Zeit-Foto Salon EXHIBITION ツァイト・フォト・サロン 展覧会情報

アキ・ルミ作品展 “ Traceryscape “

2007年9月1日(土)〜9月25日(火) 日・月・祝日休廊
10:30〜18:30(土〜17:30)

網にかけられた風景

 アキ・ルミの新作 "Traceryscape" はなにげない風景や都市のモノクロームの写真であるが、どの風景も無数の極細の線、緻密に描き込まれた図形、そしてなぜか昆虫の羽などに捕まえられてしまっている。

だから、あるものはその網に引っかかってもがいたように天地が転倒している。そこでは私たちが外の世界を知るための基準線が無造作に外されている。この写真と向き合ってみれば、不思議と風景は奥に広がるものではなく平面的なものに見えてしまうだろう。そして、平面となったことで "Traceryscape" はおもしろい事件を引き起こすのである。

 それは、私たちがこの写真をどう観てしまうのかという問題に発する。どうしても網を無視できない人間の眼は自由自在に走り抜ける線や図形をたどってしまう。すると、ふだんならまったく気にとめない風景の極細部--空に溶けてしまいそうなアンテナ群や意味不明のマーク--に視線が止まっているのに気がつく。それは、スキャンのシステムに似ている。スキャナーと化した私たちは意味ではなく純粋図形としての〈イメージ〉と、写真という〈紙〉の上で触れ合う。意味からの解放。これはひとつの事件なのではないか。

"Traceryscape" は<現実の風景>と<架空の線と図形>の次元とが、写真という舞台で融合する、正に一面性の「事件写真」なのである。

 彼はこれまでも<システム>をキーにした作品を作ってきた。美術とはあまり縁のない言葉だ。フリーハンドではなく、定規とコンパスのみよって図像が描かれた"trace"は、目標に向かってビジョンを描くのではなく、自動システムにしたがうように、線や面が自然発生的に次々に生み出され自己増殖していくシリーズだった。新作の"Traceryscape"はここから大きくステップアップしたニューヴァージョンである。タブララサから出発するデッサンとは異なり、どんなに加筆しても決して消え失せることのない目の前の風景が彼の画用紙となった。

それは〈写真〉が私たちの世界の認識と生成にとって重要度を増してきたことの証かもしれない。



(C) アキ・ルミ作品

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