海外で活躍されている女性アーティスト6名
【朝海 陽子・澤田 知子・塩崎 由美子・志賀 理江子・ 高橋 ジュンコ・横溝 静 (敬称略)】 による展示。 今日は志賀 理江子さんにお話をお聞きしました。 ・・・今回展示されている作品は 「 Lilly」 と 「CANARY」 のシリーズ。はじめて作品を拝見したのですが、まず作品の色にドキっとさせられました。「Lilly」 のシリーズは、以前ご自身が住んでおられたロンドンの公営団地の住人を撮影されたとお聞きしました。変な言い方ですが被写体の方それぞれに持っている個体からのオーラみたいなものを読み取りイメージし構成されたのでしょうか。
少し特殊な撮り方をしていまして、暗幕を垂らした団地の外壁に被写体の方に立って頂き、そのプリントをマクロレンズで再撮しその時についた色なんです。一回撮ったものをもう一回レンズで撮ることになりますので、その間にいろいろな実験があるんですよ。例えば太陽の光や火の光、電球やハロゲンなどの光を使った結果の色ということです。 ・・・イメージははじめからあったのではないのですか。 そうなんですけれども、ただ絵ではないのでイメージを掴む最初の構造みたいなものが撮影の状況だとしたら、そこから常に自分の思い描くイメージを描くのではなくて、その人がどういう動きをするかとか、どのような会話が二人の間で起こるとか、そういうことで状況がどんどん予測不可能になって行く結果ということなんです。 ・・・予測不可能な結果だとしたらすごくいい結果が出たわけですね。写真の構造自体にも新鮮さを感じました。 私は写真をはじめる前に十年くらいクラシックバレエの経験がありますから、そこに多分身体的なコリオグラフの感覚があって、でも振り付けする相手はプロのダンサーではないので、被写体その人の附加がかかっているわけで、だとしたらそことの関わりで不思議に見えるポーズというか身体が出来上がって来たということはありますね。
・・・笠原さんはジェンダーをすごく意識されておられる旨を今回の展示全体を通じていわれてましたが、志賀さんの作品はジェンダー云々よりも死のイメージをすごく内包しているように思うのです。「Lilly」 のシリーズもそうですが 「CANARY」 のシリーズではそれをより鮮明に感じるといいますか。このシリーズも物語を内包していて、その物語は創っているというよりも、ご自身の経験値の中から出てきたものと・・・。 どのように対応するかというところが撮影のセットアップ、コンストラクトの部分になっています。またさらにそこから撮影という実験が行われるわけですから、どんどんフィルターなりレイヤーが重ねられていく、その断面が印画紙という感じです。 ・・・絵画の場合は描き重ねることでレイヤーを表出させることができるけれども、写真は撮るわけですからレイヤーを表出させることはすごく難しいように思うのです。でもそれを出さなければ深淵は見えてこないようにも思います。 出しずらい部分はありますね。ですから今取り組んでいるのは言葉のことであったりとか・・結局一枚の写真の中に千のレイヤーがあるとしたら千の凝縮されたものが一枚にあるわけで、それもわかるのですが、それではやはり語り尽くせないことがあるし、言葉とイメージそのものの問題だと思うし、ではその一枚のイメージに対してひとつの言葉が千のレイヤー分の何かだとしたらタイトルとして成り立つわけですよね。 ・・・写真機はご自身の中では絵筆と同様のものだと思うのですが、描くという行為はされないのですか。 取り敢えずしないですね。距離が近いというか言葉を書くのと同じで自分の手から出るもの、写真はシャッターを押すものだから関係はとても遠いわけで、自分というものと写真というものがべったりと一緒ではない。自分を身体だとしたら向こうはイメージ、きちっと差別化するようなこととして、私は写真を選んでいるのかなと思います。 ・・・どうもありがとうございました。 ~12月7日(日)まで。
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