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オサルスのおすすめランチ ランチdeチュ その153

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ローストビーフサンドイッチ 1000円

カフェチューン
東京都中央区銀座1-7-7
 ポーラ ミュージアム アネックス1F
11:00−20:00

 
PORA新鋭展2006 饒舌な寡黙・寡黙な饒舌 石川健次×流麻二果×仙谷朋子
   2006年9月1日(金)-16日(土)

  ポーラ ミュージアム アネックス 東京都中央区銀座1-7-7 TEl 03-3563-5501 10:00-19:00
  主催 : ポーラ  協力 : (財)ポーラ美術振興財団
 http://www.pola-ma.jp/

 アーティストの流麻二果さんとの出会いは確か2002年、その頃から「ランチ de チュに出ませんか」とお誘いしていたんですけれど、在外研修員として海外に行かれていたのでチャンスがなく、やっと今日ランチをご一緒することができました。

 流さんのお薦めは、ポーラ ミュージアム アネックス一階のカフェチューン。

 「二階のアートスペースで16日まで、石川健次氏(毎日新聞の学芸部記者)の選定で 仙谷朋子さんとの二人展を開催しています。それでこちらをお薦めしようと思いました。こちらのカフェレストランは、3年前にリニューアルオープンしたそうです。明るくって気持ちいいですよね、ランチメニューも充実しているんですよ」

 銀座通りを歩く度に、オサルスが入ってみたいなと思っていたカフェレストランのひとつなので、お薦めして頂いて嬉しいです。

・・・ところで流さんは大阪の生まれとお聞きしましたが、ご自身の作品と生まれた場所というのは、何か関係したところがありますか。

 生まれが大阪ということで、大阪生まれにしているんですけど、実際に大阪にいたのは一年もないんですよ。
すぐに父のアトリエのある香川県の方に移ったので、ですから出身と言われると香川県かなと思うのですけど、生まれを聞かれると大阪かなみたいな感じです。
ただ父は世界各地を動いた人でしたが、母は京都人なので、言葉であったり食生活であったり、色々な意味で自分の中にはいちばん京都人が色濃く入っていて、気質としては関西人の要素があるのかなと思います。それは例えば色の使い方とか作品にも出ているかもしれませんね。
それと育った香川は讃岐山脈から瀬戸内海を望む美しい風光明媚な場所なんですが、私が育った所は山の中で、海も目の前に広がっていましたけれど、本当に何もない日本じゃないような場所でした。その辺の感覚が少しあるのかなとも思います。

・・・先ほどアトリエのお話が出ましたが、お父様が作家でご自身も作家ですとぶつかりあうということはありませんでしたか。

 最初の頃は反発もすごくしました。アーティストなんかに絶対なりたくなかったのに、気がついたらなってしまったという感じです(笑)。高校で油絵にハマってしまって、「このままでいったら作家になってしまうどうしよう」 と悩んで、多分他の人よりは少し早めに覚悟してここまで来たように思います。
昔は父の関係の所で展覧会をしていたことが多かったので、父としても自分のテリトリーの中で起こっていることだから、口も出してきました。ですからデビューの頃は血を見るというか大変だったんですよ(笑)。でも最近は色んなところから声をかけて頂けるようになりましたので、ある意味距離感ができたといいますか。 作品についても率直な感想を言ってくれるようになりました。
父が作家だったこともありましたが、母も芸能の関係の仕事をしていたので、作家的なことをせざるを得ない環境だったとも思いますし、でもこうやって自分が表現者となった限りは、やはりプラスになっていると思うんです。そういう環境を与えたくれたことには感謝しています。

お待たせ致しました。

ベーコンエッグパンケーキ(コーヒーorダージリンティーつき1000円)とローストビーフサンドイッチ(コーヒーorダージリンティーつき 1000円)でございます。

オサルスはローストビーフサンドイッチを注文。中身がボリュウム満天だから崩れないように、ピンで留めてあります。う〜ん。トーストのいい匂い。パンは表面を焼き、焦げ目をつけて固めてあるからサクサクした歯ごたえがありますねぇ。見てください。流石ポーラだ。肉がたっぷり入っています。野菜も充実しているし勿論お肉もジューシー、マヨネーズとケチャップのコンビがいい味出してます。美味しい。

パンケーキは如何ですか。そういえばパンケーキはアメリカの定番ですよね。ニューヨークでは、よく召し上がりましたか。

 「自炊なので頻繁には食べませんが、友達とブランチに行って食べたりしました。アメリカだともっとベターとしていてヘビー級なので、いつも食べきれなくて持ち帰るんです。アメリカの料理は大雑把で不味いんですけど、サラダとサンドイッチは美味しいですよ。でもこのパンケーキ、まん丸でどら焼きに似ていませんか?」

9月だから、卵を月見と見立てているから丸いんじゃないでしょうか。ユニークですねぇ。

・・・ユニークといえば、流さんのタイトルのつけ方が面白いですね。

 タイトルのつけ方にそれなりに変化はあるんですけれども、以前はタイトルはタイトルで個別の作品みたいになっていて、かなり詩的で、かなり分かりづらかったんです。
最近はもうちょっと 「私は人を描いてます」 と声高に言うつもりはないけれども、少し中にいる人物のヒントをタイトルに匂わせようと思うので、今は関連性を持ったタイトルをつけるようにしています。
ただ描き始めるときは、この絵はこのタイトルにしようと考えているわけではなくて、描いているうちに段々と浮かんでくるボキャブラリーがあるので、その中から最後にチョイスして、作品とタイトルがピタっと、あったところで完成させる感じなんです。

・・・流さんの作品は油彩の印象が強いんですが、2002年に 「タンス」 (ギャルリー東京ユマニテ)で、布と油彩の展覧会をされましたよね。オフィシャルサイトhttp://manikanagare.com/での、コメントを拝見すると 「油彩は他者を推察るため」 「インスタレーションは他人を想像するため」 と書いてありましたが、テーマは他者でも手法は、二つに分かれるということでしょうか。

 最近はインスタレーションという展開はしていなくて、ドローイングに近い形になるんですけど、二つの方法というのはタンスの頃から、私の中にありますね。布を使い始めたきっかけは・・・元々キャンバスが普及する前は、支持体に綿や麻を使っていましたよね。
それが美術作品となった途端に、急に高尚なものになって、市井の人々からどんどん遠のいてしまった。そこに私は少しフラストレーションを感じていて、色々な生地を絵画に応用してみようと思いたちました。今はもう少しフォーカスが絞られて、普段自分たちが使っている生活の中のカーテンであったり、キッチンクロスであったり、そういう生地をキャンバス替わりに使っています。
でも技術的な問題がありまして、そこに油絵の具はのせられない。
ですからドローイングみたいな形で制作をしています。油彩もドローイングも他者に起因することでは一緒なんですけど、油彩の場合は、他者への興味が膨大なイマジネーションへと変貌し、抽象的な形態になっていきました。ドローイングの場合は、もっとストレートというか見たままを描いています。
元々私が描く人というのは、町で出会う人なので、着ている生地から私が勝手に連想して創造する部分もありますので、その生地と画面の生地の関係性が出てくるという二本立てになっているんです。

・・・そういえばタンスのときは、ほのかに人のフォルムも見え隠れしていましたね。それが2005年の 「糸口」 (ギャルリー東京ユマニテ)になると風景を描かれているような開かれたイメージになってきた。海外に留学されたことの影響はありますか。

 タンスは、文化庁在外研修員としてニューヨークに研修に行く直前でした。その後1年間研修を受け、しばらくニューヨークにいまして、そのときにポーラ美術振興財団在外研修員に選ばれましたので、ニューヨークには合計で三年くらい滞在しています。
ニューヨークにいるとよくも悪くもなんですけど、欧米の作家はプロポーザルというか言葉で自分の作品を説明するんです。自分の作品の成り立ちを頭の中できちんと整理整頓していて、口に出して言えるというのが当たり前です。それができていないと作品を見てもらえない状況なんですよ。
まぁ今は、日本も少しずつ変わってきてるみたいですけど、私がアメリカに行く前というのは、大学でもそんなことを教えてくれなかったし、「どうして人を描いているんですか」 と聞かれても、「人が好きだからですとか興味があるからです」 というだけで、それに突っ込みが入るわけではありませんでした。逆に言えばのびのびと制作できたんですけどね(笑)。
それが一旦海外に出てしまうと、「何故描くのか」 と聞かれることばかりで、私自身も混乱した部分が出てきて、しばらく 「私は何故人を描いているんだろう。何故私はこういう作品の作り方をしているんだろう」 と原点に戻って考えねばなりませんでした。
それで少し違う方向性に進んだときもあったんですけれど、「やはり人だな。では誰を描きたいんだろう。いや誰でもない・・・」 そういうふうに私の頭の中がどんどん整理されてきて、「糸口」 のときは、頭の中がすっきりしたといいますか。自分の描きたいものを描く手段がスパッと見えたところで創った作品だったんです。その辺のすっきりした具合が、展覧会として伝わっていたのかもしれないですね。

・・・それまで他者を描くのでも、油彩は距離をもって、布は追体験するような、外側と内側を使い分けているような感じがしたんですけれども、2006年の 「165人」 (VOCA展出品作) を拝見したときに今までよりも解かりやすさを感じたといいますか。ある意味、この作品はすごくバランスがとれていて、より他者というテーマに近づいたように思うのですが・・・。

 作品同士の個性が違い過ぎて同じ作家に見えないというのが、ちょっと問題なんです(笑)。
 油絵は長く続けてきているし、自分の中で多少固まってる部分というのがあるんですけど、ドローイングを描き始めてからは、まだそんなに時間は経っていないし、色んな意味で私の中で変化している素材であって、VOCA展のときは、あぁいう作風の作品を創って出してみないかと先に頂いていて、ドローイングをあのような形で展示するのは想像していなくて面白いので挑戦してみました。
私の中では、油絵とドローイングと、一見するだけでは分からないけれども、すごく共通してる部分というのがあって、それは私が人を描いてるときに思うことなんですけど、他人との関係性の中では、結局分かり合えないといいますか、いくら近しい存在でも最後まで分かり合えない部分があるのではないかということなんです。
それは悲観的な意味ではなくて、色々な事実を含め、今の社会の中で、それが自分が感じる人間と人間の関係性だと思います。油彩の場合はそれを抽象化して表現をしていて、ドローイングでは、具体的人物を描いているけれども、その人と私の間というのは、すごく華奢といいますか。弱いものである。
それを 「165人」 では、糸で辿っていって繋げてみたりとか、でも繋がったとはいえがっちりと何かで固まったわけではなく、とても不安定な存在でしかない。あの画面の中に165人の人たちがいるけれども、お互いが弱い関係性で繋がっているということを言いたかったといいますか。

・・・なるほど。ただ今回の作品には、何故か分かりませんが 「ざわつき」 を感じました。石川さんがつけたタイトルが 「饒舌な寡黙・寡黙な饒舌」 なので、その饒舌の部分が出たのでしょうか。

 いつも結果論でしかないのですが、作品を提示すると色々な感想を頂きますので、自分で気づくことって結構多いんです。「糸口」 のときは先ほどお話ししましたように、すっきりした気分を押し出した部分もあったんですけど、ひとつにガンとまとめてしまったので、次の展開は正直どうしようと(笑)、「糸口」 というテーマは、展覧会だけに限らずに、私の作品全体を通して当分続けていくテーマではあるので、今回は今までの流れで作品を描こうと思っていました。
ただ、その間に 「165人」 を制作したり、別のコラボレーションをしたりしていましたので、油絵を描く時間が少し開いてしまって、今回の作品は、むしろ日常の中で描いたという感じなんです。
普段の私のペースの中に油絵を出してきたので、自分の中でザワザワと悩む部分もあっただろうし、ときにはスコーンと抜けるときもあっただろうし、そういう日々の中で創った感じなので、そう見えるのかもしれませんね。

・・・VOCA展でお逢いしたときに、渋谷のブティックでの展示が決まっているとおっしゃっていましたが、日本の美術界は狭い世界。他の業界との繋がりは希薄で広がりという意味では難しい部分もあるように思います。例えばファッション界などの違うジャンルとのコラボレーションは考えてらっしゃいますか。

 それに力を入れるわけではないですけれども、確かに日本の美術界はすごく狭いじゃないですか。アメリカにいると本当に垣根がないので自由に行ったり来たりできるんですよ。
それを基本としてニューヨークで、デザイナーの人たちと友達になって、アートフィンドというアーティストのグループに参加しています。フィンドとは 「バカとか気違い」 という意味なんですけど、そのグループに顔を出すようになって、互いに刺激しあえるということを学びました。
そういう意味で日本でも外に風穴を開けられればいいですけど、意外とファッション業界はファッション業界で狭いんです。そこの中でも何かしたいと思っている方がたくさんいらして、そういう方たちと色んな話をしていくうちに、展示をするチャンスを持ちました。これからもそういうお付き合いは続いていくつもりですので、チャンスがあればやりたいと思っています。

・・・最後にこれからのご予定を教えて下さい。

 来月地元の香川県で個展があります。来年の1月からは、京都府にあるアサヒビールの大山崎山荘美術館で、タイトルはまだ仮なんですけれども、「ラブレター」 というグループショーに参加致します。大山崎山荘に入っている収蔵作品を描かれた作家の方たちに向けて、今の作家からラブレターといいますか、何かメッセージとしての作品を展示するという予定になっています。

今日はどうもありがとうございました。

流麻二果 オフィシャルサイト http://manikanagare.com/ 関連情報 2005.6 2002.4

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