gaden presents - gallery / artist / dreamer / exhibition / network

オサルスのおすすめランチ ランチdeチュ その163

バックナンバー(お店リスト)はこちら オサルスインタビューの一覧はこちら

牛ロースしゃぶしゃぶランチ 2600円

ざくろ 京橋店
東京都中央区京橋1−7−1 新八重洲ビル1F TEL 03-3563-5031

 

 2007年はどこそこの画廊展示 (若い作家のみ) は完売だったとか、アートフェアーに出店したらすごく売れたと美術界にも景気のいい話が聞こえて来ていました。喰うために時給850円でバイトをしながら website gaden を維持しているワーキングプアーのオサルスには、全く関係のない話でしたが、2007年の夏以降の株の急降や原油高による物価上昇となると、実体経済で波を被るのはプライムではなくオサルスのようなサブプライム層か。
でもサブプライムの問題はあくまでもきっかけにすぎず、いよいよパラダイムシフトの時代に突入したのではないかと密かに思うのです。そして美術はどこに向かうのか?
年初にあたりギャラリーオーナーの方にお話をお聞きしました。
まずトップはツァイト・フォト・サロンの石原さんです。

 「ざくろ」 京橋店でなんと! しゃぶしゃぶを頂きながらのお話です。

 石原さん。よく 「ざくろ」 に来られるんですか?

 「毎日だよ。昨日もお肉今日もお肉、明日もお肉っていうくらい、お肉大好き。老いてますます肉が好きになった。だから闘争的なんだよ」

 すげ〜!。

 「ざくろ」 はツァイト・フォト・サロンから歩いて三分。中央通りに面した新八重洲ビル地下1階にあります。民芸を主体にした店内には棟方志功や河井寛次郎が飾られて渋さの中にもラグジュアリーな雰囲気、場違いなオサルスだけど着物を着た仲居さんに丁寧に接客して頂きました。
 石原さんが注文されたのは、牛ロースしゃぶしゃぶランチ(小鉢、牛ロース、野菜添え、ご飯香物 2600円)。まずガスコンロが粛々と置かれ、次にごまベース(ラー油入り)のつけだれとポン酢ベースのつけだれが添えられて。小鉢のたこときゅうりのごま酢あえも美味ですよ。
しかしこのお肉の色。美味しそうでしょ。オサルスはしゃぶしゃぶを生まれてからまだ一回しか食べたことがないので、それも三十年ぶりなので食べ方がよく分からず、石原さんの見よう見まねでしゅぶしゃぶと。う〜ん。美味い。
なんとランチなのに仲居さんが野菜のお給仕をしてくれて至れり尽くせり。しゃぶしゃぶの出汁はスープとして頂けます。デザートは石原さんのお薦めの吉野紅梅。大きな梅がゼリーに包まれてサッパリして、つるるんとしたのど越し、梅といえばもう春ですねぇ。

・・・ところで去年の夏以降サブプライム問題などをきっかけに、景気がかなり後退して世の中の動向が少しづつ変わって来ているように思います。今回の景気後退は、債権市場の信用がダウンしたことに端を発していると聞きました。
美術も商品である以上、市場評価に左右され価値が変動していくわけですよね。また去年までの美術のミニバブルは機関投資家などのヘッジファンドがらみが多いと噂で聞いたのですが。

 確かにヘッジファンドは横行していますが、以前のように不動産や高級車などに投資せずに、彼等も時代に対しての認識が新しくなって、時代の中で生命力があるもの、時代が求めているものとして、現代美術(近代や古典も含めて)に流れるようになってきたと思います。
例えばパリに行くとアンフォルメルを扱っていた画廊に、マチューとかポリヤコフなどのいい絵がないんですよ。誰が買ったのか探って行くとヘッジファンドに目的を与えた投資家、つまりブッシュ政権やプーチン政権の周りの巨大な石油資本を持っている石油屋さんが、買いあさってしまったんだよ。

・・・中国はどうなんですか。石原さんは以前から中国にかなり力をいれられているように思いますが。

 中国には9年前から首を突っ込んでいます。中国の作家の作品を初めに開拓したのは東京画廊やベイス画廊で僕ではないけれども、コレクションをまとめたのは僕が最初。
9年前に上海で写真の画廊を作りたいという人がいて、いっしょに作りましたが、当時の中国は、昔の日本と同じでグラフジャーナリズム
の時代、写真は美術館や画廊のメディアでないという考えが主体だったんです。だから突然開いたものだから中国人は躊躇してしまった。見には来るんだけどね。
でもさすが中国だと驚いたのは、ヨーロッパに負けないような潜在的な作家が準備されていたんだね。中国は古典から現代になったので、近代が抜けているんだ。

・・・近代が抜けているというのは。

 中国や韓国はいろいろな政治の悪戯で、モダニズム、つまりアバンギャルド芸術というか、それなりにヨーロッパや日本・・・日本はヨーロッパからの借り物も多かったんだけれども、でも日本人が到達したモダニズムというかね、個人の自由な発露から自由に描いたというアバンギャルド芸術を、中国や韓国は経験していない。
作家はその空白を外国の文献を読んだり、フランスや日本などを垣間見ることによって、一生懸命に自分なりに修正したり、あるいは逆に離反したりした。
例えば典型的な中国の絵を描くのでも、一旦ヨーロッパの流れを自分の中で消化して、その上に中国の独特のローカルなものを味付けに使う。グローバルであってローカルなものをもつ作家が出てきているんだよ。

・・・なるほど。

 そこに中国のアイデンティティーがあって逆にとてもおもしろかったんだ。でも2年やっても写真は売れず、いっしょにやった人から 「売れないから画廊を閉めて本業に戻る」 といわれて、売れるまでには時間がかかるからね。
でもそれから半年くらいして急に売れるようになったんだよ。今から思えば10年ぐらい前の中国の現代美術はおもしろかったよ。死体派なんて聞いたことある?

・・・死体派ですか。

 工場の跡地でね。動物の死体か魚類の死体か、噂では人間の死体もあったりしたぐらい怪しげな暗いところでね。3日ぐらいすると肉の腐敗の匂いがしてくるんですよ。そうすると警察が来る。警察が来た頃にはどこに運び込んでしまってなくなっているんだ(笑)。
それはすごいショックだった。当時中国の政治路線に抵抗していた人たちがやっていたんだろうね。抵抗していた作家といえば、蔡国強 (花火によるパフォーマンスを世界各国で発表) がいたでしょ。この間中国の経済国際会議で政治家に呼ばれて上海で花火を打ち上げると聞いて大丈夫かと思ったんだけれども、「僕は業績をあげたので、堂々と中国に帰りますと」 あっけらかんとして帰ったんですよ。ずっと抵抗していたんだから、これからも抵抗し続けるなんて概念論を言わないで、たくましく生きていくんだなぁと感心したんです。

・・・中国は何でもありなんでしょうか。美術はものすごいバブルですよね。

 僕が買ったのはその人たちよりもだいぶ後の世代だけれども、それすら今は買えなくなっている。財閥の大きな資本が入ってアメリカや韓国の画商と結びついて、そこを通じないと出なくなってしまった。
あっという間でしたよ。自由に買えたのは七、八年間の間、そのときは僕もこういう性格だから、作家のアトリエを訪ねて交友関係をもって、安く作品をわけてもらっていたんだけれども、その中から10人ほどあっという間にオークションで、一億円を起す作家が出てしまった。驚いたよ。嬉しいような悲しいようなね。

・・・金額が上がればいいじゃないですか。

 僕は絵が好きだから絵が買えないことは本質的には悲しいんだよ。もう少し自由に買えることが願望だったけれど、周りの状況が変わってしまった。それは絵に対して投下された資本が株を買うような形で、不況になると金を買うように不変の価値のあるソフトを買いたくなる。
それは優良な企業の証券であったり、若い作家の才能に裏打ちされた芸術作品であるわけですよ。だから9年間で100点くらい買いました。それを国立上海美術館から石原のコレクションは独特でおもしろいから、オリンピックに合わせて展覧会をしてほしいと言われたんです。

・・・私はネガティブな性格なので、暗く考えがちなんですが、不変の価値のあるソフトの価値の部分が根底的に崩れたらどうなんでしょうか。

 僕は自分の中に調和しない二つのものがあるんですよ。一つは作家に怒られるかもしれないけれども、芸術というのはたかが絵空事だと思っているんです。特別に才能のある人が特別にクリエイティブな仕事をしてそこに勝手にお金が付いて来る。
作家というのは自分のクリエーションにパッションをもってやり続けていく。単なる僕は投機家じゃないから、それがダメになっても時代に遭遇しなかったと笑うだけ、逆に経済的な流れの中で生き抜く力があれば、それはそれで生命力は強いものだなぁと思って認識を新たに持つ。僕はどちらでもいいんです。
ただ僕自身はそういう概念を追求することよりも、作家と逢うことが大事、彼等は日本の平面作家と比べるとしつこいし、時間と体力を費やして大きな広大なスペースで朝から晩まで絵と奮闘している。先日日本でだけどアグネスというホテルで若い画商がホテルの室内に作品を展示したんだけれども。

・・・行きませんでしたが入場制限があったと聞きました。

 そう。洗面所やベッドの上に絵を展示して、そこで商談しているのはナンセンスなんだよ。若い人がやることじゃないね。退行現象のなにものでもない。でも僕も買ったんですよ二、三いいものがあったから。
最初の一回は発想の勝利でおもしろかったと思うのね。自分の部屋で絵を見るような形でさ。結果すごく当たったしすごく人も動員できた。でもあれを恒例化して入場制限するとか。一般の招待客には売らないとかさ、あれは退行現象で現代美術の自己否定だね。最悪だよ。

・・・2007年は特に青田刈りみたいに若い作家を持ち上げて、作家ともいえないような作品でも完売してしまう。すごくおかしいような気がしたんです。それにヘッジファンドがからまって値段をつり上げているような噂を聞くと、価値って一体何なのかと思ってしまいます。

 価値なんてものはなるようにしかならないよ。ケセラセラさ。

・・・ケセラセラですか。ただオークションで値段が高い 「Gaudy Art」 (派手なアート) を制作する中国人アーティストはどうも違和感を感じてしまうんです。石原さんの画廊で展示されている中国人の作家とはかなり違うというか。中国は広いから色んな作家がいるんだと思いますが。

 「Gaudy Art」 は、以前の日本のバブルの最後の作家群のように、これから下降に向かうかもしれないね。韓国で毛沢東がお人形みたいになって花に包まれているとても明るい作品を見たことがあるけれど、若い世代が自分の育った美術的な感覚を形成された時代が、自然にそういうものを受け入れるのか。
つまり彼等がパソコン文化とコピー文化などのメディアティックな時代の中にさっと入れるのと。僕みたいにヨーロッパやドイツに数年住んで、そこでコツコツと手探りで覚えていって、一枚一枚レンガを積み上げるようにして覚えていったものの見方では大きな違いがある。
それのどちらが良いのか悪いのかというのは、言えないと思うのだけれど、僕はそういうやり方でやってきて作家を選んでいる。そのなかで急上昇している人が四、五人いるんですよ。本当にその人たちは長く続くと思ってるんです。
それに関して国立上海美術館が、展覧会をやってみたいと思うのじゃないかな。僕は全部中国の作家でやりたかったんだけれども、僕がよく日中の文化交流を口にしているから、石原が見ておもしろいと思った、草間や何かの次の世代の日本の新しい作家を入れてくれという希望があったんですよ。いい機会だから日本と中国の作家が対決できるような展覧会にしたいと思っているよ。

・・・オリンピックのときにやるんですか。

 そう。オリンピックの少し前に日本でも展示します。三菱地所から展示をしてほしいと言われて丸ビルの六階のイベントホールでやるんだけれども、そこでは中国の作家だけ。オリンピックの開会式の日にしたいといわれたけれど、日本人は皆テレビを見ていて来ないだろうから前日、8月7日に開く予定で進んでいます。
そうしたらニッポン放送に芸術に熱心な人がいて、丸ビル周辺のゾーンを六本木のミッドタウンに負けないようなハイカルチャーにしたいということで主催させてほしいと言われたんです。そういうイベントが今進行中です。

・・・すごいですね。お話を聞いていて思うんですが、石原さんの見ている美術の世界と、オサルスの見ている美術の世界とはギャップがあって、すごく違うように思います。

 マーシャル諸島共和国から画廊や美術館をやりませんかと言われているんで、マーシャル諸島ツァイト・フォト・サロンを作ろうかと思っているんだ。

・・・マーシャル諸島共和国ですか。

 今度JALから直行便が飛んで5時間弱くらいで行かれるようになるらしい。

・・・日本橋から京橋に移られてもう5年ぐらいですか。画廊の大きさもそうですけれども、話のスケールも壮大ですごく変わられたように思います。海外でのいろいろな方とのコミュニケーションが大きなきっかけだったんですか。

 他者の文化の中に半分は好奇心で入ったときに、色んな人にあちこち連れまわされてものの考え方が柔軟になりました。僕はヨーロッパのマックスウェーバーとキリスト教倫理主義で育ったようなものだからね。
でも時代はあんたがいうように根底から変わってきている。 根底の中で、根底に合わせることをしないとね。逆に合わせるためには自分に芯がないと合わせることもできないと思うよ。中国はねジュラシックパークみたいな都市なんだよ。
例え今のバブルが崩壊しても、新しい波の源であるDNAは至る所に芽吹いている。去年上海に行ったときに夜に散歩してみたんだ。ブラッサイの 『夜のパリ』 みたいにパリの夜の散歩は洒落ているけど、上海の夜は工事現場だらけなんだよ。

・・・そうですか。波動じゃないけれど、そういうエネルギーのあるところに行かなければいけないということなのかもしれなせんね。どうも私はネガティブな性格なので。

 そういう人は、マイナスじゃなくて、プラスのエネルギーがあるところに行った方がいいよ。

・・・今日はどうもありがとうございました。

 グローバルであってローカルなものをもつ作家のお話は以前のインタビューで話されていたこと。芯を曲げずに進んで来た結果が成功の秘訣なのかもしれませんね。

ZEIT-FOTO SALON http://www.zeit-foto.com/ / http://www.gaden.jp/zeit-foto.html

関連情報 2001.11

バックナンバー(お店リスト)はこちら オサルスインタビューの一覧はこちら

おすすめトップ RETURN

gaden presents
- g
allery / artist / dreamer / exhibition / network

© GA-DEN-IN-SUI-SYA