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諏訪敦 展 2007年6月1日 - 30日

  ギャラリーミリュウ
  東京都中央区銀座6-10-10第2蒲田ビル3F TEL 03-5537-8733
  http://www.art-index.net/milieu.htm

 だれでも絵の前に佇んだという経験があるであろう。私の場合は、「これは何だろう」 という自分の経験値に無いものを見た場合が多かった。
  今回のように見た瞬間に永遠を感じたことは今までに数えるほどしかない。
 永遠を言葉に変換すると、時間の堆積とか、歴史とか、死や生などと抽象的な言葉になってしまう。私の定義としては、それらがカオスとなって内包されている宇宙みたいなものと解釈している。ただ言葉にすると陳腐に聞こえる。それに一方的な感想を述べるのは本意ではないので描き手に話を聞いてみることにした。
 インタビューと言うのは、例えば描いていて、例えば見ていて、お互いに気づいたことを率直にコミュニケーションすることだと思っている。少なくとも私の基本はそうだ。表現とは、何か確信があって演出するのではなく、一瞬一瞬に出会いがありそれが時を刻みながら積層されて表出してくるものだと思うから・・・。

・・・写実絵画というのは、人や物を写し取ることだと思うのです。でも何を映しとるかは人によってさまざま、今回の作品を拝見した時に一瞬の中に永遠が見えたような気がしました。

 自分の場合、問題の発想のはじめというのは外側に向いています。具象絵画というのは多分そうだと思うんですが、自分の中から内発的に出てくるのではなく、問題を外側から持ってこなくてはいけない。それは宿命的なものだと思うのです。今回の作品は、モデルが舞踏家の大野一雄さんなので、大野さんから恩恵を受けている部分はずいぶんあると思います。

・・・少し話がそれますが、細江英公さんの 「鎌鼬」 のシリーズ 「作品8」 を見たことがあります。イネを干す竿に土方巽が腰掛けて空を見上げている構図なんですが、ものすごい空気密度の濃さを感じました。
私としては踊っている作品よりも、撮り手や描き手が存在のエナジーと向き合っている作品に惹かれます。そこに火花が散っているように感じたというか。それに踊っている姿であれば踊っている姿を直に見るべきだと思うんですよ。
諏訪さんが大野さんを描くプロジェクトは1999年からはじまったとお聞きしました。

 2000年に個展で発表した後に 「大野先生とのプロジェクトは終結した」 と公言していました。普通ならば90歳を過ぎているのだから、プライベートな時間がとても貴重なのではないかと思いますよね。
ただそれはこちらの勝手な思い込に過ぎなかった。大野さんは24時間大野一雄として生きている。プライベートとの乖離は無いのです。今回取材をしていて思ったのですが、取材しているときとオフでは全然表情が違うのですよ。

・・・それはすごいですね。

 それと自分は踊りの風景は一切描いていません。踊りをそのまま描いてしまうと、そのままで空間が決まってしまう人だから、逆に恩恵を受け過ぎて作品を乗っ取られてしまうような状態になってしまう。冷酷な言い方なんだけれども、むしろ踊りから解放してマテリアルとしてつかもうと思ったのです。
 以前、私の父が介護ベッドで横たわる絵を描いたことがありましたが、不思議と相似形のように目の前の大野さんと符合するものがありました。 デッサンをしながら気付いた事です。どちらも窓から光が差し込んでいたのですが、ある瞬間、手のシワや服のシワが等価に見えてきた。般若心経の一元論じゃないけれど、世の中すべてが一つの繋がりになって見えてきたというか。昔自分が描いた絵も何もかもがすべてつながっているような錯覚を覚えて・・・。

・・・繋がりですか。

 例えば顔や金属など諸々の物質の属性をすべて取り払ってしまって、粒子になってしまったような、それが大野さんの身体を中心にして一つの繋がりとなっていった。そういう幻視体験があったので、まず描くにあたってそれを素直に表したいというのがありました。
ですから展示方法も額縁を排除して、空間に溶け出すような形にしてあるのです。それと大野さんという人は、恩恵をいろいろなアーティストに与えているけれど、イメージを与えても痩せない人というのは、希有な存在なんです。
余計な感傷を打ち破る力を持っているし、世間的なモラルを粉砕するだけの身体をしていますからね。だから自分にも恩恵はあると思っています。本当は木を一本描いても、それを発揮できないとまずいなと思うんですけれども。

・・・発揮されているんじゃないですか。口を開いているというのは、精一杯空気を取り込もうと息をしているさま。今回の作品は、吸って吐いてを繰り返す息が描けているんですよね。息が見えるからすごいと思う。それが生きているということじゃないでしょうか。絵を見るということは、感じること、それしかない。

 そうですね。気持ちを動かされなければ、どうしようもないかなと思っています。いちばんの濁りのない形でガツンとやりたいですね。

・・・ところでこの作品の展示場所は決まってるんですか。

 2008年の1月から2月にかけて佐藤美術館での展示が決まっています。

 違う空間でどう見えるか。楽しみにしています。今日はどうもありがとうございました。

ATSUSHI SUWA Web : http://members.jcom.home.ne.jp/atsushisuwa/

関連情報 2001.8

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