だれでも絵の前に佇んだという経験があるであろう。私の場合は、「これは何だろう」 という自分の経験値に無いものを見た場合が多かった。 ・・・写実絵画というのは、人や物を写し取ることだと思うのです。でも何を映しとるかは人によってさまざま、今回の作品を拝見した時に一瞬の中に永遠が見えたような気がしました。
自分の場合、問題の発想のはじめというのは外側に向いています。具象絵画というのは多分そうだと思うんですが、自分の中から内発的に出てくるのではなく、問題を外側から持ってこなくてはいけない。それは宿命的なものだと思うのです。今回の作品は、モデルが舞踏家の大野一雄さんなので、大野さんから恩恵を受けている部分はずいぶんあると思います。 ・・・少し話がそれますが、細江英公さんの 「鎌鼬」 のシリーズ 「作品8」 を見たことがあります。イネを干す竿に土方巽が腰掛けて空を見上げている構図なんですが、ものすごい空気密度の濃さを感じました。
2000年に個展で発表した後に 「大野先生とのプロジェクトは終結した」
と公言していました。普通ならば90歳を過ぎているのだから、プライベートな時間がとても貴重なのではないかと思いますよね。 ・・・それはすごいですね。 それと自分は踊りの風景は一切描いていません。踊りをそのまま描いてしまうと、そのままで空間が決まってしまう人だから、逆に恩恵を受け過ぎて作品を乗っ取られてしまうような状態になってしまう。冷酷な言い方なんだけれども、むしろ踊りから解放してマテリアルとしてつかもうと思ったのです。 ・・・繋がりですか。 例えば顔や金属など諸々の物質の属性をすべて取り払ってしまって、粒子になってしまったような、それが大野さんの身体を中心にして一つの繋がりとなっていった。そういう幻視体験があったので、まず描くにあたってそれを素直に表したいというのがありました。 ・・・発揮されているんじゃないですか。口を開いているというのは、精一杯空気を取り込もうと息をしているさま。今回の作品は、吸って吐いてを繰り返す息が描けているんですよね。息が見えるからすごいと思う。それが生きているということじゃないでしょうか。絵を見るということは、感じること、それしかない。 そうですね。気持ちを動かされなければ、どうしようもないかなと思っています。いちばんの濁りのない形でガツンとやりたいですね。 ・・・ところでこの作品の展示場所は決まってるんですか。 2008年の1月から2月にかけて佐藤美術館での展示が決まっています。 違う空間でどう見えるか。楽しみにしています。今日はどうもありがとうございました。 ATSUSHI SUWA Web : http://members.jcom.home.ne.jp/atsushisuwa/ 関連情報 2001.8 |
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