毎年写真美術館の学芸員が入れ替わって企画を練る〈日本の新進作家〉を紹介する展示も今年で6回目を迎えました。今年の企画は石田さんです。セレクトされた四名のアーティストは皆30代、写真と映像をメディアにされている伊瀬聖子・大橋仁・田中功起・屋代敏博の方々です。 ・・・石田さん曰く。[スティル|アライヴ] とは。 「すごく簡単にいえば、止まっている状態と動いている状態の対比みたいなことなんです。それは写真と映像のことでもあるし、いろんな意味がそこに見つけられると思っています。 展示は四人四室、空間を完全に四等分した個展形式になっています。
第一室の展示は伊瀬聖子さん。左側のAパートが24分、右側のBパートが6分の長さの二つの映像で (サウンドを伴って) 構成されています。音楽を制作しているのはスティーブ・ジャンセン氏。 タイトルは 「Swimming in Qualia (スイミング・イン・クオリア)」 「タイトルにそんなに意味を持たせているわけではなくて、感覚で見ていただきたいというか。すごくあやふやなままで、雰囲気を伝えたかったので、クオリアという言葉がピッタリだと思い引用しただけです。また
Swimming という言葉は、霧や池、雪、水中の植物など、水に関係する素材をたくさん使っているので、そこから水のイメージが浮かぶことと、肉体全身を使うということがピッタリだと思ってつけました。 今回の作品は美術館だけで完結せずに、スティーブ・ジャンセン氏のライブコンサートのバックグラウンド映像として展開されて行くそうです。
第二室は屋代敏博さん。 「その現場で作り上げるので、人が回転すれば、回転回LIVEになります。ですから写真作品だけではなくて、現場自体も作品になるのです。またこの作品は現場にいる人が、誰でもシャッターを押すことができますし、記録ビデオも同じようにして撮ってもらっています。ですから回転回LIVEのたびに、まったく違う映像になっていると思いますよ」 しかし何故回るのか? 「僕は学生時代にすごく難しく物事を考えてしまって、どうやったら簡単に物事が考えられるのだろうと・・・その時に自分の目に見える物が既に難しいから頭の中まで難しくなってしまうのではないかと思ったんです。 きっかけはターンテーブルだったんですか。回転寿司ではなかったのね
(詳しくはhttp://www.gaden.jp/info/2006a/060407/0407.htm)。
第三室は大橋仁さん。タイトルは 「SEA」 「バンコクの娼婦と一般の女の子を撮影しています。海の写真はハワイのワイキキビーチの朝を撮ったものです」 ・・・何故タイトルは「SEA」なのか? 「女の子が笑っている目やふらふら歩いている犬の感じが、ちょっと海っぽいSEAな感じかなと。あんまり説明するもんじゃないな(笑)。タイはすごく不思議なところなんで、犬と女の子のテンションがすごく似ているんです。道端で寝ている犬と寝ている女の子とほとんど同じ感じなんですね。 この子達のテンションというのは、ある意味理不尽かもしれないけれども、シャッターを押してはいけない場所でシャッターを1回押した瞬間です。彼女達がものすごく戸惑った瞬間というかね。何かの感情が動いた瞬間なんですよ。でも僕が一線を超えて半歩でも出なければ、そういう瞬間には立会えないわけです。 かなり高いテンションを狙っている方です。でもお話をお聞きしてある意味写真の本質が垣間見えた気がしました。 第四室は田中功起さんの作品です。 「プランの段階では家を一軒丸ごと壊してその廃材を使って、ガーデン・テーブルを作るというアイデアがあり。それともう一つは、ビール工場で映像を撮りたいという話だったそうです。どう関係があるのかわからないけれど、その二つが一つの展示になりました」 ・・・何故ビール。 「写真美術館は恵比寿にあり、恵比寿はエビスビールが有名ですから、エビスビールの製造過程を撮りたいと思いました。ビデオから流れている映像は、エビスビールの大瓶を作っている過程をサッポロビールの千葉工場で撮影した物です。 ・・・家に関しては、建造物を壊して破棄されるプロセスを一時的に展示室に持ち込の予定だったそうなんですが。 「美術館は施工業者に頼んで展示会場を作るんです。この壁はリースの壁です。壁自体もリサイクルされているんですが、施工業者の下請けの方から廃材をもらってガーデン・テーブルやボウリングのレーンを作りました。結局別々の物が一つの場所で、よくわからない理由によってつながっている状態を作りたかったんです。 基本的にこの展示室の中でボウリングをしてもいいし、作品を触ってもいいし、テーブルを動かしてもいいそうです。ただモニターは消さないでほしいということです。 田中さんの言葉じゃないですが、四人四様でぜんぜんつながりがない展示になっています。まぁ、いい方によっては、四つの味が楽しめるということでしょうか。楽しんでもよし、つまんないなぁと思ってもよし、要するに見る側にゆだねられている展覧会なんですよね。 |
gaden presents - gallery / artist / dreamer / exhibition / network