これまでに発見された世界最古の芸術品6つ

芸術は、太古の昔から、人と人とのコミュニケーションの手段として機能してきました。古代の彫刻や洞窟壁画が発見されている事実からも、人類の歴史が始まって以来、さまざまな芸術が行われてきたことがわかります。現在とは創作の方法が異なっていたものの、芸術によって思考や感情を表現することは一般的であったのです。

当初、古代美術は主に西洋に存在したと考えられていましたが、洞窟壁画がインドネシアで発見されたことにより、考古学者らの間で新たな問題が提起されています。アフリカやインドネシアのあらゆる地域で発見された美しい彫刻や洞窟壁画は、西洋だけでなく地球全体において芸術が広く浸透していたことを示唆しているのです。本記事では、これまでに発見された世界最古の芸術品を紹介していこうと思います。ぜひ続きをご覧ください。

ビームベートカーの岩陰遺跡(紀元前29万年~70万年頃)

ビームベートカーの岩陰遺跡は、これまでに発掘された古代芸術品の中で最も古いもので、紀元前70万年頃まで遡ります。インド中央部のマディヤ・プラデーシュ州にある2つの古い珪岩洞窟で発見されました。

ベレハットラムのヴィーナス(紀元前23万年~70万年頃)

いまだに議論の的になっているベレハットラムのヴィーナスは、これまで発掘された古代先史時代の彫刻の中で最も古いものの一つです。1981年、エルサレム・ヘブライ大学の考古学者であるN. Goren-Inbar氏によってシリアとイスラエルの間にあるゴラン高原にて発見されましたが、人類の介入ではなく自然の浸食によって作られたと考える古生物学者もいるそうです。ホモ・サピエンスやネアンデルタール人の時代よりも以前に存在していた可能性が高く、ホモ・エレクトスなどの旧人類が作ったのではないかと推測されています。

タンタンのヴィーナス(紀元前20万年〜50万年頃)

長さ約6cm、直径約2cmのタンタンのヴィーナスは、モロッコのタンタンという町の近くにあるドラア川で発見され、古代彫刻の中で最も古い芸術品の一つとなっています。ホモ・サピエンスが到来する前の時代に作られたと考えられています。

ブロンボス洞窟の絵画(紀元前7万年頃)

サハラ以南のアフリカで最も古い芸術品の一つであるブロムボス洞窟の岩絵は、幾何学的な抽象記号が刻まれた黄土岩の塊2つと、ナサリウス・クラウシアヌス貝で作られたビーズの連なりで構成されています。これらは2002年に発見され、およそ紀元前7万年のものだと推定されました。この岩絵の発見により、先史時代の人類がシンボルや抽象的なものを創造し、理解する能力があったことが判明しました。

ディープクルーフ岩陰遺跡の卵殻(紀元前6万年頃)

南アフリカの西ケープ州にあるディープクルーフ岩陰遺跡で発見された卵殻は、紀元前6万年頃に創造された洞窟壁画の一群です。ダチョウの卵殻に、クロスハッチングや幾何学模様などの抽象芸術の手法で彫刻されたものが発見されました。

ラフェラシ洞窟のペトログリフ(紀元前6万年頃)

ラフェラシ洞窟は、フランス南西部にあるネアンデルタール人の洞窟で、有史以前の大陸に存在し、3つの石器時代を通じて作られていた岩絵の一種「キュープル」で有名な地です。この洞窟で見つかったペトログリフは、ヨーロッパで最も古い先史時代の芸術品の一つであり、ネアンデルタール人の消滅が紀元前4万年であることから、紀元前4万年から7万年頃に作られたと考えられています。