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オサルスのおすすめランチ ランチdeチュ その158

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日替わり定食 820円

つばき亭
川崎市中原区等々力1-2 市民ミュージアム1階 TEL 044-751-4415
営業時間 11:00-17:00 (平日は16:00)
ランチタイム11:30-14:00
定休日 月曜日(祝日は営業)、祝日の翌日(土日は営業)

 

 漫画の展覧会といえば、結構パスしてしまうことも多いけれども、今回たまたまご縁があって、「横山光輝の世界」 展11月18日(土)〜1月8日(月・祝) を見に行ってきました。
はじめは額縁に入った漫画の原画に、見づらいなという印象も受けましたが、1960年代にテレビで放映された 「鉄人28号」 (実写映像もあったけれど、やはりモノクロで素朴な作り方でないと味が出ない) の映像や 「バビル二世」 「仮面の忍者赤影」 を見ていると段々と引き込まれてしまって・・・いつもの美術を見るアノニムな視線よりも、自分の子供時代に立ち返り、日常の中にある私の視線で見ることができて、オサルスは面白いと感じました。
  ご覧になっている方たちも皆さんにこにこ顔、これは普通美術館では見られない光景ですよ。かといってデパートのような集客力目当ての催事とは違って、横山光輝の軌跡をベースにしているので時代背景を追うこともできるしね。
 おっとデパートを悪くいうのは不味いですね・・・、今日ご紹介する志賀館長は、小田急百貨店に30数年お勤めになり、小田急美術館の館長もされ、川崎市の公募で、今年川崎市市民ミュージアムの館長に就任されたばかりの方なんです。
(何故川崎市は館長を公募をしたのかは、川崎市市民ミュージアム改革基本計画を検索してご覧ください)
しかしこの美術館照明が暗く感じるけれど何故かな? 聞いてみましょう。

・・・美術館自体がかなり暗い印象を持つのですが。光熱費を抑えるためということもあるのでしょうか。

 結論から申しあげれば今の段階では、この館自体がコストがかかるような作りになっているのでどうにもならないです。光熱費の流れでいいますと、ご覧のようにすべて吹き抜けですから、普通は使っていないところは空調をせずにすますということもできるのですけれども、この館の仕組みではそれができないのです。

・・・何故ですか。

 実際に市がどういう意図でこの館を作ったのかと云えば、極端な言い方をしますと、すごく曖昧なんです。これは時代的な話になりますが、バブルの時代もそうですがその前の時代から、ハコがあっても中身が追いつかない状況で後のことを考えず、ランニングコストがかかるものを平気で作ってしまったといいますか。ですから 「何のために、誰のために、どうしたいのか」 ということが不明確なままなんですよ。

・・・日本のハコモノ行政の悪い部分が出てしまったというわけですね。開館された1988年といえば、ちょうどバブルの最後の時期じゃないですか。

 開館しましたのは、昭和63年の11月です。昭和の最後といいますか。でも誰が悪いといっても仕方ないのですが・・・。

・・・それで後のつけをどうするかということで、市民ミュージアムの機能を明確にしようと改革基本計画が立案されたということですか。

 そういうことです。国の博物館や美術館にしても独立行政法人として運営されるわけですから、今までは研究の施設ですんでいたものが、市場論理の中に組み込まれつつあるということ、それを私はいいとは思いませんけれども、またそういう流れを進めているのも我々ですから。

・・・すごく不思議なんですが、何故川崎市市民ミュージアムは、博物館と美術館 【考古/歴史/民俗/美術・文芸/グラフィック/写真/漫画/映像(映画・ビデオ)】 が合体したような機能を併せ持っているのでしょうか。

 作った時のコンセプト自体に問題があったのかもしれません。そこではっきりコンセプトを明確にしていれば、こんなにバラバラにならなかったかもしれないですね。同じ川崎市でも、岡本太郎美術館であれば岡本太郎に関連する作品を展示するというコンセプトがはっきりしている。
ただここの館の場合は、川崎の歴史を展示する部門と美術や映像を見せる部門に分かれているので顔が見えにくい。また博物館と美術館に同じ役割を背負わせるということは、どう考えても無理がある。でもできた経緯は置いておいて、今までの蓄積といいますか、収蔵している作品にしても人的な部分にしてもあるわけですから、これまで積み重ねた資源を有効に活用してアピールする必要があるわけです。

・・・アピールですか?

 博物館部門の場合でいいますとこれは絶対なくてはいけない。川崎市の歴史的な文化財を保護し、必要なものは収集して次の世代に伝えていく。その役割はとても重要なことです。
かたや美術館部門でいいますと、川崎にゆかりのある作家展や一般市民にギャラリーを解放していこうと、また映像部門では、牛山純一氏が手がけた貴重なドキュメンタリーフィルム (日本映像記録センターにより800本が寄贈された) があるということをもっとアピールしていかなければいけないと思っています。

・・・そういえば改革基本計画に、メディア芸術のブランド戦略を主体にしていくと書かれていましたね。

 ええ。他からみれば、この館が何故メディア芸術をやらなければいけないのかという部分が、正直言ってなかなか見いだせないかもしれません。ただ開館時は写真ですとか映像ですとか漫画という部門を美術館で扱うということは非常に先進的なことだったんです。ところが今は珍しくも何でもなくてここだけで展示しているということではなくなってしまった。
でも先ほどもお話しましたが、今まで培ったものを生かすためにもメディア芸術に軸足を置いて、もう一度一から検証しながらやっていく、それをこの館の顔にしたらどうかということを考えております。
 今までは単純に外に向かっての働きかけのアピール度が足りなかったように思います。早い話宣伝とか広報に関しての部分ですが、かなり不器用な部分があるのは否めない。でも逆をいえば広くアピールすることでお客さんに館が何をやっているか知って頂けるのではないか、私が館長になりましてからまだそんなに日は経ておりませんが、そんなことを感じました。
その他に市民の方たちにどのように利用してもらうか。どのように親しんでもらうか。この館には「友の会」というのがあるのですが、会員数も少なく、まだきちんと機能してはいないんです。それらを含めて美術品を鑑賞することだけではなく、やはりいろいろな形で利用することができますよということを積極的にアピールしていかなくてはいけない。例えば中庭で○○市を立てるとか、そのような選択肢があってもいいと思うんです。

 お待たせしました。

 こちらの 「つばき亭」 は展示場とは別の区画なので入場料はかかりません。広場に面しているので陽光がたっぷり入り見晴らしも良く明るくて開放的。でも今日は平日だからなのか人が少ないなぁ。
座っているお客さんは、こちらの館の方のようだけど。「売り上げに協力するために、平日の昼食は大体ここです」 と館長。学芸員の方たちもこちらで召し上がるのだとか・・・。

 ランチは日替わり定食 (なすと豚肉ピリ辛炒、鯖の竜田揚げ甘酢あんかけ、鶏とレンコン梅マヨサラダ、ご飯、漬け物、フルーツ、味噌汁付き 820円) を注文。
 三種類の味が楽しめてかなりのボリューム。見ようによってはですけど、中華、和食、イタリアンの共演ともいえますね。値段はリーズナブルで庶民的な飽きのこない味です。これなら毎日でもいけそうじゃないですか。

・・・以前小田急美術館の館長をされていたとお聞きしました。

 小田急美術館の時は、百貨店の美術館ですからそれこそいろいろなものをやるわけです。絵画工芸などの既存の美術はもちろんのこと、歴史や漫画、子供向けの催事などいろいろなジャンルのものをやっておりました。百貨店ですので目的は集客力アップや文化的な催しをやることによって、百貨店のイメージの向上を図ることでした。

・・・こちらの美術館の集客力は如何なんでしょうか。

 企画展だけですと集客力という面では、やはり限界があるかもしれません。それはある意味お金をかければ可能かもしれませんけれども、例えばですが、1億円・2億円をかけて海外有名美術館の作品を展示するのであれば、集客は難しくないと思います。
ただここでそんなにお金をかけてやる意味は何なのかを考えた上でやらないと、1億円のお金をかけて人を集めることで何をもたらすのか、もちろん館の存在を知ってもらうとか、そういう目的をきちっと持った上でやるのであればよろしいでしょうけれども、ただ集客ということだけですと税金を使っているわけですから、1億円のお金をかけたところで元は取れないわけです。集客目的だけですべてを考えるのであればそれは話が違ってしまう。
 ただ入館者数がすべてではないといっても、結局入館者数が増えないことにはどうにもならない部分があります。開館当時の入館者数は約30万人でしたから、それが平成になって8万まで減少してしまった。
入館される方の利用度のバロメーターが激減してしまったということなんですが、もちろん激減したからといって、学芸員の方たちが何もやらなかったわけではありません。彼等もその事態を深刻に受け止めて危機感を持って対応していました。
川崎市の人口が130万ですので、せめて10%ぐらいは入館してもらおうと目標を立てて活動して・・・。ただその活動している間に、市の包括外部監査が入り民間であれば倒産状態という形になってしまったのです。

・・・倒産は厳しいですね。

 15年度に市の包括外部監査が入り 「民間であれば倒産状態、再生委員会を設置して基本テーマやコンセプトの見直しや収支の考え方などを検討すべき」 との厳しい指導を受けました。これでは館をなくしましょうといわれたら、そうですねという話になってしまう。

・・・今まで美術館が、市民の方たちと乖離していた面というのは、ある意味美術館側のプライドということもあったのではないでしょうか。

 過去においては、わかる人だけわかればいいというスタンスがあまりにも長すぎて、市民の方から川崎市のゆかりの作家展や市民にギャラリーを開放してほしいなどの要望をなかなか汲み上げることができなかったという経緯もありますのでそれは否定しません。
美術館が市民に対して何も還元していない。市民に情報ニーズを与えていない。ミュージアムとは、そういうところなんだという土壌を作ってしまった。それが受け入れられてしまったことに、この館の問題があると思っています。
 行財政改革などで歳出をカットする状況において、何故文化的側面である美術館がやり玉に上がってしまったのかといえば。川崎は一つの典型かもしれませんが、市民の支持を広くえられなかった結果がターゲットになってしまったということなんです。自分たちが文化とはこういうものなんだ。
美術館・博物館は市民に対して文化を提供するんだ。ということが積極的に言えていない状況で行財政改革の波が押し寄せて来てしまった。今、公立美術館はどこも冬の時代を通り越して氷河期だといわれています。それを打ち破るためにも、外に向けて 「美術館は市民にとって必要な存在なのですよ」 と積極的に呼びかけていかなければならないと思いますね。

・・・なるほど。だいぶ前にはじめて府中美術館へ行った時に、道順をおばあさんに尋ねたことがあるんですが、そのおばあさんは美術館なんかつぶして、老人のための施設を作ったらいいのにと言われたんです。
美術館の役割というのがわかりにくい部分があるのかもしれませんけれど、世の中効率ばかり考えていたら如何なものかと。一見すると美術というのは無駄かもしれないけれど、心の拠り所にはなると思うのです。

 おばあさんの話が100人のうちの一人か二人であれば少数意見ですみますが、やはり文化は無駄だねということがコンセンサスになってしまったらそれは危機的状況です。そうならないためには文化は必要だと発信し続けなければいけない。わかる人だけわかってくれればいいということではダメなんです。
以前小田急美術館は良質な展覧会をやっていました。しかし平成11、12、13年と百貨店は冬の時代でして、売り上げが厳しくなりどの百貨店も皆リストラをやりました。その時の選択肢として、美術館を維持するだけの効率を考えると閉めざるをえなかったんです。
でも今になって考えると、昨今百貨店が同一化している中で、美術館は小田急百貨店の大きな顔であったのではないかと、今頃言っても遅いですが、なくして初めて気がついたといいますか。ですから文化は必要なんだと言い続けなければダメなんです。言い続けていないと顔が見えてこないし、川崎にとってこういうものが必要なんだということを、私を含めて館の方で言い続けていないと、過去と同じような轍を踏んでしまう可能性が出てくると思います。

・・・先ほど牛山純一氏のお話が出ましたが、こちらのネット(http://www.kawasaki-museum.jp/)に、牛山さんは 「人間くさい作品をつくろう」 を合言葉に、民間放送で初の本格的なテレビドキュメンタリー番組を製作された方とお聞きしました。目標を達成するための業務運営の効率化、国民に対して提供するサービス等の業務の質の向上、財務内容の改善などもいいと思いますけれど、むしろ人間くさい美術館を作ってほしいなと思うのですけど・・・。最後に2007年はドラえもん展を開催されるということですが。

 はい。2007年1月20日(土)〜2月25日(日)まで 「ドラえもん」 の世界に焦点を当てた初めての展覧会 (みんなのドラえもん展 ―魅力の秘密―) を開催する予定です。当面の話としては、集客を考えねばいけませんので。

今日はどうもありがとうございました。

川崎市市民ミュージアム http://www.kawasaki-museum.jp/

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