Zeit-Foto Salon EXHIBITION ツァイト・フォト・サロン 展覧会情報

鷹野隆大 写真展 「香港・深圳 1988」

2013年11月21日 (木) - 12月21日(土)
10:30 - 18:30 ( 土 - 17:30 ) 日・月・祝日休廊
協力:ユミコチバアソシエイツ

25年前の夏、二十五歳だった僕は香港と深圳(しんせん)を旅した。特段の思い入れがあったわけではない。魔窟と恐れられた九龍城(香港では九龍城砦)が間もなく取り壊されると知り、怖いもの見たさで訪れてみただけのことだった。19世紀末に一帯がイギリスに占領された後も中国が所有権を譲らなかったために無法地帯と化して生まれたのが九龍城だった。地元の人には申し訳ないが、それは僕にとっての香港のイメージそのものだった。

この旅で幸運だったのは、偶然知り合った香港人に日本語のできる人を紹介してもらえたことだった。その人のおかげで、九龍城に暮らす人と話ができたうえに、予定外の深圳へも行くことができた。香港に隣接する深圳は、鄧小平が進める改革開放の最初の実験地として経済特区に指定された町だった。指定後10年も経たないうちに大都市へと変貌していると聞き、一度訪れてみたいと思っていた。その深圳では単に街を見て歩くだけでなく、その人が関わっていた裁縫工場を見学することもできた。悲惨というほどではないものの、蚕棚(かいこだな)の貧しい寮で暮らす若い男女に接することができたのは印象深い出会いだった。

この旅で幸運だったのは、偶然知り合った香港人に日本語のできる人を紹介してもらえたことだった。その人のおかげで、九龍城に暮らす人と話ができたうえに、予定外の深圳へも行くことができた。香港に隣接する深圳は、鄧小平が進める改革開放の最初の実験地として経済特区に指定された町だった。指定後10年も経たないうちに大都市へと変貌していると聞き、一度訪れてみたいと思っていた。その深圳では単に街を見て歩くだけでなく、その人が関わっていた裁縫工場を見学することもできた。悲惨というほどではないものの、蚕棚(かいこだな)の貧しい寮で暮らす若い男女に接することができたのは印象深い出会いだった。

四半世紀の間をおいて写真を見返すとき、撮り手の“物語”が消えた後に残るものが明瞭に浮かび上がってくるだろう。自分の写真でこのような体験ができるチャンスは滅多にない(再びやろうとしたら、また25年、写真を塩漬けにしておかねばならない)。こうして得た感覚を次に生かすことができたなら、それはおそらく未来から今を見据える眼差しへと通じるのではないかと思う。今回の展示では、写真が孕むこのような時間性について、なにがしかの実感をつかむことができればと願っている。

2013年9月 鷹野 隆大

今回はモノクロ写真作品約25点を展示致します。

「九龍城、香港」
「深圳、中国」
「深圳、中国」
©Ryudai Takano
Courtesy: Yumiko Chiba Associates / ZEIT-FOTO SALON

E-mail: ZF@zeit-foto.com

 

鷹野 隆大(たかの りゅうだい)

1963年福井県生まれ。写真家。1994年よりセクシュアリティをテーマに作品を発表し始める。2006年に写真集『IN MY ROOM』(蒼穹舎)で第31回木村伊兵衛写真賞を受賞。近年は都市空間にも興味を持つようになり、2011年に日本の街並みをテーマにした写真集『カスババ』(発行:大和プレス/発売:アートイット)を刊行。他の写真集に『男の乗り方』(Akio Nagasawa Publishing、2009年)、『α』(SUPER DELUX、2012年)などがある。また、2010年に鈴木理策、松江泰治、倉石信乃、清水穣と「写真分離派」を立ち上げ、不定期で活動している。

近年の主な個展:『ぱらぱら』(ZEIT-FOTO SALON、2008年)『おれと』(NADiff a/p/a/r/t、2009年)、『金魚ブルブル』(ZEIT-FOTO SALON、2010年)『モノクロ写真』(Yumiko Chiba Associates viewing room shinjyuku、2012年)、『立ち上がれキクオ』(ZEIT-FOTO SALON、2012年)ほか多数。
近年の主なグループ展:『液晶絵画』(国立国際美術館ほか、2008年)、『スナップショットの魅力』(東京都写真美術館、2010年)、『第2回写真分離派展  写真+』(中京大学アートギャラリー C・スクェア)、『引込線』(旧所沢市立第2給食センター、2013年)ほか多数。

詳しい作家情報はこちら http://www.zeit-foto.com/artist/takano_ryudai/index.html

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