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オサルスのおすすめランチ ランチdeチュ その157

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豚肩ロースの挽肉入り (サラダとライス、コーヒー付き) 1000円

 

 基本的に情報というのは、人と人との繋がりから生まれるもの。先日ご紹介致しましたコレクターの山本冬彦さんから 「画商界にとても元気な人がいるんだけれど、話を聞いてみたら」 と薦められて、ただ今の画商界にそんな元気な人がいるのかと半信半疑で教えて頂いたHPを拝見すると、
「将来の美術業界を真剣に考えていこうとする画廊です」
というキャッチコピーも凄いけれど、まずピンク色が目に飛び込んでビックリ。確か以前IBMのエンジニアをされていたとお聞きしたけれど、ピンクは元気の出る色なのかなぁ、でもブログはかなり大胆に歯に衣着せぬ小気味いい切り口ですね。オサルスじゃこうはいかない。
流石にIBMご出身とても頭脳明晰な方とお見受け致しました。
今日は、銀座 柳画廊の副社長、野呂洋子さんのお薦めランチです。

 ただ、残念ながらお店の名前は出せないんですよ。常連の方を大事にしているので、これ以上お客さんが来ると対応できないからですって。
 場所は銀座 柳画廊から歩いて3分。「銀座の表通りから一本入った見つけにくいレストラン、12人も入れば一杯のお店です」 とのキャッチコピーがHPで紹介されています。HPがあるのだからお店の名前を出しても良さそうに思うけれど、きっと拘りをお持ちなんでしょうね。

・・・画廊を移転されたのは今年の11月、開廊されて何年ですか。

 94年からですので丸12年、今度13年目に入ります。

・・・ネットを拝見させて頂いたんですが、移転された画廊はシックなイメージがあり、実際に重厚な室内空間だと思うんですけれども、ピンクがお好きなんでしょうか。

 あのピンクは社長の趣味なんです。ですから内装はピンク系なんですよ。 イメージとしては南フランスの屋根や壁の色、オレンジ系ピンクといいますか。あの色が好きなんです。

・・・展示されている作品が、近代のフランス絵画なのでこういう内装にされているのかと思いました。社長は大阪の梅田画廊オーナーのご子息。油絵は先代からずっと扱われていらっしゃるのですか。

 梅田画廊に残っている手紙を読ませて頂きましたが、当時は洋画の市場が全くなかったといいますか。東京にはまだ洋画を扱ってる画商さんがいらしたかもしれませんけれど、大阪には全くいらっしゃらなかったんですよ。
当時社長の祖父は阪急百貨店の社員でしたので、小林一三さんにとても可愛がって頂いていまして、「大阪を文化の町にしよう。日本画や骨董品だけではなくて、今は新しい洋画を日本人でも描く人が出てきたから、洋画市場を作ろう」 という心意気で、阪急百貨店に洋画部門を作りまして担当者だったのですが、祖父は子供が6人おりまして、長男が病弱だったものですからサラリーマンでは難しいということで、独立して梅田画廊を創業致しました。

お待たせ致しました。

 今日のランチは、白身魚のバジリコスパゲッティー(サラダとコーヒー付き 1000円)と豚肩ロースの挽肉入り(サラダとライス、コーヒー付き 1000円)になります。

 「こちらのお店は肩が凝らないフランス料理なんです。お友達の画商さんからご紹介頂いて、以前フランス人のお客様をお連れしましたら、とても美味しいと誉められたんですよ。
私どもの社長は、大阪出身ですから、安くて美味しいものでなければ納得しない人ですし、食べることにとてもこだわりがありまして、綺麗な洒落たお店でサービスがよくて値段が高くても、味が不味いのは最悪だ。とよく言います。でもここのお店は値段と味のバランスを秤にかけると、味の方が勝っているからとても気に入っているんです」

 ランチを1皿ずつ注文して、半分ずつにして頂きました。 しかしすごい量ですね。このお皿に乗っている量で半分なんです。
スパゲッティーは白身魚とブロッコリーの色味が綺麗、それにすごくパンチが効いている。
もう一方の豚肩ロースの挽肉入りは、(実はライスが付くのをカットしてもらいました) 豚肩ロースと挽肉のバランスが絶妙ですね。肩ロース特有のキメの細かさを持ちつつ、それでいてしっかりした歯ごたえ、柔らかい挽肉を包み込んでコクのある美味しさを醸し出しています。ソースもトマト系とクリーム系に分かれていて2種類の味が楽しめる。

 「味のセンスが絶妙でしょ。お料理もセンスですからね。こちらは夜もとてもリーズナブルで美味しいです。ワインもそんなに高くないですしね」

 お店の名前が出せないのが残念ですねぇ。あまりにもサービスが満点なので、常連の方もこれ以上お客さんが増えて欲しくないんでしょうかね。気持ちは分かるけれど、残念だなぁ。

・・・ところで経営革新計画を東京都に申請されたということですが、美術の世界を変えたいということですか。

 都庁には、今朝も行って参りました。なぜ革新計画を東京都に出したかといいますと、例えば税制上の料金課税の免除ですとか、金融機関の長期低利融資で長期間保証ですとか、いろいろありますので、それはそれで本業の方で利用させて頂くということもありますけれど、そういうメセナ活動をしているということを、美術の世界と関係ない方たちは評価されますから、色んな方達に知ってもらうにはそういうことも必要だと思っているからなんです。本当に絵の好きな方たちはそんなことは関係ないということはわかるんですけれども、全方位的に美術のことを理解してもらうためにやはり色んな活動しないと、誰が何処でどう評価してくれるかわかりませんので・・・。

・・・美術の世界は村社会特有の閉塞感があるように思いますけれど。

 そうですね。美術の世界というのは閉じた世界であって、閉じた部分に憧れみたいなものがあり、今まで機能していたところがあると思うんです。でもこれからはアクセスしようとする人に情報が行き渡るようにしたいといいますか、時代に即した対応をすべきだと思います。
特に私は、コレクターの方にスポットを充てておりますので、コレクターの方が納得して安心して買えるような市場にしていきたいと考えているんです。何故かと云えば現在は、画廊や作家からのアプローチだけで、購入しているような感じも見受けられますし、画廊においてもコレクターの抱え込みがあって、他の画廊からの購入を阻む雰囲気も時々感じるので、逆にお客様がもっと選びやすいような状況を作っていかなければ、より閉じた世界になってしまうように思います。

・・・でもコレクターの方が納得して安心して買えるような市場といっても、オークションで買える金額と、デパートで買う金額と、作家から直接買う金額との差、これを一つに統一することは不可能ですよね。また近代のものを扱う場合と現代のものを扱う場合では、これもかなり差があるわけです。現代の作家を扱う画商さんたちは、かなり困窮していると言われていますけれども・・・。

 ただ、海外の現代アートのマーケットを見てますと、現代アートの値段の上がり方は尋常ではないですし、ある意味一部が作られたマーケットみたいなところもありますね。

・・・お金の問題は切実で厳しいですから。

 でも逆に日本では、現代アートを扱っている方たちは困窮されている。それでもチャンスは平等にあると思うんですよ。例えば今東京都現代美術館で開催されている大竹伸朗展を見ると、日本で近代の流れを組んで展開されている作家の方達とはスポットの当たり方が全然違います。ですからコンテンポラリーの作家の方がチャンスが多いように感じます。

・・・チャンスが多くても、ある意味それがお金という形で還元されなければどうにもならない。また美術の世界には、コラムに書かれていたように、価値基準の分かり難さというのがあると思うのです。そこの部分を啓蒙しようと思われていると思うのですが、それはかなり難しいように思います・・・。

 それはとても難しいと思います。でも私は美術は生活そのものだと思っているんです。また基本的に文化は、政治と経済とセットだと思っております。現在の日本は経済だけが突出している状況で、戦後は政治と文化が没落している状況だと思うんです。ちょうど山本さんから薦められて 「スキャンダル戦後美術史(大宮知真著)」 を読んでいるんですが、戦後の美術史を見ると、政治とかなり似ているところがあって、今の問題点がクリアに見えて来る。
日本の政治というのは、アメリカの庇護の基でしか結局成長してこなかったじゃないですか。アメリカに任せておけばいいと、日本人として日本の政治をどうするか考えてこなかった。それとまったく同じことが文化にもあって、日本画もあればフランス絵画も入って来てということもあり、発展する必要性を感じないまま、経済だけが発展してしまった。
日本の画商さんたちも大変だと言いながら経済成長に支えられて、なんとなくゆるゆるとやってこれたのが戦後60年だと思うんです。でもこれからは、政治がそうはいかないのと同じように、文化も経済もそうはいかない。
だから自立しなければならないし、全体的に見直す必要がある。生活の根本的なところから変わらないと今の問題は解決しないじゃないかという思いなんです。私が本当にやりたいと思っていることは、お金にならないとしても、「美術のことを理解してください」 と、情報を発信続けることですから。

・・・確かに情報を発信し続けないと、海外の目は日本を素通りしていくでしょうね。

 ええ。日本の文化は評価されているのだけれども、日本からの情報発信があまりにも少ないために、市場は今はもう中国美術に向いています。また日本の経済はこれ以上発展することがないから、ベトナムやタイに目が向き始めている。経済成長とともに、美術品は値段が上がりしますから、コレクターといいますか投資家の目は日本の美術の値上がりは期待できないので、中国へ行ってしまう。海外へ出かけて、海外のオークションやディーラーの方達と話していると、そういう部分が透けて見えてくるわけです。

・・・ただ10年以上前から、中国や韓国に目が向くことはわかっていたのではないでしょうか。むしろ経済成長の望めない日本は、このまま没落していくというか。それを受け入れざるをえない部分もあると思うし、ある意味美術というのは文化を外側から見る向きもあるように思います。それに作家とコレクターの関係ができても、作家と画廊、画廊とコレクターの関係など、画廊を否定するつもりはありませんが、これからの10年を考えると画廊の形態もかなり変わるように思うのです。

 若い方たちの購買の方法が変わったということはありますから、それに対応した仕事はしたいと思いますが、しかし私どもの画廊でも、社長からしか買わないというお客様もいらっしゃいますし、作家によっては自分の作品の行く末のことを考えていらっしゃる方も多いので、そういう意味で画廊の存在というのはなくなることはないだろうと思っています。
また、画商というのは、お店を持っていなくても信用があれば、一人か二人のお客様で成り立つ商売でもあります。ただ基本的には、作家を育てるとか、お客様の目を育てるとか、やはり啓蒙活動をすることが、儲けさせて頂いたお客様に対する恩返しだと思っているんです。
これから主催致しますセミナーもお金は頂きますけれども、それを通じて勉強するツールや失敗しないコレクションの方法などを学んで頂きますので、コレクターが育てば大局的に美術界の発展に繋げることができるではないかと思います。画商さんたちを見ていても、思いは同じ人がいっぱいいるんです。私の場合は元気が取り柄ですから、元気に声を挙げてやるのが使命だと思っているだけなんですけれども。

・・・儲けさせて頂いた方への恩返しと話されていましたが、近代の作品を扱うというのは、かなり儲かるものなのですか。私も色んなジャンルの画商さんと話すことは多いですけれど、大変だということばかりで皆さんあまり元気が無いように思うのです。

 大変は大変ですよ。大変だからこそブラウン運動のように絶えず動いて何かやっていかないとダメなんです。私どもの画廊も以前よりもスペースが広がったからといって、売り上げが伸びるとは思っていないので、自分がいちばん不安を感じているんですよ(笑)。

・・・画廊といっても二極化が進んでいるんでしょうか。

 現代アートもそうだと思うんですけれども、本来画商のいちばん大事な部分は目利きだと思います。日々の商売でプラスとなるよりも、画商の場合いちばん利益幅の大きい部分は忘れていたストックの値上がりなんです。それは自分が好きで、売る売らない関係なく持っていて忘れていたものが値上がってくれることが、生き残れるか生き残れないかのポジションだと思います。そこの部分では私は社長を全幅に信頼しております。
私どもの画廊では実際に、12年前に買っていて値上がりしたものもありますし、95年96年は不況でお金がなくて困っていた時に、まとめて作家の遺族の方から買ったものが、財政基盤を安定に導いてくれたこともありますので、ですから現代アートの方たちも同じようなことが言えるのではないかと思いますし、画商が最後に生き残っていくキーは、目利きの部分だと思います。

・・・逆に若い作家を育成するという部分はどうでしょうか。

 若い作家のことも勿論考えているんですけれども、基本的に私どもで個展をする場合は、何点かは買い取って展覧会をしております。やはり何回も展覧会をしていきたいという意向もありますから、かなり覚悟を決めてといいますか、結婚しましょうというぐらいのつもりでやりますので、自ずとハードルが高くなるんです。
そうした場合若い方ですと途中で辞める方もいらっしゃるケースもお見受け致します。逆に言えば、そこの部分は財政を圧迫しかねないので、慎重にならざるをえないですね。それでもやっていかなくてはいけないと思うですけれども、たくさんの作家は扱うということは逆に誰を応援しているのかということにもなりかねないので、作家に対しても責任を持ちたいですし、お客様にもそれは同じように思っています。ですから若い作家の方も大事ですけれど、むしろ日本の近代絵画へ目を向けたいといいますか。

・・・こういう言い方は失礼かもしれませんが、日本の近代洋画を最近忘れておりました。

 コラムにも書きましたが、私の友人がロンドンの美術館に半年ぐらい留学していましたので、その間に一緒にオークションなどに出掛け情報交換をしたのですが、いま欧米では日本の近代絵画の歴史を研究をしていて論文を書いているそうです。しかも日本の近代洋画をロックフェラー財団とかポール・ゲッティー財団が収集していると云われている。
アジアの中で、日本だけがいちばん早く先進国の仲間入りをし文化の蓄積がある。明治以降西洋絵画が日本に入ってきて、欧米の影響を受けた日本人の絵描きが育ち、もうすでに70年以上の歴史をもっています。その歴史をもっているのは、日本人だけですからそこにスポットライトを当てて、もう一回再評価をしていこうと、もうすでにアメリカはそれをしていて、たぶん日本は乗り遅れて、アメリカの戦略の上に乗ってしまって、再評価されて値段が高くなってしまった時には、作品はすでに海外に流出しまっているのではないかと彼女は云うのです。

・・・日本では近代のものはずいぶん安くなっていると聞きましたけれど・・・。

 安くなっていますから、私どもの画廊でも財政を圧迫しない限り逆に買い時だと思っています。それが画商の仕事だと思います。それにこれは良いものなんだということを言い続けなければいけないんです。

・・・確かに情報が早く入る事は商売に繋りますね。

 コレクターの方にはもちろん新人作家もご紹介しますけれども、例えば予算が30万円だとしたら、バリバリの新人作家の作品を買うのも一つの方法ですし、海外の有名作家のリトグラフを買うのも一つの方法です。また同じ30万円でも、梅原龍三郎のデッサンを買うこともできます。コレクターの方たちにも色んな選択肢があるわけですから、選ばれるのはお客様ということなんです。色んな可能性と買い方がありますので、例えば予算が二、三万円であっても、そういう作品は扱っている画廊をご紹介しようと思っています。

・・・ある意味コンシェルジュとして、セミナーを開催されるということですね。

 もう2回目まで終了しました。1回目はフランス人のフローレンスさんにお願いしまして、ラグジュアリーとアート'についてのセミナーを行いました。彼女の言ったことでとても面白かったのは、フランスと日本の比較文化の中で、日本人の若い女性は、カルティエの時計やルイ・ヴィトンのバックを買うけれども、フランス人の若い女性は、ブランド物に同じだけの金額を出すのであれば、若いアーティストの作品を買うのが日常であると。
フランス人にとって、ブランドとは何かといえば、ある程度の年齢とある程度の社会的ポジションと、それに見合った財力が付いた時に持つものであって、若い女性の持つものではない、フランスにはそういう意識があるということです。

・・・ただ日本の場合、ブランド商品は手っ取り早くお金に換金出来るように思うのです。でも美術品になるとその情報が全く入らないですよね。
例えば萬鉄五郎の3号を持っていたとしたら、どのぐらいの価値があるものなのか、テレビの鑑定団に出したとしても売値が分かるくらいで、買い取り金額は分かりませんよね。ある意味そういう情報がもっとスムーズに伝わるのであれば、市場の活性化につながるのかもしれませんが・・・でも難しそうですね。

 これはフローレンスさんが指摘されたことなんですが、なぜ日本人の若い女性がブランド物を買うかといえば、「日本人の若い女性は自分に自信がないからじゃないですか」 と答えられたんです。ブランドは自分に自信を与えてくれるけれども、アートを選ぶ自信はない。フランス人の女性は、それは良いところでもあり悪いところでもあるんだけども、自信満々な人が多い。ですから自分が選んだアーティストは、いちばんだと思って買うことができるということです。

・・・日本人よ。大志を抱けではないけれど、もっと自信を持たなければいけないということですか。オサルスは自虐的な性格だから難しいかも・・・。

 来年三回目のセミナー(詳しくはhttp://www.yanagi.com/index.shtml)を開催する予定ですので、自信をつける為に勉強されては如何でしょうか。

 今日はどうもありがとうございました。

 銀座 柳画廊 http://www.yanagi.com/

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