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安齊重男 作品展 -Unforgettable Moments- 2009年3月24日 - 4月25日


ZEIT-FOTO SALON
東京都中央区京橋1-10-5 松本ビル4F TEL 03-3535-7188 
http://www.zeit-foto.com/
http://www.gaden.jp/zeit-foto.html

 ・・・安齊さんの作品を拝見するのは国立新美術館以来なんですが、確か2003年にお話をお聴きしたときに写真を扱っている画廊では展覧会をしないと言われてませんでしたか。今回の展覧会はどのようなきっかけがあったのでしょうか。

 一つは ZEIT-FOTO SALON の石原さんとの付き合いが長いという理由がありまして、それと今年写真を始めてから40年になるのと、丁度70歳の古希を迎えるので、節目の展覧会をやろうと思いついたときに相談しましたら、石原さんが快く引き受けてくれたんですよ。
ただ国立新美術館で大きな展覧会をやっているので、例えばボイスとかイサム・野口とか僕が今まで発表してきた写真の中で、比較的有名な・・・
この写真は僕の写真だとわかるようなトレードマークのようになっている写真を極力外し、その写真の隣にあるというか。従来選んできた写真とはアングルの違うものを優先して選んでみたらどうかというサジェスチョンを石原さんからもらいましたので、もう一回フイルムをさらってみたんです。
それともう一つは国立新美術館のときは日本のアートシーンで構成された展覧会だったんですよ。ですから例えばヴェニス・ビエンナーレだとかあるいはその他の国での国際展や、ニューヨークでのビル・ヴィオラやローリー・アンダーソンなど、この間の展覧会には出してなかった作品を展示するということで、それらを含めて三十点ぐらい選びました。

・・・モノクロと白い余白と文字が印象深い作品ですね。

 印画紙の中に写真をプリントして余白を作って余白の中に、そのときに僕が受けた印象をね、文字で書き込んでカリグラフィーではないけれども、文字で伝えられる部分と写真という素材で伝えられる部分がシンクロしたような一枚の平面を作ってみたんです。
一般的に写真の展覧会はサイズを決めてエディションナンバーをふって販売するのだけれども、今回は全部一点ものなんです。展覧会が写真展ではなく作品展となっているのはそういう理由なんですよ。だからユニークなんです。

・・・なるほど。だからタイトルが Unforgettable Moments なんですね。

 そう。日本語に直すと 「忘れがたい刻」 というような意味なんですけれども、40年間のアート・シーンを振り返ったときに自分の脳裏に非常に強く記憶として残っているシーンはどんなシーンだったかと思い起こせば、ドイツのクンストハーレで出会ったボイスの家族、ボイスとボイスの奥さんとお嬢さんがまったく違う方向を見ているシーンなどは、その瞬間にパフォーマンスを見ているような強烈な記憶として残っているし、パリの青年ビエンナーレでポンピドー・センターの隣でチェンソーで建物が解体されているシーンなども強く残っている。今回はむしろ素直に振り返って展示してみようと思ったんですね。
 以前画廊では展覧会をやらないと言ったのは、僕が写して来たアート・シーンを作品にして発表するというアイディアが、普通の写真をただプリントして額縁に入れて見せるというような見せ方はしたくないという意味合いだったんです。だから国立新美術館もインスタレーションのような形でなければあまりやりたくなかったかもしれない。
あれは空間を写真で埋める一つのチャレンジだったんですよ。膨大な空間をあの大きさの写真で埋めるというのは、相当な量の素材がないと埋まらないわけですよね。単に写真の展覧会というイメージを超えて写真というメディアを使った一つの空間構成をすることだったわけですから・・・。丁度ダニエル・ヴィランが来日していて見に来てくれたんですけれども、「これは写真展じゃないよ。これは」と図らずも言ってくれたのがすごく嬉しかったんです。

・・・写真展というイメージを超えるというのはすごいですね。

 これからぼくが将来どういう活動するかというときに、次のジェネレーションの人たちに 「かつてこういうアート・シーンがあったんだよ」 ということをできるだけ丁寧に伝えていく仕事がまだ十分あると思うんですよ。まだ具体的に何をやるか決まってはいないのですけれど、今年の秋に多摩美術大学が僕の展覧会を企画してくれていて、大学のキャンパスのいろいろなスペースを使って映像化したインフォメーションを展開する予定があるんですよ。それは展覧会を構築するというプロジェクトを授業にしてしまう試みなんです。ですから参加した学生は単位を取得できるシステムを大学側は考えているみたいなんです。

・・・2004年の4月から多摩美術大学の客員教授になられて約5年が経ちましたけれど、学生はだいぶ変化しているんでしょうか。

 僕らが過ごしてきた時代の技術と言うのは、できるだけ手作りであまりテクノロジーみたいなものに頼らないで、生身の人間の創造行為というものをずっと・・・僕が見てきた70年代80年代はあると思うのだけれども、今の人たちというのは変化のスピードがすごく変わってきているのでスピードが速いことによって、良い部分と逆についていけないというか・・・。
古い言葉でいえば、ある種の精神性みたいなものを作品の中に取り込むことが難しくなってきて、絵でもそうだし、彫刻でもそうなんだけれども、変化の速さがあまりにも早いことによって、ある学生においてはあまりにも早すぎてどうしていいかわからないくらいについていけない人もいるんですよ。
古いというと言い方が悪いけれども、僕らの時代と同じように作品を作っているタイプの学生もいるんだけれど、逆に情報がすごいからそういう学生たちは今すごく大変なの。そういうときに僕らが 「長丁場だからいいんだよと」 ちょっとでも言ってあげると、多少は安心してじっくり仕事をしてみようという気持ちにもなってくれるので、まだまだ僕がサジェスチョンをしてあげる部分があるかなと思っています。ただ僕もそうなんだけれどもまさにデジタル時代に生きているわけだから、できればデジタルのこともアナログのことも両方勉強して、その人のパーソナリティーにあったデジタルの部分とアナログ部分のバランスを使い分けていけるような自由な発想をして欲しいし、デジタルな時代になったことによって新しく生まれるアートの形がもちろんあると思うのでそれが楽しみでもあるんです。
これからの若い人たちがデジタルの時代をどう切り崩していくか。あるいは作っていくか。自分ではやらなくてもそういう楽しみはあるんですよ。でも大変なのは、僕らが過ごしてきた時代よりもはるかに忙しいから、今の子たちがすごく大変だなと思いますけどね(笑)。

・・・最後に少し余談ですが、安齊さんの作品を拝見しているとそのときにその場にいらしたことに感服いたします。どうして居られたんだろうと思いますけれども・・・。

 冗談みたいな話なんだけど、マン・レイの仕事を本や何かで見たときにすごいなぁと思ったのは、マン・レイは色んな人の写真を撮っているじゃないですか。一人の人間があれだけの多様な人間と関わり合いを持てたということが、それだけでもすごいと思う。
作品の出来上がりがどうこうではなくて、その人と関わり合いをもてたことがいつもすごいと思うんですよ。そういう意味でいえば、僕もすごくアートが気になってアートが好きで、自分でもアートをしていたことがあるからかもしれないけれど、いまだにアーティストはまだまだ面白い人がいっぱいいると思いますよ。

・・・どうもありがとうございました。

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