写真美術館は1989年に蒐集の基本方針を設け、19人の充填収集作家を決め写真美術館のコレクションだけで一つの展覧会ができる規模の作品を蒐集、1990年から年に1回その方たちの作品を個展形式で展示しているのだとか。
「はじめは自分自身が今いるポジションを考えようということでカメラを向けていた」 と土田さん。 作品は時系列に展示されているのですが、初期のモノクロの作品は、一点の作品展示であればそうは思わないかも知れないけれど、時系列だと東松照明の展示と似ている気がして、続けて見たのでどうも飽きるんですよ。それが払拭されたのは〈新・砂を数えるのシリーズ〉から、モノクロからカラーへのフェードイン。特にこのカラーは、青はあくまで青く、赤はあくまで赤くが基本の昔見た映画のクレジットにあった総天然色のような色。 「カラーを撮りながら段々と引いていく自分があったというか、対象からの距離がどんどん引いていくということが無意識で起きていたということでしょうか。それと同時に私の個人的な解釈かもしれませんが、2000年になって群集の質が違ってきたなということが実感として僕の中にあったんです。 何だか〈ウォーリーをさがせ! 〉みたいで面白い。でもなぜ映像の中に入っているのかな? 「写真をデジタル化して色を変容し、写真から距離を置くという形をとりながらある種の写真の持っている記録性のリアリティーを喪失させて行く。しかし最終的にやはり写真であることから逃れられない。 なるほど。それが次の続俗神のシリーズでは等身大以上の作品に・・・。 「8x10のカメラで撮っておりますから、その時点で等身大以上に伸ばそうというのが意図としてあったわけです。神事を中心に撮り出したんですけれどもルポルタージュで終わっていくことを何回か繰り返していくうちに、ちょっと違うなという実感がありました。祭が時代の中で遊離していく。 ここまでが第一部。 第二部では、独自のテーマを追い続けるドキュメンタリストとしての土田さんは、ヒロシマを撮影されています。
「広島を記録してみたいとかねがね思っていました。ヒロシマ三部作の内〈ヒロシマ1945-1979〉は、昭和26年に岩波から出版された原爆の子という子供達の原爆体験記をもとに取材をしました。 第三部のエイジングシリーズは1986年からほとんど毎日。ある場所を定めて定点観測をしてきた作品。きっかけはある日老いを感じることがあったからとか。 「86年に白髪が出てきたことと、もう一つは高齢化社会の問題がマスコミに取り上げられるようになってきたという時代背景があったことで、老人問題を表現してみたいなと考えていたんですけれども、白髪が出たことで、老人問題は人ごとではないということに気がついて、自分自身の老化を定点観測的に記録してみようと思ったのです。基本的には毎日の写真をつなぐということが僕の作品なんですよ」 Keep on taking a photograph ですね。Keep on し続けるということは、たいへんな事。自分自身の道を信じないと出来ないと思います。 本展示は昨年に着手し一年をかけ、まとめられたそうです。土田さんの歴史でもあり日本の歴史が見られることもありますが、見終わった感想は、定点観測を続けることの意義というようなものを改めて思い出したことです。 来年も宜しく。 |
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