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オノデラユキ作品展 『12速度』 -森の中のタギング。矢印の方へ- 2008年9月2日(火)-9月27日(土)

 ZEIT-FOTO SALON
 東京都中央区京橋1-10-5 松本ビル4F
 TEL 03-3535-7188 日・月・祝日休
 http://www.zeit-foto.com/
 http://www.gaden.jp/zeit-foto.html

・・・タイトルは 『12速度』、12という数字は?

 12枚写真がありますから12という数字は重要でした。いろいろなタイトルを考えたのですがオブジェクトにならないタイトルにしたかったんです。例えば12の鏡でもないし12の矢でもない。まして本当の矢ではありませんからね。
『12速度』 の12と速度はストレートに内容がそのまま繋がっているわけではないですけど、矢が象徴するスピードとか速度とか・・・なんだか分からない抽象的なタイトルですが、作品を見た時にタイトルとの関係が直接的に浮かび上がってこないような遠回しのタイトルにしたかったんです。また、二年前に 「11番目の指」 シリーズを発表していますので、11の次に12が来れば数の関係性が出ます。それもいいかなと思いまして。

・・・サブタイトルの 『森の中のタギング。矢印の方へ』 ですが、タギングを辞書で調べると 「 札を付けること。グラフィティ-アートの手法によって描かれる署名のこと」 とありました。アートと呼べるかどうか分かりませんが、グラフィティ-アートというのは、「スプレーなどを利用して、壁面や地下鉄の車両などさまざまな都市空間に描かれる落書き」 のことですか。

 そうです。ヨーロッパやアメリカ、勿論日本でも表層的にこういったタイプの落書きが増えていますよね。ものによっては落書きとはいえないような趣向を凝らしたものもあるけれど、逆にグループ内でしか分からない署名のようなものもたくさんあるわけです。
ただあくまでも落書きですから今の都市の景観の公害になっている。都市生活の身近な問題として作品の要素に入れたかったのです。それと描かれたサインや矢印は 「
もの」 ではありません。ものになりえない「もの」を静物画のモチーフとして入れるということがやりたいことの一つでした。
今回の作品は一見するとまったく同じような写真に見えるんですけど、実はカラーの作品を12枚、モノクロの作品を12枚制作しています。何が違うかといいますと中央にある鏡が12角度存在しているんです。

・・・鏡の角度を少しずつ変えて写しているということですか。

 ええ。フォンテンブローの森の中で撮影を行ったのですが・・・。

・・・フォンテンブローですか? 森の中に静物をセッティングされたわけですか。

 地面がかなりでこぼこしていたので撮影は大変でしたが、深い森にしたかったのでフォンテンブローの森の中に入ったんです。そこには絶対に足跡を残してはいけないというサンクチュアリ区域があって、後で知ったのですがそこは人間に危害を与えるような動物が住む所だったんです。カラーの方が分かりやすいかもしれませんが鏡以外にコップやその他のモチーフにも森の風景が映り込んでいますでしょ。

・・・森が映り込むとは。

 静物写真なんですけれど普通は見えない手前側といいますか、カメラの場合でいえば撮影する側にある環境が写ってしまっている。そういうものを逆説的に取り込んでしまうということを考えました。ですから半分風景写真のような特徴も持っています。矢印の方向も人間の目の習性に習って自然に左から右に移行していくようになっている。例えば美術館などの大きなスペースで24枚全部展示できれば矢印に沿ってカラーとモノクロで一周できる空間ができるかもしれないですね。

・・・ある意味、この作品を制作するきっかけは矢印だったのですか。

 素材としては興味がありましたが古典的な静物写真を主体に考えました。このシリーズが始まる前にルーブル美術館に通って勉強したんですよ(笑)。いろいろ構図的な違いがあっても、古典的なものは見ている視線は一緒ですから例えばアングルなど、古典的な構図を外さないようにしたいと思いました。もちろん古典的といっても現代のものも入っていますし逆に中国で手に入れた古い巻物や工業製品、手作りのものも入っています。
この温度計はこの時の温度29度で湿度40%を示している。この写真には本来なら映らない温度や湿度まで映り込んでいるというか。それともう一つ静物画のテーマにつきものの永遠とか永劫の問題を、被写体とかヴィジュアル的な内容で追わずに、矢印の側に 「永劫」 と文字で書いてあるんです(笑)。

・・・不思議な文字だなとは思ったんですが、永劫とは思いませんでした。

 漢字(永劫)と英語(eternity)の両方で読めるようになっています。若者たちが自分たちの暗号としてタグを残しますよね。それに習って分かるかもしれないし分からないかもしれない程度に自分でデザインをして描き入れました。
この場合皮肉なのはオブジェと手前の森は映っているのに、唯一映っていないのは被写体の壁の向こう側、永劫と書かれた向こう側なんです。

・・・なるほど。今回カラーとモノクロの作品を制作された意図をお聞かせください。

 モノクロは色が見えてこない世界ですから個々のものの色は分かりませんよね。色があるのに色が映つらない世界、同じものなのに絶対的な違いが出る。その違いの効果がおもしろかったものですから、あえて同じ写真をカラーとモノクロの両方で制作しました。

・・・今までの作品でカラーのものは 「Roma-Roma」 しか思い出せないのですが・・・ただ 「Roma-Roma」 は人工着色でしたね。

 今までは特に色が優先されるものを写していたわけではありませんので。今回はカラーとモノクロが同時に存在することが重要だったんです。ですから同じものを鏡合わせのようにしています。カラーになったから見えてくるものもあれば逆にモノクロだから見えてくるものもあると思っています。

・・・確かに色の持っている属性によっていろいろなイメージが浮上してきますね。最後に今回の作品はシリーズ化されていくのですか。また、展示方法が片側に集中しているのは何故でしょうか。

 12枚12枚で24枚で完成と考えていますのでこれ以上のシリーズ化にはしないと思います。静物には興味がありますから何らかの形でやっていくことがあるかもしれませんけれど・・。展示についてはまとめて見せたいという気持ちもありましたし、視線や意識を分散させるのではなく劇場の舞台のように集中したかったからです。

・・・どうもありがとうございました。

~27日(土)まで。

関連情報 2006 09 2006 09_b 2006 05 2005 02 2005 01 2004 09 2004 09_b 2002 09

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