19世紀以前の巨匠アーティストたちが描いた絵画のほとんどは、有名な美術館に保管され、一般公開されています。そのような美術館ではめったに売りに出されないため、値段がつかないと思われている貴重な作品が多くあります。「かの有名な『モナリザ』にどれだけの価値があるんだろう…?」と疑問に思われた方もいらっしゃるかもしれません。そこで本日は、これまでに取引された中で最も高価な絵画について詳しく調べてみましょう!
さて、前述したレオナルド・ダ・ヴィンチによる『モナリザ』は間違いなく、歴史上最も高価な絵画であるでしょう。価値がありすぎて値段がつけられないとも言われている絵画ですが、保険価額を見ることで数値を算出することは可能です。実は1962年に、この名画は1億ドルの価値があると鑑定されています。つまり、60年経った現在までのインフレを考慮すると、今日では8億6,000万ドル相当の価値があるということになります。
レオナルド・ダ・ヴィンチの『サルバトール・ムンディ』(1500年)
レオナルド・ダ・ヴィンチの『サルバトール・ムンディ(救世主)』は、2016年にクリスティーズ・ニューヨークで開催されたモダンアートイベントにて、19分間の入札合戦の末、4億5000万ドルで落札され、史上最高額の絵画となりました。落札者は結局、サウジアラビアの王子であることがのちに判明しています。この絵画では、キリストが片手にオーブを持ち、もう片方の手で十字架のサインをしている姿が描かれています。
実は、長い間、レプリカとされてきたのですが、2006年に修復された際に、本物の品であることが一目瞭然になり、ダ・ヴィンチの傑作とみなされるようになったのです。ちなみに、オークションに出品される前は、ロンドンのナショナル・ギャラリーで5年間展示されていました。
ウィレム・デ・クーニングの『インターチェンジ』(1955年)
この抽象表現主義の代表的な作品は、1955年にオランダ系アメリカ人の画家ウィレム・デ・クーニングによって描かれました。抽象表現主義は、しばしばアメリカ初の現代美術の潮流とみなされ、デ・クーニングやジャクソン・ポロックなどのアーティストによって開拓されました。油彩画『インターチェンジ』をきっかけに、アーティストが取り上げる主題は、女性を描くことから、抽象的な都市景観を描くことへと移っていったのです。
同じく抽象表現主義の画家フランツ・クラインは、デ・クーニングに対して、激しい筆致をやめさせ、より速く、より表現豊かな動きをするように説得したそうです。『インターチェンジ』では、その構図の中心にあるピンク色の巨大な塊が同作のメインとなっていて、全体的に横たわる女性が描かれています。2015年9月に、ケネス・C・グリフィンがデイヴィッド・ゲフェン財団から3億ドルで購入しました。
ポール・セザンヌの『カード遊びをする人々』(1892年)
この有名な油絵は、画家ポール・セザンヌがそのキャリアにおいて制作した5点のうちの1点にあたり、いずれもテーブルに座ってトランプに興じる男たちという同じテーマを取り上げています。現在、このセザンヌによるシリーズの大半は、ロンドンのコートールド・ギャラリーやパリのオルセー美術館など、世界各地の有名美術館で展示されています。
セザンヌは、アートの題材としてのギャンブルについて多くの時間をかけて研究したと言われています。ギャンブルをテーマした絵画を複数描きましたが、そのいずれにおいても、座る参加者の人数、ゲームの場所、キャンバスの大きさなど、すべてのディティールが異なります。『カード遊びをする人々』はカタール王室によって2億5千万ドルで購入され、当時は史上最高額の美術品となり、世界中で話題を呼びました。