAMPIRE 特製 “鮮血の肉欲”、ドラキュラに血を吸われるとエクスタシーを感じるように、鳥にエロティシズムを感じちゃいました。

・・・先日の展覧会で、ゴシックロリータという言葉を初めて聞いたのですが、実は、自分の着ている洋服がそっち系なんだと知りました(笑)。でも最近はドクロマークのTシャツとか、結構みんな着てますよね。

 そう。昔は探さなければなかったのに、今はお母さん達でも皆普通に着てるでしょ。しっかり浸透してしまっていて、違和感がないというか。それの持つトゲのような、骸骨を忌み嫌うような感覚すらもなくなって・・・骸骨を見ても驚かない今の状況って何っていう感じですよね。
DARK SEED で色々フィールドワークしていたときは、そうでもなかったのに、世の中に浸透していくのが手にとるように分かって、それも展覧会をする頃には、ゴスロリも下火になってしまって、でも下火になったからといってなくなったわけではなくて、しっかりそれが浸透している。
ドクロに違和感を感じるのであれば、普通のことだと思うんだけれど、それが身体の中に浸透して、皮膚の内側まで骸骨柄みたいな、そんなになっている普通の人たちってどうなんだろう。逆にそれはどういう現象なのか。楽しみでもありますけどね。

・・・洋服というのは記号みたいなものじゃないですか。昔は中身がともなっていたように思います。

 メッセージですからね。ゴスロリが下火になったら、十字架やドクロマークが一切なくなるのなら分かるんですよ。でもそれが一般に広がって飽和した状態の皆の心理って何なのか。それは皆が望んでいるものなのかしらという気がするんですけどね。すごい事件があまりに身近に起こるから、厄除けみたいな感じもあるのかな。

・・・厄除けという発想は考えつきませんでした。

 今回の DARK SEED はステッカーを作ったのですけど、10月に予定している DARK SEED では、邪視除けステッカーを作ろうと思っていて、しかも逆さ十字じゃないけれど、五芒星を逆さにすると悪魔のシンボルになるんですって、それを作ろうと言っているんです。

・・・時代は暗い方向に、流れてるんでしょうか。

 う〜ん。どうでしょうか。取り敢えず自分の話でいうと、自分の 「生」 の折り畳み方の時期にさしかかっているかなという感じですね。若い頃って先に何かあるのは感じても、靄がかかっていて何にも見えない。でも前に進むじゃないですか。35歳くらいでスコーンと見えて、それから一歩でも進むと、見えてくるのは死に向かっているということ。
それを段々自覚してきますよね。そうなるとここから下りなのかと思う。だからある程度年齢が行くと、整理ではなくて、きちんと畳んでいく作業に入っているような気がします。特に DARK SEED でユニットを組んだクロカワみたいな若者といると、自分の中で対比してしまって、クロカワはこれから開けていくんだなみたいな感じで、でも私は畳んでいくわみたいな・・・。

・・・ある意味それが内側と外側という死生観 (参照http://kgs-tokyo.jp/interview/2006/060807b/index.html) に繋がるんでしょうね。永続する輪廻となって永劫回帰を繰り返す。

 何故 DARK SEED を考えたかというと、「もう好きにさせてという感じ。もう私の作品は知っているでしょ」 って、私は若い人みたいにこれからどんどん評価を得ていくわけではなくて、「この人はこういう作家だ」 という。
ある程度の評価が出てしまっているから、それでも作品を深めていくということはあるけれど、それだけではつまらなくなってしまって、これこれこういう評価が出ているんだったら、それはそれとして、あとは好きにさせてもらうわみたいな感じで、すごく遊びたい。だから DARK SEED は、すごく贅沢な遊びなんですよ。

・・・遊びという感覚はすごく分かります。年齢がほとんど同じぐらいなんだということが分かりましたので(笑)、ただ、オサルスの場合は評価も何にもないし、人生の先が全く見えないんだけれど、「好きにやらせてもらうぜ」 みたいな気持ちはありますね。これからいくら生きても30年ですものね。

 花見とか行くと、もう最後かなと。あと何回花見が出来るのかしらみたいな感じですよね(笑)。もうかれこれ7年くらい精神科でアートセラピーのお仕事をさせて頂いているんですが、その子達の絵を見ていると 「生きているわ、この子達って」 と思って。帰りに泣いちゃうぐらい感動することもあるんです。
生きているのは素敵ですよね。だからなんだかんだ言っても、雑多な日常があって、ごたごたと作品を作っているのは、結構大変だけれど楽しいかなみたいなね。小説を書いたり、ベリーダンスを踊ったり、畳んでいるといってるのに、荷物を増やしているみたいなとこはありますけどね(笑)。
ミニマルにまとめて、何かを捨てていくのではなくて、がさがさ、わさわさしながら行くのかなって、特に美術家は道を一つに絞っていくじゃないですか。この空間の作り方に人生を捧げるみたいな、そんなんじゃなかったんだな自分はみたいなね。でもテーマは絞られてきているような感じはするんです。それをベリーダンスの面から見たり、小説の面から見たり、色んな面から見るように増やしているのかもしれないけれど。

・・・最近思うんですが、茂木健一郎氏が提唱しているアハ体験 (脳の回路を繋ぎ替えることで、新しい発見を生む体験) じゃないけど、本当に美術って脳の中の回路をつなぎ変える作業に役立っていると思いますね。

 描いているうちに自分の性が変わるんですよ。これは毎回のお楽しみなんだけど、最初私はちゃんと女の人なんだけど、段々何日もかけてノってくると、作品の形が出来てくるでしょ。そうすると向こうは女王さまになってくるの。
「そこは違うとか、もっとやさしく描いてとか」 そんなふうに怒られちゃって、そうすると私は男の下僕になって 「作品が主導権を握るときが来るんですよ」 でも最後は自分に主導権が戻って来て、じゃんじゃんで落ち着くんですけど、立場が逆転するときに不思議と、自分が男性みたいになる。
でも向こうは必ず女なんです。女の人しか描いてないからかもしれないし、女の人に対しての憧れみたいなものが強いのかもしれないですけどね。

・・・やはり女は海のイメージじゃないですか。ただ人の心の中に DARK SEED があるみたいに、性別は女性でも、男性的な人もいれば、その逆もあるし、行きつ戻りつするんじゃないでしょうか。それこそ、そこにある棺に入るその日まで。

今日はどうもありがとうございました。

関連情報 http://kgs-tokyo.jp/interview/2006/060807b/index.html

バックナンバー(お店リスト)はこちら オサルスインタビューの一覧はこちら

おすすめトップ RETURN

gaden presents
- g
allery / artist / dreamer / exhibition / network

© GA-DEN-IN-SUI-SYA