・・・安齊さんの作品を拝見するのは国立新美術館以来なんですが、確か2003年にお話をお聴きしたときに写真を扱っている画廊では展覧会をしないと言われてませんでしたか。今回の展覧会はどのようなきっかけがあったのでしょうか。
一つは ZEIT-FOTO SALON
の石原さんとの付き合いが長いという理由がありまして、それと今年写真を始めてから40年になるのと、丁度70歳の古希を迎えるので、節目の展覧会をやろうと思いついたときに相談しましたら、石原さんが快く引き受けてくれたんですよ。 ・・・モノクロと白い余白と文字が印象深い作品ですね。 印画紙の中に写真をプリントして余白を作って余白の中に、そのときに僕が受けた印象をね、文字で書き込んでカリグラフィーではないけれども、文字で伝えられる部分と写真という素材で伝えられる部分がシンクロしたような一枚の平面を作ってみたんです。 ・・・なるほど。だからタイトルが Unforgettable Moments なんですね。
そう。日本語に直すと 「忘れがたい刻」
というような意味なんですけれども、40年間のアート・シーンを振り返ったときに自分の脳裏に非常に強く記憶として残っているシーンはどんなシーンだったかと思い起こせば、ドイツのクンストハーレで出会ったボイスの家族、ボイスとボイスの奥さんとお嬢さんがまったく違う方向を見ているシーンなどは、その瞬間にパフォーマンスを見ているような強烈な記憶として残っているし、パリの青年ビエンナーレでポンピドー・センターの隣でチェンソーで建物が解体されているシーンなども強く残っている。今回はむしろ素直に振り返って展示してみようと思ったんですね。 ・・・写真展というイメージを超えるというのはすごいですね。 これからぼくが将来どういう活動するかというときに、次のジェネレーションの人たちに 「かつてこういうアート・シーンがあったんだよ」 ということをできるだけ丁寧に伝えていく仕事がまだ十分あると思うんですよ。まだ具体的に何をやるか決まってはいないのですけれど、今年の秋に多摩美術大学が僕の展覧会を企画してくれていて、大学のキャンパスのいろいろなスペースを使って映像化したインフォメーションを展開する予定があるんですよ。それは展覧会を構築するというプロジェクトを授業にしてしまう試みなんです。ですから参加した学生は単位を取得できるシステムを大学側は考えているみたいなんです。 ・・・2004年の4月から多摩美術大学の客員教授になられて約5年が経ちましたけれど、学生はだいぶ変化しているんでしょうか。
僕らが過ごしてきた時代の技術と言うのは、できるだけ手作りであまりテクノロジーみたいなものに頼らないで、生身の人間の創造行為というものをずっと・・・僕が見てきた70年代80年代はあると思うのだけれども、今の人たちというのは変化のスピードがすごく変わってきているのでスピードが速いことによって、良い部分と逆についていけないというか・・・。 ・・・最後に少し余談ですが、安齊さんの作品を拝見しているとそのときにその場にいらしたことに感服いたします。どうして居られたんだろうと思いますけれども・・・。 冗談みたいな話なんだけど、マン・レイの仕事を本や何かで見たときにすごいなぁと思ったのは、マン・レイは色んな人の写真を撮っているじゃないですか。一人の人間があれだけの多様な人間と関わり合いを持てたということが、それだけでもすごいと思う。 ・・・どうもありがとうございました。 |
gaden presents - gallery / artist / dreamer / exhibition / network