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小林敬生 展 2008年9月29日(月)-10月11日(土)

 シロタ画廊 東京都中央区銀座7-10-8 TEL 03-3572-7971 http://gaden.jp/shirota.html

・・・タイトルは 「陽はまた昇る」。白熊などの絶滅危惧種が画面の中に多数登場していて、その世界は人間が動物の上に君臨しているような優越的な考え方ではなく、対称性の中にすべて生きとし生けるものものが存在しているという思想的なものをとても強く感じます。

 生態系は流動的に回っているわけですので、下とか上の区別はなく魚、鳥、動植物すべてが皆同じ立場で輪を構成している。偶々人間はいちばん上だと思っているだけで、その輪の中の一つにしかすぎない。
その考え方を僕は昔から持っていって、2005年に滋賀近代美術館 「滋賀の現代作家展 小林敬生 木口(こぐち)木版画 1977-2004」 での個展に出品した 「日本の社会運動史」 というタイトルの作品が原点だと思っています。
その作品は明治時代の農民一揆や暴動ばかりを収録した版画集です。
文明開化以後の富国強兵の中、ヨーロッパに追いつけ追い越せで日本はとても無理をしました。昭和の終わりぐらいまでその問題を引きずってしまったわけです。
そういう観点から考えると、今の文明の有り様とかテクノロジーの進歩は必ずしもポジティブに考えられない側面がある。なぜ僕が線を一本一本彫って一枚一枚刷る行為をするかと言えば、「もの」 を作るのには時間をかけてやることに意味があるんだということを提示するためなんです。
特に僕は大学の先生をしているので学生にきちんと明快に自分の背中を見せるではないですが制作姿勢を示す必用がある。強制はしないけどでも教える。ただこんな考え方をすると、今の時代では僕も絶滅危惧種のひとりかなと言われかねませんが、そう思って画面の中に絶滅危惧種を意図的に遊び心で登場させているんです(笑)

・・・「陽はまた昇る-緑の星・D-」 は、サイズが100.5x260cmありシンメトリックな作品ですが、今展のイメージはこの作品に集約されているようにも・・・。

 サイズ的には寄せ木で30cm角に作ってもらっています。12枚を別々に彫って順番に刷ると一枚出来上がり、これを鏡張りして裏から雁皮で刷ったものと表から刷ったものを裏打ちするとシンメトリーに展開する。
今回は 「陽はまた昇る-緑の星・D-」 の中心にある岩のような船のような構図を作りたくて制作しました。この一点だけでも良かったのかも知れないけれどもね(笑)。

・・・先ほどのお話の輪ではないですが、今回の展示は展示自体が輪廻として展開されているようにも思えますね。

 小さい作品に 「楽園(エデン)」 とつけたのは、エデンの園のエデンとは微妙に違うんだけれど、楽園はパラダイスではないのでエデンの方が僕の意図に近いかなという思いはありました。

・・・今回で今までの制作活動に一応の区切りをつけられるということをお聞きしたのですが・・・。

 1987年から約20年間「蘇生の刻」というタイトルで大きい作品を作り続けて来ました。その都度画面空間のあり方の意識は変化してきましたけれど、本来のテーマは変わってはいません。仰々しくいえば集大成みたいなイメージになるんだけれども、そこまでのことではなく、大きい作品を制作することをひと休みしようかなという意味の区切りなんです。

・・・ただ木口木版としては異例の巨大木版画を制作されるのが先生の作品の特徴のように思うのですけれど。

 それは僕の特徴だけれどもね。木口木版は従来本の挿絵の印刷技術として発達したものだし版木の木口面のサイズがあるから大きい作品は無理だと言われています。
小さくてもピリとしていて黒と白の綺麗な線が特徴なんでしょうけれど、僕は元々油絵を描いていたから、大きい画面構成にしたかったんです。ですから木口の技法を使って絵を描くいうことでそうすると自ずと大きさも決まって来る。下絵をきっちりと描いてきちんとそれを彫るという、一本の線で決めるやり方では画面が持たないんです。
僕は描くように彫っているわけで描くようにビュランを使う。一本一本の線は殆どハッチングですから少々荒っぽいかもしれません(笑)。でも今度は本来の木口木版の仕事である詩画集にチャレンジしてみようと思っているんです。
そうすると自ずとテーマは変わって来るし彫り方も考えなければいけない。それはちょっと度胸がいります。ちょうど二十年経ったので区切りも良いし、それに 「蘇生の刻」 も 「陽はまた昇る」も 蘇生するというか再生するというような意味なので同じことなんです。今年の三月に日本橋高島屋での個展作品と今回の新作を含めて一つの展覧会という形になりました。僕としてはかなり思い入れのある展覧会なんですよ。

・・・詩画集は具体的には。

 詩を書いていただく詩人の方は決まっているのですが、二、三年の準備期間を経てからなので具体的な話はこれからです。言った以上はやらなければいけないからまずいなと思ってます(笑)

・・・どうもありがとうございました。

~11日(土)まで。

シロタ画廊 http://gaden.jp/shirota.html

多摩美術大学 版画科 http://www.tamabi.ac.jp/hanga/

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