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オサルスのおすすめランチ ランチdeチュ その155

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鮪のづけ丼 (サラダ、湯葉、ご飯、おすまし) 1000円

お膳所 「櫻」
名古屋市名東区藤が丘143-1
TEL 052-777-0666

 

 地下鉄東山線の藤が丘駅から歩いて一分の所に、お膳所 「櫻」 があります。ん? 東山線ってもしかして名古屋。そう名古屋 in osarusu です。
 「櫻」 は、今年の2月20日にオープンしたばかりの日本料理のお店。お膳所というのが、城下町名古屋らしいネーミングですね。
 格子戸をがらっと開けると、一階は白木のカウンター席、二階はお座敷という和のテイスト。若いご夫婦で切り盛りされている店内は、シンプルでこざっぱりとして、隅々まで掃除が行き届き清潔感が感じられます。

 「あんまり、外食をしないので、お薦めといわれて迷ったんですが、五月に僕が展覧会をしたギャラリーのオーナーにこちらを教えてもらいました。どうせ食べるんならきちっとした姿勢が見えるお店がいいですよね。
僕はいい加減なご飯屋さんは嫌いなんです。サービスにしろなんにしろ、店主の気持ちが行き届いていなければ嫌だなというのがあって、コンビニのお弁当とかもしょうがなく食べたりしますけれども、どうせ外で食べるんだったら少し高くなっても、そういう気持ちがちゃんとしているところで食べたいというのがありますね。
安い食堂でも、そういうところがちゃんと行き届いているところはいいご飯だと思うんです」

と彫刻家の坂本太郎さん。坂本さんは、愛知芸大彫刻科出身、今は同じ大学出身(日本画科)の濱田樹里さんとアトリエを共有しながら、制作を続けておられます。

坂本: 「僕は料理を作るのが大好きで、餃子の皮やうどんも手で打つんですよ。30歳を過ぎてから腰を落ち着けて作品を作ろうと思うとちゃんと食べないとダメなんですよ」

濱田: 「アトリエの側に畑があるんですけど、近所の方から旬のものを結構頂くんです」

・・・いいですね。アトリエの側に畑があるなんて、畑で思い出しましたけれど、確か濱田さんは赤い大地を描かれてましたね。お生まれはインドネシアでしたか?

濱田: ええそうです。インドネシアの大地の色は、レンガのような真っ赤な土の色なんです。
 毎日スクールバスに乗って、赤い土を見ながら学校に通っていましたから、水牛が走っていて、真っ赤な夕焼けが、地平線に落ちていく姿が目に焼き付いているんですよ。
インドネシアの存在は、私にとって原風景に近いものだと思います。人間一人では把握できないような大空と大地が目の前に広がっていて、人間は自然の中のほんの一部に過ぎないということを気づかせてくれました。私の中のエナジーの故郷だと思っていますので、自分が目の当たりにした風景や、そのときに感じたものを、画面に残していきたいと思っているんです。

・・・やはり生まれて育った所は制作に影響を与えるものですか。

坂本: そうですね。僕の仕事も原風景みたいなところを根っこにしているんですけれども、小島びじゅつ室でやったときに文章にしたんですけれども、小さい時に遊びに行っていた雑木林で地面を掘り起こしたこととか、小学校の時に、泥だらけになって、夕暮近くまで遊んだことは、木を彫っているときとか匂いをかぐと記憶が連鎖してくるんです。
それで材料として木を選んだようにも思います。それと幼稚園へ行く前ぐらいからだと思うんですけれども、家族でよく山に行っていたんですよ。低山帯で見る植物は、高山とは違った湿気と暗さみたいなものが多分にあって、子ども心に凄く神秘的に感じました。
今でも森林限界以前の匂いとか、湿気とか温度とかは、ものすごく意識しています。ですから会場の中は、何かしら潜んでいるような湿気があって温度が低い感じにしたいんです。

・・・育った場所もそうでしょうが、お二人とも地面との間に強い擬集関係があり、そこから生命が誕生するように作品が生まれて来たのではないかと思いますね。

濱田: そうかもしれません。土は生命を生み出す源ですから「いのち」が私のコンセプトでもあるし、だから画面の中に表出してきたものを、 生きているものとして感じて欲しいというか。自分の生命がそこの中に込められてしまうぐらいの、 生きている痕跡を画面に残せればと思っています。

坂本: 本当はものを作るという人は皆そうだと思うんですよ。ただそれの表出の仕方が違ったり、外側からの影響との関係みたいなもので変わるんだと思うんですけどね。でもみんなそれがあるから作るのが楽しいと思うし、考えるのが楽しいと思うんですね。
そういうところから発生していって、社会問題みたいなことをキーポイントにして制作している人もいるし、もっと自分の中の1本の線だけの感覚で押していく人もいるけれど、僕はそこまで器用ではないし、もっと離れたところで大きく効いてくるような、下からドーンと、突き上げてくるようなことができないかと思うので、あまり理由付けみたいなものを大きくしないで、単純に作る。見せる。というところで、やれればいいと思うんです。
僕の 「扉シリーズ」 ですとか、ここ何年か森をキーワードにして制作していますけれど、そういうのを見ると、森林保護についてどう思うかとか、そこらへんを意識しているのかとか、何かアイロニーとかメッセージがあるのか、という人がいるんだけれども、僕はそこまで強いものは入れないんですね。そのかわりもっと大きなところでドスンとが押し上げをして、それを感じてくれる人がいたら嬉しい。器用にできない言い訳かもしれませんが・・・。

 お待たせしました。日替わり膳と鮪のづけ丼をお持ちしました。

 坂本さんたちは、日替わり膳(厚揚げの煮物、鮪のづけのお刺身、サラダ、ご飯、おすまし 1000円)
オサルスは鮪のづけ丼(サラダ、湯葉、ご飯、おすまし 1000円)を注文。
ん? 少し鮪の色が黒いように感じるんだけれど・・・たまりづけなのかな?
 「たまり」 というのは、東海地方で製造されている醤油の一種。昔は名古屋で醤油といえば 「たまり」 のことを指したそうです。たまり醤油は大豆100%で作られているから、うまみ成分が多く味が濃い。
それに大腸菌などを短時間で死滅させる殺菌力があるらしいので、保存の面でも理にかなっています。名古屋の知恵だな〜。因みにオサルスの知人は東京に来てから、醤油をはじめて知ったそうです。

濱田: 名古屋は盆地なので夏はとても暑いんです。暑い時は八丁味噌の料理を食べると疲れがとれますよ。

坂本: たまり醤油も八丁味噌も熟成されていい味になるそうです。作品を制作するというのは、暮らしているうちに色んな物が積もってきているという感じなので、酒種というか。発酵する時の種みたいな感じで、それがあるから自分の中に入ってきたものは自分なりのものに醸造されていくように思います。濱田も僕と一緒に行動することが多いんですけど、同じものを見ても全然違うお酒になる、そこが面白いなと思ってるんです。

・・・なるほどね。少し話が変わりますが、坂本さんは、夏にドイツへ行かれたんでしたよね。

坂本: まずイタリアに行きまして、その後に大学の時の友達が、今年行われた 「FLUR2006」 に推薦してくれたんです。元々 FLUR の町自体は楽器づくりが有名らしいんですが、村お越しの一貫として、木彫のシンポジウム(現地で制作する)を毎年開催しているんです。
ただ主催者は森林保護の活動している人で、美術畑の人ではないんですよ。何故かといえば、向こうのハリケーンは、直径1mぐらいの木でも捻切ってしまうんです。それがものすごい勢いで何キロにもわたって木を倒してしまうので、せっかくだからその材木を使って、何か出来ないかということでシンポジウムをはじめたそうなんです。
僕が今回彫ったのは、サトウ楓の木でした。とでもいい匂いがして柔らかくて彫りやすかったです。僕はいつもは楠を使ってるんですけど、木は2,3日触っていれば馴染みますから、材料に関しては違和感なかったですね。
ただ一つ違和感があったは、僕は手でやる仕事を結構大事にしているんですけれども、今回参加した外国の作家さんは、ほとんどの仕事をチェンソーでやってしまうんです。3mぐらいの作品を2日ぐらいで仕上げて、サインを入れている。こういうやり方もあるんだなと驚きました。逆に皆から手でやる仕事を不思議がられましたけどね(笑)。

・・・やはり思想的な背景があるんじゃないでしょうか。西洋の考え方はまず人ありきじゃないですか。日本は自然と同化しているといいますか。

坂本: 日本には八百万の神様や古の神様がいますから、どちらかというとそういう感じですよね。ヨーロッパでもあちらこちらにキリスト教以前の考え方は残っていますけど・・・結局ものを作るということは世界共通でも、ツールの違いがありますからね。

・・・食べ物は如何でした?

坂本: ソーセージがとてもおいしかったです。ものすごく環境の良いところで、ワイエスの絵にあるような草原に羊がいて、鹿が森から出てきて跳ね廻っていたりとかする夢のような場所だったんです。
天と地と人が近い距離に在るというか。作ることと食べることと寝ることとがものすごい近い感覚で、それも今回は3食昼寝付きで作っているだけで良かったですから、とても幸せな環境でした(笑)。友達は自給自足の生活をしていて、その中で作品を作りながら暮らしている。作品数はあまりできないんですけれど、制作と生活が密着しているんですよ。

・・・坂本さんたちも、完全に自給自足ではなくても、制作と生活を密着させるように、がんばってるんだなと思いますよ。

坂本: 僕らがここで暮らしているリズムというのは、とてもいいと思っています。ただ自分の中で考える付点がほしいから、展覧会という形で発表していると思うんです。作品を見せると作品の意味合いが少しずつ変わってきますから、そういう刺激がないと多分埋没していってしまうような気がします。
それに発表を重ねて行かないと、自分の中で積もっていくものもないし、出さないと澱がたまってきてしまう。シャンパンやワインを作るにしても、澱がたまって、それをまた抜いていいものになっていくわけだから。そういう意味で自分を活性させるために展覧会をするところもあるのですよ。
僕らが住んでるこの場所は、都会よりも土を感じられるし、行ったり来たりできるギリギリの距離ではないかと思いますね。ただちょっと遠いですけどね(笑)。

今日はどうもありがとうございました。

関連情報 坂本太郎 2006.10 2005.11 濱田樹里 2005.11

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